ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 恋慕 (感想)

おすすめ度:93%
新たな視点度:100%
ブコメ女子度:100%
原題:연모 全20話

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男性として宮廷で生きなければならなかった女性の恋と人生を描いた2021年放送の宮廷ロマンスドラマ。

あらすじ・キャスト

朝鮮時代の王に待望の世継ぎが生まれる。しかし子は何と男女の双子。
すぐさま男児だけが誕生したとされ、生まれたばかりの女の子はその幼い命を消されるよう命じられる。しかし、実は王妃はこっそり女児の命を救っていたのだった。
そして数年後…。双子だった男女は境遇が全く異なりながらも無事成長する。そんなある日、偶然にも2人は再会し、お互いの容姿がソックリなことに驚く。しかし王室の世継ぎとして育った男児は、とある事件で亡くなってしまう。
残された女児タミはそのまま世子(パク・ウンビンさん)として過ごし、幼少期の初恋相手であったジウン(ロウンさん/SF9)と宮廷で運命のように出会うが…。

感想

錯覚を使った「ラブコメ」基本の面白さ!
女性であるパク・ウンビンさんの麗しい男装姿がまず目を引きますが、このドラマが最も特徴があって面白いのは"男装"を逆手にとっている点だなと思います!
男装で演じるウンビンさんが男性であるジウン(ロウンさん)に惹かれていく、というストーリー展開はすぐに読めると思います。
しかしこのドラマの真のポイント(?)だと感じた点は、女装も男装もしていないジウンがナチュラルにラブコメ女子っぽく振る舞い、ラブコメの基本である「男女の立ち位置」を完璧に踏襲しているという構図です。
これは視聴していて盲点というか、そっちがやりたかった事!?と、とっても面白いと感じました。
深読みすると、見た目の女や男、そんなの好きならどうだっていいじゃない的にも感じられ、興味深かったです。

ジウン演じるロウンさんが非常に体格が良い方で、いわゆる男性っぽさを強く感じさせながらもナチュラルな"ラブコメ女子”演技のコミカルさが際立っていて、素晴らしかったです。
ある意味男女逆転した構図を保ちながらも、完全にベタなラブコメが成立しているというのが一番このドラマの特色になっていると思います。
もちろんウンビンさんの男装も美しく秀麗なのですが、シーンの適度な軽さに関してはロウンさんのキャスティングが効いているなと思いました。

1)男装女子が男性を好きになって、男性側が混乱というパターン
2)男装女子に男性側がラブコメ女子的なときめきを覚えてしまい、女装せずとも女性的に振る舞ってしまうパターン
3)男装女子が女子に戻り、お互いドキドキするというパターン
という3種類のパターンが見れ、時々で2人の役割が変化するためシーンの強弱があってとても面白味を感じました。
2人の恋愛描写としては、かなり基本形のラブコメが強く残してあり大変観やすかったです。
加えてヒネリとして上記の“錯覚“で新鮮さがあり、男装というよくあるネタを扱いながらも魅せる手法がとても上手いなあと思いました。

宮廷ロマンスはどうしても権力争い問題が避けられず、序盤見分けのつきにくい偉そうな髭爺たちの代理戦争が多いので、個人的に「めんどくせえ…」と普段は爺シーンになるとマンネリを感じることが多いのですが、今作はロウンさんとウンビンさんの立ち位置の都度変更のためか、あまりそう感じることが無かったのが素晴らしいなと思いました。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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ロウンさんインスタグラムより

王妃が産んだ男女の双子…。
しかし、女の子と双子として一緒に腹にいた男は良くない!という、とんでもねえ理由のため、双子出産の知らせを聞いた一同は渋い顔に。
そもそも赤ちゃんがいた腹の主は女性なんですが…?という、最大の矛盾を全く無視した理屈はよくわかりませんでしたが。
出した答えが女の赤ちゃんは「いなかった」ことにし、双子ではなく男児のみが生まれたとされてしまいます。そう、幼い命は消される運命に…。しかし王妃は秘密裏に女児を生存させることに成功させます。
こうしてお互いの存在を知らない、境遇が異なる双子が存在したのでした。

そして数年後。
男児は世孫子フィとして宮廷で不自由なく育ち、一方の女児は捨て子タミとして貧しくも元気に育ちます。
タミは宮廷で宮女として仕事をしているようですが、これは完全にドラマあるあるの危険ルート…。王子と顔が同じなのに同じエリアで暮らすのは嫌な予感がします。
そんな2人はやはりというか、当然出会います。ここから2人の運命が大きく変わってしまうのでした。
孫子の他愛ない提案で数時間の約束で2人は"入れ替わって"、王子として過ごすタミ。しかし、世孫子は一向に帰ってきません。そう彼は何と“タミ“として殺されてしまったのでした。
しかし時既に遅し…。タミはもう自分は世孫子ではないと主張して宮廷から逃げ出すことは“できません”、世孫子が亡くなったと知られてしまうには、あまりにも失うものが多すぎたのでした。
女児タミはそのまま男児である世孫子としての生活を強いられます。
このように女性であるタミが男装し、宮廷で世継ぎとして暮らし始めるという背景からスタート。そして世子として成長し、見事に男装が美しいパク・ウンビンさんとなります。

一方のジウン(ロウンさん)ですが、彼も宮廷で司書として、そして世子の師として働き始めます。
この2人も幼少期に繋がっていました。タミとジウンはお互いの初恋相手…。
幼かったジウンはある日突然何も言わずに“消えて“しまったタミを、大人になった今でもずっと忘れていなかったのです。
タミは自分だとは絶対に言えない状況の世子、ジウンがタミは死んだと知らされ落胆する様子に切なくなってしまいます。
そう、自分は男性であり世子、ジウンよりもずっと立場がある身。とはいえ、自分の中に灯った女性としてジウンを想う淡い気持ちは消せません。
またジウンも世子の不思議な雰囲気に惹かれていきます。

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ここから各種イベントと共に2人の気持ちの積み重ねが描かれていきますが、特に中盤はジウンさんの"わかりやすい"ラブコメ女子ぶりが大炸裂。
・あざとく耳に花を飾ったジウンが転びそうになり、世子に抱きかかえられた後「カッコイイ…」とお目目キラキラで呟いてしまうジウンさん
・元気が出る薬的なものを世子に差し入れし(現代だとホンサムエキスPPL商品を渡してファイティン!と言うシーンに該当)、去る際に頭をぶつけるというドジっ子ぶりを発揮するジウンさん
・キスの夢で目覚め「いっけない☆遅刻だ~」と慌てるラブコメあるあるジウンさん
・「私の友達の話なんだけど~」とベタな前置きで自分の恋愛話を相談してしまうジウンさん
他にも書庫で本を手に取ると世子がなぜかいるという、例のドキドキ☆図書館シーンなどもしっかり存在し、ツボを押さえまくっていてラブコメ好きも大満足。
ロウンさん主演の「偶然見つけたハル」のオマージュとも取れるシーンもありました。
妙にキリッとしたしたウンビンさんが(典型的なドラマっぽい女子という意味で)可愛いロウンさんを抱きかかえるというシーンでも、男性を支えるウンビンさんが大変そうという事実とその体格差をあまり感じさせないような仕掛けになっていて、錯覚的にも見た目云々という垣根を取り払っていたようにも思えました。

物語終盤にかけて、世子は遂に王にまで登り詰めます。しかし常に自分は女性であるという大きな秘密があり、次第に宮廷内でもその噂は広がることに。
双子の臍帯を保管していたのは、本気で“秘密“にする気があったのかと疑問に思いはしましたが、逆に噂が広まったからこそ王は自分自身に戻れるきっかけを掴んだのかもしれません。
幼少期から自分を操り人形のように使い、好き放題していた黒幕である外祖父サンホン爺ともついに決別することを誓う王。しかし爺たちも黙ってはいません。
最終回は予想以上の血みどろの戦いになり、最後はまさか夢オチ?!とヒヤヒヤさせられました。
エンディングでは素晴らしい落としどころで着陸し、かつて王として男性だった女性は無事に再び失っていた自らの人生を取り戻し歩み始めます。
完璧な終わり方で良かったです!

2021年年末のドラマですが、よくあるネタをしっかり消化しつつ、新たな方法で楽しく視聴できました。
大きく真新しさをを感じるストーリーではありませんでしたが、違った方法を取り入れるだけでこれだけ楽しく視聴できるんだという、工夫を随所に感じられて素晴らしいと思いました。
主演のロウンさんとパク・ウンビンさん含め全ての俳優陣が役柄にとっても合っていたし、素敵でした。とても面白かったです!

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