ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 寄生獣 ザ・グレイ (感想)

おすすめ度:83%
パラサイト度:100%
脳度:100%
原題:기생수: 더 그레이 / Parasyte: The Grey (全6話)

韓国ドラマ ネットフリックス 寄生獣ザグレイ考察レビュー感想ネタバレ

人々に迫り来る寄生生物…日本の漫画が原作の2024年のSFホラーアクション。

あらすじ・キャスト

スーパーで働くスイン(チョン・ソニさん)は、勤務後に客とのトラブルで襲われてしまう。
しかし何と犯人は、不審な傷を負い亡くなっていたのだった。
ちょうどその頃、この世のものとは思えない謎の寄生獣が人々に忍び寄っていた。
一方、敵対するチンピラから逃亡し、姉の家に戻ったガンウ(ク・ギョファンさん)は
姉の様子がおかしいことに気づく。
寄生獣の事件が警察内で明らかにされるにつれ、刑事チョルミン(クォン・ヘヒョさん)はスインのことが心配になるのだったが…。

感想

テンポが良く、面白かったです!
ご存じの方も多いと思いますが、今作は岩明均さんの『寄生獣』という漫画作品が原作です。この漫画作品がのちにテレビアニメと映画化。
そして今回、韓国ドラマとしてこの寄生獣ザ・グレイが制作されました。
原作の寄生獣をベースにした、韓国版のオリジナル作品になっています。
主人公も異なりますし、全く別の視点で楽しめる作品になっていると私は思いました。
ちなみに私は原作コミックを過去に読んでいますが、日本の映画は視聴していません。
ただ韓国版の今作については、日本版の映画も加えて視聴したほうがより楽しいものになるのかもしれません。後半にサプライズがあります。
ただ視聴していなくとも(もしくはほんの少しでも情報を知っていたならば)、ニヤリとするものになっていますので、楽しみに観て頂ければなあと思います。(この”サプライズ”を既に目にした方も多いのではないかとは思いますが…)

寄生獣ザ・グレイ感想考察レビュー 韓国ドラマ

今作の監督と脚本はヨン・サンホさんです。
ヨン・サンホ監督といえば、新感染が有名ですが、今作でもヨン・サンホさんらしい(?)人と人との階層的な"分断"が根底にあり、上手くテーマとマッチしていました。
俳優陣ですが、特に主演のスイン役のチョン・ソニさんは主人公のキャラに大変ピッタリで、本当にとても良かった!
寂しさ、温かさ、弱さ、強さ…セリフよりも表情で複雑に入り混じったキャラクターを大変メリハリを効かせて上手く演じられていて、観ていて私はソニさんのことが俳優としてとても好きになりました。
そしてそんなスインを役としてサポートすることになる、ガンウ役のク・ギョファンさん。ギョファンさんは、今作でもその演技力は抜群でした。
ただ、少々ガンウというキャラ自体がありきたりで、割とベタな人物像の描き方だと感じもしましたが、ギョファンさんの表情の作り方で深みがついていたと思えました。

原作を知っている方も知らない方も、全6話の短さとスピード感もありますので、是非視聴してみてください。
シーズン2の可能性もあるとは思いますが、個人的には今作は完結しているように思えました。

ゆるいネタバレありの感想

韓国 寄生獣ザグレイ感想レビュー考察 Netflix
寄生獣ザグレイ あらすじ感想考察 韓国ドラマ

スーパーで黙々と働くスイン。ある日、接客中に客ともめるのでした。
その客に過度に恨みを持たれたスインは、その夜の帰宅中に襲われてしまいます。
もう死んでしまうかも…そんなスインのすぐ側には寄生獣の"卵”が。
そう、ほどなくしてスインは謎の生物寄生獣に寄生されてしまったのです。
孤独なスインの事件を心配したのが、刑事のチョルミン。彼は昔、暴力を振るうスインの父の事件を担当してくれた人。
しかしチョルミンがスインの事件を調べれば調べるほど、不可解な出来事にたどり着きます。
なぜなら、スインを襲った犯人はスインを殺すことなく、亡くなってしまっていたのですから。
スインは怪我から回復しますが、異様な人物達に追われます。
ちょうどその頃、人間に”寄生”する寄生獣の存在が警察内部で話題に。
我々身近な人間の中にもソイツは存在する…チョルミンは嫌な予感がします。

寄生獣
チンピラのガンウは組織抗争から逃げ、姉の住む家で身を潜めようとします。
脳の病気だと聞いていた姉は元気そうで拍子抜けするガンウ。それよりも不気味な雰囲気が姉から漂っていたのでした。
ガンウは部屋から教会のパンフレットを見つけ、姉が妙な宗教にでも入っているのだろうと考えたようです。
姉を追って行動を確認しようとしたガンウ。ちょうど姉たちは、スインを教会に誘っていたのです。
そこでガンウの姉、そしてスインらは、寄生獣の姿に。
驚愕したガンウ、スインに見つかります。
まさに命を落としそうなところで、寄生獣となったスインからある奇妙な”伝言”をガンウは頼まれるのでした。

スインとハイジ
寄生されたスイン、しかし彼女は実は他とは違った”変異種”だったのです。
寄生獣はスインの脳を15分だけ制することができる状態。だからスインはほとんどの時間は”人間”と変わらず暮らせていたのでした。
まるでジキルとハイドのように、スインの中にもう一つの”寄生獣”としての人格が宿っている状態。
人間のスインは寄生獣になった時、気を失ってしまいます。
そのことを寄生獣スインから人間のスインへ、一部始終を見ていたガンウを使って伝言させたのでした。
スインは自分の身に起こったその恐ろしい現実を信じられませんが、次第に受け入れることになるのです。
ガンウはそんな寄生獣状態のスインをハイジと呼ぶことにしたのでした。

寄生獣ザ・グレイ 感想考察レビュー ネトフリ

面白いと思った点と考察
わたしとあなたとの壁
サンホ監督の強いテーマなのであろうと察するマイノリティという立場。今回でも様々な設定で観ることができました。
・スイン
まずスインの置かれた状況がまさにそうです。両親が不在で、寄生獣にも100%なれなかったスイン。
「異種」であると認識し、他の寄生獣と距離を置こうとしています。
人間だった頃、そして半分寄生獣になった今、そしてハイジとしても、人間のスインと似た状況になっていて興味深かった。
・ガンウ
仲間から"売られ”て逃げることになったガンウ。もう戻る場所なんてありません。
そして姉は怪物化し、行方不明だった妹は寄生獣の餌になっています。
・刑事チョルミン
妻と子は海外で暮らしていて、”孤独”でもあるチョルミン。
寄生獣のため一斉にスインに疑いの目が向けられる中、彼だけは信じようとしません。ここでも組織の中での孤立を感じます。
・セジン教会の"人々”
集う人々は実は全員がパラサイトされた見た目は人間だけの寄生獣です。そんな彼らに牧師は、人間に「上手く歩み寄るため」違いや学びを説きます。
・女性刑事ジュンギョン
幸せな夫婦だったものの、一瞬で夫は怪物となりショックを受けたジュンギョン。
どうして私が?そう思ったことでしょう…。
・博物館
ジュンギョンとスインが最後に対峙した重要な場所が、戦争に関する歴史系博物館のように見えました。
知識があまりなくて申し訳ないですが、展示で年代が写ったシーンがあり、それは朝鮮戦争の頃の時期でした。
この戦争もテーマと同様に、「分断」を特に示唆している箇所かと思います。(戦争自体が分断ですが…)

壁を越える者
少数派だった彼らは、それぞれ違った考えと方法で調和や淘汰、協力を最終的に(意図せずとも無意識に)目指しているのがとても面白いと思いました。
・スイン
ずっと孤独だった彼女。その上寄生獣の餌食にもなります。しかし、彼女はたった15分しか寄生獣の姿にはなれません。
スインと寄生獣ハイジは身体を共有しながら、お互いの長所を上手く使っていくことになります。ノートで連絡を取り合うシーンもとても良いと感じました。
"他人”スインとハイジの間にあった壁が、理解が深まりどんどん崩れていくようにも思えました。
・ガンウ
自分の置かれた状況を知り、いつもと同じように行動しようとしたガンウ。
しかし刑事チョルミンに「また逃げるのか」と言われハッと気付きます。ガンウはこの始まった「関係」から逃げ出さないと決意するのです。
・スインの今後
スインはハイジから「もう孤独ではない」という内容の手紙を、ガンウから受け取ります。
スインの中には寄生獣ハイジが今なお存在します。そして手紙を渡した、ガンウも目の前にいます。
奇怪だけれども、緩やかな不思議な人間関係がスインの周囲に築き上げられていることがわかります。
スインもガンウも表情が少し穏やかになっていると感じました。とてもポジティブなシーンです。
・ラストシーン
後日ジュンギョンの元に日本から男性が訪ねてきます。
彼こそ原作の主人公、泉新一!これは完璧に原作への尊重を感じて大変素晴らしかったです!
また右手がアップで映ったのも良かった。新一の中にもミギーがまだ存在していることを示唆してるシーンです。
このシーンからもまた、壁を越え、新たな方向に進むであろう予感がします。

ということで、上手く原作を踏襲しつつ、韓国ならではのオリジナリティが感じられて、とてもバランスの良い作品に仕上がっていたのではないでしょうか。
私は特に終盤のポジティブさに繋がる優しい雰囲気のシーンと演出がしっかり”人間性”が描かれていて、混沌とした世界と比較してメリハリとして際立っていて大変良かったと感じました。
6話でコンパクトですし、非常に視聴しやすいドラマだと思います。是非チェックしていただければと思います。

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