ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ なにもしたくない~立ち止まって、恋をして~ 感想

おすすめ度:55%
ランニング度:100%
難しい問題度:100%
原題:아무것도 하고 싶지 않아 / Summer Strike (全12話)

なにもしたくない~立ち止まって、恋をして~ 韓国ドラマ感想あらすじレビュー

ソウルから田舎町に「人生のストライキ」をしに来た女性が出会った人々とは…。2022年のヒューマンドラマ。

あらすじ・キャスト

生真面目で誠実な性格のヨルム(キム・ソリョンさん)はソウルでの仕事も恋愛もうまくいかず、自分を見失いそうになっていた。
ある日、ふと縁もない田舎で暮らすことを決意する。
村の人と当初はうまくいかなかったヨルムだったが、図書館司書のデボム(イム・シワンさん)と知り合い、一歩ずつ自分自身に向き合っていくことに…。

感想

ドラマの雰囲気はとても好きだったのですが、正直よくわからないドラマでした。
舞台となるアンゴクという町の雰囲気、主役のソリョンさんとシワンさんの2人も素敵でした。
いわゆるヒーリング系ドラマとしてはバッチリの設定とキャスティング!!
…だったのですが、彼らに降りかかる"問題”がとにかく内容的に「答えが出ない」重いものが多いのですよね…。
家庭内暴力、アルコール問題、金銭問題、いじめ、殺人事件、トラウマなどなど、1つの局面だけで判断できない長期的で複雑なエピソードばかりが何故か採用されています。
主人公ヨルムらもその度に悩んだり傷ついたりする訳ですが、結局ぼんやりとしか内容的にも解決(もしくは強引に解決)しかできないワケです。
もちろん答えがでないのが人生でもありますし、そこに強いリアリティを持たせたのかもしれません。
しかしドラマとして考えると、結局ずっとその問題たちが最後まで尾を引いている様な印象が常にありました。
そのため、問題を散々振りまいておいて、観ていて全然スッキリしないというか…。
これらの重い問題を小さなコミュニティの中で連続で詰め込んでいてあり、最も観たかったメイン2人の感情の揺れ動きや、田舎町で2人が傷を癒し自身を見つめて成長する様子がほとんど語られていないのは、驚かされましたし大変残念に感じました。
単に主人公らが問題に巻き込まれて、右往左往しているだけというか。
最後は何となく上手くまとめたけれど、本当に…?という感じで終わってしまった印象です。
一体何を伝えたかったのかイマイチ分かりにくいというか…。(すみません、個人の感想です)

ドラマ なにもしたくない感想あらすじレビュー

個人的には今作ダントツで良かったと感じたのが、やっぱりイム・シワンさんです!
シワンさん演じるデボムという役柄が、ご本人の雰囲気にとにかくピッタリで、大変惹かれました。
デボム自身もトラウマを背負い、ソウルで傷ついてアンゴクに住む男性です。
今作ではちょっと長めのヘアスタイルにされていたシワンさんですが、繊細でシャイ、どこか世間離れしたような、そしてアンニュイさもあって最高でした。
シワンさん、長めの髪がとってもお似合いでした。
そんなアンゴクで静かに暮していたデボムが、突然やってきたヨルムと知り合います。
彼もまた彼女がきっかけで変わっていく機会を得るのですが、恋愛感情もそこに含まれます。
ただちょっとネタバレですが、残念ながら(?)今作ではラブストーリーが決してメインにはなってはいません。(念のためですが、ラブストーリーは存在はします!)
シワンさんのラブストーリーのみを期待されるとガッカリされるかもしれませんので、ご注意ください。
私は最後の1秒までしつこくラブストーリーを期待して視聴しましたが……。

今作も原作はWEBトゥーンということです。
オリジナルは全12話ですが、私が視聴したU-Next版では1話をぶつ切りにして謎に倍増させた全24話でした。ちなみに本当にやめて頂きたいです。

ゆるいネタバレありの感想

韓国ドラマ 何もしたくない感想レビューあらすじネタバレ
ドラマ なにもしたくない 考察感想あらすじレビュー

社会人4年目のヨルム、出版会社に勤めています。
真面目で頑張り屋の彼女ですが、他人から見ると少々要領が悪いところがあるのかもしれません。
さらに運悪くクズすぎる上司を持ってしまったヨルムは、何かと職場で疎外感に悩みます。
学生の頃から6年も付き合っている彼に職場の人間関係を愚痴ってしまうものの、親身になってくれるはずの彼氏からも苦言を呈されることに。挙句の果てには、別れまで切り出されてしまう始末。
悪いことは続くのでしょうか、そんなヨルムにさらなる悪い知らせが。母親までも亡くなってしまいます。
ヨルムの心は傷ついてボロボロになってしまったのです。
完全に独りぼっちになってしまった…。(ヨルムは兄がいますが)
彼女は会社に向かう途中、全てを捨てたくなってしまいます。気付けばヨルムはソウルを出て1人、アンゴクという町に。
彼女にとっては縁もゆかりもない場所ですが、町の図書館が気に入った彼女はこの町で人生を「ひとやすみ」しようと決意するのでした。

図書館とデボム
ヨルムが田舎町のアンゴクに居住しようと決めたきっかけは、この図書館。
あまり人はおらず静かですが、明るく居心地の良い空間のよう。
司書として働いていたのがデボムという青年。物静かですが優しく気が利くタイプのようです。
トラブルがありながらも、ヨルムはデボムに町の不動産会社を聞きます。以降、2人は顔見知りになり次第に会話を交わすように。
しかしデボムと共に司書として働くジヨンは、突然町に現れたヨルムを警戒。
先輩でも同僚でもジヨンは、あるトラウマを持つデボムをずっと長年見守ってきた女性でもあったのです。
彼女はデボムの小さい変化を見逃してはいませんでした。

デボムの過去
実はデボムは、姉と共に"天才”でもありました。
しかし、子供の頃父親が姉を殺し、そしてデボムが第一発見者だったこと。また母も自殺し、それについてもデボムが発見者だったこと…。
そんな家族にまつわる壮絶なトラウマが、彼に長年に渡って影を落とします。
成長してその才能を活かして研究員のポストに最年少で就いたものの、精神的に疲れ果ててしまった過去を持つデボム。
今は故郷のアンゴクで1人静かに暮し、自身の心の平穏を保っていたのでした。
ヨルムはそんな彼の過去を知り、彼に自分を重ねます。一方のデボムもまた、ヨルムがソウルで心に傷を負ったことを察します。

なにもしたくない~立ち止まって、恋をして~ 韓国ドラマ感想あらすじレビュー

問題多発地域
そもそもヨルムがソウル出版社で受けていたパワハラ・セクハラ。尺は短いですが、軽くはありません。加えて母の死。
これらがヨルムをソウルから離れたい、と思わせるきっかけになっています。
ただ、正直この時点で私は観ていてちょっと嫌な予感がしなくもなかったというか…。
この作品、1話序盤ですでにトラブルを積み重ねて来てるのですよね。
この”クセ”が本当に最後まで続いてしまいます。
・部屋探し→元ビリヤード場に居住
正直この時点でえっ?と困惑したのですが、かなり広いコンクリートの建物1棟で女性1人で住むことになったヨルム。
居住スペースというレベルでは無さそうな場所に、「格安になったから」住む彼女。
この元ビリヤード場はデボム家族が営業していた場所でもあり、話が広がるポイントでもあります。が、ちょっと強引では…。と思ってしまいました。

・犬保護→高額請求
迷子の犬を見つけて保護したデボムに飼い主が現れて、お金を要求というトラブル。
確かに首輪をつけていて、明らかに飼われている犬だろうなという犬種でもあったのでヨルムも悪いような気がします。
しかし、そもそもこのエピソードは何を言いたかったのかと疑問に感じました。
ヨルムに犬を飼わせるという設定のためだけに、わざわざこんな嫌なトラブルに合わせなくても…と思うというか。

・ボム父のアル中と暴力問題
この親子が本当に「どうすりゃいいのか」問題の中心になっていて、陰気でした。
ボムという女子高生キャラは可愛らしく、ヨルムと仲良くなる様子も良かったです!
しかし彼女の父親が最後までクズすぎました。
加えて、ボム祖母が自分の息子(ボム父)を罰したくないという思いがあるため、結局我慢するのがボムたち子供というジレンマ。
そうなると、他人であるヨルムらは”口出しできない”家庭内の問題になるわけで…。
ですが金銭含めて他人の助けを要している状況で、ドラマ内で問題エピソードの宝庫にはなってはいますが、いずれも解決策がなく憂鬱でした。

・デボム姉殺人事件いきなり解決
父がデボムの姉ソナを殺したとされていた事件。
唯一の目撃者デボムが、現場からの逃亡した人間が実の父だったと証言したことで終了。
しかしそんな彼を苦しめた事件も、ビルの落書き事件が糸口になって遂に解決。つまり真犯人がいたわけです。
が、これについても「なぜヨルム&デボムで解決するの…」という感じで、非常に危険な行為ながら簡単に解決してしまい、終盤一体何だったのかと困惑しました。
デボムのトラウマはこれで解消するのでしょうか?

この他にも大なり小なり陰鬱な問題がとにかく多すぎ。
そしてメインの展開にさして効いていないというか、必要性が感じられないようにも思える問題も多かったです。
偉そうにすみませんが、ストーリーのコンセプトと降りかかる問題があまり合致していないチグハグさを感じました。
個人的には、本当に!!!主演のシワンさんとソリョンさんの雰囲気が特に良かったのもあって、(ラブストーリーでなくとも)2人にとにかくもっと焦点を当てて欲しかった!です。
デボムがソウルから戻ってきてどのように生きてきたのか、司書先輩とどのような関係だったのか、ヨルムのライティング能力の今後の展望含め、彼らに関して色々と知りたいことが他にも多すぎました。

つまらないとは一切思わず、むしろ何か最後にあるのでは…と、最後まで望み持たせるような”良さ”が確かにこの作品にはありました。
ですが結局何も得ずそのまま終わってしまった…、そんなドラマとなりました。
かなり勿体なさを感じる作品だったなという印象です。残念。

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