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韓国ドラマ カイロス~運命を変える1分~ 感想

おすすめ度:83%
10時33分度:100%
1ヶ月度:100%
原題:카이로스 / Kairos (全16話)

韓国ドラマ カイロス 感想レビュー

2つの時間軸で起こる事件、繋がる電話…2020年放送のパラレル・サスペンスドラマ。

あらすじ・キャスト

大手建設会社の若手理事ソジン(シン・ソンロクさん)は、会社のパーティの最中に娘を誘拐されてしまう。妻ヒョンチェ(ナム・ギュリさん)は失意にくれることに。
絶望するソジンだったが、部下ドギュン(アン・ボヒョンさん)の助けもあり、仕事は順調に進めているのだった。
しかし、以前から「間違い電話」をソジンにかけているエリ(イ・セヨンさん)から、行方不明の娘ダビンを見たとの情報が。エリとの電話に違和感を覚えるソジンだったが…。

感想

編集大勝利!
クセになるテンポもあって、面白かったです。
現在の時間軸と過去(1か月前)の時間軸が1分だけ繋がる電話によって交差する、パラレルワールド的なサスペンス。
1か月前・後の人々が互いに干渉し合い、未来/過去を変えていくというお話ですが、それによって根本的に事件の真相は大きくズレもしません。そしてサスペンスだけのストーリーに注目すると、それほどインパクトのある話でもありません。
ですが、とにかくこのドラマの特徴としてはかなり短いカットで頻繁に場面が変わる部分でしょうか。
独特のテンポを保ち、集中力を途切れさせない構成になっていて、ここが一番上手いなと思ってしまいました。印象に強く残りました。
コマ割りされた時間軸を繋ぐと、割と普通のサスペンスの流れで観ていて時間軸の混乱はあったとしても、話の流れの混乱は発生しにくいストーリーなので、かなりわかりやすい展開かと思います。これも工夫されているのも良いなと思いました。
ですので、視聴していて「これは(1か月)前?後?」とわからなくなる箇所もあると思いますが、そこまで細かく気にせず続けて視聴されても全く問題ないかなと思います。(話の本筋は過去未来で大きくは左右しませんので)
ちなみに、過去(1か月前)の画面色はセピアっぽい茶色系(衣装も)で、現在(1か月後)はブルー・グレー系の画面色処理を(なんとなく)されています。
途中から画面左下に時間の表示も出ますので、それを目安に視聴されると時間軸がわかりやすいと思います。

ただストーリーのヒネリの無さをカバーするためか、少々(良くも悪くも)ミスリードを狙った混乱(時間軸)をわざと引き起こしている気もしましたが…。
「何故そんな行動を…」というシーンもありはしましたが、それはこの作品だけの話ではないのでしょうがないとは思いました。
ただ、欲を言えばこの細かいカットと編集ありきのドラマになっていて、各キャラクター描写に深みがなく、甘いというか不足しているかなと個人的には残念に感じました。そのためか最終回のシーンは少々違和感を覚えたような。
ちょっと終盤にかけて想像以上にこじんまりまとめてしまったんだな…とは思いました。

タイトルのですが、ギリシャ神話の神の1人の名前。またはギリシャ語の「時刻」とうい意味とのことです。(参照)カイロス - Wikipedia

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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シン・ソンロクさんインスタグラムより

ユジュン建設の最年少理事へと就任したソジンはキレ者。彼のバイオリニストの妻ヒョンチェは、会社のチャリティーパーティでその腕前を披露する予定です。
そして当日…妻の演奏中、一人娘のダビンが消えてしまいます。誘拐事件発生。
不幸は連鎖し、妻のヒョンチェは悲痛の末、自ら命を絶とうと川へ身を投げてしまいます。
犯人への捜査は進まず、絶望のソジン…。

一方、ハン・エリ…コンビニでバイトをしている彼女ですが、母親は病気を患っていて手術費用も捻出しなければなりません。しかし入院中だった母親は、突然失踪してしまいます。
気付けば自身の携帯電話を紛失してしまったエリ、母親の電話を使用し自分の電話番号にかけてみますが、相手はあのソジンへ繋がります。エリはソジンが自分の携帯を使っているのに、応じようとしないと立腹。
しかし、この時点で2人の運命と時間は”交差”し始めたのでした。

誤解も生じながらも何度か連絡をし続け、2人はある事実に気が付きます。
そう、2人は同じ時間軸を生きていないということに…
エリはソジンよりもちょうど1か月前を生きていたのです。2人は夜10:33から1分間だけ、通信できるのでした。
「もしかして事件を防げるかもしれない!」ソジンは1か月前ならエリに助けを請います。そしてエリも同様に1か月先を生きるソジンなら、母親が消えた謎や居場所がわかるのではと考えます。
何が何だかわからないものの、交換条件のようにして2人はとりあえず共に助け合うことを決意するのでした。
このように1か月の時間差を鍵として、エリは母の失踪事件そしてソジンは娘の誘拐事件を解決しようと動き出します。

ソジンがまずエリに伝えたのが、「(1か月前の)自分に会ってくれ!」ということでしたが、この時点で少々笑ってしまいました。
1か月前の自分の態度や会社の雰囲気…、理事さんそう古い過去ではないので、是非ご自分で思い出して頂きたいです。どう考えても一般人のエリさんが、のこのこ会社に入って横柄ソジンに面会できる訳もありません。平然と無理ゲーをお願いしてくる理事。
しかも通信時間は1分間とはいえ、データや映像まで送れるという設定…理事ならそれらを使って何らかの具体的な案を出して欲しいものです。
とはいえ頑張って正面突破するエリさん。強い。しかし(当然?)、ソジンはエリを相手にしません。
幾度となく「ダビンちゃんが誘拐される!」と不穏な未来を語る謎の女性エリに、ソジンは最終的に警察沙汰にしてしまいます。
不審者エリにイラつくソジンですが、彼女の予言のような言葉に怪訝な顔をしている者が…。

このドラマのルールとしてわかりやすい点は、過去を変えても事件の”方向性”は変化ナシというところ。
つまり過去によって未来は”多少”変化するのですが、だからと言ってキャラが突然「事件に関係ない」みたいにはなりませんので、安心ポイントかなと思います。連動しつつも、ストーリー本筋は全く逸れないので非常に観やすい流れです。
また、彼らの記憶がうっすら残っていたりするのもわかりやすい(都合が良い気もしますが…)と思いました。

ストーリー展開や魅せ方は非常に面白くて良かったのですが、勿体ないと思った点。それは少し触れましたが、人物描写の浅さです。
エリの母もなかなかでしたが、特にドギュンとヒョンチェは行動理由が他とは違ったのもあり、キャラ描写に気になりました。
ドギュンなのですが、彼の行動のすべての動機はヒョンチェな訳です。ここは面白いですし、愛憎劇のようでもあり、なかなか盛り上がるところ。
だったのですが、個人的にはドギュンとソジンの関係性をもう少し描いて欲しかったという願望があったところです。
ドギュンは一度は”証拠”を手に入れ確認したものの、これを見て何か彼の中での仕事としての道理のようなものは存在しなかったのかな…と疑問というか残念に感じたというか…。
まあそれよりも”切り札”として使うのが大切なのはそうなのでしょうが…。
ソジンは彼のヒョンチェへの愛情をある種認めて、最後はドギュンが一番聞きたかったであろう言葉を伝え、(ある意味)フェアに行動したようにも思えました。それに呼応するようなドギュン→ソジンへの何かが欲しいかなとは思えました。
ドギュンの最後の行動は、倫理的にもあのように終わらせる必要性があったとは言え、もう少しカタストロフィさがあっても良かったのではないかなあと思いますが…。

ヒョンチェもそうですが、あんなに平然と「始末しろ!」と言いまくるタイプの恐ろしい女性なのに、とんでもなく父に怯えていたりと、ここも少々違和感を覚えましたが…。
あの父親の存在こそヒョンチェにとっては「始末しろ!」と一番にテッキュに命令すべき相手になるかと思いますが…。
特にこの2人は事件の黒幕ではない感情的な部分での思惑があったため、余計に描写の浅さが目立ち、何だったの感が気になったのが正直なところです。

ということで、気になる部分はそれなりにありつつも、とにかくドラマ構成が面白くて総合的にはかなり楽しんで視聴しました。
ドラマ全体のアピールとしては比較的地味なイメージを持つ作品かもしれませんが、ぜひ数話だけでも観ていただくと、この作品の持つ面白さが伝わるかなと思います。

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