ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 天気がよければ会いにゆきます (感想)

おすすめ度:88%
やかん度:100%
冬と春度:100%
原題:날씨가 좋으면 찾아가겠어요 / When the Weather Is Fine (全16話)

天気がよければ会いにゆきます 韓国ドラマ 感想考察

高校時代を過ごした田舎に戻った女性が得た気づきと恋。2020年のヒューマン・ラブドラマ。

あらすじ・キャスト

ソウルから叔母(ムン・ジョンヒさん)の住む田舎へ突然戻ったヘウォン(パク・ミニョンさん)。ヘウォンは近所で書店を経営する、同級生のウンソプ(ソ・ガンジュンさん)に久しぶりに出会う。
ヘウォンは同級生だったジャンウ(イ・ジェウクさん)やボヨン(イム・セミさん)、そしてヨンウ(キム・ヨンデさん)と再会し、色々な思い出が交錯する高校時代を今の自分を考えるが…。

感想

良かったです、じんわりと響く素敵なドラマでした!
基本はラブストーリーになっていますが、それぞれの人生観や考え方の相違を上手く描いていたと感じました。個人的に人物の性格描写が特に優れているように思えて、楽しめた作品でした。
原作は小説とのことですが、まさに小説風の描き方というか、どことなく散文的でもあって素敵だなと思いました。
また映像や画面転換のカット映像が映画のようで、画面構成や色など、そのあたりも個人的には大変気に入りました。ストーリーテンポも映画に似た感じを受けました。

季節的にも寒々しい、少し寂しい田舎町の中で、ほんわりと温かいぬくもりのある演出が随所にあって、しっかり伝わりました。
作品中に「やかんのような」というセリフがあるのですが、まさにそんな素朴なぬくもりを感じさせるお話です。
ヘチョン市という地域のみで語られるストーリーで、エピソード自体は地味なものが多いです。しかし田舎の牧歌的な雰囲気もあってか、その地味さが上手く活かされていて逆にその地味さが良い味になっていました。
とはいえ、特に叔母・母のエピソードや、繰り返しの高校時代シーンが散見されるなど、ちょっとネタを水増しさせたように思える時はそれなりにありましたが、テンポが悪いとは思いませんでした。

個人的に大変気に入った部分は、ウンソプとジャンウのキャラクターです。
ある意味この2人が存在したからこそ、のドラマだと個人的には感じました。彼らの性格設定が本当に良かった!!
お話と同様にこの2人のキャラも派手さは皆無なのですが、彼らの考え方に”芯”がかなり強く存在していて、描き方が大変素晴らしいと思いました。

主人公ウンソプ演じるソ・ガンジュンさんのアンニュイさ、ミステリアスさ、誠実さがご本人の持つ雰囲気と合致していました。
ウンソプ自身はとても頑固だと思いましたが、彼は自分の考えを絶対に他人に出しません。対するヘウォンは気も強く意思表示をハッキリする女性。
ウンソプと考えが違う時でも、彼は決して彼女の意見を否定せず、しかし自分の意見も的確に短く伝えるというワザを持ち合わせているのですが、視聴していて結構勉強になりました。見習いたい。

逆にちょっと個人的にどうかなと作品で感じた部分は、パク・ミニョンさんのキャスティングでしょうか。
ここは私のような素人が意見する部分ではないと思いますし、既に完成された作品のキャスティングという根本的なところにアレコレ言うのはどうしようもねえなと思うのですが…。(すみません)
もちろんパク・ミニョンさんご本人が悪いという意味では決してありませんのでご注意頂きたいのですが、ミニョンさんがソ・ガンジュンさん、イ・ジェウクさん、キム・ヨンデさんの”同級生”として並ぶのは、正直厳しいものがあるというのは感じました。
特にウンソプとヘウォンの2人のキャラクターの性格設定的にもヘウォンが常にリードを取っているという構図もあって、ミニョンさんがどう考えても年上の女性感が強すぎたのは否めない気がします。
ミニョンさんの見た目が~という訳ではなく、ヘウォンの性格設定とミニョンさんが重なると、よくおごってくれそうなキレイなお姉さん指数が画面上で激増してしまう点でしょうか。
ただ彼らが「同級生である」というのがお話のポイントですので、その点のみが作品の意図と若干異なるのではないかという気はしました。(個人的な感想です)

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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パク・ミニョンさんインスタグラムより

ソウルの音楽教室でチェロを教えていたヘウォン、しかし彼女の性格と社会の理不尽さもあってか上手くいきません。
そんな生活に疲れた彼女は、高校時代を過ごした田舎町へチョンへ突然戻ってきます。叔母がペンションを経営していたのでした。連絡も無しに突然戻ってきたヘウォンに叔母(母の妹)のミョンヨは微妙な反応をします。
叔母のペンション”クルミハウス”の近所には、ヘウォンの同級生だったウンソプがこじんまりとした書房を経営しています。ウンソプはヘウォンがソウルから戻ってきたのを目撃し、どこか嬉しそう…。
なぜなら彼は高校生の時からヘウォンの事を密かに、静かに想っていたのでした。
挨拶を交わしたふたり、ヘウォンはウンソプに「春までここにいる」と告げます。

叔母のペンションを手伝うと決めていたヘウォンですが、とっくに廃業をしていた叔母。
仕事を探していたヘウォンはアルバイト先を見つけます、がスケートができないヘウォンに替わってウンソプの本屋で働くことに。
ここから2人の距離がぐっと近づきはじめます。

ウンソプの壁
既に触れましたがこのウンソプさん、ブレない彼の”ポリシー”を持つキャラ設定が一貫していて魅力的でした。
両親に半ば”捨てられた”子供時代を持ち、彼の優しさで”使われるとわかっていても”両親や人々と静かに関わっていくウンソプ。作中で語られるオオカミのお話のように常に心に孤独のある人、それがウンソプ。
このようなキャラクター設定は珍しくはないですが、今作のウンソプの場合は恋愛が絡んでもすぐに懐柔されていないというか、どこか冷えた芯をこの先もずっと心に残すのだろうな…と想像できるところが大変良いなと思いました。
ソ・ガンジュンさんのどこかミステリアスで寂しそうなところもキャラに合っていました。
ヘウォンが意思表示を比較的ハッキリ出すのに対し、言葉少な目ながらも、殆ど自身のスタンスを崩さないウンソプ。
加えて本当に良かったのが「エピローグ」です。彼が書店の非公開ブログに残した文章が出るのですが、そんな静かな彼の内心が吐露されていて、普通に可愛らしかった!
この文章のおかげで、ウンソプというキャラが立体化されていて上手いなあと思いました。毎回ちょっとした数行の文章ですが、かなり効いていたと思います。
ただ非公開ブログでへウォンと同じPCを使うならば、せめてパスワードぐらいかけておいて欲しいなと、思った次第です。

韓ドラ 天気が良ければ会いにゆきます レビュー評価

ヘウォンとウンソプ
同級生が集まった時、ヘウォンはウンソプが高校時代に自分のことを好きだったと知った彼女。しかし現在のウンソプの態度からはそんな様子はうかがえません。
どこか一線を引くウンソプですが、彼はヘウォンをいつも気遣っているよう。
しかし一緒に働いたり、過ごしたりしているうちに、ウンソプの今の態度にも彼の気持ちを確信するヘウォン。ついに彼に告白します。
ほぼ100%自信があったと思われたものの、彼から返事を濁されショックを受けるヘウォンさん。とはいえもちろんヘウォンが大好きなウンソプさん、2人は結局付き合うことになります。
ただ色々あった後、速攻で仲良くなり始めるので、個人的には若干「ウンソプさん・・・?」と今までの頑なな態度はなんだったのか感を覚えはしましたが…。
加えてちょっと全体的にヘウォンに押され気味のウンソプ君、という関係性がすぎる気がしましたが、そのあたりのバランスも最終的には均等になっていたと思います。安心しました。
とはいえ、ヘウォンとの恋愛関係は彼の長年の夢(?)でもあったと思いますので、本当に良かったなと思った次第です。

「そういう人もいる」
このドラマから、人それぞれが考え方が違うというテーマを感じ取りました。
ウンソプやヘウォンの性格の違いは顕著でしたが、ヘウォンの母や叔母。ウンソプの育ての両親、元気な妹。そしてジャンウ。
彼らが割としっかり”自分”の考えが存在する描き方だったのが、個人的にかなり良いなと思いました。
ヘウォンが元親友だったボヨンに対して、「割れたガラス」の比喩を使いますが、そのガラスに対しても考え方がそれぞれ異なることを明らかにさせています。
へウォンも、ウンソプが家族に愛されていて羨ましいような気持ちを抱く訳ですが、彼の家族にも複雑な背景があったのだと知り、彼らの心情を考えます。
このあたりも、(村の人々の噂話のように)表面的なことだけでは決してわからない部分の描写の”程々感”も良かったです。

ウンソプとへウォンの2人だけでなく、彼ら全員はお互いに”微妙に影響”を受けて、それぞれの考え方の違いを理解したり、歩み寄ったりするという表現がポジティブに感じました。
考えの相違でケンカになるシーンが多いドラマの中で、この作品は「君の言うことは確かにそうだけれど、”そういう人もいるんだ”」としてお互いの意見を否定しない、というのは純粋に視聴していて素晴らしいなと思いました。
最終回でジャンウが「ソウル大を出て宇宙飛行士を目指す人もいるけど、僕は違う」というシーンにある通り、価値観の違いについてこの一連のシーンは総括というか、この作品が主張したかった点を端的に表現したセリフではなかったかなと考察しました。

コメディ的なキャラ筆頭でウンソプ妹のフィが存在しましたが、彼女のキャラも嫌みがなく本当に良かった!
ちょうどウザくなる直前で自電車で爽快に去っていくので、潔くて素晴らしかった。キャラの引き際の駆け引きも素晴らしかったです。
全体的にとにかくキャラのやり過ぎ感が皆無で、適度に抑えたリアリティを感じる描写で彼らが作中で生きていて、視聴していてストレスを感じず何かとセンスがいいなと純粋に印象に残りました。

総合的にとても良い雰囲気で朴訥な温かさと誠実さを感じる良質なドラマだったと思いました。想像のかなり上を行ったドラマで、良かったです。

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