ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 魅惑の人 (感想)

おすすめ度:75%
チョ・ジョンソクさん度:100%
囲碁度:100%
原題:세작, 매혹된 자들 / Captivating the King (全16話)

魅惑の人レビュー感想考察あらすじ

罪を背負った王と囲碁と通して交わした気持ちとは…。2024年の宮廷ロマンス復讐劇。

あらすじ・キャスト

朝鮮王の弟チナン大君(チョ・ジョンソクさん)は、兄でもある王の命令で清に人質に渡るが、政権争いの中で次第に王から疑いの目を向けられる。
そんな中、巷では負け知らずの賭け囲碁師として謎の男が話題に。
実はこの囲碁師は、男装した領議政の娘カン・ヒス(シン・セギョンさん)だった。
2人は囲碁を通して時間を重ねていくが…。

感想

演技王チョ・ジョンソク
正直、女性主人公ヒス/モンウの設定が微妙すぎて、根本的にストーリーが弱い気がしました。
加えて内容的には真新しさも特になく、男装!権力争い!悲劇の恋!リベンジ!ヒゲ爺!…と、何となく先が読めるキーワードばかりだと思います。ペース配分もそこまで良いとも思えませんでした。
とはいえ、今作の圧倒的な見どころ…それは、何と言っても
チョ・ジョンソクさん!!
演技が上手すぎ
これに尽きるというか、本当に演技が上手すぎて(2回目)途中から私は内容よりジョンソクさんの表情の作り方に相当夢中になってしまっていました。
演技がうめえ~~~!(3回目)
ジョンソクさんの演技を観察すると、1つの動きをするに当たり、コンマ数秒のフェイク(?)のような繊細で小さな"タメ"をよく入れられているように見受けられたのですが、これが時代劇で宮廷の中の重厚な人物を演じるにあたり、役柄と演技が完璧に合致していて、最高に良かったです。最高。
目玉をひん剝いて激怒するとはちゃめちゃに恐ろしかったですし、一方でスーパー慈しみフェイスを繰り出してくるなど、その振り幅が半端ないなと思いました。

ストーリーは「ん?」という箇所もそこそこあり、正直ドラマとしてはどうなの…と思って観てましたが、途中から私は完全にチョ・ジョンソクMVとして楽しんでいました。
ドラマとしては積極的におすすめしませんが、チョ・ジョンソクさんの演技という点で考えるとものすごく価値のある作品だと思いますので、興味のある方は是非チェックして下さればと思います。
その他にも王を演じるチェ・デフンさん、パク・イェョンさん(トン尚宮)もかなり印象的でした。みなさん、演技うますぎます。
今作はとにかく話より演技!という感じのドラマでした。(すみません、個人的な感想です)

ゆるいネタバレありの感想

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魅惑の人レビュー感想考察あらすじ

イ・ソンが王として君臨する朝鮮、しかし清に攻め込まれ今や国は弱体化していました。
そんな中、王は弟であるチナン大君を清に人質に差し出すことに。
時は経過してやっと帰国したチナン大君でしたが、宮中にはもはや彼の居場所などなくなっていました。
病に侵された王は、王位をチナン大君に狙われているのではないかと懐疑し、更にチナン大君は清の後ろ盾があると疑ってばかり。
そんな心労が重なる中、チナン大君は町に出るのでした。

賭碁師モンウ
宮廷から出て、賭け碁を楽しむ人々の話を何気なく聞くチナン大君。
彼らの口から自分の名前が話題に出て驚きます。しかし、そのほとんどは悪口ばかり…。
そんな時、賭碁師の男性1人が大君を擁護するでした。この賭碁師こそ、男装しているカン・ヒス。
彼女は得意の碁を使って、賞金を人助けのために使っていたのでした。その謎の賭碁師が熱弁する姿を見て、何とも言えない暖かい気分になるチナン大君。
賭碁師を見失ったものの、2人は再会。チナン大君自身も碁が得意だったのもあり、対局することに。
勝った賭碁師は、褒美としてチナン大君より「モンウ」という名前をもらいます。
2人の間にはどこか安寧の空気が。
モンウはチナン大君と向かい合って対局する中で、胸の高まりを覚えるのでした。
そう、モンウは女性として大君に恋をしてしまったのでした。

罪のある王
病状が悪化する王、チナン大君との関係もどんどん悪くなっています。
王と対峙したチナン大君でしたが、王は倒れてしまいます。毒を盛られていたのでした。
王は死の直前に「元子(王の子)を次の王に」という言葉をチナン大君に告げ、その場にいたトン尚宮もその言葉を確かに聞いていました。
しかし…。チナン大君は「王が自分を王になれ」と言ったと証言し、王になったのです。トン尚宮もチナン大君を支持して。
王はこの罪を背負って生きることになるのでした。

モンウの復讐
宮廷の外でも清とのスパイや王の死を巡って、ヒス/モンウや父らも巻き込まれていたのでした。
ヒス/モンウと親友のホンジャンらも逆賊として捕らえられてしまいます。
ここでモンウは、王の冷酷で恐ろしい顔を見るのでした。碁をモンウと打っていた時とは全く違う王になっていたのです。
ヒス/モンウは苦しみの中、やっと逃げ出します。そして3年後。
モンウは父を清に追いやり、友人を見殺しにしたあの王に復讐するため、再び宮廷に近づくことを計画します。
そして、その大きなチャンスが再び。
王が棋待令という碁を王と打つ役目を持つ人間を募集していたのでした。

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気になった点
申し訳ないですが、以下ほぼモンウに対しての意見です。
演じるシン・セギョンさんに対してではなく、あくまでも役柄についての個人的な感想や考察、意見です。

ヒス/モンウの”女装”
賭碁師として、そして途中からは棋待令として宮廷に入り、王と近づくために男装しているヒス/モンウ。
この設定は理解できますしそれで問題ないと思うのですが、頻繁に気になったのがモンウが家に戻った際に女性として暮らしていることです。
特に棋待令になってからは、”本当の性別を絶対に知られてはならない”状況ですよね?
なぜそんな命に関わる設定を背負っているのに、いちいち家で女性に戻る必要があるのか、一切理解できませんでした。
それほど宮廷から遠く離れているわけでもありませんし、王の側近もウロウロしていますよね?
加えて、下女らが「お嬢様~」とクソデカ声でヒスを呼ぶシーンが割とありましたが、「あのさあ…」と思ってしまいました。ありえねえ。
意地悪な見方ですが、この女性ヒスに戻る姿が単にシン・セギョンさんの美しい男装をという今作の見せ場でもあるそのキャラを際立させるためだけの対比だけに思え、少々萎えました。(念のためですが、セギョンさんご本人への文句ではありません)
恐らく宮廷から離れて家では素顔のヒスという1人の女性に戻り、自分の気持ちにアレコレ向き合い、王がスキ…みたいな意図は伝わりますが、何となく緊張感がなさすぎるという不自然さの方が勝ってしまいました。

ヒス/モンウの”男装”
モンウは少なくともドラマの中では9割男性として生きていましたので、そのキャラとしての忠実さを出して欲しかったです。
しかしこの作品の演出を考えるに、このモンウというキャラに”男性っぽさ”を求めてなかったとも考察できます。
演出的にシン・セギョンさん演じるモンウは、所謂「男性的な」仕草や声を決して取り入れていませんでしたし、どちらかといえばわざと女性らしさを多く残していたように思えました。
だからこそ王が惹かれた、という線に繋げているとは思いますが…。(ただそうなると、周囲に長期間バレないというのが不自然なのですが)
何となく、個人的にこの中途半端な男装というのもキャラとして微妙なラインだったかと感じます。

モンウの王への復讐
このヒス/モンウですが、そもそも彼女が行方不明の父と亡くなった親友のリベンジとして王を倒す!!という設定が、申し訳ないですが私はあまりしっくり来ませんでした。ちょっと無理筋じゃないですかね?
天才的な碁プレイヤーとして王に近づけるのは理解できますが、王がモンウの影を追ってか棋待令の役職を設けたからこそです。そうなるとあまりにも受け身の計画ではないでしょうか?王がその役職を置かなければどうしたのでしょうか?
また宮中に入ってからも、人々への人心掌握術があまりにも不自然にも思えました。
王の寵愛を受けて特別なモンウという立ち位置は悪くないと思うのですが、あまりにも「実は私が影で動いておりました…」みたいなポジションが多すぎて、ここでも立場的に違和感を覚えました。

王の賢さ
モンウは当初王を非常に「賢い」と評価していましたよね?王も碁が上手く、先を読み行動している…と。
それを踏まえてですが、途中から完全に王のことを甘く見すぎというか、侮りすぎでは?という行動をモンウが頻繁に取っていて少々イラつきました。
2人の最初の出会いからして、王は”悪者”ではないというのは明らかな訳ですが…。だから彼を愛したのですよね?
碁が強くテーマになっていましたが、その駆け引きや読みというメッセージ性は肝心な場所で弱く残念に思えました。

リベンジのぬるさ
モンウが王への愛と復讐に揺れ動く…というのが見せ場だったかと思うのですが、どう見ても1話目から愛一直線だったのも、今作の”ぬるい”点かと思います。
彼女の王への復讐筋が弱いので、あまりその軸で駆け引きのスリリングさや裏切りへの悲しさという部分が伝わりませんでした。

王の男性モンウへの感情
ここは色々と描きにくそうなのですが、王が”男性”モンウを一体どのように思っていたのかちょっとハッキリ描いて欲しかったです。
彼は明らかに男性モンウに対しても、嫉妬や好意を抱いていました。
王のその心情は一体何だったのか…というのは、男装ドラマあるあるですが、チョ・ジョンソクさんの演技でもう少し踏み込んで描いてもよかったような気も(願望)しました。
途中でモンウが女性と発覚して、合点がいった(?)王で問題は無くなりましたが…。
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ということで、ストーリーとしては「うーん」という部分もありはしました。
とはいえ、オーソドックスなネタの数々で、見やすい流れのドラマだったと思います。
とにかく、
チョ・ジョンソクさんは演技が上手い
ただただそれだけ。
本当にジョンソクさんの圧倒的な印象を与えてくれた作品でした。まさに王。
また時代劇でその素晴らしい演技を観たいなあと思った次第です。
このジョンソクさんの演技だけでも見る価値ありの作品だと思います。

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