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韓国ドラマ メランコリア (感想)

おすすめ度:60%
数学度:100%
証明度:100%
原題:멜랑꼴리아 / Melancholia (全16話)

韓国ドラマ メランコリア感想レビューあらすじネタバレ

数学を愛する教師と生徒が自らを証明するために戦うが…。2021年のヒューマン・ラブ・リベンジドラマ。

あらすじ・キャスト

ノ・ジョンア(チン・ギョンさん)が君臨する高校に、新しく数学教師として着任したチ・ユンス(イム・スジョンさん)。
少し前に偶然知り合いとなった謎の青年ペク・スンユ(イ・ドヒョンさん)が、自分の教え子になることを知る。
ユンスもスンユも共に数学の天才であったのだ。
しかし高校をより上のレベルに引き上げたいジョンアの政治的な方針に、2人は邪魔者となり…。

感想

魅力的な部分も多くありましたが、一方で何だったのかという気持ちも残るドラマでした。
面白いともつまらないとも言い切れない、何だか複雑な印象があるドラマです。
まずはドラマポスターの雰囲気からラブロマンス系を感じさせられますが、こちら側が期待するような(?)いわゆる"ロマンス”シーンはほぼ無い、ということだけはご注意下さい。
ストーリーの根底には恋愛がしっかり入ってはいますが、全くメインではありません。
それが彼らの原動力になっているというか、あくまでもモチベーションとしての「愛」という位置づけです。
ある意味、壮大で時間をかけたラブストーリーとも捉えられますが、今作のメインはユンス&スンユの踏み躙られた"尊厳"を取り戻す、というようなお話かなあ…と私は感じました。

教師ユンスと生徒のスンユは、2人とも天才数学者というキャラクターです。
そんな特殊な2人は「彼らしか理解できない」感覚を共有している、と思わせられるシーンが多くありました。
どこか崇高で何者にも邪魔できない空間…。
そこには、生徒スンユの教師に対する淡い恋心もありました。
しかし彼らの特殊な"時間”は、様々な大人の思惑が生まれている高校に全く合致しません。
2人の大切な「空間」は卑劣な方法によって引き裂かれてしまうのですが、彼らはそれに対して怒り行動することに…、という感じです。

イ・ドヒョンさん演じるスンユが高校生時代、そして成人してから…と、ざっくり2部構成と考えると、後半はいわゆる復讐劇のようになっています。
全体的に過剰な教育と私利私欲のために子供たちを使って~という、よくある教育に熱心な親たちの行き過ぎた行動ネタもかなりの割合を占めていますので、全体的にそこまで真新しいエピソードはありません。
ただ主役の2人が数学者(の卵)であるという設定からか、やたらと彼らの心情を数学用語で表現してみたりするセリフが多く見られました。
当初はアカデミックな雰囲気もあって良いように私は思えたのですが、後半になっても始終そのままで、正直なところ「もういいから」と、やや冷めた気持ちにもなりはしました。
"数学”がメインテーマになっているので、そう思ってしまう時点で既に申し訳ないのですが、視聴者としてはちょっと蚊帳の外感を感じるような部分もある作品のような。

かなりのスローペースで進みますので、もたついた流れと思わせぶりな2人。
そして教育ママらの(よくある)シーンと、素人目線でも少々エピソード構成があまり良くない印象を受けました。
圧縮して全12話ぐらいでもよかったのではないかなと、私は感じましたが…。
私が視聴したU-Next版では全26話というイラつく構成でしたが、公式では全16話となっています。

ゆるいネタバレありの感想

韓国ドラマ メランコリア あらすじ感想ネタバレ考察
韓国ドラマ メランコリア考察レビューネタバレ批評

財団が運営するアソン高校。
この学校に数学を心から愛し、受験テクニックとは別の「人生における数学とは」を指導したいと考える、教員ユンスが赴任することに。
早速ユンスは数学の特別クラブへの募集のため、選抜試験を行うことに。
一風変わったその出題に生徒たちは困惑。しかしスンユだけが正解します。
実はユンス君は、教師スンユとちょっとした面識があったのです。彼が数学に対し天才的センスを持っていることをすぐさま見抜いたユンス。
数学者として、そして指導者として、素晴らしい学生を見つけたことに興奮を覚えたようにも見えました。

一方のスンユ。
彼は超天才児として、子供の頃にすでに飛び級アメリカの有名大学に通っていた過去を持ちます。
しかし心に傷を負い、母国に戻ってきたのでした。
特別…そんな言葉がスンユにとってプレッシャーとなり、そしてトラウマとなります。
帰国して名前を変え、彼は数学そのものや学校のシステムから距離を自ら置いていたのでした。
しかしスンユの両親はそうではありません。息子の輝かしい将来をまだあきらめず、彼は"特別”なのだから功績を残せるはずだと常に期待しているのでした。
そんな時にスンユの元に新しい数学教師ユンスがやってきます。
彼女の変わった数学へのアプローチ方法によって、スンユの中の眠っていた数学への興味が再び強くなります。
2人の数学を純粋に愛する者同士が、運命のように出会ってしまったのでした。

恋愛感情とスキャンダル
ユンスが教師としてスンユの数学への才能を純粋に称え、喜ぶ様子を見て彼の閉ざされていた心に変化が。
2人は数学を通して、次第に距離を縮めていきます。
ただ生徒スンユにとっては、この女性教師へ恋愛の感情を抱き始めます。
個人的には、教師ユンスにとってははただ純粋にすごい才能の原石を発見した!という意味で、生徒であるスンユを見ており、そして彼の才能に入れ込んでいたのだようにも感じました。
しかし一方で"2人の関係は特別”であったのはその通りでしょう。誤解されても仕方がない点も多くありすぎました。
特にスンユの気持ちを知りながらも、大人であるユンスが彼と上手く距離を取れていなかった点は彼女の責任として大きくあります。
そんな隙もあって、色々な思惑でスンユの才能そのものを蹴落としたかった人々、そして教師ユンスの忖度しない態度を疎ましく思っていた人間にとって、2人の関係を「問題視」することは容易。
先生と生徒…そんなスキャンダルさをもって、2人は学校と世間に糾弾されてしまいます。
数々のウソで塗り固められた方法でユンスは職を追われ、そしてスンユもまた退学となったのでした。

韓国ドラマ メランコリア感想レビューあらすじネタバレ

2人の逆襲
そして数年後。スンユは著名な数学者となり、有名な賞を受けるまでに成長。
一方のユンスは身を隠した状態で、塾で学生たちを指導しています。
ユンスは自分とそして特にスンユに対して、ジョンア率いるアソン高校に罪を認めさせたいと考えていました。
ここで2人は偶然か必然か、再会。
ユンスはこの再会に躊躇します。が、成人し自信もついたスンユは、ずっと会いたかったユンスとの関係をここで手放す考えは全くありません。
2人はジョンア、そしてアソン高校に対して戦いを挑みます。

気になった点と考察
個人的にやはり気になったのは、ユンスとスンユの恋愛部分かなと思います。
やたらと歯切れが悪い描写と、視聴していて2人の関係性に居心地が悪い気がしたのは、そもそも2人の”スタート”が年齢13~15歳差の高校生と教師という設定だからなのは間違いないと思います。
今作では、2人の恋愛感情を「証明」という言葉で置き換えて使用されているのですが、これが後半かなり野暮ったいというか…。
スンユ高校時代にはこの言葉が作風に合うなと思っていたのですが、スンユが大人になり2人は再会。
ユンスへの変わらない愛を示すわけですが、彼女は結構ここでも変化なし。
いつまで証明に拘ってるのよ…と思ってしまいました。
結局彼女が常に難しい顔をしながら、時が経過しても関係に踏み出せない理由として、過去の”スキャンダル”があるわけですが、拘っている時点でユンスもスンユが好きだったのか…と丸出しというか。
教師と生徒として2人は想い合っていたという部分を、本音と建て前、そしてモラルやコンプライアンス的にも結局ドラマとして上手く線引きして描かれていなかったと思いました。(偉そうにすみません)
だからこそ、視聴していて2人の恋愛関係に入り込むこともできず(シーンも与えられず)、どっちつかずになりすぎていました。
妙に証明という言葉で濁したりするならば、より強いプラトニックさを突き通せばようにも感じもしました。
エンディング数秒で2人はやっと結ばれたとわかりますが、ここで余計に「やっとか」という今更感もあり…。
ユンスもスンユも楽しそうにしている姿が作中ほとんど無いのもあって、このドラマの主題が一体何だったのかすらよくわかんねえな…と感じた次第です。

ということで、イ・ドヒョンさんもイム・スジョンさんもとても良かったのです。
しかし肝心のストーリー構成がよく分からず、印象としては単なる復讐劇のようですら思えてしまい、最後までよくわかりませんでした。
とはいえ、妙な魅力があり、私は中だるみせずむしろ割と集中して視聴しましたが、理由は何故だか自分でもよくわかりません…。
イ・ドヒョンさんも素敵でしたし、気になる方は是非チェックしてみて下さい。

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