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韓国ドラマ サムダルリへようこそ (感想)

おすすめ度:72%
済州島度:100%
帰る場所度:100%
原題:웰컴투 삼달리 / Welcome to Samdal-ri  (全16話)

韓国ドラマ サムダルリへようこそ感想レビューあらすじネタバレ

傷ついて戻ってきた故郷の島で本当に大切なものに気付く…。2023年のヒューマンラブストーリー。

あらすじ・キャスト

済州島からソウルに出て、世界的にも著名なカメラマンとなったサムダル(シン・ヘソンさん)。
しかしアシスタントとのトラブルで、サムダルは世間から大バッシングを受けることに。
逃げるように姉妹らと故郷の済州島に戻った彼女。
変わらない風景の中には、苦い思い出もある元恋人であり幼馴染のヨンピル(チ・チャンウクさん)の姿があった…。

感想

良いドラマだと感じましたが、ストーリー展開がのろのろしすぎていると思えました。
テンポが遅いというか、全16話としては大変シンプルなストーリーとエピソード構成のため、どうしても1つのエピソードを無理にしつこく引っ張りすぎている印象が拭えませんでした。
そこに私はくどさを感じてしまいました。(あくまでも個人的な感想です)
お話としては、カメラマンとしてキャリアを積みトップに君臨した立場になった女性が、ある日突然その地位を失ってしまいます。
彼女は混乱と悲しみの中で故郷の済州島に戻ることに。
そこで、再び自分を取り戻し、そしてかつての恋人であり親友でもある男性、そして家族の関係を見直して…という、いわゆるヒーリング系のヒューマン・ラブストーリーです。
話の筋は真新しさは全くなく、どのように進むのかは予想が付く展開ですが、今作の素晴らしい点はその人間関係の描写の中にある他者への愛情が強く伝わる点かなと感じました。
離れていても、近くにいても、どんな"物言い”をしても、その人を愛しているからこそ…それらのセリフが輝いていて良かったです。
ただ、もちろん良い部分だけでなく、その愛情が時には毒になって周囲をじわじわ蝕んでいるという点も上手く表現されていたと思います。
(後述しますが個人的にはこの「毒」になっているエピソードが、好きではありませんでしたが…)

サムダルリへようこそ 感想考察あらすじ批評

そして何と言っても光っていたのが、メイン2人を演じるシン・ヘソンさんとチ・チャンウクさんの演技だと思います!
サムダルというキャラですが、ソウルでは非常に"強い”女性だったの訳ですが、故郷に戻った彼女。
幼馴染のヨンピルに再会した途端、サムダルはかなりの泣き虫キャラになっていたと思います。
この泣く演技がかなりのバリエーションがあるのですが、そのどれもが良くて、シン・ヘソンさん上手いな~と素人目にも感じました。
そしてそんなサムダルを海のように受け止める男性、ヨンピル。
チャンウクさん演じるヨンピルがとにかく良くて、全人類にとって安全すぎる存在でスゴイなと思った次第です(語彙力ゼロ)

ただ述べましたが、話のペースが遅く「何も大して起こらない」という展開が割と続きます。
済州島の風景や田舎町の人々の特色を強く押し出した序盤でしたが、個人的には今作のドラマのそのものがエピソードが少なすぎて気になりました。(すみません)
私には、その点がとにかく気になってしまいました。
ただ、終盤にかけてグッと人間関係が動き出しますので、期待して下さればと思います。

ゆるいネタバレありの感想

韓国ドラマ Netflix サムダルリへようこそ 感想考察ネタバレあらすじ
ネットフリックス サムダルリへようこそ感想ネタバレ考察レビュー

有名プロカメラマンのチョ・ウネとして、ソウルで大活躍中のサムダル。
しかし順調な日々も、自身のアシスタントであるウンジュに大きく裏切られてしまいます。
彼氏とアシスタントの浮気、そして逆切れ自殺未遂事件…。
たちまちマスコミにパワハラだと報道され、サムダルと姉と妹らは世間の厳しい批判に晒されることに。
こうしてサムダルら姉妹は、追われるように実家のある済州島に戻ってくるのでした。
しかし島の小さな村でも同様、急に戻ってきたサムダルについてすぐに噂が広がります。
彼女自身もこの騒動を通して「どうしてこうなったのか?」について自問自答し、混乱の最中。
ソウルでバッシングに遭い、故郷でもまた噂の的になり、サムダルの心はボロボロに傷ついていたのでした。
そんな時、何も変わらないヨンピルが存在しました。
チョ・ヨンピル…サムダルの幼馴染であり、親友であり、そして元恋人でもあった男性。
サムダルは、ヨンピルの昔から変わらない姿にどこか安心を覚えます。

2人の再会
94年に9歳だったので、現在38歳のサムダルとヨンピル。
彼らは交際していましたが8年前に別れたっきりです。
その後サムダルは浮気者のあの男性と交際していましたが、泥沼状況で破局
一方のヨンピルは、サムダルを忘れられないまま。
ずっと8年誰とも付き合っていませんでした。
そして島に戻ったサムダル。
2人の久しぶりの再会は気まずくもあり、懐かしささえ覚える状態。
当初はぎこちなかったサムダルとヨンピルでしたが、元々幼馴染として長い付き合いでもあった2人は、自然とまた昔のように顔を合わせて話す機会を得ます。
ここで不思議なのは、なぜ2人は別れてしまったのかということ。
サムダルとヨンピルの現在の様子を見る限り、2人がいがみ合って別離した訳ではなさそう…。

2人の別れの原因
どうして別れたのか…?
ヨンピルの問いに答えられず、歯切れの悪い様子のサムダルでしたが、2人の置かれた背景が次第に明らかになっていきます。
ヨンピルは10代の頃に海女であった母親を海で亡くします。その海の事故の「きっかけ」のひとつが同じ海女をしていたサムダル母です。
ヨンピル父が愛する妻を亡くした原因はサムダル母だとし、長い間この家族の間には深い深いわだかまりがあったのです。
妻を”殺した”女の娘、サムダル…。
ヨンピル父は、”敵”の子サムダルと息子との交際を決して許しませんでした。
サムダルはそんなヨンピル父の気持ちを汲んで、ヨンピルを心の底から愛しながらも、別れを選択せざる得なかったのです。苦しい別れだったのです。
しかし一方で父とサムダルとの背景を知らなかったヨンピル。
いつまでも別れに納得できず、ずっとサムダルを忘れられずにいたのでした。悲劇。

サムダルリへようこそ 感想考察あらすじ批評

気になった点
今作の内容について、個人的に気になった点をあげます。
ストーリーについてで、演じる役者さんについてではありません。また、あくまでも私個人の感想です。すみません。

・ヨンピル父
愛していた妻の突然の死。
悲しみに暮れたヨンピル父が、苦しみの中でサムダル母を当て付けのように20年も恨む気持ち…ある程度は理解できます。
とにかく誰かを恨まないと生きていけなかった…わかります。
自分でも間違えていると思いながらも、意固地になってそれ以外の生き方を今更できなくなったヨンピル父…わかります。
しかし、とにかく長くしつこい!
そもそも30歳以上の成人した息子の恋愛にいちいち口出しする点は一切理解できませんし、子供をまるで呪いのように精神的に”閉じ込めて”いたような描写も好きではありませんでした。
ドラマとして、ヨンピル父の「悲しみからの解放」が大きな山場として描かれていました。
ですが、個人的には一体全体何の「赦し」をヨンピルとサムダルは父から得る必要があったのかよくわからず、正直イライラしました。
家族の繋がりの強さ、親に対する尊重は理解できますが、ドラマとして最後まで引っ張るネタなのかなあとは思えました。
また20年も逆恨みを続けて言葉の暴力含めて接していた隣人親子について、急に簡単にヨンピル父が態度を180度変えたことにも違和感を覚えました。
(それならばもう少し早くから和解エピソードと過程を描いて欲しかったです)

・サムダルにまつわる三角関係
島の友人の1人、サンド。
彼が昔から実はサムダルが好きだったと明らかにされる訳で、その彼の感情は今もなお変化していないという話があります。
これが、本当に申し訳ないですが私は「何?」と思ってしまいました。
というのも、とにかくサンドという存在と彼の気持ちが何ら大してストーリーに影響していなかったからです。
雑に言うと、サンドは単なるサムダルをかなり長年の間密かに愛していた…という、”設定だけ”の人の状態。
正直、そもそも成立してもいない三角関係を無理矢理入れたような居心地の悪さというか、適当さを感じました。
何故このサンドというキャラをもう少し効果的(?)に使わなかったのか、私はよくわかりませんでした。

・エピソードの広げ方
特にサムダル姉のジンダルと元夫とのストーリーは、個人的にはかなり楽しく面白かったです!
元夫デヨン演じるヤン・ギョンウォンさんは持ち味爆発という感じで、非常に良いキャラでした。
ですが、残念ながら2人のお話はそれほど時間を割かれてはいませんでした。
海女達の似たようなゴシップ時間、またアシスタントの同じようなパターンの反撃シーンなどを短縮して、サムダル姉や妹の恋愛模様を描いても良かったのではないかなあと個人的に思ってしまいました。
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ということで、全16話のとして全体的に1つのエピソードについて似たパターンで何度も繰り返し描かれているように感じてしまいました。
美しい景色、素晴らしい俳優陣はとにかく素晴らしかったです。
無条件で愛してくれる「帰る場所」の故郷の済州島の”家族”を描いた今作でしたが、良い要素を何となくメリハリがないまま繋げて終わったように個人的には感じた次第です。(すみません、個人的な感想です)

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