ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

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韓国映画 スペース・スウィーパーズ (感想)

おすすめ度:60%
エンターテイメント度:100%
韓国映画初のSF度:100%
原題:승리호(勝利号)2時間17分

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出典:www.netflix.com

宇宙のゴミの清掃船の乗組員3人+ロボットたちが、ある子供をきっかけに戦いに挑む、SFアクションファンタジー。ソン・ジュンギさんら主演の2021年公開。

 あらすじ・キャスト

2092年、地球は砂漠化が進み植物は育たない危機的な状況に陥っていた。
宇宙のゴミを収集する仕事をする、ゴミ回収船「勝利号」のクルー3名とロボット。
船長のチャン・ヒョンスク(キム・テリさん)、キム・テホ(ソン・ジュンギさん)、
"タイガー"パク(チン・ソンギュさん)は、子供の姿をした大量破壊兵器ロボットを、ある日偶然発見するが…。

感想

元々は2020年秋に劇場公開予定でしたが、コロナウィルスのために、延期・中止。
その後、Netflixで2021年2月に公開となった作品です。
このような映画は、本来劇場で観るべき作品だと思いますので、製作陣の方々は本当に無念だったと思います。

お話としては、典型的なスペースオペラの形を取ったSF映画
CG/VFXはかなりキレイで、違和感がなく良かったです!
そのため、画面の迫力や美しさは最高(だからこそ、劇場公開中止が悔やまれますね…)。
ただ肝心のストーリーと人物描写が想像以上に単純で、観ながら少々微妙な気持ちになりました。
お話のテンポはとても良く、映像の迫力もあって2時間以上の作品ですが長さは気にならず、総合的にはとっても楽しめて面白かったです。

2092年、地球を脱出した選ばれた人たちは宇宙企業UTSの代表である、サリヴァンリチャード・アーミティッジさん)が開発した、宇宙空間の居住地に住む権利を与えられることに。
恵まれない人々はそのまま困窮した地球に残るか、もしくは宇宙で働く労働員として生きるかという厳しい選択を迫まれていた。
宇宙労働員として働く3人(とロボット)が大活躍するというヒーローストーリー。

"勝利号”クルーたち
チャン・ヒョンスク役キム・テリさん
女性船長。
元々はエリートで宇宙空間UTSで英才教育を受けていた過去を持つ。
クールだが、時に暴力的にもなる。

キム・テホ役ソン・ジュンギさん
主に船を巧みに操縦する。
17歳の時からUTS軍に所属していてエリート指揮官だった過去を持つ。
辛い過去を持つ。

"タイガー"・パク役チン・ソンギュさん
船の燃料補充等の役を担う。
全身タトゥーがあり、荒っぽくみえるが人情に厚い。
麻薬組織のボスだった過去がある。

バブズ役ユ・ヘジンさん(声)
ヒューマノイド型ロボット。
非常に頭がよく、重力も関係なしで身体能力も高い。
人工皮膚を得て完璧な人間型ロボットになることを夢みている。

ゆるいネタバレありの感想

ソン・ジュンギさんマネジメントHISTORYインスタグラムアカウントより

映画全体的に「既視感…」という印象が強かったです。
話の展開もかなり前に読めて予想できてしまったのも、残念。

ですが面白い部分ももちろん多くありました。
宇宙のゴミを清掃する労働者という設定もとてもユニークで面白い!そして最初のシーンから人種や言語が混在していて、かなりインターナショナルな演出。
小型イヤホン型の自動翻訳機というアイデアは素晴らしかったです。
これがあることで、多言語のキャラクターや俳優さんが無理矢理同じ言語で演技しなくても問題なく、アイテム1つを足すだけで、一気に言葉の壁を取り払うことをできているのは、とても興味深かったです。

ただ、その多国籍感を全面的に出し過ぎていたので、逆に勝利号だけがフルで韓国人メンバーしか乗船していないのは、少し違和感を覚えました。
もちろん韓国映画なのでその部分は当たり前というか、理解できます。
が、国際的な雰囲気を出し過ぎて脇役キャラクターの描き方が、少々ステレオタイプ的なのもあって、妙に軽すぎる設定が気になりました。(チャン船長に恋焦がれる、フランス人と思われるピエールなど)
UTSのコロニーに国のボーダーを入れて韓国人しかいないという設定にしても、そんなに不自然ではなかったのかも、とは思いました。

そして勝利号のメンバー達。
演じている俳優さんたちは、どの方も役柄に似合ったキャスティングで、演技も素晴らしかったです。
ですが、キャラそのものの設定や描写が、イマイチ不足しているように思いました。
というのも、この3人+ロボット…あまりにもありふれたアイコン的なキャラクターの寄せ集めになってしまっているかな…。
彼らの背負ってきた過去の設定が、あまり活かされていない表面的なキャラの印象でした。

またラスボスであるUTSの代表サリヴァンも、序盤から割と狂気的に描かれたキャラクター。彼の思惑が色々と明らかにされるのかと思いきや、結局よくわからねえ…という行動を最後もしますし…。
「サプライズ!」じゃねーよ…(困惑)
とにかく、血管含めてサリヴァンのネタ感がすごい。どうしてこうなった…?

メインの3名+ロボットもそうですが、キャラをより深く理解できる語り部分があまりなく、表面的にしか共感しにくかった…。
例えばロボットのバブズ、どうして彼(?)がそれほど人間の見た目を手に入れたがるのかなど、もう少し彼らの内面が語られていても良かったかなと感じましたし、知りたかったです。
全体的に雰囲気やVFX、画面の迫力が素晴らしかっただけに、比べると人物描写が割と地味であっさりしすぎていました。

地球の5%の人間しかUTS内に正式に住むことが許されず、そのような選民階級と、彼らのために働く労働者。一般人と権力者との闘いという構図。
加えて、子供が入ってくることによって、殺伐としたクルーたちに、失ったファミリー感を取り戻すという部分。
この2本のストーリーラインが安易な展開では…とコンニム(はちゃめちゃに可愛い)が出て来た時点で読めてしまいました。

ですが、そのストーリーの先が分かっていながらも、やっぱり見せ方が非常に上手くて十分楽しめたのはさすがでした。
加えて本来の純粋に「楽しい」エンターテイメント映画としては、正直、実際楽しめたので、それで十分良かった!!!そこが一番大切です!

欲を言うと、個人的には近年の韓国映画やドラマらしいドキッとするようなエッジの効いた、斬新な切り口のSF作品の誕生か!?と相当期待していたのもあったかもしれません。
視聴後はかなり無難な内容に仕上げたんですね…という感想が残った作品です。
韓国映画らしい魅力ある独特の鋭さの部分が、この作品ではあまり見られなかったのが、本当に大変残念です。

人物描写の部分が少々ネガティブ寄りの感想になってしまい、すみません。(個人的な感想です)
ただ、作品としてはもちろん普通に面白く、中だるみせず進むお話でもちろん存分に楽しめました!特にUTS内のカオス感ある雰囲気の描写や、背景設定のVFXは本当にかっこよくて雰囲気も印象的で、最高でした。
またハリウッド映画が圧巻するジャンルで、このように製作費もかけてアグレッシブにチャレンジする姿勢をもつ韓国映画界は、本当に素晴らしいと思いました。
ほんとその精神だけでスゴイと思います。
主演のソン・ジュンギさんもで元エリート指揮官という知的さと優しさがある部分もピッタリ。
個人的には渋いキム・ムヨルさんが、博士役で少し出演していたのが良かったです。
楽しませて頂きました!

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