ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 模範家族 (感想)

おすすめ度:73%
ご近所度:100%
ファミリー度:100%
原題:모범가족 /  A Model Family (全10話)

Netflix 模範家族 韓国ドラマ 感想

偶然発生した”事故現場”からお金を奪った模範的な男性の運命が狂い始める…2022年公開のスリラー/ヒューマンドラマ。

あらすじ・キャスト

大学で教鞭をとるドンハ(チョンウさん)は息子の手術のためにもお金が必要な状態だった。この経済問題も一因で妻からは離婚を切り出される。
そんな時、ドンハはある一台の車を発見する。車の中には大量の紙幣があり…。

感想

面白かったものの、イマイチ盛り上がりに欠けると感じました。
ストーリーは主人公ドンハの行動によって、皆んなの歯車が良くも悪くもどんどんズレてしまい…というお話。
画面の色調や音楽の使い方、ロケ地の風景など含めてちょっとハリウッド作品(特にドラマ)っぽくて、二番煎じというと大変失礼ですが、何かのリメイクなのかと少し思いました。
ストーリー展開としては、大きな驚きや新鮮さもなく最後まで終わってしまったというか、既視感があったというか…。
決してつまらない訳ではありませんが(私は一気に視聴しました)、全10話としては大きな山場がなく、同じ”低温”調子で進むため中盤に少々中だるみしました。
盛り上がりが無いように私は感じましたが、ただこの作品はヒューマンドラマとして、タイトル通り”家族”を見つめ直すというテーマもあったため、わざとスリラーやバイオレンスに主軸を置かない作りになっているのかと察します。
ですが映画ならば良かったと思いますが、さすがに10話のドラマですとちょっと何か物足りないような。特に最後の局面では、引っ張った後のカタルシスさがもう少し欲しかったです。

とても良かったのは、出演されている俳優陣の演技が皆さん渋くて、その点は本当に魅力的でした!
主演のチョンウさんも良かったですが、目立ったのは組織側のグァンチョル演じるパク・ヒスンさんでしょうか。キャラクター自体がそもそも渋い設定なので、その補正も多くありますが、佇まいも素敵でした。
個人的に僅かに気になったのがドンハの妻ウンジュ(ユン・ジンソさん)と警官のチーム長のジュヒョン(パク・ジヨンさん)のお二人の雰囲気(遠目の)が似ていたことでしょうか。特に今作はヘアスタイルなども同じで、少々最初は混乱しました。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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パク・ヒスンさんインスタグラムより

大学の英文学科、助教授のパク・ドンハ。郊外の静かな住宅街に家を借りて住んでおり、妻と中学生の娘、そして小学生の息子を持つ、目立たず善良な一般的な市民です。
しかし、彼は問題を抱えていました。お金です。
心臓病を患う幼い息子に移植手術を受けさせるため、そして日々の生活のためにはお金が必要です。しかし、翻訳を仕事としている妻の収入と合わせても、余裕はありません。
ドンハは借金や貯蓄を崩した”賄賂”を使って教授の地位を得ようとしますが、その計画もアッサリ崩れてしまいます。そんな状況を妻に知られ、なじられるドンハ。
元々あまり夫婦仲は良くなさそうですが、妻から再び離婚を求められたドンハは、いよいよ追い詰められた気持ちに。
しかし、そんな絶望の淵に立たされた彼に”ありえない”事が。
大量の現金を積んだ車が彼の元に「やってきた」のでした。2人の男性死体を乗せて…。
渡りに船状態、ドンハは目の前のお金を咄嗟に奪って逃げます。
ここから、ドンハというごく普通の”模範的”男性が、麻薬組織犯罪事件に関わってしまうお話がスタートします。

ドンハという男性
お金を奪ったところまでは十分理解できましたが、一旦家に戻ったドンハは、再び”現場”へ戻ってきます。車に残された死体を”処分”するためです。
正直、なぜ彼がわざわざ(自分が殺した訳でもないのに)明らかにヤバそうな2人を隠そうとするのか理解しにくかったですが、少しでも盗んだお金に繋がる線を消したかったのでしょう。
ドンハは遺体を自分の住む借家の庭に浅めに埋め、彼らが乗っていた車を乗り捨てます。道中、目撃者がいたり、検問があったりとドタバタとヒヤヒヤを乗り越えながらも、とりあえずは事なきを得ます。
この第1話の時点で、ドンハという男性のキャラがその行動によりハッキリ浮き彫りになっているのは面白いなと感じました。
妻が彼を「優柔不断で臆病、だけど頑固」と表現していましたが、ドンハの言う「大丈夫」には一切の根拠がありません。
本人は色々真剣に考えて取り組んだ行動が、空回りして”抜け”が多い、だけど憎みきれない、妙な愛嬌と誠実さが根ににあるような性格…。
この理由なき「大丈夫」ですが、彼は嘘をついている訳ではなく、本気で大丈夫、自分がなんとかするんだ、という意志は強くあります。まさに長所と短所は表裏一体そんなドンハさんです。
この性格設定のため視聴していて「ドンハさん、なぜ…」という行動を度々してしまい、関わる人々がバタフライエフェクトのように、じわじわと振り回されてしまいます。ここが今作の面白さになっています。

事件を追う人々
ドンハが奪ったお金ですが、警察も目をつけていた麻薬組織の現金輸送車でした。
組織の上層部へ納めるお金を巡り、運び屋(殺された2人)のボスであるグァンチョル、そしてそのボスであるヨンス、そしてそのトップである謎の人物は動き始めます。
またそんな組織の動きを睨んでいるのは警察のジュヒョンら。
ドンハの隙のありすぎる行動で、この組織-警察-ドンハ家族の謎のトライアングルが発生。

模範家族 韓国ドラマレビュー評価

ファミリーとは
タイトルの「模範家族」の通り、このドラマでは家族(ファミリー)の繋がりも描いています。模範的な家族と反社会的な”家族”の対比だけではありません。
夫婦と血縁関係で発生する家族だけでなく、友情を超えた関係や組織もファミリーとして触れられています。
特に組織に属するグァンチョルとヨンス、そしてカンジュンの関係。また、麻薬組織に選択肢なく「ファミリーに入ってしまった」ドンハ。同じ事件を追っている”はず”の警察。
血縁関係があってもなくても、彼らはそして私たちは「裏切らない人」を求めています。
「常に問題は家族」とは9話の某キャラのセリフです。強い結びつきであるはずのファミリーも裏切りによって、簡単に崩壊してしまう描写と失望。そして怒り。
ですが最終回での描写のように、一度は崩壊してしまった”家族”を見捨てきれず、再構築を願ってしまうのも、また人間の本質ではないでしょうか。
孤児だったグァンチョルとドンハの最後のシーンも、そんな「切っても切れない縁」こそがファミリーなのだという描写だと思いました。

ということで、ストーリーとしてはまとまっていて面白いと思いましたが、パンチにかけ先が読める展開だったのは残念に感じました。
ただ大きなストレスもありませんし、伏線回収などの複雑さもなく淡々と物事が進むお話なので、視聴はしやすいドラマだと思います。シーズン2の可能性も残しながらの最終回でした。(Netflixあるある、でしょうか)

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