ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国映画 色男ホ・セク (感想)

おすすめ度:60%
説得力ある舞度:100%
衝撃的な出会い度:100%
原題:기방도령 110分

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男性妓生としての初めての恋と苦悩とは…2019年公開作品。

あらすじ・キャスト

妓房で生まれ育った男性ホ・セク(イ・ジュノさん/2PM)は日々呑気に遊んで暮らす生活を送っていた。
ある時、そんな妓房に面倒なお客がやって来ることに。ホ・セクは勘でその客が男装した女性だと見破り、新しい商売のヒントを得て、ホ・セクは一気に人気者となるが…。

感想

お客さんは男性という妓房で生まれ育ったホ・セクが、その勘の良さと生まれ持ったエンターテイメント性で新しいお客さんを開拓するというビジネス的なストーリー。
そして女性に囲まれて育った彼が、初めて恋を知って…という、2つの軸で描かれている作品でした。
冒頭が主人公であり年老いたホ・セクが、その人生を語り始める…という切り口はドラマチックな物語を感じさせられて期待が高まりました。
ただ、この作品を観終わって正直な感想としては「いつ盛り上がるのかな…」と待ちの状態を続けているうちに、作品自体が終わってしまうという、ちょっと表面的で没入感を感じにくい映画だなとは思いました。(すみません)
とはいえ、ホ・セクが男性妓生として仕事をし始めるのですが、演じるジュノさんのチャーミングで楽観的そうな雰囲気が役柄に大変あっていましたし、身のこなしも美しかったです!
また、ジュノさん自身が飄々としたタイプなのもあって、この女性客を接待する男性という役柄に色っぽさを出しながらも決して生々しさを感じさせず、作品自身の品位を保っていたのは素晴らしいと感じました。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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ジュノさんインスタグラムより

妓房で生まれ育ったホ・セク。物心ついたときから綺麗な女性たちに囲まれた彼は、どこか楽観的で人とは違った感性があるような雰囲気。
しかし仕事も勉強もせず、フラフラしているホ・セクは母親代わりの妓房の女主人ナンソル(イェ・ジウォンさん)にいつも叱られてばかり。
そんな彼ですがいつものように怒られて外を適当に歩いていたホ・セクは、得体の知れない男性ユッカブ(チェ・グイファさん)と衝撃的な出会いをし、なぜか意気投合。

と、ホ・セクはこの後に相棒のようになるユッカブとの唐突の出会いをして、運命が変わります。
このユッカブとの、明らかなウケ狙いな出会い方に少々困惑させられつつ…。ホ・セクの家である妓房にユッカブを招待し、2人は飲み明かします。

そんな時、妓生たちからの愚痴を聞くホ・セク。
なんでも"厳しい"客がきたとのこと。しかし、ホ・セクは何か思いついたようで、自分がそのお客さんを接待すると申し出ます。
そして見事、ホ・セクはその難しい客を満足させ、売り上げを伸ばすことに。
実はそのお客さんとは、男装した女性…。お忍びで男装して、夜お酒を飲みに遊びに来た良家の女性だったんですね。
この件でホ・セクはひらめきます。
加えてこのホ・セクの家である妓房は赤字で金銭トラブルを抱えています。
ホ・セクは、自分が妓生になる!!となんと大胆に宣言。
新たな販路を開いたビジネスマンのホ・セクさんの誕生の瞬間でした。

と、ここからはホ・セクさん=ジュノさんの本領発揮といいますか、男性妓生としてジュノさんの「魅せる」シーンが大変効果的でした!
少しひいたアイラインのメイクや、舞うシーンなどはとても美しく魅力的…。
身のこなしが板に付いているというか、ただたださすがだなあと思わせる説得力がすごい。この様な演技はきっと基礎があるからこそ美しいのだと本当に思いました。
脚色も多いかとは思いますが、当時の女性たちが置かれた状況や、そんな女性たちの息抜きの場を提供するというホ・セクの機転の良さで、お店というか、ホ・セクさん自身が一躍街の人気者になっていきます。

まさに噂が噂を呼び、トップアイドルに上り詰めるホ・セクさん。
そんな"色男"なホ・セクですが、初めて真剣に恋に落ちてしまいます。お相手はヘウォン(チョン・ソミンさん)…良家の娘ながら少し影のある女性です。
彼女に想いを寄せるのはホ・セクだけでなく、幼馴染のユサン(コンミョンさん)もいて…と、お約束の三角関係のような部分も描かれていきます。
と、ここまではコメディも上手く絡めながら軽めのタッチで進んでいきます。ただ、この2人恋愛関係の描き方が、平坦すぎる点がかなり気になりました。
ホ・セクさんが一生涯たった1人を好きになった…という、このヘウォンへの想いが序盤のプロローグと関係するのは明白だったので、もう少し2人の強い気持ちにドラマチックな部分があっても良いかなあ…というやや残念な気持ちにはなりはしました。
時代的な事もあるでしょうし、淡い恋だけれど深い愛情という部分を全面に出したかったのは理解できるのですが、個人的には観ている分にはちょっと味気無さがありはしました。
とはいえ、2人の仲はゆっくりと進展しますが、問題になるのがホ・セクの身分。
彼はヘウォンに自分を紹介した時、自分も両班と偽っていたのでした。この彼のついた嘘が後々じわじわとホ・セクを苦しめることに…。

ここから、悲劇パートに。
彼はヘウォンのために勉強をして2人の未来のために進もうと彼なりに考えます。しかし、ヘウォンの何気ない言葉で、身分の違いを改めて痛感し、傷つくホ・セク。
加えて妹のように可愛がっていたスクチョンの悲劇が起こります。彼女もまたその身分の違いに絶望したのでした。
ここでホ・セクは、かつての自分の上顧客であった女性たちの居場所である烈女堂に火を放ちます。
彼の中で渦巻いていたやるせない気持ちそのものが燃え上がるような演出…ホ・セクの印象的なアイラインのメイクが崩れ、狂気性もはらんでいて印象的な場面となっていました。
この事件でホ・セクが男性妓生だったとヘウォンにもバレて、ホ・セクは捕まってしまいます。まさにホ・セクの終わり、になったのでした。

と、一番の盛り上がりがこのシーンかと思いますが、放火というエピソードが何となく安易というか極端すぎて、ホ・セクのキャラからはあまり結びつかず、個人的にはこの炎上シーンをどうしても中心に据えたかったのだろうなあという感想しかなく、印象的だったものの、ストーリーの流れとしてはちょっと微妙な気がしました。
身分制度などへの対抗心ややるせなさの心情は十分理解できましたが…。

最終的にはホ・セクは全て失い、冒頭の老いたホ・セクのシーンへと繋がります。この最初とエンディングのセットになっているのは、まとまっていて物語として良いなと思いました。
ジュノさんはもちろんですが、ヘウォンを演じるチョン・ソミンさん、コンミョンさん含めて、キャスティングはどの方も役柄に合っていてそこは本当に良かったです!だからこそ勿体なさと残念さを強く感じました。
ただ、掘り下げが物足りず、物語の山場となるシーンへの感情の波が唐突な気がして、視聴していてキャラに共感しにくかったですし、特にスクチョンやユッカブの2人がただただエピソードに必要だから入れただけのような存在に思えてしまい、個人的にはわざとらしい印象が残りました。
ステキなシーンも多く軽く視聴できるのは大変良かったですが、残念ながらあまり心に響くタイプの作品ではなかったかな…と思った次第です。

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