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韓国ドラマ 私たち、他人になれるかな? (感想)

おすすめ度:58%
元夫婦度:100%
離婚専門弁護士度:100%
原題:남이 될 수 있을까 / Strangers Again / Can We Be Strangers (全12話)

私たち、他人になれるかな? 韓国ドラマ 感想考察レビュー

離婚専門弁護士のハラは、不倫が原因で別れた元夫と働くことに…?2023年のロマンスドラマ。

あらすじ・キャスト

離婚を専門とするオ・ハラ(カン・ソラさん)は、TV出演などもする人気でヤリ手の弁護士。仕事に熱っぽくなる理由の一つとして、自身も離婚を経験し苦い思い出があるため。
そんなある日、所属事務所にハラの元夫のク・ウンボム(チャン・スンジョさん)がやって来る。何と元夫婦で一緒に働くことになるが…。

感想

大人の男女関係としてリアリティがあり、良かったです。
ただ、この作品の”パッケージ”が当初与えるイメージと、作品が描きたかったであろうイメージが視聴者側と乖離しているかなとは思いました。
そのため「理解できるが、それでも…」的な気持ちを、こちらに与えすぎてしまうドラマだったなと思います。結果、色々とガッカリされる方も正直なところ多いと想像できるというか…。
このドラマはロマンスコメディの箱に入った、ヒューマンドラマ「風」の作品になっています。
個人的には、この切り替えポイントがちょっとマズいというか、あまり見せ方として上手くはなかったような気がします。(偉そうにすみません)
”そのような”展開にするならば、もっとしっかり”動機”を与えて欲しかったかなと、私は不満に感じました。もう少し、別の展開方法があったのではないかと思ってしまいました。
一方で大変リアリティがあり、とても納得できるという自分も存在したのも事実です。
ただその入り混じった感想の結果、ドラマとしてはモゴモゴしたものになっている印象でした。
残念ながら、面白い!共感!とは決して言えないドラマだとは私は思います。(すみません、個人の感想です)

ストーリーとしては、主人公ハラとウンボムの元夫婦の複雑(?)な関係を全12話に渡って描かれているものです。
舞台は弁護士事務所や依頼人とのやりとりで、派手な山場はありませんが前半はコミカルさも多く非常に観やすい流れになります。後半に入り「愛とは」に主題が移っていきます。
ハラとウンボムの軽妙な会話や、カン・ソラさんとチャン・スンジョさんの演技でかなり作品が底上げされていて、面白いものになっています。(これは実際観て頂く方が早いと思います)

ゆるいネタバレありの感想

チャン・スンジョさんインスタグラムより

人気弁護士のハラは離婚問題を専門としています。
依頼人の話を聞いてついつい感情移入してしまう理由は、彼女自身も離婚経験があること。ハラと元夫で同じく弁護士であるウンボムとは、元夫の不倫が原因で離婚していたのでした。
ある日、ハラが所属している事務所に新しい同僚が。何と元夫のウンボムです。
ウンボムは金銭的問題で自身の事務所を閉じ、一旦間借りのような形でハラの事務所にやってきたのでした。
これに激怒するのがハラ。苦々しい思い出の張本人である元夫と仕事場で顔を合わせることになるのですから、当然の反応でしょう。
しかし問題は他にありそうです。そう、この2人はどう見てもまだ「お互いを思い合っている」と外野から見ると丸わかりなところです。

ハラとウンボム
大学生の時から交際をスタートさせて10年、2人は結婚します。しかし、3年未満で離婚。原因はウンボムの不倫です。
弁護士でもあるハラは慰謝料を勝ち取りますが、彼への苦く断ち切れないような気持ちは続いたまま。
しかし同僚として再会した2人は、必然的にもう一度新たな関係を築いていくことになります。

私たち他人になれるかな 韓国ドラマ 批評評価考察

離婚原因
離婚の原因は不倫だったわけですが、何と仕事先でもある裁判所の皆の前でウンボムの不倫はウソだったと明かされてしまい、大ショックを受けるハラ。
本当の原因は、いわゆる性格の不一致。結婚生活から逃げたかったウンボムは、離婚も簡単に”逃げれる”理由をでっち上げていたのでした。
彼の気持ちを聞いて腹が立つものの彼女も思ところがあったのか、反省し落ち込んでしまうハラ。
そして何よりも、ハラはまだウンボムのことを愛していると気づいてしまうのでした。

最終回で気になった点
一応オープンエンドとも取れる最終回でしたが、私は残念ながらハッピーエンドでなく2人の復縁は無いと考察します。理由として:
・電話の誤解
ウンボムはハラの電話の会話を偶然聞き、彼女の本心を誤解してしまいます。これが最終的な”決定打”になっているように思えましたが、この電話についてウンボムは匂わせるものの語りません。
正直私はこの陳腐な誤解ネタに結構イラッとしたのですが、恐らくこれはただの”きっかけ”に過ぎず、誤解としても最早ウンボムにとっては関係なかったのではないでしょうか。つまり、この2人はお互いが好きなものの「根本的に合わない」のですから…。
・愛情だけではムリ
ハラ&ウンボムだけでなく、ハラの両親、ハラの友人であり先輩のビチさんの夫婦関係を考えるに、この作品では結婚関係が、愛情だけで成り立つものではないということが言いたかったのではないかなと感じました。
ただ私が気に入らなかった点として、その(仮に)そのストーリーラインで描きたかったのであれば、ウンボムというキャラがそれにしては弱すぎる設定です。
結局、この物語はほぼハラの”成長”になっていて、正直最も闇を抱えているであろうウンボムの成長は最終回にやや兆しが見えるだけ。
2人の結婚関係を焦点にしている割に、それはどうかと思いました。
・ウンボムの問題
そもそも当初結婚した時から、彼の中に閉じ込めていた母との確執や妹のことなど、ウンボムはハラに言えなかったことがありました。
根本的にウンボムが長年抱えている問題は、ハラではなく母です。
この問題をハラにすり替えているというか、この部分を無視して進めている点が、最終回に来てズレが修正されず、私はしっくり来ませんでした。
ウンボムが専門家と話すべきことは、まず母との関係性のことだと個人的に思いますが…。
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個人的には中盤以降にコメディタッチ演出が消えてから、この2人の”腐れ縁”の修復は難しそうだなと感じていたので、別れについてはとても納得が行きました。
ただ、私はその描き方が本当に不満でした。
ドラマ序盤でも「どうすれば幸せになれるか」「自分の答えを探すこと」などテーマが投げかけられていて、2人の内面成長とお互いへの理解を経て「他人になる」という道に”平等”に進むべきだと個人的に願っていました。
しかし、結局ハラもウンボムもお互いへの真の理解は諦めてしまったようで、非常にストーリーとしてモヤモヤさせスッキリしないものになってしまっています。
最後の最後が、タイトルにも繋がる最も重要である帰結を、ぼんやり流してしまったようで、個人的には大変ガッカリさせられました。
ということで、面白くもあったドラマでしたが、終盤特にエンディングは理解できるものの、何だかな…と思わせられた次第です。

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