ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 不可殺 プルガサル -永遠を生きる者- 感想

おすすめ度:78%
転生度:100%
果報度:100%
原題:불가살 / Bulgasal: Immortal Souls 全16話

Netflix 不可殺プルガサル

魂を奪われ死ぬこともできない不可殺(プルガサル)となった男性が追う女性とは。2021年放送のダークファンタジー

あらすじ・キャスト

不可殺/プルガサルの呪いを受けた子として、疎まれて育ったファル(イ・ジヌクさん)。しかしそんな彼の元にも遂にプルガサルがやってくる。自分の家族を殺しそして自分の魂を奪った謎の女性(クォン・ナラさん)に復讐するため、ファルは600年もの間、転生した彼女を追い続けるが…。

感想

面白かったです!
不可殺/プルガサルという、魂を持たず”死なない”怪物のような存在を巡って、前世と現世の縁が繋がっていくダークファンタジー
復讐を誓って600年もの間転生を繰り返してきたプルガサルを探し続けるファルという男性と、プルガサルによって家族が崩壊した女性。そんな2人を主人公に時代を超越してもなお、前世の縁から逃れられないという悲哀と愛情を描いた壮大なお話です。

序章となる第1,2話ですが、全ての始まりである高麗時代を舞台にドラマがスタート。このドラマの入りがとにかく重くて暗いので、最初で観るのを敬遠される方も多い気がします。
ですが是非その部分を乗り越えて(?)、視聴を続けて頂きたいなあと思います。
特に3話〜中盤後半にかけての流れからは、その世界観に引き込まれるものがあって素晴らしかったです!
ファンタジー系ということもありアニメっぽい演出も多かったのですが、作り込みすぎず凝っていて作風を崩さず本当に良かった。
全体的にあまり矛盾を感じさせない展開で、硬派で魅力的なドラマだったなと思いました。雑だなと思わせる部分があまりなく、世界観がしっかり確立していたのも魅力的でした。

ファルを演じるイ・ジヌクさんですが、無骨さと気難しさのある雰囲気でかなり役柄に合っていて素敵でした。その渋さに今作では感嘆してしまいました。
目が赤く光るという演出が多かったのですが、不気味でもあり妖艶でもある赤い目とジヌクさんの親和性がすごい。異様にジヌクさんに似合うな…と思ってしまいました。
ジヌクさんのヘアスタイルですが、今作では真っ黒でやや長めだったのもあって、赤い目を引き立てているようにも思え、ワイルドさと冷酷さが同居していて良かったです。
クォン・ナラさんもミステリアスな雰囲気が作品にしっかりハマっていて大変美しかったのですが、若干演技が硬い気もしました。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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クォン・ナラさんインスタグラムより

現代から600年前の高麗末期の時代。
鬼物と呼ばれる、人を喰う怪物が存在した時代に、ファルは生まれます。産まれたときから「プルガサル呪われた子」とされ村人から忌み嫌われ、実の父は彼が子供の頃に去ってしまいます。
プルガサルとは鬼物さえ恐る最上位に位置するような存在、その”不可殺(プルガサル)”という漢字から推測されるように、殺すことはできないようです。

そんな身寄りのないファルでしたがその後有力な将軍の養子となり、彼は鬼物を次々と退治する有名な人間になっていました。
しかし、ある夜ファルは妻ソルと息子アチャンをプルガサルによって殺され、そしてファル自身もプルガサルに魂を取られてしまいます。
ファルの魂を奪った女性の姿をしたプルガサルは、人間に転生することになります。反対に魂を取られたファルは、プルガサルとして生きていかなければなりません。
ここでプルガサルになったファルは、自分の魂と家族を失った怒りで、転生する”あの女”を絶対に見つけ出して怨みを晴らすと誓います。

一方のサンウン。
双子の姉がいたサンウンですが、その姉と母は彼女のすぐ側でプルガサル(男性)に殺戮されてしまいます。
姉は襲われる直前に双子の妹サンウンに「手に傷のある男を探せ、それがプルガサルへの”剣”となる」と告げます。そしてそれが”最後のチャンス”だと…。(サンウン姉は過去の記憶を持っていました)
姉を失った後、彼女は常に謎の存在に追われ、プルガサルという存在に怯えながら暮らしていました。そんな日々から逃れるため、「剣」を探します。ファルにとってはサンウンこそがプルガサル”だった”女性なのですが、彼女はそんな過去の記憶は失っており、プルガサルを現在も恐れていたのでした。

魂を取られプルガサルに変えられてしまったファルは、自分の人生を狂わせたプルガサル(サンウン)を600年後の現在、やっと見つけ出します。
しかし自分の人生をプルガサルによって破壊されたサンウンは手の傷のあるファルこそがプルガサルを殺すキーパーソンだとして、彼に純粋に助けを求めます。
このように、ファルにとっては絶対的に敵であるサンウン(プルガサル)が一時的に仲間になるという構図。
加えて、途中からもう1人のプルガサル=オク・ウルテ(イ・ジュンさん)が実は存在するということが明らかになり、物語がぐっと面白くなっていきます。

その”もう1人のプルガサル”ことウルテさんですが、大変面白味のあるキャラで個人的にかなり好きでした。
前世を思いっきり引きずっているような性格が見え隠れし、妙に子供っぽい部分を全面的に出していて、ファルに比べて解りやすいというキャラ設定もとても良かった!
ウルテの周囲の人物との関係性の築き方も子供のようで、感情表現がストレートなキャラクターです。
彼にとってはファルは自分と同じ”プルガサル仲間”であり、2人の共通敵は”あの女(サンウン)”であるはずなのに、なぜファルがサンウンと組もうとするのかが全く理解できません。
まるで嫉妬で怒り狂った痴話喧嘩のごとく憤慨するウルテさん…。つい感情的に「ファルと俺の仲をあの女が裂こうとしている!」と素直にキレ散らかしてしまいます。
正直、これはちょっと可愛いと思ってしまいました。
実はウルテの歪んだファルに対する熱情は1000年前に遡ることになります。
ウルテがプルガサルになったきっかけがファルそのものだった訳ですが、(当時)病弱だったウルテは、その圧倒的な存在感を示すプルガサルだったファルを羨望し、憧れ、半ば崇拝していたようにも見えました。
ウルテにとって完璧なアイドルだったファルさん…。しかし彼の熱意はファルには理解してもらえなかったようです。

ファルはウルテの存在により一時的にサンウンらと一緒に行動することになりますが、彼の中でも常に迷いはあります。
また、600年前の巫女であった女性へソクの「記憶を失った者(サンウンのこと)が記憶を取り戻した瞬間、ここにいる者は死ぬ」という不吉な言葉…。
記憶を取り戻しつつあるサンウン、そしてそれを恐れる彼女自身。加えてファルに惹かれ、どんどん好きになっていく気持ちも募ります。

面白いなと思ったのが、プルガサルでもあるファルと人々の縁です。
彼は過去に様々な業を背負い、現在で出会う人々に過去の姿を重ねます。(実際見た目も同じ)また過去鬼物だった者が現在は人間に転生しているが同様は犯罪者として存在しているというのも、業の表現として面白かった。
良縁でも悪縁でも果報(業、カルマ)を断ち切れず、来世でも出会い続ける、業に結局のまれてしまうという半ば諦めにもなってしまっていたファルを閉じ込めている檻のような気持ちが、次第に緩んでいく表現は良いなと思いました。
ファルの周囲にいた人々…ウルテ含め同様に、常に孤独を感じていたという人物だったというのも良かったです。

何度かプルガサルなんてものは存在しない、というセリフもありましたが、結局のところ、”縁”や”業”という概念を具現化したものがプルガサルだったように思いました。
良縁であっても悪縁であっても、人の業や輪廻という部分をファンタジックに描いた作品だったと思います。

残り数話になり、最終回含め1000年前のストーリーに辿り着いて明かされるのですが、終盤ちょっとモッサリしたテンポになったのは気になりました。エンディングはは想像はついたものの、今までの雰囲気と180度転換した晴れやかなシーンで良かったです!

ただウルテの死の演出ですが、個人的に好きなキャラだったのもあり、最後はもう少しドラマチックでも良かったかなあと少し残念に感じました。
元々派手なキャラだったので、終盤何だかどんどん気弱になっていったのが不憫でした。ラブコールをあれだけ送っていたファルには最後まで構ってもらえず、敵(?)ながら同情してしまいました。
彼もどこかで転生していると良いなあと思った次第です。

ということで、かなり硬派な雰囲気で進んだ作品でしたが、実はかなり壮大な時を超越したラブストーリーだったというのは、なかなか興味深かったです。
ただ、1000年前の謎に包まれていた理由ですが、なかなか明かされなかった割に若干エピソードが軽すぎる気もして拍子抜けしましたが。
とはいえ、最後まで独特のスタイルを保った構成になっていたのは、とても良かったと思いました。かなりファンタジー寄りのドラマでしたが、非常にストーリーの流れが魅力的で私は中だるみせず最後まで面白く視聴しました。
好き・嫌いが別れるかなと感じますが、クオリティーは高くドラマチックなしっかりした作品だったという印象を受けたので、興味が出た方はぜひ観て頂きたいです。

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