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観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 謗法 ほうぼう ~運命を変える方法~ 感想

おすすめ度:65%
呪いとは度:100%
神とか鬼とか度:100%
原題:방법 / The Cursed (全12話)

韓国ドラマ謗法 感想

人を呪う謗法(ほうぼう)師の少女と巨大企業の謎の代表の闇とは…2020年放送のホラー系ミステリードラマ

あらすじ・キャスト

記者のイム・ジニ(オム・ジウォンさん)はある事件を追ううちに、チン会長(ソン・ドンイルさん)がトップに君臨する企業に辿り着く。
そんなある日、会長をよく知るという連絡を受け、謎の女子高生ソジン(チョン・ジソさん)に会うジニ。ソジンは自分が謗法師だとジニに告げるが…。

感想

後半ストーリーテンポと盛り上がりがかなり失速したと感じましたが、テーマ的にも面白かったです。
謗法(読み方:ほうぼう)という聴きなれない言葉ですが、この作品の中では「人に呪いをかける」という意味で、その”呪い”を主題にしたドラマ。
前半は話の顛末がほとんど予想できず、ミステリアスで怪異な雰囲気もあり、とにかく非常に惹きつけられる展開。良かった!!
ただ後半はネタが出てしまった後という感じで、”問題解決”のために動くキャラたちに少々中だるみを感じはしました。

個人的に気になった部分が2点ありました。
まずは頻繁に回想シーンが繰り返される点です。今作は12話編成ですが、祈祷シーンなどもう少し削って全10話ぐらいだったら、本当に完璧だったのではないかと感じました。
もう1点は、主人公は新聞記者のジニです。個人的に彼女のキャラクターそのものにあまり役割を見出せずしっくりこない気がしました。(演じているオム・ジウォンさんが悪いという訳では決してありません)
もちろん問題提議者としても、謎の少女ソジンとの強い繫りなど大きな役ですが、あまりキャラ立ちしていないと感じました。
ある意味ソジンを1人で(状況的に)動かせないために、単に”大人”としてソジンの近くに存在する役という気がして、キャラの立ち位置としてボンヤリしており、私はあまり魅力を感じませんでした。(個人的な感想です、すみません)
他のキャラが割と強かったので、しょうがないのかもしれませんが…。とはいえ、ジニの夫の警官は地味ながらも一貫性があったので、ジニが微妙に感じてしまいました。

メインのソン・ドンイルさんですが、素晴らしく怖くて良かったです!
韓国ドラマを視聴して毎回感動するのが、おじさん・おばさん俳優陣のケタ外れレベルの演技力ですが、今作のドンイルさんも最高でした。笑顔が怖すぎて震えそうでした。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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チョン・ジソさんインスタグラムより

チュンジン日報の記者のジニは、暴力被害男性の告発取材にあたり、急成長のIT企業フォレストの闇を知ることになります。
そんなある日、フォレストのチン会長について「詳しい」という者と会うことになるジニ。しかし、待ち合わせ場所にいたのは1人の女子高生、ソジンでした。
ソジンはジニに「チン会長は人間ではない」「魔物に取り憑かれている」と真顔で語りますが、ジニはもちろん真剣に受け取りません。
ソジンは、呪いたい者の「写真・漢字名・所持品」を持ってきたらいい、自分は「謗法師」だとジニに告げます。

ジニは取材を進めるものの、追っていた事件は不自然な”結果”で解決することに。フォレストから圧力がかかり、ジニの上司が捏造記事で事件をもみ消していたのでした。そして告発者の不審死も。
怒ったジニが上司に詰め寄りますが、逆に脅されてなじられます。
咄嗟にあの女子高生が語った謗法の事が頭をよぎったジニは、上司の机から”所持品”を持ち去ります。ただ言い合い直後に突然上司に「漢字名は何か」と問うのは不自然に思ましたが。
再びあの女子高生ソジンに連絡するジニ。
ソジンは理由も聞かず”謗法”をカフェで開始します。目を閉じて、ただ静かに祈っているだけのように見えるため、ジニも半信半疑。
簡単に謗法が終わってしまい、騙されたのでは?という表情だったジニさんですが、別れ際にソジンは「もう運命共同体だ」と意味深に彼女に告げます。
その夜、あの謗法されたジニの上司ですが、とんでもない体勢で1人亡くなっていたのでした。
ここから2人の関係がスタート。ジニが不思議な力を持つソジンと共にフォレストのチン会長の真の姿を追い、彼を”謗法”しようとします。

韓国ドラマ謗法感想

チン会長ですが、ソジンが言ったように彼の中にはレベルの高い”悪鬼”が憑依していたのでした。
そしてそんな会長(と憑依した神)を慕うのが代表と呼ばれるジンギョン、巫女です。
この2人の関係は、ビジネスでもあり、お互い守っているようでもあり…という複雑な状況。
そんな彼らにあのジニの上司の死の連絡が入ります。その独特の姿勢での姿にジンギョンは速攻で呪殺されたと判断。直ちに一体どの謗法師が行ったのか調べ始めます。この呪いがチン会長まで来ると一大事になります、数日後に控えた上場と”儀式”に影響がおよぶからです。
このように憑依チン会長・ジンギョン巫女vsジニ・謗法師ソジンという4名の戦いがスタート。
上述したジニのキャラ問題が気になってくるあたりです。この4名体制のなかで、ただ1人パワーがないのがジニですが、もちろんサポート役だけをしているワケではありません。
ですが、逆にそれがトラブルを発生させている気もして、どうかなと思ったりは個人的にしました。(ストーリーとしてしょうがないですが)
また事あるごとに、ジニの高校生の頃の辛い思い出がソジンとリンクさせるように被せてくるのですが、あまりストーリー上でポイントとなる共通性を感じませんでした。
単なる「私だって辛かった」→今は正義感!的な印象を出すためだけのエピソードのように思えてしまうというか…。
終盤ソジンが思い出話をするジニにハッキリと「これは私と母、チン会長の問題だ」と言う場面がありましたが、そうですよね…と思いましたし、このセリフでジニの妙なポジションは”敢えて”なのかな?と考えてしまいました。

「呪いの森」というネガティブすぎるSNSを主軸に運営するフォレスト、そしてチン会長の真の意図が明らかになります。
フォレストが株式上場のカウントダウンの場で、チン会長に憑依していた悪鬼をフォレストの呪いの森SNS”そのもの”に移すという計画。斬新なアイデアと共に若干の都合の良さも感じつつ…。
もちろんその後もUPされた人物を謗法し続けるという、とんでもねえ計画がぶち上がっていたのでした。サービス終了は絶対に無いという強い意志を感じるSNS、色々恐ろしすぎます。
この儀式のため、会長は自らの霊力をキープしていたのですね。

ジニとソジンは、どうにかしてチン会長の恐怖計画を止めたいと動きますが、問題となるのがジニも呪いの森によって会長に謗法される予定だったのでした。
ここでジニは教授の言葉を思い出し、ソジンに自分を会長より先に謗法することを提案。つまり、会長の呪いより先にソジンに主導権を握らせるのです。
ただ最終的には、ソジンは慕っていたジニを謗法”してしまう”ことはできませんでした。
それは、過去に自分の母が会長とソジンに憑依させてしまったイヌガミを除こうとして謗法し、娘の苦しむ姿を見て中止してしまった姿と重なります。ここはソジンがずっと抱いていた母との苦い思い出が融和されたようで良かった。
そしてソジンは呪いと悪鬼を全て受け止め、意識を失うことに。ここも、チン会長は自分に憑依しているものが、ソジンと同じというのは気付いていたのではと思いました。ソジンに狙われたにも関わらず、彼女を生きて帰したのは、ある種”同志”のようにも思えたからかもしれません。この背景があったのは面白いなと思いました。
ただソジンの中にいた悪鬼が実は会長のものと同じだったという事実から、主導権を先制したソジンが会長の謗法を自分に流す…という方法ですが、最後は祭りの雰囲気でややゴリ押し気味に盛り上げつつ、理屈は分からないけどとりあえずソジンが勝った!的になってしまったように思え少々モヤモヤしましたが…。

エンディングですが、意識不明のソジンが忽然と消えてしまうという、明らかにシーズン2の可能性を匂わせるもの。ただ既に2021年7月に続編「謗法:在此矣」として映画化されています。もちろんドラマも続編も脚本は「新感染」や最近では「地獄が呼んでいる」でもおなじみのヨン・サンホさんです。
映画化されているので、シーズン2としての独立したドラマは今後無いかもしれません。映画版は未視聴ですので、また機会があれば観たいなと思っている次第です。
とはいえ、面白くはありましたがこのドラマ版だけの感想ですと、どうしてもボンヤリした気分が残る終わり方だったかなとは思います。良かったですが、終盤になるほど失速した点が残念に思えました。
個人的にはやはりソン・ドンイルさんの演技が半端ないなという印象が強かった作品かなあと思います。

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