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韓国映画 毒戦 BELIEVER 2 (感想)

おすすめ度:67%
1の途中を描いた話度:100%
イカ度:100%
原題:독전 2 / Believer 2 (116分)

韓国映画 毒戦2感想レビュー考察ネタバレ

麻薬組織の背後にいるイ先生を追ってヨンサン駅まで来たウォノ、しかしヨンナクが関係していると知り…。
前作『毒戦 Believer』で描かれた物語の”途中”が明かされる。

あらすじ・キャスト

麻薬組織のトップであるイ先生に繋がるブライアン(チャ・スンウォンさん)と会う、刑事ウォノ(チュ・ジヌンさん)。
しかしここでヨンナク(オ・スンフンさん)に妨害されてしまう。
苛立つウォノだったが、イ先生の右腕であるソチョン(ハン・ヒョジュさん)が状況を複雑にするのだったが…。

感想

答えが欲しかったわけじゃない
『毒戦 BELIEVER』の続編となる今作です。
続編といってもこの作品の場合は、前作1の最後のシーン迄の”途中”を描いたものです。
より詳しく言うと刑事ウォノがブライアンと会った直後(〜ヨンサン駅)から、最も美しく哀しかったあの最後のノルウェーの小屋までの”間”のストーリーになっています。
一応2の最初に相当簡単にこれまでの話が触れられていますが、2から視聴すると状況がかなり理解しにくいと思いますので、できれば1を視聴してからの方が良いと個人的には思います。

1を視聴した方にとっては、「最後のシーン」が大変印象に残ったのではないかと思います。少なくとも私はそうでした。
あの1のエンディングは一体どうなったのか?
悲哀に満ちたあの音の「正解」、それがこの2では何と語られてしまいます。
個人的には『毒戦』が素晴らしかった理由は、まさにあのラストシーン数分にあったと思います。あのシーンがあってこそ、というか…。
ウォノの浮かべた涙、雪に覆われた土地、ヨンナク/ラクの声のトーン、暖かいコーヒー。
その後の2人の”行方”については、視聴者には決して与えられません。
そして5年後のこの2であの後の”答え合わせ”となった訳ですが、視聴後は個人的にあまり心に”入ってくる”ものではなかったです。
納得できないというよりは、あの寂しく孤独だけれど静謐で美しいシーンに繋がる答えとは決してなかったように感じました。(後述します)
映画として今作はアナザーストーリー的には楽しめました。
1へのこだわりや最大限尊重して紡いだように見え悪い作品ではないと素人ながらに思えました。
しかしながら、1を観て抱いた気持ちを”昇華”させてくれるような作品にはなっていなかったという印象です。
それならば答えはあのまま出して欲しくなかったな…と個人的には思った次第です。

まず前作と比較する点として、まず監督と脚本共に異なります。
加えて1でヨンナク役を演じていたリュ・ジュンヨルさんが出演されず、2ではオ・スンフンさんが演じられています。
ジュンヨルさんは個人的にかなり大好きな俳優さんと言うのもあって、2で続投されなかったのは大変残念ではありましたが、正直たとえジュンヨルさんがヨンナクを演じていてもこの続編はお話的に自分にはあまりしっくり来なかったように思えました。

個人的にはこの毒戦2では1より派手さがUPしていて、ストーリーの余白部分をキャラの強さと演じる俳優さんの素晴らしさで埋めているような部分を少々感じました。
他のNetflix中編ドラマですが『ナルコの神』を思い出すようなシーンもありました。
特にこの2の目立ったキャラが、ハン・ヒョジュさん演じるソチョンです。
別名ビックナイフと呼ばせていたことからも、少々キャラ立ちさせたかったのがわかりやすかったですが…。
ヒョジュさんが演じるキャラとして驚きもありましたが、若干”それだけ”的なものもあるというか個人的にはあまり好きではありませんでした。(念のためですが、ヒョジュさんの演技や役作りは素晴らしかったです)
そのような俳優陣やキャラの派手さとテンポの良さやカットの速さで、全体的に1よりは時代に合っていて見やすい展開かもしれないとは感じました。

主演を演じるチョ・ジヌンさんですが、5年前の前作とスタイルをほぼ合致させておられて、とてもかっこよかったです。

ゆるいネタバレありの感想

韓国映画 毒戦2 Believer2 レビュー感想考察あらすじネタバレ

ある麻薬組織工場の爆破から、助け出されたヨンナクという青年。
イカと呼ばれる上物の麻薬と流通、そんな”全て”のトップに立つ謎の人物”イ先生”に刑事ウォノはヨンナクの協力を得て追うわけです。
しかし、イ先生は追っても追っても出てきません。
そして先生を名乗る偽物も出現します。イ先生は決して姿を見せませんが、自分のフリをする者は許さないようです。
2では、イ先生を名乗っていたブライアンにウォノが会っているところからスタートとなります。(このシーンは1にも存在しますし、詳細は1を視聴して頂きたいです)

イ先生に会いたい
前作ではこの人物がまるで「概念」のように大きく存在しており、これが上手くストーリーに深みを持たせてありました。
最終的に1では私自身はヨンナク/ラクがイ先生だったと勝手に考察していましたが、2ではしっかりとヨンナクではない人物がイ先生だと明かされます。
ヨンナク自身もまた、イ先生に会うことを切望する人物だったのです。
またイ先生の手足であるハリム(ピョン・ヨハンさん)とソチョンが参戦し、先生の組織もやや見え始めて来ます。
この2では麻薬を狙うブライアン、とにかくイ先生に会いたいヨンナク、とにかくイ先生を逮捕したい刑事、イ先生を守りたいビックナイフ・ソチョン。
この関係がアクションシーン含め主に描かれていく訳です。

ヨンナクとイ先生
ヨンナクがイ先生に会いたがっていたのはどうしてか?
理由は両親の死への復讐だったことが明かされます。
この理由が何とも”フツー”で、個人的には最もガッカリした点でしょうか。
とはいえ、それぐらいしか確かにラクの背景としては理由はないかもな…と納得もできはします。
視聴側としては勝手な言い分ですが、いざシーンでその理由が映像として描かれてしまうと、何とも普通でツマラナイというか…。
ヨンナクの今までの回りくどい行動の意図、そして実際のイ先生との対峙。
この静かなシーンはもちろん1と2のラストシーンに重ねてある訳ですが、ラクの辿った道を考えるにカタルシスさがほとんど無く、個人的には拍子抜けするものもありました。
イ先生についてもラクの気持ちもそうですが、ネタバラシされてしまって逆に覚めてしまうというか…。
今作ではそのような感情を度々抱きました。
完全な続編であればまた前作と切り分けて考えることは可能です。しかし今作は”途中”を描いているわけで、1と別物だと切り分けて考えるのが私にとっては難しかった。
そのためか1のあのラクがシーン最後に見せた表情の理由が、イ先生を殺しても消えなかった感情と繋がっているようには私にはどうしても思えませんでした。
ヨンナクはウォノに自分を見つけて殺して欲しかったその理由は、もっと”ぼんやりした”恐ろしさと虚無ではなかったでしょうか?
だからこその、「人生で幸せだったことは?」という問いが出たのではないでしょうか。
親の仇を討っても充足した気持ちにはならない…そんなありふれた理由(あくまでもフィクションで、という意味です)で、今まで彼が長い間用意周到に行動していた心理としっくり来なかったです。
1のウォノとラクの向かい合ったあのシーンには、もっと違う”重い何か”があったと信じたいような個人的な気持ちです。
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ということで公式からアンサーが出てしまった「毒戦」ですが、個人的には少々渋い気持ちにもなりはしました。
しかし一方で、製作陣も1をもっと深く掘り下げたかったんだなという気持ちは大変伝わり、前作を無視しているような部分は一切感じませんでした。
ただストーリー軸において、足し引きが少々雑に思えました。
その部分が1を観て好きだった方にとっては、満足を得る解答ではなかったようには私は思えました。
決して答えが欲しかったわけではなかったのだな、という気持ちを再確認した次第です。(個人的な感想です)
気になった方は、是非『毒戦』『毒戦2』共にチェックして頂ければと思います。

毒戦1の感想はこちら

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