ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 最悪の悪 (感想)

おすすめ度:90%
潜入捜査度:100%
ネックレス度:100%
原題:최악의 악 / The Worst of Evil (全12話)

最悪の悪感想考察レビューあらすじ 韓国ドラマ

劣等感を抱いた警察官のジュンモに、極悪組織への潜入捜査への協力を求める声がかかる…。2023年のクライム・アクション/ノワールドラマ。

あらすじ・キャスト

警察官のジュンモ(チ・チャンウクさん)は、エリート警官一家出身で自身もソウル警察庁へ昇進したウィジョン(イム・セミさん)を妻に持つ。
劣等感を抱いていたジュンモだったが、ギチョル(ウィ・ハジュンさん)率いる麻薬組織への潜入捜査への協力を求められることに…。

感想

とても面白かった!!
極悪組織に潜入捜査をする刑事…という設定で既に想像がつきますが、非常に緊張感あるドラマです。
今回何と言っても際立ったのがチ・チャンウクさんとウィ・ハジュンさんのお2人!
チ・チャンウクさんがご出演されている全作品を観ているわけではないですが、今作で私の中に持っていたチャンウクさんのイメージが100%良い意味で変わり、とても新鮮で驚きの気持ちで視聴しました。
またギチョル役のウィ・ハジュンさんですが、ちょっとしたセリフのない短いシーンなどでの目線の演技など(説明しにくいですが)、演技がうめええ…!となりしびれてしまいました。
お2人とも間違いなくかっこよかったです!

ストーリー的に「潜入捜査がいつバレるのか」という、その”結末”にドキドキさせられるのもありますが、今作で特に優れているのが「キャラの心情が読めない」という部分。
警官ジュンモが最悪の悪の組織に入っていくのですが、もう途中からジュンモが立派に組織の一員になっていくのですよね。潜入しているので、当たり前なのですが…。
その彼の変遷が、視聴していて何だか怖くなっていくような迫力があったりして、ジュンモは一体どこに向かっていくのか?というか…。
そして最悪の悪の頂点だったギチョルも、どんどん違う一面が強くなっていくのです。
視聴している側から、キャラ(に対する先入観)をどんどん引き離していくというか…。
そんな人間模様や内面の変化も上手く描かれたドラマになっていて、潜入捜査モノにありがち(?)な、組織トップとの信頼!騙し合い!のような部分だけでない二重構造になっています。
とてもよく構成されているお話hだなと素人ながらに思った次第です。

ドラマの作風的にも”闘争”が多いです。
激しい暴力・流血シーンが結構多いので、苦手な方はご注意下さい。
全12話でテンポも良く、私は全く飽きずに毎週とても楽しみに視聴していました。
ひとつ個人的に気になったのが、日本のヤクザ組織側のセリフです。
もう毎度お馴染みというか、日本語なのに何をいっているか不明なシーンがそれなりにあり、全部字幕入れて欲しいなと思った次第です。
ノワール系ですので好き嫌いがあるかと思いますが、気になる方は是非チェックしてみて欲しいです。

ゆるいネタバレありの感想

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警察官のジュンモ。彼の妻ウィジョンも同じく警官ですが、ジュンモより出世が早いようです。
というのも、ウィジョンの一家は父や兄ともにエリート警察官。
一方のジュンモの父は麻薬中毒者として知られており、そのため彼は度々苦い気持ちを抱いていました。
嫌味のように繰り返される「中毒者の息子」…父のせいで出世の道を歩むことは難しいと言われていたのでした。
そんなある日、ジュンモに先輩警官から”ある誘い”が。
麻薬取引をしている犯罪組織への「潜入捜査」です。
ジュンモは一度は断るものの、報酬のことが頭にチラつきます。
ジュンモは2階級の昇進を条件に、妻にも告げずに危険すぎる潜入捜査に協力することに決意します。

スンホとして
ソウルの江南を縄張りにしている江南連合、そしてそれを率いるギチョル。
その組織に入るべく、ジュンモは「スンホ」として新たな生活をスタートさせます。
過去にギチョルは親友であり仲間のテホがいたのですが、組織同士の闘争で彼は亡くなってしまいます。
その亡くなった”テホの従弟スンホ”として、ギチョルに接触するジュンモ。
当初は相手にされなかったジュンモでしたが、ギチョルにとってテホの死はある意味”弱点”でもありました。
ギチョルの持つソフトな一面、そのテホへの無念さを突いたジュンモは、江南連合に見事入り込むことに成功。
あくまでも捜査を成功させるため、ある程度の賭けをしつつ、大胆さを持って行動する男性スンホの誕生でした。

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ギチョル
音楽が好きで元々DJとして活躍していたギチョル。
しかし喧嘩の強さと冷静で物怖じしないその態度で、一気に江南地区をじっくりと自分のものにしていきます。
とはいえ、江南連合が全てのトップに立っている訳ではありません。
加えて、ここまでのし上がったギチョルの手法には、日本と中国という取引国の件もあります。
更に力をつけて大規模なレジャー業を成し遂げ組織を大きくする…そんな密かな野望も持つ頃、ギチョルの元にテホの従弟という謎の男、スンホがやって来たのでした。

ギチョルとウィジョン
組織にようやく馴染んできたスンホ/ジュンモ。
しかし、ここで妻ウィジョンに潜入捜査を行っていることがバレてしまいます。
驚く彼女でしたが、更に事情が複雑になる事態に。
スンホと妻ウィジョンが会っていることを、何とギチョルらに目撃されることに。
ウィジョンは警官、一気にスンホの立場が怪しくなります。
ですが、そんなことよりこの目撃は「別の気持ち」をギチョルの中にもたらします。
そう、彼の中にずっと封印していた恋愛感情です。
実はギチョルとウィジョンはお互い”初恋相手”、昔からよく知る仲だったのです。予期せぬ再会にギチョルは動揺したようでした。
スンホは妻であるウィジョンを「幼馴染」だと紹介するのでした。
スンホが警察ウィジョンと会っていること、そしてギチョルが忘れられない女性ウィジョンがスンホと友人であること。
組織のメンバーはそんな状況を危惧しますが、ギチョルは疑問を抱きつつも、とりあえずこれらを黙認することにしたのです。
スンホはギチョルと妻ウィジョンのかつての関係を察し、嫉妬と怒りの感情を静かに爆発させるのでした。
しかしギチョルのウィジョンへの想いを止めることはできません。

最悪の悪 韓国ドラマ 感想レビュー考察あらすじ

スンホとジュンモ
ギチョルが中国から仕入れたブツを中抜きして、日本に売りさばいていたことを突き止めたスンホ。
しかしそんなタイミングを同じくして、ギチョルと組織を狙う者は警察含め多数。
人を殺めることに幾度となく躊躇するスンホ/ジュンモでしたが、次第に彼の中の”資質”が顕著に。
気付けばスンホは他を圧倒するほど、江南連合の中でトップに上り詰めるレベルになっていたのです。
闘争が激化し取引が上手く成立せず、組織内にもギチョルらにも焦りが出始めた頃、もはやスンホの中の警察官ジュンモは消えつつありました。
夫ジュンモの鬼と化した姿を見て、言葉を失うウィジョン。
一体誰が彼をここまで追い詰めてしまったのか…。
ジュンモは”スンホ”になってしまっていたのです。

最終回の考察など
・ラストシーン
お互いが”フリ”を続けざる得ない状況で、全てが終わった後も二度と昔のようには戻れなかったジュンモとウィジョン。
個人的には、ウィジョンはギチョルを(恋愛として)愛してはいなかったと思います。
しかし、ジュンモは妻とギチョルの”関係”を目の当たりにし、嫉妬と”初恋相手でなかった”劣等感を抑えきれなかったように思えました。
結果的に、冷静さを失って己を「失った」のはジュンモです。
そうなってしまったのはこの残酷な捜査のせいですが、自らを失ったせいでウィジョンの本質理解できず、信じられなかったジュンモ。
最終的には、愛していた妻さえも自ら手放してしまったように思えました。
エンディングで結婚指輪をギチョルの墓に置くジュンモ。
ギチョルに”負け”を認めたようにも思えたその行動ですが、色々な意味にも捉えられ、苦く虚しく、得た物は空虚さに悲しいシーンでした。
個人的には大変良いシーンだったと感じました。

・手を汚さないギチョル
元仲間の反乱に激怒するスンホに対しギチョルは「一線を超えるな」と諌めたように、ギチョルは自らの手を汚すことはなかったように覚えます。
当初私はギチョルのこの態度に狡猾さを感じていたのですが、それが彼の本来の悪になれないような”ソフトさ”がある人間なのだと感じました。
結局のところ、この点含めジュンモとギチョルは似た者同士でもあったのです。

・夫婦関係
ジュンモがずっと妻に対し、どこか常に抱いていた劣等感。
結局ウィジョンを愛していたにも関わらず、最終的には夫婦関係の修復できませんでした。
ジュンモがスンホとしてのストレスが強かった時「ウィジョンができることは何もない」と怒りをぶつけるシーンがありました。
2人の関係はまさにその言葉の通りで、ギチョルとの再会がなくとも、最初からいつか破綻を感じさせるものだったのかもしれない、と思いました。

・ウィジョンの役目
一見ジュンモの妻ウィジョンは、捜査上大きな役割を担っていなかったようにも思えます。
しかし、結果的に組織からギチョルを精神的に引き離し、求心力を弱め内部からも弱体化させたのは他でもなくウィジョンの力です。
彼女はギチョルが一番欲していた”愛”で彼を騙し、ジュンモを助けようとしたのですから。
しかし残念ながらその部分をジュンモは見落としていたフシがあったのは悲しいことです。

・ジュンモの拳銃
ジュンモがギチョルを迷いなく撃った最後の行動は、妻ウィジョンのためだと思います。
ウィジョンが彼の死後、彼女自身を責め続けて生きないようにするため、自らが悪者になって引き金を引いたと思います。
それが最後にジュンモができる最大の優しさだったと思うと、非常に胸に来るものがありました。
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スンホが警官だったとギチョルに明かされるシーンは、思ったよりもアッサリしていたなと少々拍子抜けしたのですが、大袈裟にならずリアリティさがあり最後まで視聴するととても効いていて良かったと感じました。
作品として大変見応えがあり、最後までどのような展開になるのか読めず、とても面白く視聴しました。良かったです!

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