おすすめ度:85% ♡ 全員密偵度:95% ♡ 静かな熱意度:100%
映画、140分
1920年代の韓国を舞台にした、日本警察と独立運動団体との心理戦を描いた、2016年公開のスパイ系サスペンス映画。
あらすじ・キャスト
舞台は日本が統治していた1920年代の韓国朝鮮。
韓国人でありながら語学力を評価され、日本警察側に警部として勤務しているジョンチュル(ソン・ガンホさん)は、韓国独立運動団体”義烈団”のメンバーらを監視する業務を命じられ活動していた。
義烈団のリーダー、ウジン(コン・ユさん)に接触し情報を入手しようと試みるが、一方の義烈団側もジョンチュルを利用しようと画策していたのだった……。
感想
ハン・ジミンさんインスタグラムアカウントより
義烈団側と日本警察側、成り行き上どちらの側にも付いてしまうジョンチュル(ソン・ガンホさん)の精神的な苦しさや葛藤、決断を迫られる厳しさ、そのあたりの演技が見ものです。
義烈団という独立を計画する集団の熱意に打たれながらも、一方で日本側で「裏切者」として周囲に後ろ指を刺されながら、妻子を養うジュンチョルの葛藤と迷い、決意を演技で魅せるのは、さすがソン・ガンホさんだなと思いました。
ソン・ガンホさん、影のふくみがある役柄が本当に上手いです。
独立運動団体のリーダー役として出演されている、コン・ユさんですが、この作品でもとても独特の雰囲気があり素敵でした。
前半の沈着冷静で余裕のある演技、後半の焦り始めて冷静さを失う演技、静かな闘志がある表現が良かったです。
この映画、1920年代の設定なのでセットや衣装がレトロなのですが、その雰囲気にコン・ユさんが本当にめちゃくちゃ似合っていたので、大変かっこよかったです。うっとりしました。
個人的には日本警察側の幹部ヒガシ役で鶴見辰吾さんが出演されていたので、ちょっと驚きました。また、義烈団の団長役にイ・ビョンホンさんが出演されています。
なんとなく画面的演出の扱いが違う感…と思ったら、イ・ビョンホンさん(特別出演)となっていました。画面が締まるというか……。大物のオーラでしょうか……。
ソン・ガンホさん、役柄上割と日本語で話すシーンが多かったのですが、相当練習されたのではなかったでしょうか?(元々少しでも話せる方なのかな?)
もう1人の日本軍人役のオム・テグさんより日本語がずっと聞き取りやすくて、セリフ覚えるのも大変だったろうなと思いました。俳優さんたち、すごい…。
ゆるいネタバレありの感想
ハン・ジミンさんインスタグラムアカウントより
ソン・ガンホさん演じるジュンチョルがまず密偵、ハシモト(オム・テグさん)もある意味密偵、そして義烈団の中にも密偵、最後の最後に再登場の青年ドンソン(ソ・ヨンジュさん)も密偵。
……そりゃタイトルが「密偵」になるよ、というぐらい密偵に囲まれた密偵たちの密偵物語でした。各密偵たちの心理戦・情報戦が面白かったです。
特に後半部分の列車内で誰が密偵かをあぶりだす部分、緊張感があり観ていてなるほど、と思ったのですが、もしこれが自分だと完全に誰に何を言ったか速攻で忘れそうなので、このような密偵活動するのも、仲間になるのも訓練が必要だなと思いました。
一つ個人的に少し残念に思った箇所は、後半のジョンチョルが事件を起こす場面。
流れる曲がクラシック曲”ボレロ”ですが、若干ベタすぎるチョイスかなあと思いました。そこだけが個人的に演出が少しチープさを感じてしまい、もったいない気がしました。
最後ラストシーンですが、青年ドンソンにジュンチョルが託した想い(ドンソンの償い)、
そしてウジンの「誰か1人でも生き残っていれば、(団員の)死は無駄にならない」という強い想い、そんな部分が静かにオーバーラップしていたようで印象的でした。
最後のドンソンがそんな皆の想いを背負って、朝鮮総督府に入っていくシーンはとても良かったです。
ということで、タイトルから暗く陰気なストーリーかと思いましたが、重い内容ながら上手いテンポで作られていて、また俳優陣の演技も良くてとても面白く観ることができました。
結構おすすめの作品でした!
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