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韓国ドラマ 医師チャ・ジョンスク (感想)

おすすめ度:75%
20年ぶり度:100%
アットホームな職場度:100%
原題:닥터 차정숙 / Doctor Cha (全16話)

医師チャ・ジョンスク 韓国ドラマ ネットフリックス 感想考察レビュー評価

主婦だった女性が20年振りに医師として復活!?2023年のヒューマン系コメディドラマ。

あらすじ・キャスト

医師免許を持ちながら、20年以上専業主婦をしていたチャ・ジョンスク(オム・ジョンファさん)。大学病院教授の夫イノ(キム・ビョンチョルさん)、そして義理の母と2人人の子供と共に幸せに暮らしていた。
ある日ジョンスクは病気で倒れてしまうが、家族の態度はそっけなく…。

感想

自分自身を取り戻す!!
中盤以降になってあからさまに失速した印象がありますが、総合的には面白かったです。
キャラのクセが何かと強く、ベタな昼ドラ的展開をテンポ良くコメディ強めで調理された明るい作品です。特に序盤からの勢いあるぶっ飛ばし具合が素晴らしかった。
医師免許を持ちながらも(偉そうな)医師の夫と結婚し、20年も専業主婦として立派に日々忙しくこなすジョンスク。しかし加えて(偉そうな)義母の存在もあってか、家庭は保守的…。
ジョンスクは自分の存在価値にぼんやりと疑問を持ち始めます。そんな彼女があるきっかけで、再び医師になるべく”奮闘する”というストーリー。
この説明ですと感動ヒューマン系ドラマかと想像されるかもしれませんが、コメディとしてもなかなかでした。
特に主人公ジョンソクの夫がクセが強すぎるクズ。この夫婦間の痴話喧嘩がなかなかヤバくて、とても面白かった。
ジョンソク演じるオム・ジョンファさんの良い意味でややクラシックな演技(もちろん意図した演出だと思います)をされる一方、クズ夫を演じるキム・ビョンチョルさんのとんでもねえ身体を張った芸がミックスされて、手がつけられない程のオモシロシーン多数。
とにかくクセが強すぎて、ただ笑うしかありませんでした。皆さん、本当に芸達者だな…と痛感させられました。
ただ持ちネタが大きく出揃った中盤以降からは、主人公ジョンスクらの意識の変化を中心に描かれていきますので、コメディとしての勢いはかなり薄れていきます。
とはいえ、前半の騒動の部分から、後半は比較的現実的で上手くエンディングに無事着地したなと思いました。
気になった方はぜひ冒頭数話だけでも気楽にチェック頂ければ、と思います。

ゆるいネタバレありの感想

オム・ジョンファさんインスタグラムより

かつて医学部を卒業し医師免許を取得している、チャ・ジョンスク46歳。彼女は同じく医師のイノと結婚し、そのまま専業主婦に。
2人の子供と義理の母と暮らし、ジョンソクは家庭を全て任されています。家事を完璧にこなす母親のおかげで家族は笑顔が絶えません…が、なぜか孤独でぼんやりと気持ちが晴れないジョンスク。
そんなある日、彼女は体調に異常を感じます。ショッピング中にジョンスクは救急搬送されることに。
しかし入院中のジョンスクを心配して駆けつける家族は誰もいませんでした。ジョンスクはしょうがなく自分の母親を呼ぶしかありませんでした。大丈夫と夫に告げたものの、彼女の病状は想像以上に深刻で、ジョンスクは肝臓移植が必要なほどだったのです。

夫イノ(クズ)
妻が搬送された連絡を受けた夫。しかしまさにその頃、イノは”学会”のため空港に。
しかしそんな話は真っ赤な嘘、実は長年の不倫相手スンヒと旅行に行こうとしているところでした。イノはジョンスクの連絡を受けますが、結局そのまま不倫旅行へ。
とんでもねえゴミクズです。
加えてジョンスクが肝臓移植のドナー探しの際、イノは適合者であるにも関わらず、あからさまにイノ本人と息子溺愛の義理母のクズコンビは動揺。
家族であり患者であるジョンスクの目の前で、まるで他人事のように平然とドナー手術を断る態度に、主治医のロイ(ミン・ウヒョクさん)も無言に。
以降、この家族の内情が面白おかしくどんどん明かされていきます。

再び医師へ
ジョンスクは幸運にも夫以外のドナーが見つかり、手術を終えて無事退院することに。
しかしこの”事件”は、彼女に自身の人生を考える時間を与えたのでした。
20年前に頑張って手に入れた医師免許。人を救うこと、そして命の尊さ…。加えて何もかもを否定する夫とは180度異なる視点を持つ、ロイの「また病院で働いてみれば?」という背中を推してくれる一言。
大きな手術を経て、ジョンスクはもう一度自分のためにも医師を目指そうと密かに決意するのでした。
ここから彼女の第2の人生がスタートします。

医師チャジョンスク 韓国ドラマ レビュー感想批評口コミ

クサン大学病院カオス科
元々学生時代も成績が良かったのもあったのでしょう、ジョンスクは同じくレジデント(研修医)を目指す息子ジョンミンよりも良い点数で試験に通過。
彼女は夫が教授を務め、そして自分の母校でもある大学病院に息子と共にレジデントに応募します。ジョンスクが志望した科は、何と夫の不倫相手スンヒが教授を務める家庭医学科。
この恐怖の状況に最も焦ったのは、もちろんイノ。しかしスンヒからジョンスクは”落ちた”と連絡を受け、イノは安堵して上機嫌に。
ちなみに個人的に今作でかなり好きだったシーンとして、ロッシーニの「ウィリアムテル」に演奏者(キーボード)として、ナチュラルにそして情熱的にエア参加してしまうイノ氏の場面があります。
そんな全てが上手くいったと思われた状況が一気に地獄に。
恐れていた妻ジョンスクがレジデントとして採用され、愛人スンヒの下で働いている姿を目撃するイノ。
驚愕して腰を抜かしながらも、医師としてしっかり首の脈を取っている姿に吹き出してしまいました。ビョンチョルさん小ネタが上手いです。
こうしてこの大きなはずの大学病院に妻、夫、息子、愛人というフルメンバーが勢揃い。稀に見る完全なるカオスがここに誕生。何というアットホームな職場なのでしょうか。

修羅場祭り
実はイノの愛人スンヒは彼の初恋相手、というか最初のガールフレンド。そしてジョンスクの同級生でもあります。この3人の複雑で因縁の関係は、実は学生時代から既に始まってたのでした。
加えて新たにジョンスクの主治医だったロイも意味深な参戦、ただれまくった人間関係がパワーアップ。
以下簡単に、ちいかわ構文を無理矢理使いつつ(今更すみません…)騒動をまとめますと:
・完璧な経歴と見た目と優しいハートを持つロイ(光属性)の登場!泣いちゃった!!!
・ジョンスク「夫は死にました」(構文なし)
・親友の母親は父親の愛人…?異母姉妹…ってコト!?
・父親?だからなんだってんだよ(家庭で父の威厳が地に落ちた日)
・この不倫、ママ・ジョンスクには絶対秘密な?こんなんさあ、絶対アレじゃん!
・「ワァ〜」(五十肩など身体の不調に悩むイノ氏)
・レジデント妻を病院から教授パワーを使って追い出すぞ!ヤーッ!!!
・学会出張は浮気旅行だった…ってコト!?
・イノ「視界がモノクロになる〜」(ジョンスクの誕生日のケーキ事件)
・「なっちゃったからには、もうネ…」不倫を知ったジョンスク、家を出ることを決意
・イノ「なんとかなれーッ!!」(離婚宣告を受け)
・ジョンスク「視界がモノクロになる〜」(色々な意味で)

・・・と、様々な問題続出。
しかし、恐れていた不穏な事態が。再び彼女は病に倒れてしまうのでした。
離婚が現実的になり、ジョンスクの病気再発などで、イノは自身のクズさをやっと(やっと!)恥じるのでした。
この夫婦関係は?そしてジョンスクとロイの関係はどうなるのでしょうか?

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ということで、終盤は更に間延びした感がありました。もちろん十分面白かったですが、個人的にちょっと残念に思った点は:
・中盤からのトンチキ色の消失
・イノとスンヒの”可能性”を匂わせた点
特にイノとスンヒですが、なぜ娘にあのようなセリフを最後に言わせたのか…個人的にはあまり良い気持ちにはなりませんでした。(イノへの制裁という視点で)
とはいえ、最後にジョンスク先生が出した結論は、とても現実的で良かったと思いました。
このドラマのテーマであると推測できる”誰かに頼らない自立”を、しっかり最終回で着地点にしてあったのは良かったなと感じました。
ロイがジョンスクに遂に想いを伝えますが、ジョンスクが本当に望んだものは恋愛ではありません。
個人的には安易にロイとジョンスクがペアにならない選択は現実的で非常に良いと思ったものの、この2人の関係性をドラマの目玉として(ある意味)長く引っ張り過ぎた印象を受けました。
作中のキャラそれぞれが己の間違いを正し、みんなの始まりを応援するという意味が、花言葉に含めての我々へのメッセージだったと思います。
十分面白かったです。が、上述したように現実的で予想通りの理解できるエンディングだったとはいえ、最初の弾けた雰囲気を考えるとちょっと当初の期待よりも地味に小さくまとまり過ぎた印象を受けました。

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