おすすめ度：67％
19回目の人生度：100％
プール度：100％
原題：이번 생도 잘 부탁해 / See You in My 19th Life (全12話)
転生を繰り返した19回目の人生。ジウムはあの男性に再会することはできるのか…？2023年のファンタジーロマンス。
あらすじ・キャスト
ジウム（シン・ヘソンさん）は、他人には理解し難い秘密を抱えてずっと生きてきた…何と前世の記憶があるということ。
現在19回目の人生を送るジウムだったが、今回は必ず会わなければならない人が。それはソハ（アン・ボヒョンさん）、18回目の生で出会った彼。
ソハと再会すべく、ジウムは彼の元へ急ぐのだった。
感想
描写不足でつっこみたい部分がいくつかありましたが、俳優さんの演技が素晴らしいという1点張りで、楽しめた作品でした。
主人公のジウムが前世の記憶を持ちながら、何度も生まれかわって現在19回目の人生の半ば。
使命のように18回目の前世で出会った、あの少年を探して…という、ファンタジーロマンス、転生モノです。
都合の良さとテンポの乱れ、加えて同じシーンの積極的なSDGsを感じつつも、全12話という尺の中で散らかったようにも見えたエピソードを大急ぎでまとめてあり、色々と印象的でした。
出演されている俳優陣ですが、シン・ヘソンさんやアン・ボヒョンさんの主演のお二人を筆頭に文句なく素晴らしかったです。
俳優さんの演技は素人目からしても本当に申し分なかっただけに、あと一歩ストーリー軸の肉付けをもう少し頑張って欲しかったかな…と思いました。
端的に言って、物足りなさを感じました。（偉そうで申し訳ないですが、あくまでも個人的な感想です）
コアとなるエピソードとエピソードを橋渡しする線の繋がりが妙に弱く、その”空白”の部分を埋めるかのように、プールと事故シーンを「もういいよ…」というぐらいリピートで使っているように結構見受けられました。（後述します）
また12話構成としては、結構な数のネタが詰められています。全14話でも良かったような…。
そのためか、エピソード回収についてのテンポが悪かったり早かったりと安定せず、結果的に各キャラとエピソードの掘り下げが鈍くなっているように感じました。
出演者の方々がとにかく魅力的で、全てにおいてポテンシャルが高いドラマかと思えたのですが、肝心のお話の描き方について個人的には不満を少々感じたのが正直なところです。（すみません、個人的な感想です）
この作品の同名の原作はWEBコミックで完結しているとのことですが、私は未読です。
ゆるいネタバレありの感想
ジウムは前世を記憶しています。現在、19回目の人生を生きている彼女。
今回の人生…酷い家庭環境にウンザリしながらも、しかし彼女には使命のようなものがありました。
それはひとつ前の人生（18回目）で出会って恋心を抱いた、少年ソハを探し当てること。
まだ幼いジウムは17回目の人生の縁を結んだエギョンの元を尋ね、家から脱出することに成功します。そうしてやっと、今や高校生になったソハを密かに探し出したのでした。
一旦ソハは消息不明になってしまいますが、その間にジウムは彼を再び”追う”準備は万端。ジウムは学歴も知識も手に入れ、何としてもソハに近づこうと決心します。
そして遂に、ジウムはその最大のチャンスを手にいれるのでした。
18回目の人生の悲劇
何故ジウムはこれほど、ソハに固執しているのでしょうか？
その背後には18回目の人生での悲劇が関係しています。まだ幼かった2人でしたが、密かにお互いを強く想っていました。
ソハの実母が亡くなってしまった際に、ジュウォン（ジウム）は「ずっと守ってあげる」と約束します。しかし2人の乗った車は事故に遭い、ジュウォンは帰らぬ人に。
以降、ソハは初恋だったジュウォンを忘れることはなく、人を愛することもなく心を閉ざして生きていたのでした。
ジウムは事故後すぐに転生し、18回目のソハの事がずっと忘れられず、新しい人生でも再び会うことを強く願っていたのです。
ジウムとソハ
MIグループ会長を父に持つソハ。ジウムはソハが帰国後にMIホテルで働くことを知り、彼の側で働く機会を得ます。
やたら積極的な態度のジウムにソハは不信感を抱きつつも、思った以上に簡単にソハはジウムと親密に。
ジウムは前世のジュウォンとソハの会話内容を現世でも巧みに織り交ぜ、ソハの気持ちを掴みます。目的を早期達成したジウムさん。
しかしあの車の事故が引っかかります。ジウムの弟をきっかけに、2人を引き裂いた悲劇の事故は誰かが「仕掛けた」ものだったと突き止めるのでした。
ジウムの性格と謎
前世を覚えているジウムさんですが、周囲の人々にナチュラルに過去を自ら漏らしていくスタイル。
正直、視聴していて違和感を覚えはしましたが（未来がその行動のせいで変わる…というのがよくあるセオリーですが）、今作ではその点は普通に問題なさそうです。
当然、チョウォンやドユンまで普通に気付き始め、気付けばソハだけが知らない状態。
ジウムの中にある（転生し続けている）”人格”はどのようなものなのでしょうか？
8〜12歳の間に前世を思い出すと冒頭の説明にあり、ジュウォンもその頃から雰囲気が変わったとのことなので、前世を思い出した時点で「本来の中の人」の我が出てくるイメージを持ちました。
過去にもジウムは本来の人格で、仲良くなった人には前世の話を自由にしていたのでしょうか？とりあえず今までトラブルにならなくて良かったね…と思いました。
人生23回目の先輩
途中から、謎の転生23回目先輩の”アルバイト”青年ミンギが出現。
「前世で良縁だった人と再び縁を結ぶと、良くないことが起こる」
何でしょうか、その取ってつけたような恐ろしいルールは…。
だったらいち早くジウムさんに教えてあげて欲しいところですが、何の魂胆なのかミンギさんはシーンに意味深に出現しては、消えて行くばかり。
エギョンを救ってくれよ！と願うばかりですが、鍵は「1回目の人生」ということです。
CMを何度も挟むクイズ番組のように、布がはためいているシーン以外の1回目の人生をなかなか思い出して下さらないジウムさん。フラストレーションが溜まります。
そしてミンギさん…、あの鈴を23回もの転生中に一度も紛失しなくて良かったですね。
やっと最終回で全て思い出したジウム、ミンギ”教授”はそこで「解決法」を教えるのでした。
というか、ミンギはなぜ解決法をそもそも知っているのでしょうか？
このミンギこそ、この23回も転生している前世の呪いから今こそ救われるのでしょうか？なんだか気の毒に思えました。
個人的にミンギについては、存在と理屈が謎すぎて気になって仕方がありません…。
（あくまでミンギの役についての感想で、演じるイ・チェミンさんについてでは決してありません）
まさかの呪い
やっと1回目の人生を思い出したジウム。何と1度目人生は現世の知った顔がオールスター総出演。レア。
この最初の人生こそ、全ての元凶です。愛する姉を殺された”ジウム自身の深い恨み”こそが始まりだったと判明。
人を恨みすぎると自身を呪うことになり、碌なことにならないという警告でしょうか…。
しかし考えると、18回目のソハとジュウォンの悲しい運命＝19回目での再会は、ただの前フリだったようにも思え、一体何だったの感。
色々と考えるとまるでパラレルワールドに陥ったように、視聴していて頭にクエスチョンマークが並ぶばかりです。
気になった点
個人的に気になったり、もう少し知りたいと思った部分を上げます。
（あくまでもストーリーに対する素人の個人的なツッコミと疑問であり、演じる役者さんに対するものではありません、すみません）
・プールと事故のフラッシュバック
この2つのシーンについては、どう考えても頻繁に使いすぎだと思います。
12話という少々タイトな尺で、この同じシーンを何度もしつこく使う効果が私は理解できませんでした。
他に時間を割いて欲しい部分は山ほどあったように思えましたが…。
・ドユン＆チョウォン
このカップル、とにかく大変良かった！2人の距離感も切なく、視聴していて自然と彼らの幸せをただ願いました。
つまり端的に言いますと「もっと2人のシーンが観たかった」です。
最終回はドユンがチョウォンに彼女の”意思”を確認しましたが、与えられたシーンが短くプロセスを吹っ飛ばしているため、もっと早くそのセリフ言えたのでは感。
2人のキャラが好きだったからこそ、そう思わせられたこと自体に残念でした。
事故のリピートシーンを半分に削減しただけで、2人のシーンはまあまあ捻出できたのでは？と素人ながらに思ってしまった次第です。
・事故の犯人
結構なシーンの尺を費やした2人の事故。
酷い状況で2人は引き裂かれ、犠牲も多く出した件。ひとつの山場です。
しかし、それに対しての”結末”があまりにも一瞬で片付いてしまい、拍子抜けしました。
犯人はソハが信頼していた人物…、そんな人に裏切られたわけです。
ですが、その人物とソハがどれぐらい親密だったのかそもそも描写がないので（それなりに想像はできるものの）肝心の彼の悲しみとショックが大して伝わっては来ませんでした。
・父とソハの関係
実の母が亡くなった後、妻の座についたヨンオクの不正をソハが”母”の手助けもあり暴きます。
その後突然あの冷酷だった父がいきなり笑顔になり、事故の件も含めてソハに謝罪。
茶番感というか、あのひどい態度はどう考えても「ソハを守るため」とは思えなかったのですが…。困惑。
・ソハ実母の転生
この母の生まれ変わりですが、存在意義がよくわかりませんでした。
ソハを後妻から守るため、後に物証を与えるという役になっていましたが、正直それだけ…？ミンギとの関係は何でしょうか？
ソハさんも、せっかく母親が前世から隠し持っていた（方法は謎）物証の原本を簡単に敵に渡してしまい観ていてヒヤヒヤしましたが、速攻で綺麗に解決したようで良かったです。
・忘れてしまったジウムのその後
ミンギに教えてもらった方法で「忘れ」、平凡な人間に戻るジウム。
もちろんお世話になったエギョンのことも忘れてしまいます。
ただ彼女は子供時代に家を出て以来ずっとエギョンと暮らしていた訳ですが、その後ジウムは一体どこで生活しているのでしょうか？
エギョンと店のことも忘れていますので、彼女は忘却直後からいきなり住む場所を失う状況になりそうですが、その辺りのロジックが一切理解できずモヤモヤしました。
また周囲の人々は彼女を覚えていますので、いきなりエンジニアに戻ってしまったジウムに対し、ホテルで働いていた他の従業員はどう考えていたのか…。というか、MIのエンジニアに戻っている理屈も謎すぎました。
・ドユンの記憶
ジウム1回目の人生にあのドユンも登場していますが、彼女は何ら彼については触れません。
ドユンが意味深に橋の写真を見つめており、謎の鈴もあるシーンもありましたが、一体何の意図だったのか教えて欲しいです。
ドユンも何か思い出したのでしょうか？
・ホテルの再生
そもそもこの当初の目的は一体どうなったのか、描写ゼロで気になりました。
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ということで、謎はほぼ全て放置の上、かなりの大忙しだったエンディング。
最後ですが全てを忘れてしまったジウム。
しかし、かつて彼女がソハにたどり着いたように、ソハが再びその道を辿るように用意してあげたというのは、今作らしくファンタジックでとても良いなと思いました。
ラストシーンは上手く構成してあり素敵でした。
とはいえ、野暮なツッコミをすると上司の立場からグイグイ誘うソハさん、ハラスメント的には大丈夫かなとは思いはしました。
とりあえず結末はハッピーエンドで良かったですが、どの俳優さんも素晴らしかっただけに、上述したようにもっと深堀したエピソードが欲しかったな…と、やや渋い気持ちを抱いた次第です。
