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韓国映画 億万長者の初恋 (感想)

おすすめ度:58%
大人っぽい高校生度:99%
ステキなプレゼント度:99%
原題:백만장자의 첫사랑 113分

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莫大な遺産を相続する条件は、田舎の高校を卒業すること…横柄な男子高校生が出会った、本物の恋とは。2006年公開映画。

 あらすじ・キャスト

財閥会長の孫カン・ジェギョン(ヒョンビンさん)はワガママで傲慢、好き放題で暮らしていた。
法定年齢となり、祖父の莫大な遺産を相続する予定だったが、相続にはある"条件"が。
その条件とは、田舎にある高校に通い、ちゃんと卒業すること。
嫌々ながらも転校するジェギョン。
田舎生活が合わないジェギョンはあの手この手で反発するものの、学級委員長のウナンと出会い…。

感想

お話としては、かなり漫画的で観ていて「?!」と思う部分もあったり、途中からの想像できるエンディングがベタすぎかな…とは感じましたが、それなりに楽しめました。

2006年の映画で、ヒョンビンさん24歳前後の作品です。
既に体格も割とがっしりされておられたので、制服姿が少々微妙でしたが…。
さすがのヒョンビン先輩でも、制服はちょっと厳しかったように思えました。

祖父の遺産を相続するにあたり、ワガママな孫のジェギョン(ヒョンビンさん)にはたった一つの条件が付きます。
それが、田舎の高校を卒業すること。
ソウルの都会で好き放題していたジェギョンは、しぶしぶ指定された場所へ引っ越し。
が、もちろん今までのような横暴なふるまいはやめません。お金で買えないものはない、の彼のスタンスは崩さずに卒業まで適当に過ごそうと画策します。

しかし、周囲の彼に対する態度は、ジェギョンの経験したことないものばかり。彼の横柄なふるまいに恐れたり、なびいたりしません。
彼はそんな環境で、少しずつ彼自身の生き方を見直すきっかけを手に入れます。

ジェギョン役のヒョンビンさん

背も高く、また体格もしっかりされていましたので、ちょっとやはり高校生役はどうかなと思いました。
が、そう感じた要因として、ヒョンビン先輩以外の田舎の高校のクラスメイトの俳優さんたちのキャスティングが関係しているかもしれません。
田舎の純朴さを強く出そうとしたのか、かなり子供っぽく演出していたので、余計にヒョンビンさんの体格の良さや、大人っぽさが逆に目立ちすぎたせいもありました。
ただもちろん、顔面的にはパーフェクトでした。

ウナン役のイ・ヨニさん

いわゆる透明感がある、可愛らしい女優さんでした。
後半では、彼女の秘密が明らかになりますが、その部分にも合っていて、少し弱い部分も可憐で雰囲気が素敵で良かったです。

ゆるいネタバレありの感想

ヒョンビンさん所属事務所VASTインスタグラムアカウントより

少女漫画的なストーリー展開ですが、残念ながらこの作品は、ハッピーエンドにはなりません。
この映画の中で語られるエピソードですが、思ったよりも割と詰め込んであります。
そのためか、どのエピソードにも深みがあまりなく「そうなのですね…」ぐらいの印象になってしまい、それゆえにキャラクターそのものに共感するという機会を失っているかな、と残念に思いました。

両親を事故で亡くし、祖父の遺産を相続する予定の御曹司、ジェギョン。
映画冒頭からそんな彼の"やりたい放題”シーン連発で、ここはむしろダサくないか…?とジェギョンの株を大幅に下げてしまうという、ある意味事故シーンが連発。

ちなみに一番だせえ…と思ったシーンは、ヒョンビン先輩演じるジェギョンが大型バイクで高校の廊下を走行するところです!

意図として、やりたい放題のジェギョンの態度と、”大都会”ソウルの描写を序盤に入れ、その後の田舎シーンとの落差を見せたかったのは理解できます。
が、田舎のシーンの方がむしろ全然ダサくない、という逆転現象が発生している作品になってしまった気がします。

序盤からこのノリか…と少々困惑していましたが、早めにジェギョンが田舎に移ってくれて観ていて助かりました。

遺産相続のため、渋々田舎の高校に通い始めるジェギョン。
ここでも賄賂を渡して授業には出席せずに卒業しようとしたりするのですが、その手が一切通じず、困るジェギョン。

しかし、良い点もありました。
もちろん、ウナン(イ・ヨニさん)との出会い。
彼女が大きく彼の価値観を変えていきます。

ウナンはある目的のためにアルバイトに明け暮れながら、自分を強く持って生きている女子高生。
しかしそんな明るくクラスの学級委員長も務める彼女ですが、実は病魔に冒されていました。
心臓が悪く、余命宣告状態。

可哀想なウナンですが、彼女もどんどんとジェギョンに惹かれていきます。
そしてまた、ジェギョンもウナンの事を好きになります。
しかし・・・ウナンの体は限界に。

とうとう、医師からウナンの事を考えるなら離れろと告げられます。
ウナンが(ジェギョンに)ときめいたりしても、心臓に負担がかかって最悪の場合…と言われて絶望するジェギョン。

そんなに厳しい状態なら、なぜ演劇したりするのでしょうか…ウナン…。

この前後からやたらとエピソード詰込みパックのようになっていて、そこまで?!と少々困惑しました。
詰込みパックの内容ですが、

・ウナンのアルバイトの理由
・ウナンの親
・同棲
・2人の幼少期の繋がり
・誕生日のプレゼント
・激しい演劇
・初雪
・億万長者誕生

特に2人の幼少期の繋がりやウナンの親のエピソードなどは、むしろ必要?!と少々疑問に思いました。
念には念の…という感じで2人の縁をこじつけ的に結びつける部分がそこまで必要かな…?
元々の縁がなくたって、2人は惹かれていたでしょうし。
それだったら、命が残り少ないウナンとジェギョンの交流を、もう少し長い尺で優しく描いても良かった気がしました。
彼らの住む田舎の雰囲気がとても良かったのもあったので…。

最後ウナンが初雪を見ながら眠ってしまう部分は、わかっていながらも非常に美しく、可哀想でもあり、可憐で良かったです。

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ただ、ウナンに対して、根本的に無理しすぎじゃない?と常に心配に思ってしまいました。
そんな気持ちが"ときめく”ぐらいで、危険な状態の心臓の持ち主が、踊ったり、遊んだりしているシーンに大変違和感がありました。

エンディングはジェギョンがウナンの意思を継いで…という設定。
彼の本当に大切なもの、そして生きる上での価値観を変えた、悲しくも幸せだった、高校生活になったようでした。

個人的にこの映画で一番許せなかった部分は、オープニングのクレジットです。
やたらと"億万長者”アピールなのか、クレジット(お名前)部分に数字が並べられて金色でギラギラさせた後に名前に変わるというギミックが、だせえ…とかなり思いました。

この映画決してコメディではないと思いますので、ちょっと作品の雰囲気にも、また実際クレジットが載っているシーンにも大して合っていない気がしたので、相当残念に思えました。
ウナンが自分を捨てた母に会うシーンに、このギラギラ処理のクレジットが画面下に輝いているのは、シュールすぎではないでしょうか?!

序盤とエンディングのギャップの演出を狙ってかもしれませんが、前半の”やんちゃ”さの過剰演出が非常に浮いている印象が損している気がします。
あまり長いシーンではないですが、最初のこのソウル部分パートの印象が尾を引いていたかな。

ということで、最近ではなかなか「億万長者」という単語を耳にしない気がしますが、正確には、ヒョンビン先輩演じるジェギョンが億万長者になる前の恋というお話です。

1つ1つのエピソードを深く掘り下げてはいないものの、ウナンへの誕生日プレゼントや、2人で爪を染めたりするシーンはとても微笑ましくもあり、雰囲気があってかなり素敵なシーンだなと思いました。
このあたりの描写をもう少し増やして欲しかったのが、正直な気持ちです。

真新しさは特にない王道(サッドエンド)のストーリーですが、ジェギョンがまともに成長した…と推測できる映画となっていましたので、後味は悪くなく良かったです。

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