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韓国ドラマ キスから始まる復讐計画 (感想)

おすすめ度:63%
父親度:100%
家出度:100%
原題:목표가 생겼다 / Here's My Plan (U-Next版、全8話)

韓国ドラマ キスから始まる復讐計画 感想レビュー

自分の境遇への怒りをぶつける相手とは?2021年のヒューマン/ラブストーリー。

あらすじ・キャスト

お酒におぼれている母と2人暮らしで嫌気がさしているソヒョン(キム・ファンヒさん)は、
ある日亡くなったはずの父とそっくりなジェヨン(リュ・スヨンさん)を見かける。
自分を捨てた父ジュヨンに復讐してやろうと考えることに。
一方、両親を亡くしたユノ(キム・ドフンさん)と知り合いになり、ジェヨンのチキン店で働くユンホを復讐に利用しようとソヒョンは考えるが…。

感想

日本語タイトルから想像するとラブコメの雰囲気が強いですが、ラブコメ中心のお話では一切ありませんのでご注意頂ければと思います。
母親から父は死んだと言われて育った主人公が、記憶にうっすらある父とそっくりな男性を見つけ、その父に”復讐をする”というストーリー軸です。
私は短くて軽いラブコメを観たいなと思い、光に集まる虫の如くタイトルとピンク色のサムネイルに騙され(?)視聴を開始。
しかしどんどん”本当の”復讐になっていくので「これは…」と無言に。ですが、テンポも良く(全8話x30分なので当たり前ではありますが)、普通に楽しめました。
ちなみに私が視聴したU-Nextでは例の如く無駄に分割された全8話構成でしたが、本来は全4話です。

復讐と謳っていますが、どちらかというと10代のやり場のない怒り、葛藤、愛情の餓えなどを表現したかったのかなと感じました。
ただ個人的には、このような短い尺のドラマで描くにしては割と面倒臭いタイプ(すみません)の心情を持つ主人公のためか、描写がちょっと極端になり過ぎて突っ走り過ぎというか、少々大げさかな…という気もしましたが。
とはいえ、思った以上にしっかりとしていて、クオリティの高いドラマだった印象を受けました。
このドラマの脚本ですが、2020年のMBCドラマ脚本コンテストの受賞作ということです。

主演のキム・ファンヒさんは、私の中では『僕たちの復讐ノート』の印象が強烈だったのですが、『天気が良ければ会いにゆきます』でも非常に良かったですし、キム・ドフンさんも『明日のウェブトゥーン』でとても良かった。
そしてリュ・スヨンさんは直近で『クイーンメーカー』で観たところだったので、皆さん素晴らしかったです。

ゆるいネタバレありの感想

リュ・スヨンさんインスタグラムより

イ・ソヒョン、19歳。
父が亡くなってから、アルコールに溺れ自暴自棄のような生活を繰り返している母。
一人娘のソヒョンはそんな母とも対立を繰り返し高校を中退し、スマートフォンを盗んでは売るという危ない暮らしの日々。当然警察にもマークされてしまいます。
そんなある日、ソヒョンは男性ジェヨンを偶然バス停で見かけます。瞬時に記憶がフラッシュバックするソヒョン。彼女は、この男こそ「父親だ!」と確信します。
死んだはずの父…彼は実は今も元気そうに生きていたのでした。
ソヒョンはこの男性の跡をつけ、住んでいる場所まで特定。自分の置かれた境遇の恨みがソヒョンの中で爆発し、この父親に復讐してやろうと考えます。
そんな彼女は父親ジェヨンを監視しているところ、見覚えのある男性ユノと父親ジェヨンが繋がりがあることを知ります。
ユノはチキン店の配達をしていて、いじめの集団とトラブルになっていたのをソヒョンは数日前に目撃していたのでした。
ソヒョンはこのユノを使って、ジェヨンの情報を手に入れようと思いつきます。ユノに偽名を使い、食事に誘うことに。
妙に馴れ馴れしい彼女の態度に不信感を抱くユノでしたが、次第に打ち解けたのか何かを感じたのか、ソヒョンにチキン店のアルバイトを紹介することに。
そう、ユノが働いていたチキン店こそ、父親ジェヨンの経営するお店だったのでした。
ソヒョンは新たにバイクの免許を取得して準備万端の上で、父親ジェヨンのお店で働くことに。
絶好の復讐の機会を狙います。

ユノとソヒョン
ソヒョンはユノが父親と顔なじみということを知り、彼を利用しようと近づきます。
ユノがいじめ集団から暴力を受けていたことを無視したことを謝るという口実で食事に誘うソヒョン。父の情報を得るためという目的ですが、なかなか積極的なソヒョンさん。
本当の”自分”がバレそうになることを咄嗟に隠すためとはいえ、大胆な行動を取ります。
ユノ君はそんな彼女に何かと振り回されてしまいますが、彼もソヒョンが気になっている様子。
ユノ君の気持ちなんかより、ソヒョン自身は父には恋人がいるという情報知り、幸せそうな様子に更に怒りが増すのでした。

韓国ドラマ キスからはじまる復讐計画 レビュー考察

復讐計画
ソヒョンは父ジェヨンの恋人がユノの祖母の介護を手伝うボクヒと知り、彼女にターゲットを変えたようです。
途中から彼女の復讐が、何と殺人計画にまでレベルが大幅に上がってしまい、安直というかなかなか極端で恐ろしいなとは思えました。
というのも、一応ジェヨンが父であると彼女の中で裏付ける根拠はあるのですが、怒りと謎の記憶ぐらいでソヒョンはこの危険な計画を1人突っ走ってしまっています。
しかも、ボクヒは無関係にもほどがあるので、このあたりのエピソードは個人的には取ってつけたようにも思えはしました。
ソヒョンが復讐に燃えて我を失っている!という狂気の描写もそこまで感じませんでしたので、ボクヒを殺そうとしたのはお話的には現実的でないというか、ドラマとして少々悪手な気もしました。(偉そうにすみません…)

結論、父ではない
ボクヒさんを相当ひどい目に遭わせてしまったソヒョン。
普通に困惑させられましたが、当初から彼女はスリを平然とこなしていたので、この流れへの伏線かもしれません。
父と勝手に勘違いしていたジェヨンやユノ、そしてボクヒ。みんなが実はソヒョンを心配してくれていた善人だったと痛感します。
「私さえ…、私さえいなくなれば…」とまたもや安直に行動してしまう、ソヒョン19歳。彼女の気持ちも理解できますが、行動がとにかくイチかゼロの彼女。
そのため周囲の人々、特に彼女を好きになってしまったユノは普通に可哀想だなと思えました。
ソヒョンの母親が本当にもっとしっかりと彼女に語っていれば、こんな面倒なことは起こらず、日本語タイトル通りの(?)普通のラブコメになっていたのでは…とついついどうでもいい事を思ってしまいました。
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ということで、上述したようにちょっと逸脱というか、全体的にオーバーな描写を感じてしまい、ソヒョンの心情の繊細さは無かったな…という印象を受けました。その部分が最も私は残念だなと思いました。
加えて、後半特にソヒョンの気持ちが大半がナレーションでさっさと説明されてしまっていたのも、あまり深みがなくシーンと直結・直球ストレートすぎる気がしました。
とはいえ思ったよりも割としっかりしたストーリー構成で、元々ラブコメを期待して観たせいもあり、ある意味で新鮮味を感じて楽しめました。

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