ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 悪の花 (感想)

おすすめ度:70%
工房度:100%
夫婦度:100%
原題:악의 꽃 / Flower of Evil (全16話)

韓国ドラマ 悪の花 感想考察レビュー

優しい夫、彼には妻は知らないもう1つの顔があった…2020年のロマンス・サスペンス。

あらすじ・キャスト

金属工芸を職としているヒソン(イ・ジュンギさん)は、刑事である妻ジウォン(ムン・チェウォンさん)と一人娘と仲良く暮らしていた。
そんな時、ヒソンの工房に記者のムジン(ソ・ヒョヌさん)が訪ねてくるのだった。
ヒソンを見たムジンは驚く、なぜならヒソンはそこにいてはいけない人物だった…。

感想

しつこいサスペンス
面白かったですが、思ったほどは楽しめませんでした。
私は最初からサスペンス重視で視聴していたのが響き、割と早めに特大ヒントが明らかにされてしまったため物語の先が何となく読めてしまい、急激に興味を失ってしまいました。そのせいか視聴がなかなか進みませんでした。
この作品はロマンスとサスペンスの2つの軸で展開されますが、夫婦の愛に注目したメロドラマとして観た方が圧倒的に楽しめると思います。
サスペンスのネタとしては映画などでよくある設定なので、もう少し種明かしを伸ばして欲しかったかなとは思いましたが、制作側のテーマはやはり夫婦愛の方を明らかに重視していると思いますので、意図したものだと思います。
ただメロドラマにしては半ば無理矢理のように事件パートをやたら長く引っ張りますので、その分中盤はテンポが悪く中だるみ感が強かったように思えました。
そのせいか後半に従ってサスペンス部分の設定に粗が出る箇所も多く、そのあたりもどうかなとは個人的に感じました。
失礼かもしれませんが、最終回含め全体的なストーリー構成と演出にダメ押しのようなクドさを随所に感じて、そこが私は面白くないというか、しつこさを感じた次第です。(個人的な感想です、すみません)

今作で本当に素晴らしかったのは、俳優さんの演技だったなと思います。
主演のイ・ジュンギさんはもちろんですが、キム・ジフンさん、そしてソ・ヒョヌさんも良かったです。
イ・ジュンギさんはシーン毎に気迫が感じられて、なんでしょうか…演技に”強さ”があって惹きつけられました。素人目から観ても大変上手かったです。

ゆるいネタバレありの感想

イ・ジュンギさんインスタグラムより

ヒソンは金属工芸の工房を営んでいます。
ある日、刑事の妻ジウォンの顔見知りの記者ムジンが、この工房へやってきます。
しかし、このヒソンとムジンは実は”良く知る仲”だったのです。ひやっとする空気が2人の間に流れます。
ここでヒソンの正体が明らかに。
18年前の殺人事件…、ヒソンは、実はト・ヒョンスという名前で事件の容疑者だったのです。
ヒソンはムジンを工房にある地下室で、しばらく監禁することに…。
幸せと思われたヒソンとジウォン、そして娘のウナ。
一体このヒソンという男性は何者なのか?
ヒソンとジウォンの仲の良い夫婦の描写の合間に挟まれるヒソンの”真顔”が、ただならぬ気配を感じさせるのでした。

過去の事件
警察のジウォンは、過去のト・ミンソクが起こした連続殺人事件を模倣したような事件の担当になります。
この昔の連続殺人犯ト・ミンソクはヒソン(ヒョンス)の父であり、ヒソン(ヒョンス)もまた殺人者だと疑われている人物です。
皮肉な運命なのか、工房に閉じ込めているムジン、過去の事件。
そして刑事である妻が、現在捜査中の事件が過去と関係しているため自分の隠していた闇にじりじりと近づきつつある、
という緊張感がヒソンの周囲に漂い始めます。

悪の花 韓国ドラマ 考察感想批評

ヒョンスとヒソン
ヒソンが自分の実家に妻と娘を連れて行った際、両親の異常な態度で気付く方も多いと思います。
ヒソンは彼らの実の息子ではありません。
それどころか、ヒソンが刑事と結婚しているという点もなにが不都合があるような、妙なよそよそしさを感じられます。
違和感を感じ始めた頃、あの両親の家で”眠っている”別の男性の姿が明らかになります。
そう、”本物”のヒソンです。ただし、ヒソンは意識不明で眠ったままのよう。ト・ヒョンスは、ヒソンになりきって生活していることが判明。
一体何があったのでしょうか…。
詳細は是非ドラマをお楽しみ頂ければと思いますが、結論ヒョンスは犯罪者ではありません。真犯人が存在します。

気になる点
サスペンス部分の雑さは割とあったドラマで、個人的には何となくそこが尾を引いたかなと思います。最もどうかと思う点として:
被害者の数と7枚爪の数が合わない→最後の1人は生きていますので辻褄が合わないにもほどがあると思います。
ト・ミンソクの死は自殺だと言われていましたが、ヒソンによって殺された→殺害方法からしても捜査ミスというレベルでは難しい理由だと思います。
ヒソンの昏睡原因は母に刺されたから→シーンから判断するに彼の腹部あたりをヒソン母は刺したと思われます。ですが、一体どれほどのレベルの腹部の傷が脳にダメージを与え長期間もヒソンが昏睡状態になってしまったのか、全く理解できませんでした。
他にも、最後の犠牲者の監禁の不自然さや突然目覚めて元気に行動、ジウォンの警察官としての行動の不可解さなど…色々ありはしましたが、これらはドラマとして考慮できる状況かなと個人的には思えました。
ただ上記3つはストーリーのポイントとになるので目立つというか、正直いかがなものかと個人的に思った次第です。
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面白い設定のドラマだと思うのですが、不気味さに寄せたサスペンス部分の強調、そして愛情についての演出のしつこさで、作品として妙にクドいといいますか。
そこが個人的な感想としては、あまり好きではありませんでした。
最終回の久しぶりに見た記憶喪失ターンを考えるに、この作品は割とクラシックスタイルを受け継いだザ・メロドラマとして観るのが良かったかなという印象です。
当初この最終回についてはかなりの茶番を感じ、大変失礼かもしれませんが記憶喪で(脚本的に)”逃げた”な…と、偉そうですみませんが渋い気持ちになりはしました。(個人的な感想です)
ヒョンスの背負ってきた辛さと葛藤は理解できたので、もう少し彼の人生においてやっと手に入れた幸せ、ヒョンスがジウォンらに”何も隠さずやり直していくところ”を描いて欲しかったとは思いました。
何となくですが、その時間がないので記憶喪失でその部分を濁したというか、一気に飛ばして描いたのでは…とも邪推してしまいました。(すみません勝手な感想です)
ただ暫く考えると、記憶喪失という”ある種の許し”がヒョンスに与えられて良かったとも思いもしました。
いずれにしても視聴者によって好き嫌いが分かれるような、面白いエンディングを採用したのだなと感じました。

ということで、個人的には序盤の期待値が高かったのですが、以降は思ったよりも楽しめませんでした。ですが、ストーリーそのものの流れとしては魅力的な作品だったなと思いました。

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