ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

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韓国ドラマ 無人島のディーバ (感想)

おすすめ度:75%
父親とは度:100%
歌手度:100%
原題:무인도의 디바 / Castaway Diva (全12話)

韓国ドラマ 無人島のディーバ感想ネタバレ考察レビュー

歌手を夢見た少女が不運の事故で無人島に…?2023年のヒューマンドラマ。

あらすじ・キャスト

家からやっとの思いでクラスメイトのギホ(ムン・ウジンさん)と共に逃げた中学生のモクハ(イ・レさん)だったが、ある事件がきっかけで海に転落し無人島に流されてしまう。
15年の歳月が経過し、モクハ(パク・ウンビンさん)はひょんなことからウハク(チャ・ハギョンさん)とボゴル(チェ・ジョンヒョプさん)の兄弟らに発見され、ついに島を脱出。
モクハは自分を助けてくれたギホ、そして憧れの歌手ランジュ(キム・ヒョジンさん)を追うが…。

感想

総合すると良いドラマだなと思いました。
とはいえ気になる箇所もありつつ、ちょっとボンヤリしているというか…。
ドラマとしての芯が最終的にあまり伝わらない気がしました。(個人的な感想です、すみません)
"無人島のディーバ”というタイトルですが、モクハとランジュという2人の女性を意図するこのドラマ。
ランジュという歌手に憧れ、自身も歌手を夢見て辛い生活からやっとの思いで逃げ出したものの、無人島生活を送ることになったモクハ。
一方スターダムに上り詰めたものの頂点から"流され”、今や落ちぶれた歌手ランジュ。
この2つの意味で「無人島」となっています。
そしてもう1つの作品軸が、実の親から虐待を受けていた2人のかつての少年と少女、そして家族の物語です。

今作は1話がとんでもないレベルのフックになっていて、気持ちを鷲掴みされました。
中学時代のギホとモクハの2人の物語がとにかく強く訴えかけるもので、目頭が熱くなってしまいました。
子役を演じたウジンさんとイ・レさん2人の演技ですが、本当に素晴らしかった!!
全12話としては結構なエピソードが詰め込まれていて、テンポは悪くなかったです。
ドラマ展開ですが、まずあの第1話のインパクトが絶大に存在します。
その後モクハが無人島に流されたという変わった背景と、地獄のような生活から逃げたという非常に深みがありそうな設定なものの、大してその後のモクハに効いていないというか…。
単なる変わった過去を持つ人のような扱いだけで、その後の流れはかなりありふれたものだった印象です。
個人的にはとにかく物足りなさを感じました。もっとすごいドラマになりそうだったのにな、という感じです…。
作品の雰囲気はとても明るいイメージがポスターなどからは感じますが、虐待をテーマにもしていますので、作品は結構な暗さを含んでいることをご注意ください。

主演のパク・ウンビンさんですが、今作で驚かされたのはとにかくその素晴らしい歌声!!
ものすごく芸達者な方というか、何でもできるのだなあ…と、ただただビックリしました。
ディーバというタイトルに全く負けておらず、一見の価値があると思います。
しかしながらモクハという役柄としての演技(演出)については、前作のウ・ヨンウ味を感じてしまい、個人的にはその点については私はガッカリしました。(すみません、個人の感想です)
15年の月日を無人島で過ごしたモクハ、彼女の性格が変わってしまうのは不自然では決してないと思います。
ですが、モクハという女性が島の強いなまり(アクセント)で"世間慣れ"していない様子を描く演出に、病状を表現していたウ・ヨンウと似ているのはどうなのかなと気になった次第です。

ゆるいネタバレありの感想

無人島のディーバあらすじ考察レビュー
ネットフリックス 無人島のディーバ考察
韓国ドラマ 無人島のディーバネタバレ

チュンサム島で父と2人で暮らす中学3年のモクハは、憧れの女性歌手ランジュに夢中。
モクハはランジュのような歌手になることを願っていたのです。
ある日モクハはランジュも審査員となるオーディションに応募するため、自身のミュージックビデオを撮影しようとしますが、彼女はビデオカメラを持っていません。
そんな時、クラスメイトのギホがカメラを持っているという話を聞きつけ、彼に頼むのでした。
色々ありつつも撮影に応じるギホ。
彼女の明るい歌声の彼女自身に一瞬で引き付けられたものの、そんな光のようなモクハにイラつきもします。
まさに「心配事も悩みもなさそう」なモクハ…。
なぜならギホは家に帰ると、警察官である父親からの暴力を受けていたのです。
1人孤独で壮絶な環境に置かれたギホにとって、楽しそうに歌うモクハは自分とは真逆の存在に見えたのでした。

撮影の翌日、モクハは学校を休みます。
不審に思ったギホがモクハの家に行ってみると、何かトラブルがあったことがわかります。
実はお気楽そうに見えたモクハもまた、ギホと同様に実の父親から暴力を振るわれていたことを知るのでした。
ギホはそんなモクハの事情にショックを受けます。

家からの脱出
モクハの歌う姿を撮ったMVを彼女で内緒で送るギホ、なんとランジュらの目に留まります。
事務所から連絡を受けるモクハでしたが、ソウルに行くことは決して叶うわけがないのでした。絶望するモクハ。
そんなモクハの歌の実力と彼女の事情を知り、ギホは彼女を救おうとします。
自分の境遇と彼女の姿を重ね合わせたのでしょう。
耐えきれなくなった夜、モクハはギホの元を訪れ2人は家を出ます。
朝一番のフェリーで島を出て、ソウルに向かう計画。しかしここでモクハの父にバレてしまうことに。
そしてモクハは父に追い詰められ、海に…。

無人島生活15年
海に落ちて消息不明となったモクハ。島の中では彼女はもう"亡くなった”とされていました。
しかし、彼女は1人孤独に無人島で生きていたのです。その月日なんと15年。
31歳になったモクハ、ですがここで救世主が!
島の清掃に来ていたテレビ局勤務のウハクとボゴルら。彼らにモクハは運良く発見されたのでした。
モクハは長い無人島生活を終え、やっと"普通”の生活に戻ることができそうです。

無人島のディーバ 感想あらすじ考察レビュー

ランジュとモクハ
ウハクとボゴルがテレビ局勤務ということもあって、モクハの過去がこの兄弟を通してと語られ始めます。
モクハが恩人のギホを探していること、そして憧れの歌手ランジュの存在。
再びランジュと再会したモクハですが、あるきっかけでモクハがランジュのゴーストシンガーに。
モクハの「歌の実力」がここで認知される最初の機会となります。
ランジュは喉を悪くして歌えなくなっており、また事務所との関係も悪い状態になっていました。
しかしそんな彼女をモクハは昔と変わらず応援し続け、彼女のマネージャーとして働くことに。
ですがモクハはランジュの側にいるうちに、歌手として夢を持っていたことを強く意識し始めます。

ウハクとボゴル、そして父
この兄弟には何か隠している過去があるようです。
モクハからギホの名前を聞くたび、自分がギホではないかと信じ始めるウハク。
一方でギホを探すのは止めろと言うボゴル。
実は彼ら2人のうちの1人はギホなのですが、それを隠し続ける理由はただ1つ。例の虐待父のためです。
あの執拗な父親は今もなお、自分を裏切って出て行った息子と妻らを探し続けていたのです。
地獄を忘れて幸せな生活を送っていた兄弟と母。しかし、心のどこかではまだ怯えていたのでした。
思いがけずモクハが出てきたことで、また父親の影がちらついていることに特にボゴルは警戒していたのです。

気になった点
・ギホとモクハの恋愛関係
この2人の関係ですが、個人的には理解はできるものの描写としてあまり納得がいきませんでした。
というのも、そもそもモクハとボゴル(ギハ)の2人のシーンがそれほど無かったのがあるかと思います。
2人の出会いは無人島前の10代にさかのぼります。
ギホはモクハのMVを撮影している時に恋に落ちたと察しますが、とはいえ15年以上もの間(特に普通の生活を送っていたボゴルにとっては)モクハを想い続けていたというのもしっくり来ませんでした。
ギホとモクハの過去の繋がりは、恋心というよりもむしろお互いの境遇からの脱出というか、「同志」であったと考察します。
”夏服を着れなかった”2人…。そんな彼らだけしか理解できない状況に対する、2人だけの”繋がり”でなかったでしょうか。
彼女を助けることが、自分を助けることに繋がるような、お互いが何か「救いのような存在」だったと思います。
そんな彼女を忘れられず心配していたボゴルが、15年後に再会。
それ以降の2人の感情の積み重ねが、正直かなり少なかったと思います。
ギホは誰か?というヒネリを置いて、兄ウハクとモクハの関係を序盤に強めに描いていたのも、正直かなり影響していると思いますが…。
ここはストレートにモクハとギホの再会後、紆余曲折あったお互いの気持ちを正面から描いて欲しかったです。
ラブストーリーがメインテーマにはなっていませんが、彼らの関係を描く描写が割と雑のような気がしました。

・ギホ父の死
虐待をしていたこの父ですが、モクハ父と同様、最終的には亡くなっています。
結局どうやっても彼のねじ曲がった考えは最後まで正せなかったわけですが、その父の死でギホ一家やモクハが"安心を得る”というのは、ちょっと「答え」として結果的に救いがないな、と観ていて残念に感じました。
ギホ父(モクハ父)は間違えていたと反省しなければいけませんし、その部分をギホらへの真の救いとしてドラマとしては提示して欲しかったです。

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ということで、モクハとランジュの関係も良かったですが、ランジュの親まで広げてエピソードは繋がります。
ちょっとそのあたりも全12話としては尺が足りず、枠を広げすぎて少々主題が散漫になっているような気がしました。
ドラマとしては非常に素晴らしいスタートで、どのようにお話が広がっていくのかと大変ワクワクさせられるものでしたが、期待したよりは真新しさがなかったかなと思いました。(すみません、個人の感想です)

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