ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国映画 EXIT イグジット (感想)

おすすめ度:89%
カラビナ度:100%
煙度:100%
原題: 엑시트 103分

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街を覆う有毒ガスからとにかく逃げるしかない!2019年のサバイバル・コメディ映画。

 あらすじ・キャスト

母親の古希のパーティに参加するため、ヨンナム(チョ・ジョンソクさん)は会場で居心地の悪さを感じながらも、親戚総出の集まりでそれなりに楽しく過ごしていた。
そんな時、パーティ会場で大学時代に好きだった相手、ウィジュ(イム・ユナさん)が働いていることを知りヨンナムは驚く。
しかしそんな時、街に突然毒ガスが発生。ヨンナムやウィジュがいる会場の建物にも毒ガスが迫り来るが…。

感想

これぞエンタメ!という映画作品で大変面白かったです!!
とりあえず逃げるしかないというスピード感、そして細かいところはいいんだよ感がすごい。(良い意味です)
極論を言うと、ただ人々が逃げている姿を観るだけの作品なのですが、なんでこんなに面白いんだろう…と、不思議な映画。
正直、主演のチョ・ジョンソクさんが走っているだけで既に笑いそうになるというか、本当にこのジョンソクさんという俳優さんがいかに芸達者かという部分を痛感した映画です。

ストーリーの展開は非常に単純で、有害なガスが地上で発生(テロ)→ガスがどんどん上がって来る→上に逃げるしかない!!という明快さ。
主人公のヨンナムという男性ですが、現在は無職で冴えないという設定。しかしそんな彼は元山岳部で普段から欠かせない趣味(?)の体力維持と冷静さが効いていて…という、コメディ設定部分がベースにあります。
この絶妙なわざとらしさとリアルっぽい真面目さを持ち合わせた演技が、チョ・ジョンソクさんの真骨頂を見た!感がある作品です。
ちなみに韓国ドラマ『賢い医師生活』シリーズでも、ジョンソクさんの真骨頂を存分に視聴できますので、興味のある方はぜひご覧いただければと思います。

ゆるいネタバレありの感想

チョ・ジョンソクさん事務所インスタグラムより

無職のヨンナムは両親と共に実家暮らし。就職活動はしていますが、なかなか上手く行ってない様子。
しかし、大学時代に打ち込んでいた山岳部で培った筋肉はそんな彼を裏切らないのか、日々近所の公園の鉄棒を独占してヨンナムはトレーニングをしています。
そんな彼の姿を見て子供たちは「鉄棒男」と陰で笑っていて、甥っ子は恥ずかしさからか、ヨンナムを避ける日々。
しかし当の本人は、そんな甥っ子の複雑な気持ちにはまるで気付いていないようです。ある意味我が道を行くヨンナムさんです。

ある日、ヨンナムの母親の古希のお祝いを開催することになりました。
一族揃ってパーティ会場に集結。ヨンナムは無職という肩身の狭さを何となく感じつつ…。そんな彼の気持ちは無視で、かなり浮かれて楽しむ親族一同。

しかしヨンナムはその場である人と遭遇して驚きます。お祝いの会場「雲の庭園」で、なんとヨンナムの好きだったウィジュが副店長として勤務していたのでした。
大学時代ヨンナムとウィジュは共に山岳部に所属し、運動神経抜群だった後輩の彼女に
ヨンナムは夢中。告白したもののアッサリとウィジュにフラれてしまった…という、苦くて辛い過去を一気に思い出すヨンナム。
そして4年後の現在…そんな相手に再会したヨンナムは嬉しい反面、ベンチャー企業で働いていると告げるぐらい動揺しているようです。

ですが、そんな淡い2人の恋の思い出が一瞬で吹き飛ぶ事件が発生。
大騒ぎのこの会場「雲の庭園」のビルがある一帯は、とんでもねえ毒ガスに包囲されていました。うろたえる一同に、的確な行動を唯一取る人物が…。

そう、俺たちのヒーロー☆ヨンナムです。
彼の「緊急事態に対する冷静な行動」でみんなをビルの屋上へ誘導します。ですが、屋上へのドアは施錠されています。
ガスが蔓延する階下に鍵はあるらしいですが…さあ、どうするのか?!
と、ここからヨンナムとウィジュの華麗なるコンビネーションと"逃亡”が始まります。
元同じ部出身ということも大きく、ウィジュとヨンナムは完璧な相棒として、毒ガスから逃げまくります。
そんな2人は機転の良さと頭の回転の速さで、数々の困難を乗り切ります!

この作品の面白い点が、スピード感がすごいという部分と、ゆるいコミカルさを上手く混ぜているからかなと思います。
そのため、アクション系の作品に良く感じる「都合良すぎない?」という邪推を入れる隙間が皆無というところです。
冒頭の鉄棒のあたりや、韓国ドラマ好きの父親がキスシーンを見逃すあたりから「なんだか面白い…」と、全体的にぼんやりとニヤニヤさせる愉快さがずっと続いているためか、ウソでしょ?と思わせる都合の良さが完璧にネタのように上手く消化されていて、かなり自然にエンディングまで上手く勢いをつけて描かれているな、と大変感心しました。

また(だからこそ)この"事件"そのものを「ヨンナムとウィジュ」のみに焦点を当てて
描かれている点が大成功していると思います。
というのも常識的に考えて、このような悲惨なガスの事故が遭った場合はかなり多数の死者が発生したはずですが、そのウェットな部分は敢えて一切描いておらず途中から(メインとしてドローンの中継含め)は「2人vs毒ガス」という構図になっていました。
これも冒頭からの雰囲気で、自然に観る者の焦点を"事故"からただの”煙”へとシフトさせてあり、本当に上手いなと感じました。

個人的には感動!のような押しつけがましさをキレイに削いであり、かなり"良い感じ"でそれぞれの愛情表現が短いカットで入っていて、この描写もテンポさを失わずとても良いなと大変好印象でした。

完全に吊り橋効果が発動したせいか、最終的にヨンナムは、あのウィジュと気持ちが再び通じ合ったようです。(もちろん吊り橋効果でなくても、冷静で的確な行動をとったヨンナムはかっこよかったです!)
が、ここもキスシーンなどは入らず"カラビナ"というアイテム1つで彼らの仲を表現しているのは、抜かりがないな!と思いました。
良く考えるとパーティ会場の「雲の庭園」というネーミングからも、既に色々暗示しているように考察できますが…。

ということで、シンプルなアイデアながらも、テンポが良いお話しの運び方。加えて俳優陣の素晴らしさ絶妙なセリフや演出で、本当に楽しく視聴した作品でした。
わざとらしさとコミカルさ、シリアスさ…全て際どいラインを攻めて出来上がった、気持ちよいぐらい愉快な映画でした。おすすめです!

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