ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国映画 20世紀のキミ (感想)

おすすめ度:70%
ビデオテープ度:100%
情事度:100%
原題:20세기 소녀 / 20th Century Girl (121分)

20世紀のキミ 韓国映画レビュー感想

友人の恋を応援しようと彼の情報を集めるボラだったが…2022年のラブストーリー作品。

あらすじ・キャスト

高校生になったボラ(キム・ユジョンさん)は渡米した大親友のヨンドゥ(ノ・ユンソさん)のため、彼女が一目惚れしたペク・ヒョンジン(パク・ジョンウさん)の情報収集のため奔走する。
ヒョンジンの友人ウノ(ピョン・ウソクさん)にも手助けしてもらうボラだったが…。

感想

2時間の映画で切ない初恋と友情を描いた作品です。
素直にストーリーが進みますので、ある意味王道で見やすいなと思いました。
楽しさ、切なさが目一杯取り入れられているのは、「青春」そのものが持つ美しさとみずみずしさ、そして刹那が散りばめられているようで素敵でした。
キャラの恋愛関係の心情の重ね方の描写に少し物足りなさを感じましたが、キャスティングがよく全体的にうまくカバーされていて、雰囲気含めて作品としてまとめてあるなあと思いました。
ただこの映画ですが、いかんせんネタやシーンが韓国ドラマ『二十五、二十一』(2022)に雰囲気も構成も似すぎているのですよね…。
この2521が強いインパクトを放ったドラマだったのもあり、また2022年の4月に放送終了でしたので未だ印象は残っているせいか、この映画から作品そのものへの新鮮さを感じられなかったのは個人的には非常に残念に思えました。(今作がつまらないという意味ではありません)
どちらのプロダクションが早かったのかはわかりませんが、後追い感は否めないかなとは思えます。

特別出演(カメオ出演)として、コンミョンさん、オン・ソンウさんが出演されています。また、主人公ボラの大人を演じられているのはハン・ヒョジュさんです。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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ピョン・ウソクさんインスタグラムより

ボラとヨンドゥは大親友です。ヨンドゥは近々渡米し心臓の手術をする予定。
そんなある日、ヨンドゥは恋に落ちます。
手がかりは「ペク・ヒョンジン」という名札の付いた制服を着ていたということだけ。その制服はボラたちが通う予定の高校でした。
ボラは2人だけの共通のEmailアドレスを作り、交換日記のような形でアメリカにいるヨンドゥと連絡を取り合うことを約束します。そしてもちろんヨンドゥが好きなヒョンジンの情報を”仕入れる”ことを誓います。
探していたペク・ヒョンジンですが、ボラはかなり簡単に見つけてしまいます。これで相手の顔も把握したボラ。
ヨンドゥのため、ヒョンジンの情報を集めることを開始します。

探偵ボラ
もはや何をそこまで彼女を駆り立てるのか…と疑問に思ってしまうほど、ペク・ヒョンジンの情報収集に熱心すぎるボラさん。
迫真の探偵業のせいか、ついにヒョンジンの友人ウノにもバレてしまいます。ボラの家はレンタルビデオ店を営業しているのですが、大人の作品(情事)を生贄としてウノと危険な取引をしたボラさん。*ちなみに『情事』(1998)はイカゲームなどで有名なイ・ジョンジェさん主演とのことです。
ウノのおかげかビデオのおかげか、悲願だったペク・ヒョンジンのポケベル番号含む個人情報を遂に手に入れるのでした。こんな簡単で自然な手口があったとは…灯台下暗しですね。
個人情報を早速横流ししたボラ、ヨンドゥは愛のメッセージ(?)をヒョンジン君に海を超えて送ることができたようです。

初恋
個人的に当初の印象以上に軽い感じのヒョンジン君、すっかりボラが自分のことを好きではないかと勘違いしていたようです。というか、誰しもがそう勘違いしてしまうと思います。そう、おそらくウノ君も…。
一方のボラですが、次第にウノのことが気になり始めます。自身の甘酸っぱい気持ちに気づいてしまったボラ、これが恋だと知るのでした。
個人的にはもう少しだけ、ボラとウノの2人のシーンがあれば…!とは思いました。(後述します)

ネットフリックス 20世紀のキミ 映画感想

封印した気持ち
ボラとウノの距離が接近した頃、音信不通かと思われたヨンドゥさんが突然の帰国。そこは例のEmailで連絡を取り合うべきだろう…と謎に思いましたが、サプライズ的な感じでしょうか。
しかし彼女の帰国よりも更に驚愕の事実が。実はヒョンジン=ウノだったというのです。つまり、ヨンドゥが好きなのはウノ。
全くもって必要なかったペク・ヒョンジンの情報とは一体何だったのか…。
そんなボラは、ヨンドゥに自分はウノが好きだとはとても言えない状況になってしまうのでした。
初めての恋心に蓋をし、ウノの好意もまるで「無かったかのように」してしまうボラ。まるで別人のようになってしまったボラにウノは動揺し悲しみます。

2人の結末
ただ個人的に少し物足りなかったのがボラとウノの関係です。できれば、あともう一押しぐらい2人の強い結び付きを感じさせるエピソードが欲しかったかなと思います。印象的には若干”青春”の場面が多かったような…。
というのも、ボラは大人になった今でもウノを忘れられていません。彼への想いがずっとあって…という、そこへの繋がる説得性が今ひとつ弱く感じてしまいました。もう少し確固たる繋がりが欲しかったかなと思います。
(意地悪な見方をすると)友情の描写の比重のためか、ウノの状況をなぜヒョンジンは知らされなかったのかとも思わせてしまう気もします…。
最初のプロローグのシーンが抒情的すぎて、これはハッピーエンドにはならないと感じさせられましたが、なかなか切なくて悲しい結末となりました。
青春というキラキラ輝いていた、喜怒哀楽を詰め込んだような”あの頃”の瞬間を際立たせたような意図も感じられました。
ちなみに個人的に一番胸に来たシーンは、大学生になったボラがブラインドデートで相手の名前がウノだと聞いて、泣き出すところです。彼女の感情がまさに涙と共に溢れ出るのは、蓋をしていた気持ちをリンクしているようでした。少しユーモラスに緩和されていましたが、非常に切なかったです。

ということで、90年代を舞台にノスタルジックさを出して、気持ちの交差や”時差”を上手く使った切ないラブストーリーの作品で楽しめました。
ポケベルやEmail、留守番電話のメッセージなど、相手のとの連絡手段に時間差が生じる可能性を秘めたシステムは、感情の一方通行や歯痒さが必然的に生まれるので、とても面白いアイテムだなといつも思ってしまいます。
ハッピーエンディングではありませんが、ボラはウノに誉めてもらった声の仕事を今でもしているというのは、まさに「20世紀のキミ」と繋がり、ポジティブな未来を感じられ良かったと思いました。

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