ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ セレブリティ (感想)

おすすめ度:80%
インフルエンサー度:100%
インスタ度:100%
原題:셀러브리티 / Celebrity (全12話)

ネットフリックス 韓国ドラマ セレブリティ 感想考察レビュー

インフルエンサーになる極意とは?華やかな世界の影を描く、2023年のヒューマン系サスペンスドラマ。

あらすじ・キャスト

SNSのアカウントさえ持っていなかったソ・アリ(パク・ギュヨンさん)は、ひょんなことから華やかなインフルエンサーの世界に誘われる。
場違いだと感じたアリだったが、彼女のアカウントはネットの世界でどんどん大きくなってゆく。
上流階級のシヒョン(イ・チョンアさん)やジュンギョン(カン・ミンヒョクさん)と知り合いになり、自身も一躍有名となったアリだったが、様々なトラブルに巻き込まれ…。

感想

主にインスタグラムで活躍するインフルエンサーを主題にした、面白いドラマでした。
華やかな彼女たちの暮らしや、内情、仕掛けた人たち、そして争い…と、きらびやかな世界で美しい笑顔を振りまきながらも、水面下ではお互いを脚で蹴り合っているようなドロドロした部分も多く描かれます。
約50分x全12話の作品で観やすかったです。
テンポも悪くなかったですが、ただエピソードが狭いサークルでの内輪モメの似た内容のものが多かったように思え、個人的には全10話ぐらいでまとめた方が作品として強くなったのではないかなあと感じました。
一応サスペンス的な要素もありますが、個人的にはかなり弱いかなと感じました。もう少しその要素を強く期待しましたが…。ラブストーリーも描かれますがメインではありません。
作品が持つ当初のイメージ的にはスキャンダラスな雰囲気もそこはかとなくありますが、全体的に殆どの要素がライトな描写となっていますので、安心して(?)視聴頂けると思います。
作品そのものに勢いもありましたし、何より主役を演じるパク・ギュヨンさんの抜群のスタイルに合わせてあるファッションが全シーンとっても良くて、私は非常に楽しめました。
また特別出演の方が出るエンディングですが、個人的にはなかなかパンチのあるメッセージが密かに込められているなと感じました。(後述します)

今作では様々なブランドが濁されず思いっきりロゴも名前も出されて使われていますので、目でも大変楽しめるようになっています。
ただ、ブランドにとって結果的にプラスになっているのかどうかは、若干謎に思えましたが…。

最も大きく気になった部分としては、主人公アリ以外の人物描写の浅さです。ここはかなり目についたかなと思いました。(個人的な感想です)
アリを(良くも悪くも)取り巻く人々ですが、皆さん一様に一面しかないキャラとして作品内で存在しているので、毎回同じようなセリフと態度ばかりになっていましたせいか、正直なところ全体としての作品の深みが出ず、ちょっともったいないと思いました。
アリを目立たせたいのは理解できますが、キャラを固定し過ぎるとシーンが多い割にまるでモブキャラみたいになってしまうのは観ていて残念に感じた次第です。

シーンとして派手なパーティなどのシーンも多いせいか、たくさんのカメオ出演(特別出演)がありますので、その部分でも視聴していて楽しかったです。
気になった方は、是非ドラマをチェックして下さればと思います。

ゆるいネタバレありの感想

Netflix 韓ドラ セレブリティ レビュー考察批評感想

小さな化粧品会社で訪問販売員として働いている、ソ・アリ。SNSのアカウントも持たず、流行にも興味がなく暮らしていました。
ある日同僚で友達でもあるジョンソンと共に、店長のお使いで高級店に向かう2人。しかしそのお店である意味、運命の出会いが。10代の頃の旧友ミネとの再会です。
ミネは今やインスタグラムを中心にインフルエンサーとして派手な生活を送っているようで、その姿にアリは驚きます。ミネの方もお金持ちで頭も良かったアリが、現在何をしているのか気になる様子。
実はアリの家庭は昔は裕福だったのですが父親が事業に失敗して亡くなって以来、アリは進学も諦め金銭的に余裕が無い状況。
避けるように話を切り上げようとするアリでしたが、有名インフルエンサーに興味津々の友人が無理矢理アリとミネをSNSを通じて”繋げて”しまいます。
ここからアリの人生が180度変わってしまうのでした。

パーティ・デビュー
アリも自分と「同じ階級」の人間だと勘違いしたミネは、パーティに誘います。
断る気でいたものの、派手な生活が忘れられない母親とジョンソンに乗せられパーティに参加することにしたアリ。彼女のドレスは、洋服の修繕をする母親の店から”借りた”他人の入手困難の高級ブランドのもの。
持ち前の芯の強さと負けん気の強さで、アリは場違いにも関わらず堂々と振る舞える性格がとても有利に働いたようです。
しかし彼女はインフルエンサー同士の喧嘩に巻き込まれることに。挙句ドレスの持ち主らしき人まで出現し、散々な気持ちになるアリ。
しかしそんな彼女の態度は、多くの人に特別な印象を残したのでした。

パワーインフルエンサーへの道
ミネがアリのアカウントをフォローしたお陰で、彼女のフォロワーは自動的に増えていくようでした。
アリはインフルエンサーの女性たちを知るにつれて偉そうな態度に立腹するものの、同時に彼女らの持つ影響力の凄さを実感します。
とはいえ、アリは気が強く見下されるのは許せない性格のよう。
インフルエンサーたちと「私は違う」と世間にアピールしたものの、逆にバッシングを受けてしまいます。
そんなアリに手を差し伸べる人物が表と裏に2人…。
1人は財閥3世で大手コスメブランド代表ジュンギョン。
そしてもう1人はアリに協力を申し出るメッセージを送ってくる_bbbfamousなる謎の裏の人物。
力も財力もあるジュンギュンと、敵対するインフルエンサーたちの裏情報をなぜか流してくれるのがこの_bbbfamous。
アリは気付けは世論を再び味方に付け、起業もしてインフルエンサー界の頂点に上り詰めていくのでした。

終わりの始まり
キラキラした世界の中身は汚い部分もたくさんありました。
アリは元々持っていた彼女の芯の強さをここで発揮、ある事件について彼女の世界の崩壊を意味する行動を取ることを決断します。
しかし事件の背後にはもっと大きな勢力が。彼女は昔ジュンギョンに警告された通り、「身に危険がおよぶ」状態に…。
加えてアリに影で今まで協力してくれていた_bbbfamousの態度が一転、凶悪アンチ化。
全てが手に負えなくなったアリ、ついに「調子に乗っていた」と全面降伏状態に。
生きる希望すら失ってしまいます。一体彼女はどうなるのでしょうか…?

気になった点
・人物描写
上述しましたが、アリ以外のキャラの表面的な設定は残念でした。
アリと並ぶ(?)キャラに思えたシヒョンさんも、最後は自分の気持ち優先で動く!的にはなっていましたが、彼女が一体何を考えて行動しているのか分かりにくかったです。
またインフルエンサーガールズ達ですが、面白そうで個性的になりそうなメンバーだったにも関わらず十把一絡げのような扱い。
いつもヒステリックに怒っていることが多く、可哀想に思えました。
・ジュンギョンさん
上と内容が被りますが、自他ともに認める”プリンセスメーカー”で「階級の低い女性と交際する」タイプとのこと。
そんな彼がアリに興味を示した訳ですが、正直最後までジュンギョンさんがアリに「どこまで本気なのかどうか」が本当に読めませんでした。
一応シヒョンに注意を受けていましたが、彼の気持ちをはっきりと確信できるようなシーンが大して存在しなかったのは不満でした。
ジュンギョンも結局”普通”とは遥かに異なった暮らしをしているお金持ちの男性!という一点の描写がとにかく強すぎてもったいなかったです。
2人の関係が一体どこまでの進展になるのか不明ですが、ジュンギョン母も伝統的な考えを持ちそうな存在でしたので、アリさんとの交際に不穏さを若干感じた次第です。
・アリの脱出劇
これは作品の主軸では無いのでしょうがないかもしれませんが、少なくともサスペンス風にするならば、ある程度の視聴側が納得できるネタばらしをお願いしたいです。濁しすぎだと感じました。
・アンチの描き方
作品内の最後の砦(?)となる謎のIDを持つ人物ですが、「本当の自分のことを1ミリも知らない普通の人間」という部分はリアリティがあって良かったです。
ただ、何となく同情を持たせるような描き方をしたのはスッキリしませんでした。

エンディングシーンの考察
最終回の最後でジュノさんが特別出演でシーンに出現しますが、彼が手にとるiPadはシヒョンがアリに渡したもの。
ロックも無しで自由にお取りください状態のタブレットでしたが、2つの意味が考察できると思います。
まず1つは、「知りもせず応援したり憎悪したり」する次の人は「あなたかもしれない」可能性があるということ、その恐ろしさを視聴者に向けて示唆していると思います。
2つ目はもちろん「あなたも簡単にインフルエンサーになれる」という意味でしょう。
放置されたiPadは、そんな”機会”はどこにだって転がっているという意味だと考察します。
今作ではインフルエンサーの表と裏の顔を描きつつ、そんな虚偽と真実の上に立つマボロシのような存在の「恐ろしさ、虚しさ」を描いています。
一方でストレートには表現されていませんでしたが、そんなインフルエンサー達の”虚像”にいとも簡単に騙され、自身の生活さえ左右されてしまいがちな我々へに対する警鐘でもあると思います。
1話の最初にアリが我々に「まずは疑え、信じるかは自由」と警告しているのがまさにポイントだったのかなと思いました。
一般男性を演じるジュノさんが、アカウントを見ながら意味深な表情を浮かべていましたが、「どちらに転ぶかわからない」危うさを表現しているなと感じました。

ということで、ちょっと表面的であと一歩足りないという気持ちも抱きつつも、魅力的で面白いドラマでした。
全12話構成でしたが、半分に分割されて配信されなくて良かったな〜と思いました。なかなか中毒性のあるドラマで面白かったです。

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