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韓国ドラマ 五月の青春 (感想)

おすすめ度:70%
光州事件度:100%
激動の時代度:100%
原題:오월의 청춘 / Youth of May (全12話)

韓国ドラマ 5月の青春 感想考察レビューあらすじ

1980年の光州、その時代を生きる人々の中に2人は出会った…2021年のラブストーリー。

あらすじ・キャスト

1980年の韓国、光州。
あるきっかけで両親が暮らす光州に戻ったヒテ(イ・ドヒョンさん)は、厳しい父親との約束で事業家の娘スリョン(クム・セロクさん)とお見合いすることに。
しかしスリョンは、親友ミョンヒ(コ・ミンシさん)にその顔合わせに行くよう頼むのだった。
ヒテとミョンヒはこうして出会うのだったが、その頃光州では民主化運動が激化していたのだった…。

感想

光州事件を背景にしたラブストーリーです。
いきなりネタバレかもしれませんが、1話冒頭でいきなりの”死の影”が描かれます。
その雰囲気の通り、ハッピーなドラマとはなりませんのでご注意下さい。
光州事件*Wikipediaリンクについては、恥ずかしながら以前に映画『タクシー運転手』を視聴後にちゃんと知ったのですが、今作でもその激動の時代の渦に巻き込まれた人々のストーリーが紡がれています。
ドラマではミョンヒとヒテという2人の男女がメインで、このどうすることもできない時代の波をどうにかして理解し行動して耐えようとした懸命な姿が描かれています。
このような時代背景もあって、涙が出そうになるシーンも多くあります。
雰囲気的にも明るく楽しいドラマではありませんので、観る前にそれなりの心づもりをしておくと良いかもしれません。

個人的な感想としては、総合的には良いドラマだなと思いました。
ストーリー構成はとても良かったのですが、ただ私はドラマとしてはそれほど満足度を視聴後には得ませんでした。(すみません、個人的な感想です)
というのも、主人公のヒテとミョンヒの2人の”距離”と”悲劇さ”にフォーカスしすぎて、少々ワンパターンな展開とわざとらしさを感じた点。
またヒテの父のキャラ設定が少々過剰で、ドラマとして途中から若干ネタのように思えてしまった点。
加えてミョンヒの友人スリョンが非常に面白い立場の女性なのですが、彼女含めメイン2人を固めるサイドキャラの描写が少々甘いのも気になりました。
ヒテとミョンヒの2人の話ですから、彼らを注目して描くのは当然ですが、周囲のキャラの深みがあって主役の心情が引き立つ部分も非常に多いと思いますので、個人的にはちょっと残念に思えました。

ゆるいネタバレありの感想

韓国ドラマ 5月の青春感想レビュー考察
韓ドラ 5月の青春あらすじネタバレ

1980年の光州。
ソウル大医学部生のヒテ。ある思いを抱き再び光州に戻ると決めていたのでした。
自分が”助けられなかった”、そして親友から託された瀕死の入院中の患者の「希望を叶えるため」です。
光州に帰り久しぶりにヒテは父親ギナムらと顔を合わせますが、家庭において父が絶対的な支配者なのは相変わらずの様子。
というのも、ヒテ父は保安隊の課長。光州での民主化デモなどを厳しく取り締まる立場に就いているためか、家中がピリピリしていたのでした。
ヒテがソウルでエリートの道を歩まず、呑気に光州に戻ってきていることを問題視しています。
が、ヒテを”使う”ことを思いつきます。実業家との家との結婚です。

一方のミョンヒ。彼女は看護師として働いていますが、留学することを目標としています。しかし金銭的に問題が山積み。親との関係もあって、金銭的に頼れる者はいません。
ミョンヒは裕福な家の親友スリョンに支援を頼むことにしますが、スリョンは条件としてある計画を思いつくのでした。
そう、ヒテとのお見合いを自分のフリをしてミョンヒに代わりに出てもらうことです。
こうして、偶然ヒテとミョンヒは出会うことになるのです。

ヒテとミョンヒ
ヒテはお見合いで会ったミョンヒに既に夢中…。というのも、実は2人は過去に数回出会っていたんですね。
といっても、ミョンヒは全く覚えていませんが、ヒテは彼女のことが何かと印象に残ったようです。
ミョンヒはスリョンとの約束通り、ヒテにフラれることを予定していたのですが、なかなか上手くいきません。それどころか、ヒテの気持ちはますます強くなるばかり。ミョンヒもいつの間にかそんな彼に惹かれていくのでした。
ブコメあるある(?)別人のフリをしてお見合いをし、見事そのままカップルになってしまう2人。
これから2人の関係が始まる…!そんな”春”を予感させるムードも、1980年の不穏な影が次第に強くなっていきます。

スリョンとの関係
適当なところでお見合い相手ヒテと破談にする…そう軽く考えていたスリョンとミョンヒ。しかし、ここで3つの誤算が。
もちろん1つ目の誤算は、ヒテとミョンヒが惹かれ合ってしまったこと。
そして最も大きな誤算は、このお見合いは両家にとってとても「深刻」なものだったということ。
2つのファミリーにとってこの結婚は大きなビジネスだったのです。スリョンの父や兄が経営する事業そのものが関係するもの、破談なんてもってのほか。スリョンは最早後には引けない状態になってしまったのです。
そして3つ目の誤算…スリョンも少しヒテが気になっている様子。ただ、これに関してはあまりスリョンの感情は詳細に描かれませんので残念でした。

5月の青春エンディング考察感想

怖すぎる父
今作でヒテとミョンヒの最も大きな障害は、光州事件に他なりません。
その渦の”体制側”にいた、恐怖の大魔王的存在だったのがオ・マンソクさん演じるヒテの父。
この光州での保安を任されているヒテ父…出世欲と謎の強迫観念なのか、手あたり次第にとにかく暴力的に絡みすぎて怖すぎて困惑。
当初は怖すぎて、マンソクさんの顔が映っただけでトラウマ化待ったなしという感じだったのですが(マンソクさんすみません)、視聴を続ける内に慣れて来たのか、次第に登場シーンに「来た~」という感じで、個人的に怖すぎるネタキャラになっていました。
ヒテに対してテープをビッと使ったシーンは、迫真すぎて(良い意味で)正直怖すぎて半笑いになってしまいました。
彼にとっては家族でさえ自分の直轄の部下状態。そのためか、家は常にヒエヒエ-50度の氷の世界。
一体彼は何がしたかったのか、何が彼をそこまで駆り立てて鬼になってしまったのか?そもそも彼は誰と戦っているのか?
そのあたりが謎すぎて、個人的には「怖い」以外の印象が残りませんでした。もう少しこのキャラの背景が欲しかった。

悲劇の死について
ドラマの最初に映る白骨…これが一体誰なのか?という点が、このドラマのポイントとなります。
ただ、個人的にこの「謎」を一番最後のドラマの山場に据えてしまったのが、逆にちょっとドラマとしては勿体なかったような気がしました。
誰が一体亡くなってしまったのか?
今作は決してそれをメインに描きたかった訳ではないと思います。
しかし、妙に引っ張ったため、結果そのように見えてしまったような気がします。
鍵となるアイテムである懐中時計リレーや、都合の良すぎる分かれ道。
また最終回の悲劇の結果を匂わせるかの如くミョンヒのやたら疲弊したメイク…何となく「誰か」がそれなりに事前に読めてしまうあたりなど、ちょっとワザとらしさが透けて見えてしまったというか…。(個人的な感想です)
そのような理由で、私は自分の感情をこのドラマのピークに合わせることがあまりできませんでした。
誰が亡くなるのか?それ自体ではなく、他の”悲劇”的状況はたくさんありましたので、その辺りをもう少し描いて欲しかったです。

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時代背景や場所、その時々の状況で簡単に人の命が奪われ、ちょっとしたことで運命の歯車が狂ってしまうという虚しさ、やりきれなさなどが描かれていました。
ヒテとミョンヒは決して大きな野望を抱いていた訳ではありません。彼らのささやかな青春でさえ、たった数日で泡のように消えてしまう悲劇。そのような状況が描かれていたドラマでした。
ただそのような状況でしたが、ヒテやミョンヒについてさえも、彼らの行動の真意まで深く考えさせられるような内面の描写がそれほど感じられず、少々表面的でもあるかなという印象も受けました。
置かれた状況は辛く悲しいものです、がその部分の描写が多すぎたように感じました。その状況の悲惨な描写が強すぎて、キャラ達の心情にそのものに深く想いを巡らせることがしにくくなっているように思えました。(説明しにくいですが…すみません)
ということで(偉そうで申し訳ないですが)とても良いドラマでしたが、舞台となった背景としても、もう少し全体的に突っ込んだ内面の深みを描いても良かったのではないかと素人ながらに思いました。

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