ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 青春ブロッサム (感想)

おすすめ度:84%
母校度:100%
美術室度:100%
原題:청춘 블라썸 / Seasons of Blossom (全16話)

韓国ドラマ 青春ブロッサム 感想レビュー

教育実習のため母校に戻ってきたソマンは過去を思い出すが…。2022年の青春ドラマ。

あらすじ・キャスト

ハン・ソマン(ソ・ジュヨンさん)は、色々な思い出が残る母校に教育実習生として再び戻ってくる。
トラウマのような気持ちを抱いて足を踏み入れた教室、しかしそこには大好きだったハミン(ソ・ジフンさん)の弟のジェミン(キム・ミンギュさん)がいて、驚くソマン。
そんなジェミンの様子を不思議がるクラスメイトのボミ(カン・ヘウォンさん)、ソニ(オ・ユジンさん)そしてジニョン(ユン・ヒョンスさん)だったが…。

感想

良かったです!!
WEBドラマですが、ストーリーコンセプトもしっかり組立られていて、素晴らしかったです。想像以上にグッと来る場面も多く、カメラワークや演出もとてもよかった。
いわゆる青春モノに分類されるかもしれませんが、一概にそれだけの単純構成ではありません。
各キャラクターそれぞれが自分の”後悔”に向かい合うという、大きなテーマが非常に効いていました。
教育実習で母校にやってきたソマン。彼女が楽しくもあり辛くもある高校生活を、現役の高校生たちと過ごしたりしつつ、問題を紐解いていきます。
過去と現在が交差して描写されるのですが、特にソマンとハミンの2人の描き方がとっても良かった!ソ・ジュヨンさんとソ・ジフンさんのお二人の雰囲気も合っていて、キャスティングが最高だなと思いました。
季節がシーンの変わり目で強調されていますが、都度さまざまな(良くも悪くも)前触れのように使われていて上手いなあと思いました。
全体的に過去とオーバーラップするシーンが多いためか、セピア色の落ち着いた画面トーンで統一されていました。
今までのWEBドラマとは少し異なった作りで、余韻が残る作品でした。

原作はWEBトゥーンで、個人的に大変好きなPLAYLIST社が制作しています。
ちなみにこの作品で、最もPLAYLISTらしいキャラはボミの友人ソニかなと思います。かなり伝統的なキャラ設定でした。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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ソ・ジフンさんインスタグラムより

母校のソヨン高校に教育実習でやってきたソマン。しかし彼女は不安そう。
楽しい思い出があるはずだった高校時代、しかしソマンの中では楽しい思い出が悲痛なものに塗り替えられていたのでした。
そんな気持ちを克服するためにも、そして”彼”のためにもソマンはこの実習をやり遂げると決意して母校へやって来たのです。
感情が入り混じった気持ちを抱えていたその時、ちょうど廊下で”ハミン”を見かけ驚きを隠せないソマン。思わず「ハミン?」と声をかけてしまうソマンさん、固まる男子学生。
実はその男子学生ジェミンは、あのハミンの弟だったのでした。
ここから、ソマンとハミンの高校時代。そして弟ジェミンたちの物語がスタートします。

美術室
ソマンがずっと抱えていた悲しみは何か…?次第に語られていきます。
人付き合いが苦手で、クラスメイトともあまり上手く仲良くなれなかったソマン。一方クラスの人気者でモテて成績も優秀なハミン。2人の接点などあるはずもありません。
ソマンは昼休みになると人目につかない美術室に1人で静かに籠り、絵を描いて過ごすことが日課になっていました。
そんなある日、美術室にハミンが偶然やって来ます。ソマンがいることも知らず…。
ソマンはハミンが無防備に見せる”素の顔”を知り、驚きます。
2人は美術室以外では”目も合わせない他人”として振る舞うことを約束し、部屋を2人だけのアジトのようにすることを決めます。とはいえ、ソマンは絵を描き、ハミンは本を読んだりしながらゆっくりとバラバラに時間を使う2人。
ですが次第に2人はポツポツと会話を交わしながら打ち解けていくのでした。
この2人が秘密の場所を共有しながら、だんだんと仲が進展するという描写はとても可愛らしくて、感情が積み重なる様子が分かりやすくて大変良かった。

ソマンとハミン
絵を習っているソマンは、ハミンをアトリエに誘います。ハミンも興味を示し2人は一緒に絵を習い始めることに。しかし、教育熱心なハミンの母親には秘密。
またハミンはヒステリックな母から大切な弟を守るため、1人孤独にストレスを抱えていたのでした。しかしこのことはあまりソマンにも打ち明けられないハミン君。
2人はお互いの気持ちを確認し、関係はより一層親密になっていきます。
ソマンとハミンの関係が、この作品では最も輝いていた描写になっているなと個人的に思いました。
ハミンの感情を抑制してどこか第三者を演じている様子と、ソマンの前ではリラックスした表情を見せる違い。その点が演じるジフンさんの雰囲気もあって、穏やかだけれどどこかナイーブさが見え隠れしていて良かった!
しかしこの幸せだった2人の秘密の関係ですが、長くは続きません。
母に絵画教室のことがバレてしまいます。更に2人を繋ぎ止めていた”美術室”も皆に知られてしまうことに。ハミンとソマンは一時的に距離を置くことに…。
しかし2人の距離はこれがきっかけでどんどんと遠くなってしまい、ついには再びまた”他人”のようになってしまいます。時は過ぎ、気付けば2人は受験生になっていました。
この「大丈夫」だとお互いに気を使ったりしながら、次第に音信不通になっていくシーンなどはリアリティがあって良かったです。
ただ気付けば時間がワープしていたので、何か見逃したかと若干混乱しました。

青春ブロッサム 韓国ドラマ 考察

ジェミンと兄
一人っ子として周囲に話していたジェミン、しかし彼には兄がいたのでした。
しかし教育実習でやって来たハミンに皆に隠していた兄の名前を呼ばれ、動揺。
ジェミンは兄の日記からソマンの名前を知っていたのでした。死んでしまった兄について、ジェミンが知っていることはあまり多くありません。
しかし、何かを責めずにはいられなかったジェミン。ソマンに対して怒りもありましたが、兄を良く知る人物として興味を持ちます。ジェミンはソマンから話を聞くにつれ、兄の気持ちを理解しつつあるのでした。
このジェミンの役ですが、当初はボミとジニョンとの三角関係になるのか~と少々なめた態度でキャラを観ていたのですが、彼の中で恋愛よりも兄の死の真相や、家族関係、自分と兄の関係を考え直すというメインの役割が明らかになり良いなと思いました。
キム・ミンギュさんが繊細な雰囲気をお持ちなので、キャラに合っていて良かった。
個人的な意見ですが、このジェミンという役を考えるにボミとの恋愛関係の伏線(というかエピソード)を序盤に張る必要性をあまり感じませんでしたが…。(ただそうなると現役高校生パートの話がかなり崩れてしまうのは承知ですが…)
ハミン同様、ナイーブな性格設定だったので、ヒューマン系の立ち位置のみのキャラ設定の方がよりミンギュさんが演じる役柄がより活きた気がしました。偉そうにすみませんが…。

ハミンの死と後悔
ハミンはある夜に自ら命を絶ってしまいます。
この彼の死がソマンやジェミンにとって痛く苦しい思い出になっているのでした。
特にソマンは、彼と口論をした理由から「自分のせいだ」と自らを常に責めていました。またジェミンも心当たりを感じます。
残されたソマンとジェミン。彼らの出した答え、そしてハミンとの真のお別れとは…。

ハミン・ソマン・ジェミンという3人の交差が特にストーリーの強い軸になっていて、このドラマに深みを出していて印象に残りました。
ハミンとソマンのラブストーリーは、大変可愛らしく、切ないものです。
一方兄に守られていたジェミンが、兄の事をあまり知らされず、モヤモヤした気持ちで生きていた孤独な部分を垣間見れるのも良かった。
ただ、ボミ・ジニョン・ソニ・ジェミンの高校生チームですが、彼等の恋愛事情がちょっと凡庸すぎるかなあとは思います。
ハミンとソマンの関係性に対峙させてボミの気持ちが現在軸として語られるのですが、申し訳ないですが「そうなの・・・」というか。
なんでしょうか、中盤まではボミの「他人の感情に遠慮してしまう」という性格が強く焦点になるかと思っていましたが(ハミンやソマンとの対比で)、単なるレンアイの悩み「好きだけど素直になれない」状態。
後半になると余計にそれが顕著で、個人的には少しガッカリしました。(だからこそ、ジェミンをこのボミとジニョンの関係に挟むのがちょっとキャラとして勿体ないと思った次第です)

ということで、単純な青春恋愛WEBドラマの枠にとらわれず、かなりクォリティが高いドラマになっていました。視聴後とても満足度が高かったです。
最終回の終わり方も非常に美しく、とても前向きながら”彼らの季節”終わったんだ、と感じさせられ切ない余韻が残りました。おすすめです。

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