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韓国ドラマ ブラームスは好きですか? (感想)

おすすめ度:68%
音楽の道度:100%
言いたいこと度:100%
原題:브람스를 좋아하세요? / Do You Like Brahms? (全32話 U-Next版)

韓国ドラマ ブラームスは好きですか? 感想考察レビュー

天才ピアニストと落ちこぼれバイオリニスト、どこか似た2人は惹かれ合うが…。2020年のラブストーリー。

あらすじ・キャスト

バイオリンを諦めきれず、音楽学部を受験し見事合格したチェ・ソンア(パク・ウンビンさん)。しかし音楽家としての現実はとても厳しいものだった。
ソンアは、コンクールで実力を認められ話題になっている同じ大学に通うピアニストのパク・ジュニョンキム・ミンジェさん)とオーケストラの一員として舞台に立つはずだったが、彼の目の前でメンバーから外されてしまう。
一方のジュニョンは、密かに好きだったジョンギョン(パク・ジヒョンさん)が、友人でもあるヒョノ(キム・ソンチョルさん)と恋人同士になっていることを複雑に思うが…。

感想

スローなラブストーリー
想像以上にゆったりとしたすれ違いのラブストーリーで、なかなかもどかしくもありましたが、良かったです。
気持ちのすれ違いの描き方ですが、状況よりは「はっきり意思表示できない」という主人公らの性格に起因しているので、そのあたりが良くも悪くもポイントになっています。
個人的には最近この手のドラマを観ていなかったので、新鮮さを感じて楽しめました。
この”言いたいけど言えない→すれ違い”という一連の流れ(ただ若干ワンパターンではありましたが…)は、むしろ一切気になりませんでした。
というのも、とにかくパク・ウンビンさん演じるソンアとジュニョン役のキム・ミンジェさんがキャラにとにかくハマっていて、本当に良かったからです。
2人はどちらかというと似た性格であり、その「優しさ・丁寧さ・繊細さ・思慮深さ」を持つキャラクターに、見た目からしてどこかロイヤル味があるといか、とっても似合っていて役作りが大変素晴らしかったです。
キャラとしての説得性が特にあったので、この2人の気持ちのすれ違いに関してはそれ程イライラさせられることはありませんでした。

ただ個人的にうーんと思ったのは、ストーリーとしてあまりにも山場が無いところでしょうか。
全体的にちょっと内輪揉め感が続きすぎると思います。ドラマとして(大袈裟ですが)ダイナミックさ皆無というか…。
あまりにも似た状況でのトラブルばかりになるので、観ていて同じようなシーンと面子が続きすぎるところが最も気になり、残念だったかなと思います。
ただ作風的にこの大学の音楽科を舞台にしているので、そこから外れすぎるエピソードを描きたくなかったのかもしれませんが、全16話(U-Netxt版は32話ですが正規では16話です)構成を耐えるにしては正直ネタがかなり乏しいと思います。
そのため中盤については私はつまらなさを感じて、中だるみしました。(個人的な感想です)
ただメイン2人の関係性は好きでしたので、終盤また結構盛り上がりを感じました。

ゆるいネタバレありの感想

パク・ウンビンさんインスタグラムより

ソンアは一旦大学を卒業したものの、バイオリンの夢をあきらめきれず何度も挑戦し再度大学生としてバイオリンを専攻することに。
夢いっぱいだったソンアでしたが、幼少期からバイオリンを習ってきた学生や天才のような人々の中では、やはりただの凡人…。ソンアは努力しようと頑張ります。
そんな彼女は、同じ大学生で海外から戻った既にピアニストとして注目されている才能豊かなジュニョンと同じ舞台に立つ機会を得ます。
しかしそんな夢の舞台になるはずだった日も、結局実力不足でオーケストラから外されててしまい、厳しい現実を目の当たりにするのでした。
一方のジュニョンですが、数々のコンクールで良い成績を出し注目される若手ピアニスト。
才能もあり問題などなさそうな彼ですが、人知れず彼は悩みを抱えていたのでした。ピアニストでありながら、ピアノに対して幸せを感じない…。
彼は自分のピアノ演奏を支えてくれる財団によって、自身と両親の生活を成り立たせてもらっているという葛藤を抱えていたのでした。
バイオリンを専攻しながらもなかなか芽が出ず進路も決められないソンアは、キョン文化財団でインターンとして働くことになります。この文化財団を通して、ソンアは再びジュニョンと出会います。

苦しい片思い
ソンアとジュニョン、彼等は性格的に似た者同士。共に自分の意見を言えないタイプの2人。恋愛に対しても似た状況に置かれていた2人でした。
ソンアは楽器工房を開いているドンユンを好きでしたが、親友のミンソンも彼を好きなため自分の気持ちは封印。
同様に、ジュニョンも長い年月の間ジョンギョンをずっと好きでした。しかしジュンギョンはジュニョンの友人でもあるヒョノと交際中。
ジュニョンは苦しい片思いを”トロイメライ”に乗せ、ジュンギョンを想うのでした。
トロイメライはジュンギョンの名前の由来でもあり、彼女にとって「特別な」曲だったのです。
しかし2人のそれぞれの片思いにも終わりが近づきます。
ドンユンとミンソンは一夜を共にしたと知るソンア。そしてジュンギョンとヒョノは婚約…そんな話を聞くのでした。

ブラームスは好きですか? ドラマ感想レビュー考察

ジュニョンとソンア
財団を通じて知り合ったジュニョンとソンア、2人は物静かで似た者同士ということもあってか、次第によく話すようになります。気持ちが急速に大きくなるように見えた2人…。
しかし、ここで堂々とジュニョンの前に登場するのがジュンギョンさんです。
ジュンギョン「(ジュニョンを)好きよ、私が好きでしょ?」
これに動揺するジュニョン君。もちろん彼女への気持ちを忘れているはずもありませんが…。ヒョノさんの立場は一体…?
ジュニョンにとって難しいのは、このジュンギョンと友人ヒョノの単純な三角関係だけではありません。ジュンギョンさんはジュニョンが公私ともにお世話になっている財団の孫、ということも彼を悩ませているのでした。
そして新たに出会ったソンアの存在…。
そんな時ソンアは自分の気持ちを抑えきれず、ついにジュニョンに告白するのでした。
しかし彼は「待って欲しい」と答えます。
彼には整理しきれない問題がありすぎたのです。

言えない気持ち
ここでジュニョンに「一体いつまで待たせるの?何様?」とは決して言わない奥ゆかしいソンアさん。
ジュニョンにジュンギョンの影がチラつくのを見ていながらも「事情がある」「2人には長い付き合いが」と必死で彼を理解しようと努めます。
そんな時にドンユンからのタイミングを逃しすぎた告白(今更?)、食らいついたら離さないジュンギョン姉貴。可哀想すぎるヒョノ。次々と2人の間に人々がやってきます。
特に何ら問題は片付いてないように思えたものの、やっとソンアが待ち望んでいた言葉がジュニョンの口から発せられます。
気持ちが通じて良かったですね、ソンアさん…!!
この2人の超お似合いのカップル誕生に、思わず財団のドンのように目を細めてしまいそうになりました。
しかし述べたようにトラブルは未だ山積み。嫌な予感。

内輪のトラブル
幸せな2人…のはずでしたが、ジュニョンの周囲には常にジュンギョンの影があることにソンアは不満を感じます。
そもそもジュニョンこそが彼女を好きだった…。この長すぎる2人の関係に、新参者のソンアは疎外感を感じていたのかもしれません。
2人の間に発生する問題を雑にまとめますと:
・ジュニョン親のわんこそば状態の借金
・とにかく家に突撃してくるジュンギョン
トロイメライ禁止令
・突然登場する録音できるピアノ
・教授たちの争い
・狭い世界の生きづらさ
・ドンユン何がしたいの?
・結論から話そう
・伴奏問題
・ヒョノのトッポギ2人前
これらが発生して、ソンアとジュニョンの仲がギクシャクしはじめます。
お互いを気にかけすぎて、ついてしまった小さなウソが大きな不信感に繋がります。
ついにソンアはジュニョンに別れを告げるのでした…。一体2人の仲はどうなるのでしょうか?
ただこのトラブルが上述したように、かなりのこじんまりとした事件ばかりで、代わり映えしないものばかり。
常に内部のゴタゴタと人間関係の軋轢の中でソンアとジュニョンが疲弊して…というのは理解できます。彼等2人の性格描写にも繋がります。
ただシーンがあまりにも毎回同じすぎると思います。ジュニョンの指導教授の問題にしても、ピアノに録音!動画UP!と、既視感というか画面に動きが無さ過ぎて最早シーンのSDGs的にも思えてしまいました。(すみません、個人的な感想です)
このあたりが個人的には不満点だなと思いました。
キャラ2人の性格が鍵になるので軸としては異論は無いですが、彼らを取り囲むエピソードの流れが毎回同じで少々飽きました。

指輪の考察
最終回のラストは気持ちの良い終わり方で良かったです。
特に意思表示できなかったソンアが初めて自ら強い意志で手に入れた「音楽」と「愛」を自らの手で終わりを決めたという部分も良かった。彼女なりのケジメのようでストーリーとして繋がっていました。
エンディングでソンアが指輪を右手に着けてもらうシーンがありましたが、一旦彼女が左手を出した後のシーンなので、本来のソンアは右利きだと考察します。
つまり、ジュニョンは彼女をバイオリニストとしてしっかり尊重しているため、左手でなくリングを演奏の邪魔をしない右手を選んだのでしょう。
ここも最初に彼がCDにサインした際に、ソンアに対して”バイオリニスト”と書いたシーンに繋がってとても良いなと思いました。

ということで、ゆったりしたラブストーリーで2人の関係は楽しめたものの、ちょっとドラマとしては小さくまとまり過ぎているかなと思った作品でした。

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