ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 愛しのホロ (感想)

おすすめ度:68%
ホロの発売希望度:99%
監視癖度:100%
原題:나 홀로 그대 1話約50分、全12話

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特殊な眼鏡の向こうには、完璧なAI人間、ホロがいた…。AIを通じて心を開く2人のラブストーリー。2020年作品。

 あらすじ・キャスト

失顔症(相貌失認)のソヨン(コ・ソンヒさん)は、他人とあまり深く関係を持たずに暮らしていた。
そんなある日、研究機関ジオラボで働くナンド(ユン・ヒョンミンさん)は、世界初の個人用AIホログラムを開発。
眼鏡をかけると、人の姿をしたホログラムが実生活で見ることができるというもの。
とあるきっかけで、その眼鏡を手に入れたソヨンは、ホロと一緒に生活し始めることに。
もちろん相手はAIで人間ではないが、会話を続ける中で、優しいホロに想いを寄せ始めることに…。

感想

ほぼ全く期待せず観始めたのですが、思ったよりも面白かったです!
ただ面白かったものの、中盤の後半から少々雲行きがあやしくなり、後半ではのお話の展開が悪の組織と戦うようになってしまい、正直「うーん」と思いながら最終回を迎えてしまったのが少々残念。
とはいえ、設定もそれなりに面白く、AIの進化で、完全にないわけでもないという感じのネタが良かったです。
また、ホロが優しすぎて、主人公ソヨンが普通に好きになるのも十分理解できました。

特殊ガラスにパーソナルAIホログラム、ホロを映すという技術を開発した、研究機関のジオラボ。
ジオラボを立ち上げたのがコ・ナンド(ユン・ヒョンミンさん)と姉のヨジン(チェ・ヨジンさん)。
特殊ガラスに映すホロを、個人用メガネに仕立てて、プロトタイプ(試作品)を発表します。
が、この特殊眼鏡、ジオラボのライバル会社である、マジックミラー社に狙われています。

眼鏡を狙われてピンチになったヨジンは、ホロ(AI)の助言通りに通りかかったソヨンのカバンに眼鏡を入れて、難を逃れます。
そんなきっかけで眼鏡を手に入れたソヨン。彼女が眼鏡をかけるとホロ(ユン・ヒョンミンさん)が浮かび上がり…というお話の始まりです。

ハン・ソヨン役のコ・ソンヒさん
メガネを扱う会社のチーム長として働いている。
割と普通で自然体の印象があって、この役でも合っていて良かったです。
失顔症がありますが、他人から症状を理解されにくいという経験があって、人と距離を置きながら仕事をしたり、生活をしています。
消極的な性格で、好きな人と会話をしても、あまり盛り上がら自信を無くす日々。
そんな彼女がホロと出会って、自分らしさを取り戻していきます。

コ・ナンド/ホロ役のユン・ヒョンミンさん
子供の頃からプログラミングをして、AIの研究をしている。
暗い過去を背負って生きてきたせいか、人と壁をつくり冷たい性格。
自身の姿をホロに投影しているが、与えた性格は自分とは真逆で人に優しいホロ(AI)を作り上げる。
特殊眼鏡がソヨンに渡ったため、取り返そうとソヨンと度々会うことになるが…。

ゆるいネタバレありの感想

ユン・ヒョンミンさんインスタグラムアカウントより

人とAI(ホロ)との恋愛を描きつつ心を閉ざしていた、ソヨン(コ・ソンヒさん)が自分らしさを取り戻す様子。
とある誤解から母親を憎みながら、心を閉ざして孤独に生きてきたナンド(ユン・ヒョンミンさん)。
境遇は違うものの、この孤独だった2人がホロを通じて、気持ちを通わせるという部分がこのドラマの大きな恋愛パートのストーリー。

また、AI(ホロ)を悪用しようとする組織と、よく考えたらAI怖い…と思わせる部分、そしてその組織(マジックミラー社)との対決部分。この2つのテーマが描かれている作品です。

もちろん(?)私が注視していたのは恋愛パートです。
人と壁を作りながら生きてきた、ソヨン。そんな少し孤独な彼女にある日突然、ホロがやってきます。当初は驚くソヨンですが、ホロの魅力にすぐにハマってしまいます。
第2話で、既にソヨンはホロ依存症に陥っていました。

分かります…。
ホロはユーザーに嘘はつかず、そしてユーザーの幸せを第一に考えてくれているのですから…。
正直、この眼鏡、どうやっても手にいれてえ…。
気付けば、既に1話からそのことしか考えられなくなっていました。

そんなホロを開発したのが、ナンド。
最初観ていて、自分の姿をAI、ホロにするなんて、なかなかのナルシストだなと思っていたのですが、彼も暗い過去が。
母親が幼い彼を残して死んでしまい、彼は養護施設で人に心を開かず孤独に過ごしていたのでした。
彼は研究者の母が彼に残したホロを引き続き手を加えて開発し続けます。
自分自身を投影し、「本当になりたかった人間」としてホロを作り上げていたんですね…そこは可哀想に思いました。
とはいえ、自分自身と同じ姿形をしたAIと対話するってどういう気分でしょうか…。

そんな”完璧”なホロとソヨンの生活が始まり、彼女はホロに恋愛感情を持ち始めます。
しかし、開発者のナンドは疑問を呈します。
彼の持論は「人は人を幸せにはできない」「感情はアルゴリズム


「計算可能」なことを計算する、形式的な(formalな)手続きのこと

アルゴリズム - Wikipedia

つまり、恋愛感情なんて、分析可能な事由で、理由ありきで発生する感情だと思っているナンド。しかし、ソヨンと過ごすホロ(AI)の方にも変化が起こり、理由がつかない「なんとなく」という言葉を使いはじめます。
これに気分を害するナンド。
自分のプログラミングにはないはずの行動をホロが取りはじめ、そしてソヨンがホロを好きになっているのも気に入りません。

コ・ソンヒさんインスタグラムアカウントより

一方でソヨンの持つ特殊眼鏡を奪おうとする者からも狙われ、物騒な事故も起こったりします。ここからはご想像通り、開発者のナンドがどんどんソヨンの実生活に色々と関わっていきます。

途中、ホロとナンドが入れ替わったりするのですが、全く見分けがつかないソヨン。
ホロの見え方、どれだけ精巧なんでしょうか…。
本物の人間のような質感や立体感まであるとするならば、完璧すぎでしょ…。
と、再び1話から欲しくなっていた、ホロ熱が再燃。
ホロの発売はよ!!!ついつい、全くドラマと違うことを再び考えてしまっていました。

ホロ(実際はナンド)とキス寸前まで…そんなに近づいたら、相手の体温や息で普通に人間だと見分けがつきそうですが…。ソヨンさん、かなり鈍感なのかもしれません。

気持ちが高まるソヨンですが、ホロを想う気持ち、しかしAI相手に恋愛らしい恋愛はできないという悲しみ。
そんな時にホロがシステムトラブルに…、なんと復旧した時には、ホロは人格が変わっていて、ただの案内係ロボットのような、味気ない性格になってしまっていました。

必死に以前のホロを取り戻そうとするソヨンやナンド。これがナンドの過去を紐解くきかっけに…。そしてソヨンを愛するようになるナンド。ホロが好きだったはずが、ナンドが気になり始めるソヨン。

と、お話は盛り上がるのですが、正直このあたりから急激に面白さが失速したように思えました。ナンドは、研究者でシングルマザーだった母が自分を裏切ったと思って長年恨んでいた状態でしたが、それが誤解。
しかも、原因がホロのプロトタイプ眼鏡を狙っていたマジックミラー社の爺だった!という因縁。
ここは本当に都合が良すぎたのと、ホロそのものが、ナンドの母親からのメッセージを含んでいたという部分。
正直、ちょっと広げ過ぎたのでは?という感じになってしまっていました。

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またナンドと姉の会社、ジオラボ自体がマジックミラー社に身売りされてしまいます。
マジックミラー社はこの特殊眼鏡を通じて人々の行動を監視し、プライバシー情報を売るという計画を立てていたのでした。

でもね…。
ナンドも同じことを過去にしていた訳なんです。
ナンドはラボからホロとソヨンの会話や行動をリアルタイムでほぼ24時間監視
正直、マジックミラー社の悪行と同じっていう…(困惑)

最終回では、ホロがとんでもねえパワーを発揮し、ピンチのナンドとソヨンを助けます。
が、人類にAIはまだ早かったのだ…
という警鐘を鳴らして、ホロは自らプログラミングを"削除”という道を選択。
そしてエンディング。(ちょっと微笑ましくて良かったです)

当初のホロとのもどかしい恋愛とソヨンが壁を乗り越えながらも明るくなっていく描写は
とても良いなと思って観ていました。
が、中盤以降のナンドの過去と、特殊眼鏡を巡るアレコレが、思った以上にチープな展開になってしまい、妙なこじつけとわざとらしさが全面にくるように。
引っ張った割には、最後のマジックミラー爺はアッサリ逮捕されましたし…。
最後がなんだかな~という最終回。恋愛パートは面白かったのに!

このような未来の技術ネタを使う場合、妙なお涙頂戴部分を入れると逆効果になるかもしれない…と強く思わせられました。
全12話ですので長さ的にはちょうどよく、中だるみを感じさせはしませんでしたが、ストーリーの着地点が少々雑というか、安っぽく終了してしまい残念に思えました。

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