ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ グリッド (感想)

おすすめ度:79%
太陽風度:100%
未来度:100%
原題:그리드 / Grid (全10話) Disney+

グリッド ドラマ感想

ある殺人事件は24年前のグリッドの始まりと深い関係があった。2022年放送のSFスリラー。

あらすじ・キャスト

地球を守る防御膜グリッド…その”創始者”は、未来から来た殺人者だった。
現代に再び姿を現した謎の女性(イ・シヨンさん)を追って、政府管理局に勤務するセハ(ソ・ガンジュンさん)、オジン(キム・ムヨルさん)は日々情報を分析していた。
一方、警察のセビョク(キム・アジュンさん)は事件の犯人マノク(キム・ソンギュンさん)を巡り管理局の行動に苛立ちを覚えていた時、セハから連絡を受けるが…。

感想

全10話の構成で良い意味で緊張感が常にあり、とても面白かったです!
テンポも良くどうなるか全く先が読めない展開が続き、最終回まで集中して楽しめました。
とはいえ終盤から怒涛のごとく”世界”が変化し、関係性がハッキリとドラマ内で語られないため、理解が追い付かずなかなか難しかったのが正直なところです。
考察は後述しますが、全10話という尺から推測してもシーズン2の可能性がかなりあるかなと思います。
ちょっとグリッドとドラマ内で呼ばれる世界的な”システム”と、実際メインでドラマ内で語られる狭いグループ内の関係性の対比がどうかなあと感じる時もありましたが、あまりグリッドそのものに注目させないエピソードバランスになっていて、そこは上手く濁してあるなと思いました。
根本的にはいわゆる「トロッコ問題」参考リンクWikipediaをベースにしているストーリーかなと思いました。

無機質な雰囲気の中、主演のソ・ガンジュンさんのどことなく読めない印象と、印象的な茶色い瞳が作風にとてもマッチしていて良かった!
個人的に好きなキム・ムヨルさんも出演されていたので嬉しかったですが、今作では特に驚きのある役柄では残念ながらありませんでした。
ちょっとチグハグさを感じて気になったキャラが、セハの同僚女性のジョンイ(ソン・サンウンさん)。ピリピリした管理局内で唯一少し抜けのある明るい女性なのですが、キャラとして役割が大して持てておらず、もう少しその設定を活かしてあげればいいのになとは思いました。

ゆるいネタバレありの感想・考察

 
 
 
 
 
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Disney+Koreaインスタグラムより

2021年現在。公にされていない部局、管理局で働くキム・セハ。
この部局は”幽霊”と呼ばれる謎の女性の痕跡を追っていました。そんな時、セハが第一発見者となったある殺人事件に係る警察の報告書に、”幽霊”と思われる存在を発見。セハの報告で管理局はすぐに動き始めます。
最後の幽霊の出現は1997年…既に24年経過していたのでした。
この報告書を書いたのは、ソンジェ署の女性警官のセビョク。
セビョクは殺人犯マノクを助ける共犯者とみられる女性(幽霊)と対峙した時、不思議な傷を負わされ、更にセビョクの目の前から忽然と消えてしまったのでした。
しかし絶好の逮捕の機会を失ってしまったセビョクは、謎の女性が気になってしょうがありません。しかし失敗した警察から管理局は有無を言わさず、この事件の捜査権を奪ってしまいます。
マノクを取り逃がしてしまい、共犯者の幽霊は消え、捜査は管理局へ…不満なセビョクさんです。
しかし、管理局側にも同様の事態が。彼ら管理局の人間では幽霊に”対応”できないと判断され、結局特殊部隊が出動することに。
ここでセビョクと同じく、不満を抱いたのがセハ。彼はこの幽霊の件について、誰よりも固執しているようです。
先輩のオジンが嫌みを言うぐらい副局長の”お世話”をしたりと、何か彼の中に大きな理由がありそうなセハ。
違う環境ながらも目的が一致した警官セビョクと管理局のセハ。セビョクはマノク逮捕のために共犯者の幽霊を追って、セハは幽霊を追うため、2人は秘密裏に協力し合うことに。

グリッドと創始者
ドラマ内のグリッドと呼ばれるシステムですが、主に2005年に発生した(する)太陽風が原因の異常現象から人類/地球を守る磁場を利用した防御膜のこと。
このシステムは97年に”幽霊”と呼ばれる女性が、各国の研究所からシステムを構築。
この幽霊は現在/当時の技術ではあり得ない武器を持っていて、97年には研究所に居合わせた2名がこの消える者によって殺されていたのだった。これが最初に幽霊が姿を現した24年前のこと。
そして2021年に彼女が変わらない姿で再出現したが、今回は殺人犯マノクを助けるためだけのよう…。

97年のカメラ映像1
セハはセビョクの協力で保管庫から幽霊についての過去の情報を得ます。そこには、幽霊そして彼女によって亡くなった研究所の清掃員とその息子の姿。
そして、事情聴取された2人の人物…今の副局長と保安室長の男性(当時は守衛)です。当時の研究所は今の管理局。この2人は当時を知る数少ない人でした。

2021年のキム・セハA
管理局(政府)の考えはあの幽霊は未来人であるため、生きたまま身柄を確保し聴取したい意向。彼女を誘き寄せるため色々な計画をします。
一方のセビョクは、駅深くに閉じ込められていたマノクを発見し逮捕。
そんな時、セハや副局長の目の前にあの幽霊が出現し、なぜかほぼ無抵抗で捕まります。
彼女の体からは”チップ”と呼ばれる物質が発見され、これを使って瞬間移動しているようです。
2091年生まれだと言う女性、しかし「時間は流れていない」と発言。
「あの装置さえあれば、みんな助けられる」セハは女の体に埋め込まれていたチップを使って、自らもタイムスリップしようと試みます。

グリッド ディズニープラス ドラマ感想

97年のセハ1
全ての元凶の97年に戻るセハ。
ここで97年のもう1人の被害者が明かされます。クォン・スグン博士、そうセハの実の父です。セハがなぜあれほど幽霊に固執していたのか、という理由でした。
しかしあの日の事の顛末を知って、セハは愕然とします。セハが事件を止めようと介入しますが、結局結果は同じことに。

97年のセハ2
1回目の失敗を踏まえ、今度は清掃人もクォン博士も助けることができました。
が、グリッドを構築していた幽霊が消失(※何故なら幽霊は”産まれなかった”から)。そのため、その後の世界はグリッドのない時代へ突入。
その後何度かタイムスリップを繰り返したセハ。
防御のない世界は外出もままならない惨状で、見慣れた人々も全く別の”軸”で生きていることを知ります。また違う”2021年”では両親とも健在で、裕福な2人も見たセハ。しかし世界は想像以上に酷いものでした。

97年のセハ3
防御膜が必要だと痛感したセハは、再び97年に。しかしグリッドのある世界…それは健在であるはずの両親を失うことになります。
再び研究所でグリッドを構築しようとするセハ。(このシーンは私は理解できませんでした。未来に行けないセハなのでグリッドは幽霊以外が構築することはできないはずですが。)
結局父である博士を自ら殺す状況に陥り、苛立つセハは幽霊を問い詰めます。しかし逆に「壊しているのは誰?」と問われセハは”仕組み”に気づきます。

97年のセハ4
グリッドを構築するためには、あの研究所では2人の”犠牲”がどうしても必要だったのだと理解したセハ。グリッドは無事に構築。

2021年のクォン・セハB
グリッドを構築後。
幽霊の身柄を確保しセビョク・オジンらの行動が特殊部隊に感知され、部屋を爆発させられそうになるのを知っていたセハは、再び2021年の幽霊確保前に戻ります。
この軸では、既にセハが97年に介入後の世界のため、問題の映像にはセハ・幽霊・清掃人・子供の姿がある時間軸(97年のカメラ映像2
またグリッド創始者はクォン博士になっており、セハは養子に出されずクォン姓で母も健在の世界。
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最終回の考察:
幽霊がグリッドを築く理由は「私の母と私が生まれるため」と明かし、もう1人犠牲が出ると判明したのは、97年のセハ4の時です。セハはこの時次の”正しいルート”の犠牲者は自分であると把握します。
またこの事を知っていたもう1人はセビョク。おそらく彼女は何度も時空移動してきたセハと接触しているので、そのことを教えてもらったのかなと考察します。
いずれにしても、グリッドを築く幽霊が生まれるためには、クォン博士と清掃人、そしてセハは死ななければなりません。そしてそこにはマノク(=清掃人の養子)がやはり全て関わります。
マノクがセビョク、そして幽霊と関係があるのは語られますが、細かい関係性の考察はすみません、私は思い浮かびませんでした。
幽霊=セビョク(とオジン)の子なのはほぼ確定ではないかなと思います。2091年生まれの幽霊と時間軸が合わないですが「時間は流れていない」=並行世界という言葉に加え、最後に「全ての時間軸からグリッドが消えた」という男性の言葉でそう考えます。

エンディングシーンで某会長こと、いつもの黒幕おじさんことユ・ジェミョンさんが「わからんぞ」と「それは視聴者の現在の気持ちですが?!」と問いたくなるセリフをタイミング良くおっしゃっていましたが、会長横にはあの幽霊が。

セビョクの子が無事誕生し幽霊にすんなり抱かれましたので、恐らくもう一度”崩壊したグリッドの再構築に向けて始動”するのではないかと思います。
完全に個人的な予想ですが、おそらく地球と某会長の世界は並行世界になっていて(白い服と黒い服)、何かしらの戦い(幽霊が妨害する青い光を発する何者かと戦っていましたので)で地球が舞台となっているのではないかなあと思いました。
セハが白い服で最後に存在したのもそのせいかなと思います。並行世界では生きているセハさんだと思います。

ということで、非常に引き込まれる展開で見応えもあり、個人的にはかなり楽しんで視聴しました。
上述したように、グリッドを張るために誰かを助けるためには誰かを犠牲せねばならないトロッコ問題と、時空移動・ミステリースリラーなどの要素を複雑に絡めた魅力的なドラマでした。
会長おじさんの最後のセリフ「誰にもわからん…果たして終わるのか」は、「シーズン2が果たしてあるのか、このまま終わるのか誰にもわからん…」とも読めてしまい、非常に短いシーンの割にさすが”深み”があるなあ、と笑いそうになった次第です。
続編があるとすると(そう願います)割としっかりした序章だったので、個人的には満足度が高かったドラマでした。面白かったです、シーズン2に期待!

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