ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ わかっていても (感想)

おすすめ度:79%
バタフライ度:100%
パク・ジェオンという男度:100%
原題:알고있지만 / Nevertheless 全10話

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あらがえない魅力を持つ"悪い男"に出会ってしまった女子学生の関係の行方とは。2021年放送のラブストーリー。

 あらすじ・キャスト

大学生のナビ(ハン・ソヒさん)は彼の浮気が発覚し、失恋。
直後に偶然ミステリアスな男性、ジェオン(ソン・ガンさん)と出会ってしまう。首に特徴的なタトゥーを入れ、不思議な雰囲気のジェオンに誘われるナビだったが…。

感想 

ナビ=視聴者というヤバさ
第1話のとんでもねえ事がこれから始まるというドキドキ感。
レート19の事前情報でザワつき、"テントを張る”という死語で困惑した第2話。
そして真顔とニヤついた顔を交互に繰り返しながら、走り続けた全10話。
僕たち!私たち!は、パク・ジェオンから卒業します!
結論「なかなか」の作品でした。
原作はNaver Webtoonのこの作品、パク・ジェオン=ソン・ガンさんのキャスティングの時点で大勝利というか、とにかく"観て"しまう…。
そんな魅力においても、視聴者=ナビの立ち位置に自然となっていて、よくできているなと感心しました。

個人的にはソン・ガンさんが好きな俳優さんなのもありますし、作品として実験的な面や潔い突き抜けた部分も感じられ、毎週とても面白く視聴しました!
ただ、ストーリーとして何か心に訴えるかと問われると、そこは皆無。ゼロ。
ですが大前提として、良い意味でも悪い意味でも、このドラマは「そういう雰囲気」を大いに楽しむべき作品だと思います。
恋愛・男女関係への刹那的、情熱的、駆け引き、衝動、嫉妬…。
恋愛において人を駆り立てるような、どうしようもない気持ちを切り取った、現代的でリアルっぽい描写と"雰囲気"、そして音楽、切ない色合いのシーン。
もはや超豪華なMV(ミュージックビデオ)と言っても過言ではない…かもしれません。

個人的に面白いなと思った点として、韓国ドラマでは珍しく"攻めた“親密なシーンも比較的多くあります。
これについては、30代でもキスするだけで13話ぐらいかかるドラマへのアンチテーゼのような点もあり、ある意味とても尖っていて挑戦的な作りで特徴を感じ、私は大変興味深く思えました。(そこまで際どいシーンは全くありませんが…。)

上述したようにストーリーとしては、大変浅い描写になっています。
肝心のナビとジェオンの2人が特に不明な部分が多く、彼らの詳細な背景は説明されることは一切ありません。
気になるジェオンのクズい行動に至った理由などは説明されませんので、お話としては、面白くないと思われる方も多いかもしれません。しっかりとした「物語」をドラマに求める方には、ちょっと合わない作品かなと思います。

とはいえ総合的にはハン・ソヒさん、ソン・ガンさん共にキャスティングがとにかく素晴らしく、突っ込みどころ含めて面白い点もたくさんありましたので、気になっている方は是非観て欲しいなと思います!

ユ・ナビ役ハン・ソヒさん
ナビは蝶という意味。
ホンソ大学彫塑科の学生、将来はパリに留学したいと考えている。
意思決定がやや弱く、はっきりとしない性格を持つ。
元カレの浮気が原因で失恋するが、直後にジェオンと出会い夢中に。
母親とは不仲で、伯母は陶芸家。

パク・ジェオン役ソン・ガンさん
首の後ろに特徴的な蝶のタトゥーをしている。女性に人気。喫煙者。
母は世界を飛び回る芸能(ダンサー)系の有名人で、年に数回しか会わない親子関係。
休学後に復学した彫塑科の学生で、周囲にその才能を認められている。
実際に蝶を飼育していて、”蝶"にとんでもない執着を持っている。
フォロワーは女性ばかりの(ドラマ内SNS)StargramのIDはnavi_boboで、自己紹介文は" I'm not dwelling on the past(過去にはこだわらない)”
女性への誘いの言葉は「蝶を見に行く?」

ドヒョク役チェ・ジョンヒョプさん
ナビの幼馴染でナビが初恋相手。
ジャガイモの大量買い出しの途中、バスの中でナビと10年振りの奇跡の再会を果たす。
除隊後にソウルに料理を学びにやって来ており、ホンソ大交差点の食堂"MIOK"で働いている。料理系Youtuber。

ゆるいネタバレありの感想

ソン・ガンさんインスタグラムより

バタフライ・ハンター☆パク・ジェオン
失恋後のナビ、初対面から距離感が異常な男・ジェオンに出会ってしまいます。
ナビ(蝶という意味)の名前を知り、薄笑いと共に目の色が変わるジェオン。
そう、彼は生粋のチョウ収集家。目の前にいる蝶(ナビ)を見逃す訳がありません。
ジェオンから「蝶を見に行く?」と意味深に誘われたナビですが、その日は危険を察知し帰宅。
しかしジェオンの強烈な魅力に一瞬で落ちてしまったナビと我々は、熱に浮かされたように…。

後日、同じ学科の友人たちと飲み会に参加したナビは、あの蝶のタトゥーを持った男性、ジェオンに再会。彼はなんとナビと同じ大学の学生でした。
ジェオンは「(自分に)会いたくなかった?」とナビに距離感ゼロで問いかけます。積極的でありながら"読めない"ジェオンの行動に、振り回されドギマギするナビ。
ナビの腕には、あの夜にジェオンに書いてもらった蝶の絵が(一応)残っています。
すっかりマーキングされてしまったナビさん…もうジェオンから逃げることはできません。

信じたい女☆ナビ
そんな浮ついたナビは、友人たちからジェオンの悪い噂を聞きます…というか、悪い噂しか存在しないジェオン君。
彼は「絶対に彼女はつくらない」…つまり、遊びの恋しかしないタイプ。
そんな忠告を聞きながらも、彼に会って甘い時間を過ごす度に「心が通じ合っている!?」と錯覚するナビ。
「もしかしたら、私には本気かも?」とジェオン君に対し、自分は特別であるという期待と願望を抱くナビさんですが、完全に認知バイアスが入っている様子。
しかしジェオンに他の女性の影がちらつく度に、そんな淡い期待は裏切られ落胆。なかなか学ばないナビ。
でもね…相手がソン・ガンさんなら、そりゃどうしようもないですよね…と、視聴者に普通に理解を示されるナビさんです。

門を開いたのは?
地獄の門が開いた」と2話の最後にかっこいいセリフが入りますが、門を開けたのは紛れもなくナビ本人。
面白いのが2人の"関係"を進めるにあたり、ジェオンはほぼ必ずナビに問いかけます。
「君が決めることだ」
「君はどう?」
「君がイヤなら、何もしない」
「君がそう言うなら」
主導権を自ら持ちながら、決断を下したのはあくまでもナビという形式を取らせるジェオン。ズルくてしびれます。
ナビ本人が、第1話の元カレとの関係を見ても主体性があまりないタイプという性格設定もあり、このあたりも弱肉強食の世界ではジェオンの恰好の餌食という関係で興味深かったです。

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昼の部の男☆ドヒョク
いわゆる体のフレンド状態のナビ&ジェオン、もうそれでいいのでは?と思っていましたが、ナビ的にはやはりしっかりした関係が欲しい様子。
そんな中、新メンバー2人の人物が出現し彼らを揺さぶります。
1名はアメリカ帰りの謎の女性、ソラ。
ジェオンとお揃いの蝶の模様が入ったZippoを持ち、「僕の運命は君だ」とジェオンに言わせてしまう、この特別感ある女性…。
元カノだとのことですが、正直よくわかりませんでした。
何度か彼女の病院の通院にジェオンが付きそう描写もあり、このあたりが鍵かなと勝手に推測していたのですが、貧血以外は不明。
そんなソラさん、気付けばジェオンに「あなたとはバイバイする」と、あっさりアメリカへ帰って行ってしまい、これには笑ってしまいました。
ナビを揺さぶる元カノAという設定丸出しのソラさん、一体何の目的で韓国へ戻っていたのでしょうか…。

そしてもう1名が、我らの麵食堂の孫ことドヒョクさん
このドヒョクさん…本当にいい人なんですが、典型的な"当て馬"丸出しの設定がすごくて、視聴していて別の意味で涙目になってしまいました。
ジェオンにドヒョクのどんな面が好きなのか?と質問されたナビのエピソードでは、彼を良い人だという点以外で1番目に挙げたドヒョクの長所「料理が上手」には全世界が泣きました。

危険・不安なジェオンに対し、安心・安全・オーガニックのドヒョク。
正々堂々と真正面から「清純」にナビを信じ愛すると宣言する光属性のドヒョクに、
ナビは動揺します。
こんな"普通の恋愛"が世の中には存在した!という衝撃でしょうか…?
この光属性ドヒョクの出現で揺れるナビを見て、逆に不安に駆られてしまうのが、ゲームメイカーのジェオン。
そう、彼も何故か次第に「自分に嫌気がさす」気持ちになっていたのでした。
一般的に嫉妬と呼ぶその気持ち…お気に入りのオモチャを失いそうになり、イライラしてしまうジェオン君です。

クズ決定戦(雨天決行)
汚れなき光属性ドヒョクのピュア・ハートを踏みにじりたくない、ナビ。
ナビは幼馴染として真正面から自分を想ってくれるドヒョクに対し、後ろめたさを感じます。
「こんなはずじゃなかった」ナビは嫌っていた、男性関係が乱れ気味と推測される母親と自分の姿を重ねていたかもしれません。
一方でクールに自分の思い描いたナビとのゲームを進めていたジェオンも、いつものようには物事が進まず、加えて自分の中に芽生えた”違う”感情にも気付き始め混乱、次第に葛藤が大きくなることに。

そんなイライラした2人、ついに終盤の9話に入り雨の中で口論に。
「馬鹿って言う人が馬鹿」という原始的理論を展開する小学生状態で、お互いをクズと罵ることに。

しかしジェオン君…「俺と寝てたクセに」その言葉はさすがにないよね…と、クズがクズたる所以を堂々と我々に見せつけてくれました。
ジェオン君、さすがトップオブクズ。優勝!
ナビが「決めるのは私と言ったよね?」とここで華麗に伏線回収、意思決定権を見事行使し、ジェオンに二度と現れるなと告げます。
この雨の中の大喧嘩の後、ナビは健気なドヒョクに渡された雨傘を屋外に思いっきり放置のまま、2人の仲は決裂。ドヒョクの気持ちは"捨てた”と実質判明。

 翼を得たSweet Homeナビ
9話でのジェオンのドクズ振りにニヤニヤしていたのですが、10話では雑な感じでストーリーが急スピードでまとまっていきます。
ナビとの雨の中の口論の後、ジェオンは突然の覚醒。
「やっとわかった、(関係を)ぶち壊したのは俺だ…」
気付くのおせえ…というレベルを遥か超越した、シンプルisベストなセリフに卒倒しそうになりました。

そんな時大学で制作に励んでいたナビでしたが、とんでもねえ事故でナビの作品は破壊。失意のナビに、ジェオンが「やり直そう」とダブルミーニング丸出しのセリフで登場。
しかし1~9話までのジェオンのあの強気の表情はもはや消え失せていました。
まるで捨て犬のような瞳を持ったジェオンに…。
お気に入りの蝶に逃げられ、翼を失ったジェオン君です。

2人は磁石のように引かれ合いながら、再び作品を創り上げていきます。
教授のコメント通り「一皮むけた」ナビさん、ソン・ガンさん主演の『Sweet Home』のヒョンス(ソン・ガンさん役)の姿を彷彿とさせるオブジェ(彫塑)を短時間で完成、パリ行の切符も手に入れそうです。

この翼を得たナビの作品のように、過去のナビとは”違い”ました。
意思を強く持った女性へ変身し、ジェオンは謎の弱気・子犬キャラに…。
1話の間で立場が逆転したようです。
一度はマセラティ車でみんなの元から消えたと思われたジェオン君でしたが、夜なのに施錠が甘すぎるギャラリーでナビと再会。
ナビの方から「付き合おう」と、ここでやっと自らの意思で告げます。
ジェオンから「後悔しない?」とまた例の如く確認されるナビですが、「それでもいい」とクズ道(ちがいます)を2人で突っ走ることを決意したナビ。
2人は無事、堂々とカップルになりました。良かったです!

と、主演2人の恋愛模様について感想等を書きましたが、正直このメイン2人よりもわかりやすくて可愛らしかったラブストーリーは周囲の人々です。
個人的に最も好きなキャラだったのは、ナビの女友達のソル(イ・ジョンホさん)です。彼女は本当に素敵でした!
中学校からの親友ジワン(ユン・ソアさん)の事が好きなのですが、同性同士という部分で彼女を押しとどめているソル。
可愛らしくて、2人の気持ちが通じ合った時は、良かったなと思った次第です。
また、助教と後輩カップルもかなりベーシックな恋愛模様を繰り広げていて、ナビとジェオンのクズい関係を浄化するかのような、典型的ラブコメ展開で完璧な箸休め的存在に。
視聴者へのご配慮ありがとうございます…というカップルでした。

ちなみに、クズではない本物の(?)ジェオンを堪能したい方は、是非このドラマのビハインド/メイキングシーンをYoutubeの"JTBC Drama”チャンネルでご覧になることをお勧めします!
ある意味、本編よりも赤面して視聴できる内容となっていて、ソン・ガンさんとハン・ソヒさんを堪能できます。

ということで、とんでもねえ魔力を持った男性に、どうしようもなく吸い寄せられてしまう女性のお話でした。
ダメだとわかっていても…という、人間の性質をムード満点の映像と雰囲気、音楽、リアルっぽさのある男女関係を描いていて面白いドラマだと思いました。
ストーリーの掘り下げ…?そんな細かいこたぁいいんだよ、というマインドで視聴すると最高に楽しめると思います。
上述したようにキャラの掘り下げを捨て、キャラ立ち・映像・匂わせ雰囲気に特化した作品。結果、とても個性的なドラマに仕上がっていて、私はその意味で大変面白いと思いました。

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