ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国映画 必ず捕まえる (感想)

おすすめ度:64%
高齢者度:100%
元刑事度:100%
原題:반드시 잡는다 110分

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次々と起こる事故、それは30年前の事件と同じものだった。2017年公開のスリラー/ ダーク・コメディ作品。

 あらすじ・キャスト

地域で数々の部屋の大家であり、偏屈な老人として有名なドクス(ペク・ユンシクさん)。ある日、家賃の取り立てに向かった先で、不吉な話を耳にする。
30年前の連続殺人事件と、最近のこのエリアで次々と発生する事故との関連の話であった。
ある女性の失踪を機に、元刑事のピョンダル(ソン・ドンイルさん)と共に、独自に"捜査"を始める2人だったが…。

感想

出演者の平均年齢がとても高い映画でした。そのためか、コミカルさにやや多く振りながらも、韓国映画らしい鋭さもしっかりあり、面白いダーク・ユーモア作品になっていました。
かなり適当気持ちで観始めたのですが、引き付ける展開なのもあって、想像より楽しく視聴しました。

主人公キャラが年配の方の場合、コメディ色が強くなると往々にして痛々しく感じることが多いのですが、この作品ではメインのドクスが"嫌なジジイ"という基本設定なのもあってか、滑った痛々しさを感じることはなかったので特に良いと思いました。

ただこの作品ですが、全体的に「警察」の存在が異常なほどに希薄で、話の都合上しょうがないとはいえ、色々と都合が良すぎるのでは…?と感じる部分も多かったですが。

ゆるいネタバレありの感想

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アリ洞エリアに物件をいくつも持つ、大家のシム・ドクス(ペク・ユンシクさん)。
お金にうるさく偏屈者で頑固な爺…住民たちには嫌われ気味です。
エリアにある「たんぽぽトースト店」がお気に入りのお店ですが、糖尿病を患っているためか、羊羹を持ち歩き、あまり好きなように食事ができません。

ドクスの住むアリ洞ですが、ここ数日の間に次々と"事故"が発生し、人が亡くなっていきます。
とはいえ特に不自然な点が見当たらないことから、警察は全て事故として処理しているようです。
そんなある日、いつものように家賃回収のため、とある老人の部屋へ向かうドクス。
元警察官だったというその男性、ドクスとの会話で、ここ数日の事故と30年前の事件との関係性を指摘します。
が、なんとその男性も"自殺"してしまいます。男性の死を不審に思ったドクス。そして彼が語った30年前の事件…色々な事が頭をよぎります。

途中、問題の第2の爺、パク・ピョンダル(ソン・ドンイルさん)と共に行動し始めるドクス。ちなみにこのピョンダルさんも元刑事で、30年前の事件には複雑な思いを抱いているようです。

2人で推理的に事件を独自に調べますが、205号室に住む若い女性、ジウンが失踪したままになっているのが、ひっかかる2人…。彼女はまだ生きているのではないか、と2人が勝手に捜査し始めます。

ジウン部屋で友人が残虐な方法で殺されているにもかかわらず、警察にジウンの事は言わないと決める2人ですが、これは正直いかがなものかとは思いました。
事件発生現場はジウンの家なので、捜査の手はもちろん彼女へと進むと思うので同じではないかと思うのですが、このあたり含め、この作品での警察の位置づけが弱く、不自然すぎて気になるところではありました。

ピョンダルは30年前の「見覚えのある男の目」を持つ老人を、ある日見つけます。
その男とは、漢方医院を営む先生。いつも車椅子の妻を連れて、たんぽぽトースト店にも顔を出す優しそうな人です。
その先生を「怪しい」と目を光らせる、ピョンダルとドクス。

この作品ですが、上手い箇所で視聴者を裏切ってくるエピソードが入ります。個人的に一番盛り上がったのが、ピョンダルの秘密が明かされるシーンでした。
漢方医院の先生を追い詰めた2人、迫真のピョンダルさん。
いよいよ犯人逮捕…と、そこで何とピョンダルさんはアルツハイマー認知症を患っていたことが知らされ、ビックリしてしまいました。
ピョンダルさんは息子を呼ばれ、病院に強制入院させられてしまいました。
一気にストーリーにおける緊張感の落差が生まれて、このピョンダルの存在は面白いなと思いました。

ドクスは再び1人で事件を追うことに。
ピョンダルの「あの男だ」というギラついた目を忘れられないドクスは、ひとりあの漢方医院へ向かいます。相手が誰かわかっていて敢えて1人で行くとは、なかなかですね…。
そんな相手もあっさりと「よくわかったな」と、真犯人であることを白状する漢方医

しかし、もちろん簡単にはお話は終了しません。
案の定ドクスは殴られ、探していたジウンのいる部屋にぶちこまれます。この漢方爺のサイコパス的な暴走で、漢方医の妻やジウン、そしてドクスも危険な目に…もしかして、全員殺されるのでは?と不穏な空気に。
ですが、なんとここでヒーロー登場
警察官の息子の銃を拝借し本物の銃をかまえたピョンダルさんが、何とドクスの元へ駆けつけてくれました!!スゴイ。

しかし、漢方医ともみ合いになり、やはり撃たれてしまいます。ピョンダルさん…まさかの死…。
グダグダ言わずに、さっさと撃っておけばこんなことには…とお決まりのように思いながらも、時すでに遅し。その合間にドクスはジウンを連れて逃げますが、漢方医に追いつかれてしまい、再びピンチに。
が、またそこで死んでいなかったピョンダルさんが!(感動)
そして…?!

ということで、まあまあ残虐なシーンもありはしましたが、爺3人のダーク・コメディとして楽しめた映画でした。
問題の警察含め都合が良すぎる描写ですが、意図したものだと思います。根本的にはコメディ部分が強い印象を受け、妙に呑気な描写も多かったです。
アルツハイマーを患いつつ不死身のピョンダルというキャラが非常に濃く、主人公はドクスでしたが、ピョンダルさんが色々な意味で目立っており、ある意味一番怖かったのは言うまでもありません。
視聴後、特に心に残るものはありませんでしたが、気楽に観れた作品で、当初の期待よりは面白かったです。

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