ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ ヴィンチェンツォ (感想)

おすすめ度:最高傑作、観ないと損
キャラの濃さ度:100%
コーンサラダ度:100%
原題:빈센조 Vincenzo 全20話

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イタリアマフィアの弁護士と韓国巨大企業との終わりなきゲームの結末とは。2021年放送のダークコメディドラマ。

あらすじ・キャスト

イタリアのマフィアの顧問弁護士ヴィンチェンツォ・カサノ(ソン・ジュンギさん)は
"父”であるマフィアのボスの死後、韓国へ向かうことに。
ソウルにある古い雑居ビル「クムガ・プラザ」の地下に眠る、巨額の金塊を取り戻す”仕事”を行うためだった。
簡単に仕事を終える計画だったが、クムガ・プラザを巡って巨大企業バベルグループが絡んでおり、ヴィンチェンツォの思うようには事が進まない。
ベルグループのお抱え弁護士集団、ウサン法律事務所のチャヨン(チョン・ヨビンさん)とも知り合いとなりトラブルが発生するが…。

感想

最高!完璧!華麗!

完全無欠の神ドラマでした。拍手喝采以外ありえない。
各話の視聴後には、某キャラのように「ゥワー~オ!」と絶叫したくなるような、感動に近い興奮を毎回与えてくれ、土日の夜はしばらく興奮のため目が冴えて寝つけない状態でした。

無駄な引き延ばしが皆無で伏線回収も美しく、細部までとても丁寧に愛を込めて作られているのが、素人目線から見ても明らかでした。
加えて、お話のテンポがとにかく素晴らしくて、視聴者の気持ちをよく研究して練られたストーリー展開だと、本当にこれには感動してしまいました。20話でしたが、飽きることなど1秒もなく、大変心地よくストーリーが進んでいきます。
そのためか視聴していると高揚感があり、観ているだけなのに謎に気分良くさせてもらえるという、かなり依存度高めのドラマでした。

個人的に感じた『ヴィンチェンツォ』最大の魅力は下記3点だと思います。
・先入観をぶち壊し、とことん裏切ってくるキャラたち
・出し惜しみなし!怒涛の展開と伏線回収
・コミカルさとシリアスさの絶妙なバランス

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ヴィンチェンツォ・カサノ(ソン・ジュンギさん)
イタリアマフィアのコンシリエーレ(顧問弁護士)
クムガ・プラザ606号室に(短期)滞在、住人からはビンセンジョと呼ばれる。
幼い頃に養子としてイタリアへ渡った。韓国名はパク・ジュヒョン。
・愛用の金色のZippoライターを触る癖を持つ。
・ミラノの高級テーラー、ブラルロのオーダースーツを好んで着用。
・オペラ好き。
エスプレッソのダブルショットを愛飲する、アメリカーノは”泥水”。
・過去にベストドレッサー賞、ミラノ市人権賞などを受賞。
・イタリア特殊部隊仕込みの格闘技を幼少期から習っていた。

クムガプラザの住人達

 ピアノ教室:
ソ院長(キム・ユネさん)が運営。ピアノ以外にパソコンも得意らしい。(自称)

クリーニング店:
タク社長(チェ・ドムクンさん)のお店、高級服の扱いには慣れていない様子。

法律事務所 藁:
ホン・ユチャン弁護士(ユ・ジェミョンさん)が事務員ナム・ジュソン(ユン・ビョンヒさん)と営む、人権派弁護士として弱い者に味方する事務所。

イタリアンレストラン”アルノ”:
シェフのトト(キム・ヒョンムクさん)が営業。
本場イタリアの味ではなく、忠清北道鎮川の”おふくろの味学院”仕込みの味で料理を提供している。マルゲリータピザに自信あり。
突然やってきたアン君(イム・チョルスさん)を弟子として無給で迎え入れる。

ダンススタジオ:
潔癖気味のラリー院長が運営。映画での演技指導なども行っているらしい。

質店:
足の裏に汗をかきやすいイ社長(ヤン・ギョンウォンさん)と妻の店。得意技はギロチンチョーク(自称)

ヨンホ食堂:
クァクさん(イ・ハンナさん)が営業している庶民的な食堂。トッポギが有名。一人息子がいるが、国語が18点だったり、喫煙したりと母を悩ませている。

暖薬寺(ニャクサ寺):
地下にある静かなお寺。痔に悩む住職と僧侶2人がいる。バベルグループを”金の亡者マグニ”と呼ぶ。  

ネタバレありの感想

ソン・ジュンギさんインスタグラムより

イタリアマフィア相手に、華麗に”仕事”をする、ヴィンチェンツォ・カサノ。
次の仕事は韓国。古い雑居ビルのクムガ・プラザ地下の秘密の密室に眠る、亡くなった中国人マフィアの金塊です。
さっさと住民を移動させ、金塊を手に入れるはず…でしたが、住人達による反対運動とエリア全体を開発で手に入れようとするバベルグループが出現。
1か月で終了するはずだった、ヴィンチェンツォの計画通りには全くいきません。

ベルグループの顧問弁護士として、ウサン法律事務所も絡んでいきます。ここからヴィンチェンツォとウサン法律事務所+バベルグループとの、長い血みどろの闘いが始まります。
父の死をきっかけとして、ウサン法律事務所で働いていたチャヨンも、法律事務所 藁へ戻りヴィンチェンツォと一緒に働くことに。

次第に住人達の信頼を一気に集めてしまうヴィンチェンツォですが、ヴィンチェンツォの目的はあくまでもビル地下にある金塊。このクセが異常に強い住人たちに囲まれ、面倒なことになった…という様子。
そんなヴィンチェンツォでしたが、バベルグループに次第に「本気」になり始めます。グループ会長の“真”の会長を見つけ、彼らの砦を崩そうと、あの手この手でチャヨンや住人達と共に闘いを挑みます。

ベルグループの真の会長ですが、ハンソ(クァク・ドンヨンさん)ではなく、ウサン法律事務所のインターン、後に正式なパートナー弁護士に昇格した、チャン・ジュヌ(オク・テギョンさん/2PM)でした。

チャン・ジュヌ/チャン・ハンソク役オク・テギョンさん(2PM)
カリスマ性があり完璧なビジュアル。気持ちよいぐらいのサイコパス
16歳の時に渡米、スタンフォード大卒。英語名はジェイソン。
興奮しやすく「ゥワー~オ!」と絶叫するクセがあり、しばしば英語で話す。
ウサン法律事務所でインターンとして働く頃はチャヨンを慕う良き後輩だったが、その裏の顔は残忍なバベルグループの代表であった。
創業者であるハンソク父親とその浮気相手の秘書との間の子、弟ハンソ(クァク・ドンヨンさん)を会長として操り人形として表舞台に立たせ、裏からハンソクが全てを指示していた。
ハリボーのゴールドベア(グミ)を好んで食べる。ステーキ肉はレア派。

加えてチャン会長の右腕となる、元検事でウサン法律事務所の”負けなし””仕事の方法が古い”チェ・ミョンヒ弁護士。
この2人がヴィンチェンツォとチャヨンの敵となり、長い「ゲーム」が始まります。

 
 
 
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オク・テギョンさんインスタグラムより 

とにかく大好きだったこのドラマ…、個人的に好きな各話のシーン/エピソードを1つ選んで書いていきます!(1話が非常に濃い作品なので、1つだけ選ぶのが難しいですが)

  • クムガプラザ606号室での”クラシック”なシャワータイム。(1話)
  • 『華麗なるギャッツビー』ディカプリオさんに並ぶカサノの乾杯。(2話)
  • 「バジルとチーズの間にソーシャルディスタンス、トマトは自主隔離中」(3話)
  • 真のボスが”ゲーム”に参戦、復讐に燃える瞳に震撼。(4話)
  • ハンソ「マリオネットで良かったよ、糸を切ればいいから」(5話)
  • チャン・ジュヌによる渾身の”バベルの秘密”プレゼン。”It's me!"(6話)
  • ドラクロワ民衆を導く自由の女神」の完全コピーのクオリティ。(7話)
  • 弁護士事務所オンリー・ユー、代表テ・ホ劇場。(8話)注:映画『スペース・スウィーパーズ』のソン・ジュンギさんの役名がキム・テホ。
  • 謎の調理補助人アン・ギソク君の運動神経がいいのか悪いのかわからない、クセになる動き。(9話)
  • 「本当のボスを見つけたら、その場で殺す」(10話)
  • 「早く殺せ、マフィア野郎」怒りと恐怖に潤んだハンソクの瞳。(11話)
  • UCNドラマ「野良犬と山犬の時間」(12話)注:「犬とオオカミの時間」というドラマが2007年にMBCで放送されていた。テギョンさん所属の2PMのメンバーであるチャンソンさんとニックンさんがこの劇中劇でカメオ出演
  • 1960年代まで続いたカサノ家伝統の技(13話)
  • 2人の貸し切り、ラグサンギャラリーでのイベント(14話)
  • まさかの活躍「インザーギはそんなヤツじゃない、悪く言うな」(15話)
  • チャヨンの配慮と「家族写真」(16話)
  • ”本物”のヴィンチェンツォ・カサノと対峙する一同(17話)
  • ハンソ「あなたは兄貴みたい…怒られるのもうれしいし、ホッケーするのも楽しい」(18話)
  • ハンソクの反撃、カサノの真の怒りに満ちた瞳(19話)
  • 悪は強く果てしないものだ」(20話)

全20話で、ヴィンチェンツォとバベルグループのチャン・ハンソクとの長い戦い…。
時におふざけあり、時にドラマチックに、そして”本気”シーンがあり、怒涛の展開だったストーリー。

ヴィンチェンツォが、彼の芯にある冷酷で残酷な部分を時折見せる時も最高でした。
最終話ではヴィンチェンツォの「腹がふくれた猫」エピソードが満載で、視聴していてゾクゾクしてしまいました。最後までブレないスタンスがとてもクールでかっこよかった!まるでヒーローのようだったカサノですが、最も恐ろしい人間だったのもカサノ。そのあたりもしっかりと描いてあって良かったです。

ハンソクが最後、割とアッサリと捕まってしまったな…と思いましたが、カサノとの対決を避けて、”逃げ”を選択した時点でハンソクはもう終わっていたなと感じました。
つまり投了、ハンソクはゲームで負けを自ら認めてしまったと思います。

チャヨンとの良い距離を保っていたラブストーリーも、最後に彼の熱い想いを感じるセリフがあり、その部分も素敵でした。
しかし、カサノさん本当に(ドラマと言えど)観ていて「出てきてほしい」パーフェクトなタイミングで、まさにヒーローのように出現するので、毎回泣きそうになりました。そりゃファン・ミンソクも獄中でテ・ホを忘れられませんよね…。(まさかの最終話登場)

ヴィンチェンツォを演じるソン・ジュンギさん以外では、個人的に観るのが好きだったのは、ハンソク、ハンソ、アン君でした。
ハンソク役のテギョンさんは、本当に良かったです。決定的なシーンで目元がアップになるシーンが多かったですが、怒りや恐怖、秘めた狂気を強く出されていて、テギョンさんの瞳と表情の演技がとても印象的でした。
ハンソ!!はハンソクに抑圧され道化を演じながらも、ハンソクにどこか常に愛を求めている部分が非常にいじらしく、ヴィンチェンツォとの関係も微笑ましかったです。最後に「さすが俺の弟だ」とハンソにカサノが告げたシーンは涙がでました。クァク・ドンヨンさんがまさに適役で、胸に来る演技が素晴らしかったです、とっても!良かった!!

ということで、彼らのお話はまるでオペラの舞台が終わるように、美しく幕を閉じました。
金塊がまだ残っていますし、かすかにシーズン2の可能性も感じさせる演出と考察できるかなとは思いましたが…どうでしょうか。(このまま終わる方が、個人的には『ヴィンチェンツォ』らしいとは思います)
ただ、インザーギの脚のリボンの謎は教えてほしかった…。

1話の話の導入が少し気取っているので、つまらないと感じる方もいるかもしれません。が、ぜひ3話まで観てから判断して欲しいです。
OST含めとても洗練されていたし、伏線回収も美しく、観る者をたちまち虜にしてしまう、本当に素晴らしいドラマでした。アン君が会長を務める「ヴィンチェンツォ・ファンクラブ」に完全に入会希望でした。
韓国ドラマのハードルをかなり押し上げてしまった作品で、これ以上のドラマが出てくるでしょうか?!

本当に本当に大好きでしたし、このコロナ禍で憂鬱な気持ちの中、大変楽しませてもらいました。カサノ・クムガ・ファミリーにお別れするのが非常に名残惜しいです。
この素晴らしい作品に関係した方々に感謝したいです、ありがとうございました。(スタンディングオベーション

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