ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 39歳 (感想)

おすすめ度:60%
生と死度:100%
友情フォーエバー度:100%
原題:서른, 아홉 (30, 9) / Thirty-Nine (全12話)

39歳Netflixドラマ感想

18歳から続く友情、39歳になった女性3人の人生とは。2022年放送のヒューマン系ドラマ。

あらすじ・キャスト

ミジョ(ソン・イェジンさん)、チャニョン(チョン・ミドさん)、ジュヒ(キム・ジヒョンさん)は高校時代に知り合い、
39歳になった今も大親友のまま、20年以上の付き合い。お互いの家族とも仲良く、彼女たちの間に隠し事はない。れぞれの道を進む3人の仲はずっと続くと思っていた。
しかしあるニュースが3人の元に飛び込んでくる…。

感想

面白い・面白くないというハッキリした感想を持ちにくいというか…、正直なところストーリー的に言わんとすることは理解できるものの、主軸が微妙なドラマだなあと思いました。
タイトル通り39歳の女性3名の友情や彼女たちの人生を切り取って描いた作品です。
喜びもあれば悲しみもあって…という、”2度と戻らない日々”についての重く、輝いた日々のドラマ。
死をテーマとしているのもあってお話はやや重くもありますが、死と共に”生きる”という根本的なことも考えさせられます。

ただ作品として捉えると、なんでしょうか…全体的に抑揚がなく、エピソードがかなり表面的すぎる気がしましたし、正直わざとらしさも感じました。
涙を流してジーンとしても、次のシーンで萎えるというか、エピソードが散らかり気味というか…。
後述しますが、「引っかかる」シーンが多いのも気になりました。
39歳の彼女たちの”戻ることができない時間”に重点を置いて語られ、主題的にもスローでわざと大きく山場を取っていない演出だろうなとは思います。
しかし話の中で”わかりやすいベタな”問題が頻繁に発生する割に、掘り下げが浅すぎてさっさと問題が終わるように思えてしまいました。エピソードの盛り具合としては深さを匂わせながらも、実際視聴しているとぬるいと感じてしまうというか…。
そのあたりが視聴していて、どうしても個人的には気になりました。
ただ、悲しみだけで湿っぽくしたくない、それだけが人生ではないという意図でこのような描きかたになっているのかなと考えますが、それが逆に妙に空回りしているのではとは思いました。

総合的にはネガティブ寄りな感想になっていますが(すみません、個人的な感想です)、このドラマの最も素晴らしい点は役者さんの演技。これは大変印象に残りました。
シーンの流れがゆっくりなので、それだけ集中して観れるのですが、毎回どの方も演技がうますぎる…と唸ってしまいました。ちょっとした仕草とか本当に繊細で、その点はスゴいなあと単純に感動しました。
私はイ・ムセンさんの涙に関する演技が非常に印象的でした。良かった!

ちなみに、イム・シワンさんとカン・テオさんがカメオ(特別出演)されています。
作品内でシワンさんとテオさんが出演されているドラマ「Run On/それでも僕らは走り続ける」(39歳と同じ監督作品)が流れているシーンがありましたが、軽い伏線になっていました。

ゆるいネタバレありの感想

チョン・ミドさんインスタグラムより

ミジョ、チャニョン、ジュヒは18歳の高校生の時からの知り合い。39歳の今も大親友です。
ミジョは人気皮膚科の医院長、しかし1年ぐらい長期休暇を取ってアメリカにゴルフ留学を計画中です。
順風満帆そうなミジョですが、彼女は実は養子であり、施設出身。彼女の中では10代の時のように実の母について思いを馳せる時があるようです。
そしてチャニョン。
彼女は若手俳優たちの演技指導を仕事にしています。しかし、プライベートでは世間的には”許されない”恋愛中。
チャニョンと”彼氏”である既婚者で子供もいる彼との間には、プラトニックな付き合いという一線を引いた関係を保っているようですが、既に約10年間チャニョンはその関係を続けています。
もちろん友人のミジョやジュヒは反対していますが、チャニョンは聞き入れません。
そしてジュヒ、高校を卒業して働いている彼女。
現在はデパートで美容部員として勤務。理不尽な客の態度にも耐えながら、明るいジュヒは母親と2人で暮らしています。そんな彼女ですが、実は恋愛未経験なのでした。
この3名が39歳という年齢で、”人生”を突き付けられる岐路に立ちます。
彼女たちの元に悲痛なニュースが入ります…。チャニョンがガンを患って余命宣告されるのでした。3人は一気に”死”を意識することに。

冒頭に葬儀のシーンがあり、チャニョンが後に死んでしまうと早々に明かされてからスタートする物語。
そんな序盤、視聴していて速攻で萎えさせられたのが、チャニョンの病の宣告についてです。
彼女は健診で病気が判明した訳ですが、何とこの担当医師が当の本人チャヨンよりも先にミジョ(しかも全く違う病院に勤務)に電話で結果を知らせるという謎。そんなことあるの??と、これには大変困惑しました。
またその後も他人にまで本人以外がチャニョンの病状を伝える始末。これではチャニョンの希望した最後まで普通に過ごしたい、という希望は叶えられるのか微妙な気がしましたが、チャニョンさんはさほど問題にしていないようでしたのでOKなのかもしれませんが…。
とはいえ「某医師生活的にそれはどうなの?」と、画面のミドさんに向かって心の中でキツく問い詰めてしまった次第です。

チャニョンの病をきっかけに、3人の関係、男性との関係、家族との関係など、3人の中に今まで蓋をしていた様々な問題が、一気にまとめて彼女達に押し寄せてくるようでした。
チャニョンが死に向かう中で、周囲の人々、そして本人が何ができるか・何をしたいのか、そのような”気持ち”は視聴していてこちらに問いかけてくるようで、考えさせられました。

一方、彼女たちに降りかかる問題が想像以上にドラマあるある問題+プラスαとして妙に”狙った”ものが多いかなあと感じました。(良い意味でも悪い意味でも)

  • 彼とは”寝てない”からセーフ問題
  • 施設出身がつらい問題
  • 施設出身者は認めない爺問題
  • 恋愛下手キャラ問題
  • 愛はない家庭だからしょうがない問題
  • 血の繋がりない兄妹・姉妹問題
  • パニック障害設定の是非問題
  • 結婚するほど愛し合っているのか問題
  • 怒りの妻による突然の勝ち判定問題
  • 実の親は典型的トラブルメイカー問題
  • ケーキ屋いきなり襲撃問題
  • お店を貸切にする必要性問題
  • 借金取りは本当にもう来ないのか問題

など、やはりエピソードが単なる”事件”だけで都合よく存在しているのが、深みがなく残念でした。
個人的には気になる点が多々ありましたが特に謎に感じたのは、ミジョとソヌの関係性です。
この2人が短期間で結婚を意識するほど強く惹かれあったり、強烈に盛り上がっているようには個人的にはあまり思えなかったです。まあ39歳の大人の方なので、そのような関係なのかもしれませんが…。
特にミジョさんがソヌに大して興味がなさそうに感じたのは、病気のチャニョンの手前恋愛に踏み込めない、という心理だけではない気もしました。(ソン・イェジンさんやヨン・ウジンさんが悪いということではなく、キャラの描き方です)
恐らく、ミジョの恋愛だけが主軸になっていない(このドラマはラブストーリーでは決してない)という意図は伝わりますが、逆に妙に引っかかるというか…。
ミジョの恋愛パートが本当に必要だったのかな、と終盤は特にそう思えました。

そしてケーキ屋さんの件ですが、これは本当に疑問に思いました。
恐らく「3人が出会った18の時から39歳になっても、あまり変わっていない」、という意図が何度も語られる通りなのか、いつもと違う一面としてアピールするためにわざとらしい”荒っぽく大胆な”トラブルを挟む部分が多いように思えたので、この件もその一連の流れだろうなとは思います。
ただ、ちょっと逸脱しすぎのような。

このように全体的にこの作品は、視聴していて小さな”引っかかり”を残す部分が頻繁にあったように思えました。それをきっかけに、せっかく入りかけていたドラマの世界から急に醒めてしまい、萎えてしまうことが多かった。
良いシーンも本当に多かったのですが、これが最も残念だと個人的には思った点です。

ラスト2話は本当に良くて、まとめ上げたなあと感じました。
途中視聴していて挫折しかけた方は、ラスト2話だけでも視聴されると繋がると思います。
ということで、つまらないとは思いませんでしたが、全体的にテーマの割に物足りなさを感じた作品でした。しかし出演されている役者さんの演技が良くて、さすがだなという印象は強く残ったドラマでした。

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