ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ ヒップタッチの女王 (感想)

おすすめ度:74%
「五十五、五十一」度:100%
明太子度:100%
原題:힙하게 /  Behind Your Touch (全16話)

ヒップタッチの女王感想レビュー考察 韓国ドラマ あらすじ

お尻を触ると”見える”能力を得た獣医が事件解決に挑む…?2023年のコメディ・サスペンスドラマ。

あらすじ・キャスト

平和な田舎町ムジン、祖父の跡を継いで獣医となったイェブン(ハン・ジミンさん)はある流星の夜に、不思議なサイコメトリーの力を得るのだった。
一方、ソウルからムジンに不服ながらやって来た刑事ジャンヨル(イ・ミンギさん)は、とあるきっかけでイェブンを逮捕することに。
そんな何も事件が起こらないはずの町に、殺人事件が発生する。ジャンヨルはイェブンの能力を使って解決しようと計画するが…。

感想

色々な意味のネタ満載で若干困惑しましたが、ユニークで面白かったです。
過去のドラマのパロディ(オマージュ?)シーンも多くあり、内輪ネタ感も強めの不思議なムードで進みます。
が、今作の”芯”は何と言っても強めなコメディの裏にしっかり存在するサスペンスとなっています。
何となくポスターの雰囲気的にラブコメさを感じる方もいるかもしれませんが、決してラブコメドラマではありませんのでご注意下さい。
呑気な町、主人公含めワケがわからない住民たちと動物たち…。
謎の笑いを取り混ぜつつ、次第に繋がる凶悪連続殺人事件。平和で苦笑いに包まれていたムジンが一気に恐怖に包まれていきます。
サスペンス部分のヒネリですが、犯人含めて”不穏”部分はズルさも感じましたが、作風を考えるとアリで良かったなと思いました。良かったです。

とはいえ、とにかく序盤のストーリー導入部分のダルさ。そして全体的にテンポがやたらともっさりして悪かった点。
加えて、興味深い住民が多いくせに人物描写が妙に浅い点…と、短所もそれなりに目立ってあるドラマだと感じました。
ただ個人的には、総合的というか俯瞰的に見ると、ドラマの展開とコメディ/スリラーのバランスは凝っていて面白い作品だなと思いました。

そんな序盤の”のらりくらり”としたスタートと、いきなりブッ込まれる『二十五、二十一』の完全再現(?)シーンの多さ。
面白くて楽しんだものの、パロディシーンの分量的に私はちょっとどうかなとはやや疑問に感じました。
ちなみに今作の脚本家のイ・ナムギュさんと監督のキム・ソクユンさんはジミンさんも出演された『まぶしくて』以来4年ぶりの作品とのこと。
また、監督の方はミンギさんも出演された『私の解放日誌』も撮られた方です。

全体的にとにかく”クセ”が非常に強いドラマで、好みが別れるタイプのドラマかもしれません。
ですが、単純で(良い意味で)馬鹿らしさがある面白さもあり、気楽に観れる娯楽を意識したドラマにはなっています。
個人的には大好き!とまでは思いませんでしたが、決して嫌いではありませんでした。
ドラマ1話目のスタートがあまり面白くない(すみません…)感じなのですが、以降楽しくなりますので、気になった方は是非観て頂きたいなと思います。

ゆるいネタバレありの感想

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韓国ドラマ ネットフリックス ヒップタッチの女王レビュー
ヒップタッチの女王感想ネタバレ考察

母を亡くしてから祖父と叔母の家で暮らし始め、獣医になったポン・イェブン。
ある夜、牛を診察している時にちょうど流れ星が…。そのせいなのか、以降、イェブンには不思議な力が。
生き物の”お尻”を触ると、動物の視界を通した過去が「見える」というもの。
イェブンはこの急に備わった能力に驚きますが、動物のお尻をチェックし、彼らの気持ちを読み取ることで仕事に繋げることに成功します。
一方のジャンヨル、ソウルからいわゆる左遷された刑事です。
熱血タイプですが、大きな事件を解決してとにかくソウルに戻る事しか考えていない人。ですがムジンでは、小粒な事件しか発生しないことに落胆する日々。
そんなある日、バスの中でイェブンが他人を”触った”ことを、ジャンヨルは目撃。彼女は無事(?)その場で逮捕されてしまいます。
イェブンには”能力”があり、触った理由も他にあったのですが、ジャンヨルはそんなこと知らないので当然でしょう。
この日以来、ジャンヨルはイェブンを”変態”と呼び、彼女を要注意人物とマークしたのでした。

事件と能力
獣医として様々な仕事を請け負うイェブンさん。ヒラメの養殖場にまで出動しますが、そこでかつての後輩に偶然に再会。
ある機会に後輩を触ってしまうイェブンは、女性が関係する”事件性の高そうな”シーンを後輩の過去の中に見てしまい動揺します。
野良猫のお尻などを借りつつ、独自捜査を始めてしまうイェブンさん。
キケンすぎる行動ではありましたが、ジャンヨルの助けもあって無事事件が解決するのでした。
刑事ジャンヨルはイェブンの不可思議な能力を”変態”行動として聞く耳を持っていませんでしたが、この事件をきっかけに彼女の超能力を信じ始めます。
またイェブンも当初力を人間には上手く活用できないと考えていましたが、力に対して確信に変わったのでした。

連続殺人事件
次第にムジンの町に殺人事件の影が濃くなっていきます。
海岸に打ち上げられたシア、ジャンヨルの弟分のスンギルの死…。
ジャンヨルはその手口から同一犯の仕業であるとし、絶対に犯人を逮捕すると誓います。
そして犯人逮捕には特殊能力を持つイェブンの力が必要だと、彼女に協力を求めるのでした。ここから2人は共同で犯人逮捕に向けて動き出します。
しかしそんなタッグを組んだ2人と怯える町の人々を嘲笑うかのように、次の事件が発生するのでした…。
平和な町だったムジンが、一気に恐怖の町へ。

ヒップタッチの女王ネタバレ感想 韓国ドラマ 

気になった点
次々と発生する殺人事件。物語の焦点は「誰が犯人なのか」に移ります。
その人物については、かなり終盤まで予測しにくいストーリーになっていて楽しめました。
以下、個人的に気になった点を考察したり感想を書きます。(直接的な犯人の明記は避けますが、犯人ネタバレを含みます)
・3人の性格について
主人公イェブン、ジャンヨル、そしてスホ。この3人ですが、個人的に全員なんだかな…と思う性格がそれぞれあり、ある意味面白いなと思いました。
イェブン:
そもそも35歳としては妙に幼稚すぎるようなキャラで、少々困惑しました。
そのためなのか、(物語上しょうがないですが)キケンな状況で危なすぎる行動を勝手にしたりと、視聴していて少々イラつく場面もありはしました。
ただ怖がりだった彼女が、最終回では金属パイプを持って果敢に敵に挑むなどの”成長”が見れて良かったなと思いました。
ジャンヨル:
いつも上から目線のジャンヨルさんですが、イェブン(ら)の能力を知ってからは、完全に彼女(ら)に頼り切っている点が結構気になりました。
またソヌをやたら敵視しすぎているのも気になりました。嫉妬心もあったと思われますが、捜査をする刑事としてもう少し違った視点を持ってもらいたかったです。そうすればソヌは…(無念)
ソヌ:
やたら「怪しい…」という雰囲気100%だったソヌさん。
怪しいムードを演出しすぎて逆に怪しくなくなってしまいそうになってはいましたが、それでも怪しかったです。
最終回が終わった今、ただただ可哀想だったなと思いました。
頑張って恐怖と孤独に戦いながら犯人を突き止めたソヌ、しかしなぜか突き止めた事実をジャンヨルなどに伝えてくれません。
ソヌもジャンヨルを嫌っていましたし、彼の抱えてきた背景を察するに他人を信用するのが難しかったと思いますが、もっと話してくれれば…(無念)

・ソヌとイェブン
序盤からイェブンがソヌさんに夢中になっていた2人の関係。
彼のスマホの暗証番号がイェブンの誕生日という事実、(この町では)2人にしかわからない言語で、犯人の能力を知った上で語りかけるというシーンで、更に可哀想になってしまいました。
孤独だったソヌが彼女を信用し、イェブンを守って…という最後はなかなか悲しいもの。もう少し彼が他の人も心を開いてくれていたら...(無念)

・犯人について
私は議員の殺人事件のアリバイから、この犯人は時間的に実行は無理では?と結構ギリギリまでそう考えていました。
犯人はかなりのネタ枠でしたが、逮捕時の表情が変わる様子などさすがな演技を見せて下さり、すごいな〜!と思ってしまいました。
最初から顔のアップのシーンでのノーズシャドウのメイクが特に恐ろしく、そして面白かったです。
犯人が判明している今、1話から再び見返したら一層面白いだろうなと思います。

・犯行動機について
これについては、半分「(脚本的に)逃げたな」と思いながらも、半分は作風からして大いにアリだと納得しました。
サイコパス…という理由ですと、動機や犯行相手に対する理由付けがあまり語られずに終わってしまいますので、都合が良くなってしまうのは確かだと思います。
ですが結局、このドラマは50%は完璧なコメディですので、”それでよかった”とも思いました。(それにしてはかなりの犠牲者数ですが…)

ジャスティンどこ?
彼は安全なのでしょうか?行方が語られませんので、ちょっと気になります。

・「五十五、五十一」
ドラマ『二十五、二十一』のパロディがかなりの時間を割いて作中描かれますが、個人的には少々やり過ぎだったのではないかと思いました。
二十五~を私は視聴していたので、楽しめたのはその通りなのですが、「観ていて当然」という前提はどうなのかなと思いはしました。
もし自分が二十五~を視聴していなければ、あれらのシーンは一体何なのかわかりませんので「蚊帳の外」感があり、単純に楽しめないと思います。
他にもイ・ミンギさんが出演されていた『私の解放日誌』からのシーンを連想させる部分もありましたが、二十五~ほどシーンとして露骨ではなかったので、その部分についてはまあアリかなと思いましたが…。
ちなみに『二十五〜』も『解放日誌』もどちらも大変素晴らしい傑作ドラマですので、未視聴の方は是非ぜひ観て頂きたいです。

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ということで、蓋を開けてみればかなりのクセ強めのドラマでしたが、イ・ミンギさんもハン・ジミンさんもとても好きな俳優さんというのもあり、楽しく視聴しました。
イェブンとジャンヨルの2人の恋愛は大きく描かれませんが、お互いが想い合っていることはしっかりと明かされていました。
また、最後のシーンは手を取り合って…という状況でしたので、2人の関係の明るい展望が予感させられていて良いエンディングだったと思います。
特に最終回のイ・ミンギ先輩ですが、今作らしくネタっぽいフィルター効果もあってか(悪い意味ではないです)とても素敵でしたので、注目してください。
スリラーとコメディのバランスを最後まで貫いていて、良かったと思いました。

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