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観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 最愛の敵~王たる宿命~ 感想

おすすめ度:99%
シック&スタイリッシュ度:100%
囲碁盤度:100%
原題:붉은 단심 / Bloody Heart (全16話) Disney+

最愛の敵 韓国ドラマ感想

誰も信じられない宮中で王座と愛、復讐劇の行方とは…2022年放送の時代劇。

あらすじ・キャスト

世子イ・テ(イ・ジュンさん)は、父であった王や母である王妃を失い、信じる者が誰一人といない王宮で生き残る決意をする。
王位についたイ・テだったが、彼の心の中にはずっと想っている女性ユ・ジョン(カン・ハンナさん)が存在したのだった。
実は2人は結婚をする予定でしたが、その頃王宮では左議政パク・ゲウォン(チャン・ヒョクさん)らによる画策で大きな事件が巻き起こっていたため、引き裂かれた過去があり…。

感想

スタイリッシュな映像美
とても良かったです!!
まず視聴し始めてすぐ気づくのが、映像のスタイリッシュさとシックさです。
そのミニマムでセンス抜群の色使いの衣装や髪飾り、そして印象的な螺鈿囲碁の盤など小物も本当に素敵でした。
韓服の色合わせもずば抜けて素敵でしたので、ここは是非実際観てチェックして頂ければと思います。私の中では今まで視聴した(少ない)時代劇の中で、ダントツで一番全てのスタイリングがオシャレでした。
とにかく”画面”が常時かっこよかった!!私は1話目からその世界観にひき込まれ、かなり夢中で毎回視聴しました。

そして肝心のドラマのストーリーですが、これも素晴らしかったです。
テーマ的に重いものではありましたが、とにかくテンポが良くて画面転換も速い。
このあたりも工夫や注意を払っていると思え、無駄なシーンや引き延ばしを全く感じさせない構成になっていて、とにかく大変好印象でした。
終盤もたついた感があるように思えましたが、美しく的確にまとめてある作品です。
とにかくストーリーや演出としても、全体的にずば抜けて洗練されていてクールな作品という印象で、序盤から大好きになりました。

主演で特に難しい立場に立たされている王を演じるイ・ジュンさんですが、はちゃめちゃに良かったです!!
ほぼ全てのキャラが今作では抑えた演技をされていました。主演のジュンさんですがその中でも、よくわからない隠された怖さや、ある種の幼稚さ、愛を切望している心情の落差を随所に感じ取れ大変良かった!愛するジョンと会っている時に柔らかくなる表情の演技も良かったです。
ジュンさんご本人がお持ちになっている少しエキセントリックな雰囲気(100%良い意味です)も、どこか狡猾さを隠し持っている王に深みを足していて本当に良いなあと思いました。
あとジュンさんの声!この王にとても合っていると思います。
少しかすれたような声をお持ちなのですが、このドラマの雰囲気である冷ややかな感じと切なさにとても合致していて、作品内で効いておりとても魅力的でした。

そして王と敵対する左議政ゲウォン演じるチャン・ヒョクさんですが、こちらも渋くてはちゃめちゃに素敵でした!!
ヒョクさんも感情を抑えた演技をされていましたが、重厚感と不気味さと隠れた熱い感情の演技が素晴らしかったです。王に敵対する役というだけでなく、彼の中に存在する強いポリシーが伝わりました。
ただ、終盤なぜかアイラインが強いメイクになっていて、妙に気になってしまいましたが…。

カン・ハンナさん演じるジョンは、非常に賢く長けた女性で、ハンナさんの知的な雰囲気に合っていて素敵でした。
ただ中盤以降にちょっと聡明すぎて非の打ち所がないという意味で、キャラ的に観ていて面白くはないかなとは個人的には思いました。あまりに完璧すぎるというか…。
そこが共感を覚えにくく、個人的には唯一作品でどうかな…と作品で思った部分です。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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カン・ハンナさんインスタグラムより

王宮内では王座やその世継ぎを巡って常に臣下の間で陰謀や思惑が渦巻いています。
絶対的な地位である王でありながらも、臣下無しでは動けない人間でもあります。
王を守るべき人々である功臣たち、彼らを裏で全て取り仕切っていたのが左議政のパク・ゲウォン。
しかし実情は功臣だけでなく、何とイ・テの父だった当時の王でさえも左議政であるゲウォンが「思う通り」に動かしていた、傀儡政権状態でした。
そんな状態を変えたいと願った父や世子は、密かに功臣たちと違う派閥である士林の者を取り入れようと考えますが、これにゲウォンらが怒ります。
加えて、世子イ・テが希望した結婚相手の問題も。世子が出会い、心を決めた女性ジョンは功臣の敵対する士林のリーダー格である人の娘。

とにかく士林一派の芽を早めに潰したい左議政たち…。理由をつけて一派排除に動き出します。その矛先は世子の妻になるはずであった娘にも向かいます。しかし、世子は父の助けもありジョンの命を誰にも知られずに助けるのでした。
そして数年後…王座に就いたイ・テ。
父の死、母の死、そして王に敵対しながらも未だ平然と振る舞い大きな権力を握る左議政。
王になったとは言え、黙って左議政らに従う他ありません。
しかし、彼にはたった1つの生きる希望が、それは満月の夜に会う女性…そう、ジョンの存在でした。
ちなみに全編通してですが、イ・ジュンさん演じる王が、ジュンと会う時の表情と宮中でのキツイ顔との差がかなり良かったです。

新しく王になったイ・テさんでしたが、王宮に彼の”意思”は存在しないも同然。全て左議政らの画策通り事が進んでいる状態。
行動はすべてスパイされており、イ・テの自由はありません。
そんな彼には亡き父が密かに教えてくれた誰も知らない通路を通り、外界に出てユジョンと過ごす短い時間が唯一の心安らぐ日々になっています。
イ・テにとっては、世子の時からジョンの事を想っている訳ですが、彼女は世子の顔は知りません。
ですので、事件から自分を救ってくれた人物が世子であることも、満月の夜に会っている人物が王であることも知らなかったのです。
しかし、イ・テはジョンの言葉の節々から、彼女は未だ一族を滅ぼした相手への復讐を狙っていることを知り、イ・テは不安になります。
なぜなら相手は左議政。ジョンが相手にできる訳がなく、またそれがいかに危険なのか知っていたからです。
王であるイ・テのジョンへの願いはただ一つ、過去を忘れ平和に過ごして欲しい…好きな彼女の命がただただ脅かされることなく生きて欲しかったんですね。

彼女を危険に巻き込めないと決め、ジョンへの別れを告げるイ・テ。
しかし王の不穏な気持ちは的中。その後全く想像もつかない状況で、2人は再び宮中で出会うことになるのです。

最愛の敵 韓ドラネタバレ

最愛の敵とは
愛するジョンが思わぬ立場で王宮にやって来て、イ・テは動揺します。
心から想う相手を傷つけなければならない葛藤と愛に苦しむ2人。
王を演じるイ・ジュンさんですが、ジョンと会っている時は9割方目が潤んでいるのが若干気になりましたが、とにかく王の方がジョンを強く愛しているのが伝わりました。序盤の2人の距離感ですが、イ・テがかなり感情を制御しているのがわかり、既に切なさ80%

このドラマですが「敵・味方」がわかりやすい(ある意味)ものの、その敵が自分の愛する者だという辛さが常に根底にあります。この設定が時に行動や判断の障壁になっていて、その理性で割り切れないという、ストーリーが持つ根本的な切なさに繋がっています。
しかし終盤に”敵”も実は必要悪というか、「自分の敵を排除することは不可能」という人間社会における事実をも浮き彫りにしているのも面白いなと思いました。
好きな人=敵だったというよくある設定とはいえ、このドラマでは”ありきたり”に感じず、異なる苦しさを感じられて素晴らしかった!本当に役者の演技と演出の大勝利だと思います。

もう一つの最愛の敵の軸、左議政と大妃です。
この2人もプラトニックでありながら大変ドラマチックな2人でした。
特に終盤にかけては完全に2人のターンになっていて、大妃のヒステリックでありながらも静かな反抗に、まるで子供を諭すようでもある左議政の切なさ…。
大きく2人の背景は語られませんが、チャン・ヒョクさんの演技でかなりの愛を推し量ることができ、大変説得力のある関係に深みが出ていて良かったです。
この2人の関係性も、ミニマムな描写ながら理解させるに十分なシーンばかりで、とても構成が上手いなあと感じました。

王とジョンのパワーバランス
原題の直訳は赤い丹心(Bloody Heart)ですが、全体的に抑えた感情の中にも燃え上がるような心(愛情、復讐心、怒り、野望)を持った人々ばかりで、このタイトルも納得だなと思うばかりです。
今回の王の長所としては自分の弱さを認識しているところと、ジョンの判断を自分よりも正しいと理解している部分は新しさを感じました。

ただ、やはりジョンのキャラ設定が完璧すぎて、付け入る隙がない部分が長所でもあり短所でもあるかな…。ジョンは結局全て手に入れるものは、あらゆる手を使ったり助けてもらって手にしている訳で(だからこそ優れているのですが)。
結論、王は彼女の手のひらで転がされているようで、なかなか興味深い関係性だなと思いました。
王はもう内宮しか味方がいなくなった状態なので、正直ちょっと同情する部分もありました。ただ、囲碁の盤で表現された通り、全て”味方”で固めるバランスはやはり「あってないけないこと」であり、王という絶対的な権力に対する戒めや警告もあるのかなあと思った次第です。

ということで、重厚感あるテーマに全く負けなかった俳優陣と、それを引き立てるシックでミニマムな舞台セット、衣装にカメラワーク。そして無駄のないストーリと、全体的にとてもレベルが高いドラマだったなと強く印象に残りました。観ていて美しいドラマはやっぱり最高だと思います。
終盤やや駆け足気味かなと思いましたが、それでも上手くまとまっていて良かった!
ラブストーリーとしても、盛り上がる箇所が強く用意されていて満足度が高かったです。総合的には大変面白かったです、おすすめです。

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