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韓国映画 モガディシュ 脱出までの14日間 (感想)

おすすめ度:76%
ソマリア首都度:100%
車度:100%
原題:모가디슈 / Escape from Mogadishu (121分)

韓国映画 モガディシュ 感想レビュー考察批評

ソマリアの都市モガディシュで内戦に巻き込まれた2つの国家の行方は…。2021年の政治系アクションスリラー。

あらすじ・キャスト

90年代のアフリカにあるソマリアの首都モガディシュ
ここでは韓国大使のハン(キム・ユンソクさん)、そして派遣されてきた外交官のテジン(チョ・インソンさん)がロビー活動を行っていた。
一方、北側のリム大使(ホ・ジュノさん)やテ参事官(ク・ギョファンさん)も活動しており、次第に両国の工作は激化。
そんな時、ソマリアでの内戦が勃発。ロビー活動どころではなくなる両国だったが…。

感想

レベルが高い作品で(上から目線のようですが…すみません)正直なところ「すごいなあ」という感想が強く、良くも悪くもそれ以外の気持ちがあまり思いつかない作品でした。
もちろん印象に残るシーンもあります。アクションシーンも非常に迫力がありドキドキしましたし、俳優の皆さんの演技も素晴らしかった!
ベースは1991年にソマリアで実際に起こった実話とのことです。
ロッコでのロケで、独特の土煙の匂いまで感じることができそうな臨場感ある空気が漂う映像もとても良かった。ですが、何となくそれだけというか…。
映像として迫力や実話を元にしているという説得力とリアリティさがありますが、何か作品として没頭させられるというか、じっくり考えさせられてしまう要素はあまり無かったかなと思いました。
そこが個人的には、視聴後に強い感想があまり思いつかなかった点かなと感じました。

内戦が起こっている国で、ライバル関係にある南北の国家。
敵同士のこの2つの国ですが、状況はそれどころではなくなります。内戦です。
お互いが腹を探り合いながらも、手を取り合って”協力”しなければならない状態に。
そして…?というストーリーライン。
これが実話で確かにドラマティックな訳ですが、大まかな内容としてはこれだけとなります。
これに置かれた環境の皮肉さや緊張感、虚しさが上手く取り入れられていて、大きな見どころになっています。

ゆるいネタバレありの感想

韓国ドラマ モガディシュ レビュー感想あらすじ考察ネタバレ

1991年のソマリアの首都モガディシュ
ここでは韓国が国連加盟を目指して、アフリカ諸国にロビー活動を活発化させていました。加盟には既に加盟している国々の1票が必要だからです。
しかしもう1国同じようにソマリアで活動していた国が…、北側です。
ソマリアでの両国。朝鮮半島から遠く離れたここアフリカでも、南北の戦いは静かに始まっていたのでした。

南側としてハン・シンソン大使と本国から凄腕として派遣されてきた外交官カン・テジン。北側はリム・ヨンス大使とテ・ジュンギ参事官。この4名が大きくロビー活動でカギとなる人物たち。
面白いのは、2名の大使はどちらかというと慎重派というか、割と俯瞰的な部分を持つキャラとして描かれています。
一方、部下となる外交官と参事官は行動派というか、強気な雰囲気を持つ2人です。この対比も面白いと思いました。

内戦
熱を帯びるこの南北の国家のロビー活動。共に国連加盟を目指すため、妨害工作も激化します。
しかしそんな彼らの使命でもあった”活動”が、たちまち吹き飛ばされてしまうような状況に。
ソマリアの内戦が勃発。政権に反乱する人々が続々と集結し、あっという間に国家の情勢は不安定に。
こうなってしまっては、ただのソマリアに滞在する単なる2つの国家。
一刻も早く国外に脱出するしかない…。簡単に思えるそのミッションですが、通信手段も途絶えた今、それは容易ではありません。
敵国同士だったこの両国は、非常事態に一気に陥ってしまうのでした。

1つの国として
「生きるか死ぬか」という情勢に直面した北側は、ついに南側に助けを求めることに。
反対する者もいましたが、南の大使は彼らを受け入れることに。
彼らが”一緒に”食事を取るシーンがあるのですが、非常に秀逸なシーンで個人的にはカーアクションシーンよりも印象に強く残りました。
食べるという、人として「ほっとする瞬間」が緊張感のある中に小さく見え隠れしていて、非常に良かったです。このシーンだけでも視聴して頂きたいです。
ライバルであった2つの国は「共に生きて帰るため」腹の探り合いをしながらも手を取り合うことになるのでした。
彼らがどのようにして脱出したのか、それはぜひ映画をご覧頂ければと思います。

エンディング
食事のシーン以外に心に残ったのは、やはりラストシーンでしょう。
たった数時間前まで死ぬ気で共に駆け抜けた、2つの近くて遠い国。
彼らにしか理解できない異常な状況での、確かに通じ合った”心”…。
しかし「現実」に戻った彼らは、同じ釜の飯を食った関係は口にも出せず忘れなければなりません。
悪夢のようなあの14日間、しかし目的を達成せず戻ってきた北側の大使らはその後一体「どうなるの」でしょうか?
彼らの人生は、乗ったバスの方向のようにまるで正反対。二度とこの先彼らの運命が重なることはありません。
そんな皮肉さと切なさ、不穏さが大使2人を演じるキム・ユンソクさんとホ・ジュノさんからの表情からも読めたような気がしました。
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ということで、有名な見どころは緊迫感あるカーアクションのシーンだと思いますが、個人的には人間同士の言葉には決して出せない状況での繋がりのような部分が良かったなと思いました。
見応えもあり十分面白かったですが、個人的にはやや大味だったような気もしました。

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