ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国映画 後悔なんてしない (感想)

おすすめ度:73%
キム・ナムギルさん度:100%
X-Large度:100%
原題:후회하지 않아 114分

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貧しい男と裕福な男。彼らの愛情の行方とは?2006年公開のキム・ナムギルさん主演の映画。

 あらすじ・キャスト

大学入学を目指しながら、アルバイトを複数掛け持ちして働いているスミン(イ・ヨンフンさん)は日々余裕がない生活を送っていた。
ある夜、運転代行の仕事の客として、青年ジェミン(イ・ハン/キム・ナムギルさん)に出会う。
一方、アルバイト先の工場で大幅なリストラが行われ、スミンもその対象者となってしまう。しかし、先日会ったジェミンが工場の副社長と判明し、驚く。
スミンに好意を持ったジェミンが彼のリストラを取りやめるものの、その行為に格差を感じたスミンは怒りを覚えて辞めてしまう。
仕事を失ったスミンは、男性向けの"バー”で働くことにするが…。

感想

男性同士の恋のお話です。
BL系の軽めのノリではなく、結構しっかり男性同士のベッドシーンもあります。苦手な方は注意した方がよい作品です。

個人的にとりあえず、まず一番驚いたのが主役2人の内のおひとり、ジェミン役が、何とキム・ナムギルさんだったということでした!
視聴していて画面が暗いシーンが続いていたのもあってか、しばらく気付かなかったのですが、途中「?!」と思って調べましたら、ご本人でした。
この頃は、イ・ハンというお名前で活動されていたとのことです、ビックリしました。

ナムギルさん、色々な作品に出ていたのだなあ…と、個人的に印象が爆上がりしました。
まだ駆け出しの頃でしょうか?この作品も同性愛や男娼をフィーチャーした映画ですし、色々な意味でハードな部分もあり、偏見などもあったと思います。大変だったと想像します。

2006年の映画なので、映像が鮮明でないのもあったりします。今観ると、最初は画面の古さに違和感を持ちつつも、途中から映像の粗さが逆に、意図せず雰囲気を出しているなと思いました。
ストーリー展開がやや独特な感じで、特に終盤は色々な点で観ていて裏切られる部分も
あります。同時にとてもユーモラスでもあり、なんだそれ的な部分もあって、面白く視聴しました。
最後のエンディングは賛否両論あるかもしれません。が、私はそれよりも、主人公2人の気持ちの描写が全体的に不足しているような気がして、その部分の方が気になってしまいました。

ゆるいネタバレありの感想

キム・ナムギルさん所属事務所インスタグラムより

田舎の孤児院から、働くためにソウルへ出てきた青年スミン。お金ために、毎日朝から晩まで働くしかありません。
ある夜、運転代行で出会った客ジェミンに、それとなく”誘われる”スミン。そんな気持ちのない彼は、軽くジェミンを受け流して、その日の仕事を終えます。

しかし昼間に勤務している工場で、リストラの嵐がスミンを襲います。
クビの対象になってしまうのですが、あの夜に出会ったジェミンが、自分の勤務している工場の副社長ということを知ります。
驚く2人…ジェミンは彼に好意を持っていたため、即座にスミンの解雇を無効とし、別の人間を解雇することに。
このジェミンの態度にスミンは権力者の勝手さを痛感。格差社会への失望を覚え、自ら工場を辞めます。

失業したスミン。皿洗いなど別のアルバイトをするものの、上手くいきません。
気付けば、とあるお店の前に立ってしまいます。
そのお店とは…"X Large"という同性愛者向けのゲイバーで、男娼としてお酒を飲む以上の事をするようでした。複雑な気持ちを抱きつつ、気持ちを無にして男性相手に働くスミン。

そんなある夜…あの男がお店にやってきます。
そう、もちろんジェミンさんです…。
ジェミンがお店に突然登場し動揺するスミンですが、お客さんなので断ることができません。
要求され体の関係を持ってしまう2人ですが、キスは絶対にNGなスミンさん。
心は許していない、という表現でしょうか?しかしお客のジェミンは、この彼の一線を引いた態度ひどく傷ついたようでした。
ただ、このあたりで既にジェミンのスミンに対する入れ込みようが異常に激しく、正直ビックリしました。2人の接点がこの時点ではあまりないのに、やたら積極的なジェミンに驚きです。

この最初に2人が関係した直後、ジェミンさんの発したセリフですが…正直、笑ってしまいました。
ジェミン「君のモノが拳銃なら、僕の中で引き金が引けただろうに…」
私「意味深…」
このやや大げさなセリフのシーンには、5秒ほど考えこんでしまいました。スミンはもしかして引き金を引かなかったのでしょうか…?(混乱)

ジェミンの謎の拳銃発言に、無言のままホテルの部屋を出るスミン。
大通りに入ってタクシーを止めようとします。が、自らの指にティッシュペーパーが張り付いて風にたなびいているのを見つけます。同時に、自己嫌悪のような、複雑な気持ちを抱くスミン…。
私はこのシーンを視聴していて映像状態が悪く、指の皮!?と一瞬、大変驚いたのですが全く違いました。

このシーン、結局スミンは引き金引いたということでOK?と、拳銃発言と同じく5秒程度時間を要して、理解しました。
彼のジェミンに対する反発心とは裏腹に、肉体的にも精神的にもジェミンに心が動いている…という、繊細な心の部分を表現しているシーンかと推測されます。
ただ、ティッシュか~と半笑いになってしまいました。スミンさん、すみません。

ただ、このジェミンさんスミンにガチ恋LOVEの方だと思うのですが、そうではありませんでした。(厳密にはそうなのですが)
彼は御曹司。そして婚約者の女性もいます。親の支配から逃れられないジェミン、ますますスミンに気持ちが溺れていきます。セクシャリティの悩みもあったのかもしれません。

スミンも当初は反発してジェミンを突き放すのですが、もはやストーカーと化したジェミンは負けません。
客を装ってホテルに呼び出し、スミンが部屋に入った途端「ある男が、貧しい男を好きになった…」と唐突にポエムを語りはじめたり、お店"X Large"にスミンを探しにやってきて、自暴自棄になって暴れたりと情緒不安定なジェミンさん。ホルモンバランスが大混乱。
見かねたスミンは、酔ったジェミンを家に連れ帰ります。愛が重い…。
そして一晩過ごす2人。

翌朝ですが「スミン、どうした!?」と大困惑するぐらい、キャラ変していました。
一夜明けると、完全にジェミンにメロメロなスミンが誕生。これには、無言。
2人の間にどんな心境の変化があったのかは、知る由もありません。

"X Large"の店長も「結婚ね」と言ってしまうぐらい、仲良くなってしまう2人。
が、そんな時間も長くは続きません。
ジェミンは母親に男性と付き合っていることが、知られていました。(なぜバレた?!)
そして、一方のスミンもジェミンには婚約者がいることを知ります。もちろん、かなりの大ショックを受けるスミン。

そんな失意に暮れたある日、結婚式打ち合わせ会場でジェミン&婚約者はスミンと鉢合わせします。
自分を無視するジェミンの態度に、スミンは目を真っ赤にして怒り、悲しみます。
そして…絶望の殺意へ…。

ここからの展開ですが、是非映画を見てお楽しみいただけたら、と思います。
終盤からいきなり殺人事件に関する血なまぐさいエピソードが入ってきて、大サービスだな…と、個人的には驚いたものの、韓国映画っぽさが垣間見れ、かなり嬉しくなりました。さすがです。
完全にこのままバッドエンドで、渋く終わると思っていたのですが、最後の愛憎劇から一転、まさかの股間タイムでハッピーエンド。これには警察官も驚愕。

エンディングではポジティブさとユーモア、そして吹っ切れた感があって、個人的には大変良い終わり方だと思いました。
このあたりの落差は拍子抜けすると共に、「夫婦喧嘩は犬も食わない」的な点があって、こういう痴話話の行きつく先の滑稽さ、結局本人たちにしかわからない、という部分を表現していると感じ、非常に良かったです。

ということで、何も考えずに観始めたのですが、色々と面白く感じた映画でした。(おすすめはしませんが)
展開の強引さや、気持ちの変化のわかりにくさにはやや不満を感じましたが、終盤のエピソードからエンディングへのオチが秀逸だった印象を受けました。
加えてキム・ナムギルさん、キム・ドンウクさんの若かりし頃が知れ、とてもラッキーな気持ちになりました。

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