おすすめ度:80%
ダークウェブ度:100%
叔父と姪度:100%
原題:킬러들의 쇼핑몰 / A Shop for Killers (全8話)
突然亡くなった叔父が残した”仕事”、狙われる命…。2024年のアクションスリラー。
あらすじ・キャスト
ジアン(キム・ヘジュさん)は両親の死後、叔父ジンマン(イ・ドンウクさん)と2人で暮らしていた。
しかしある日、その叔父の突然の死について警察から連絡を受ける。
自殺とされた叔父の死。状況に混乱するジアンだったが、そんな彼女も突然何者からか"攻撃”を受け始め…。
感想
凝った構成のユニークなドラマで、観ていて楽しかったです!
不思議な叔父との生活、叔父の死、そして叔父が行っていた"商売”…。
叔父ジンマンの死後、次々と明らかになるジンマンという人間、そして彼の「家族」である姪ジアンとの関係。そしてジアンの成長。
まるでパズルのようにシーンが交差して、謎と答え合わせが入り混じったアクションスリラー作品です。
冷静沈着で知的そして"訳アリ”の仕事をするジンマンが、両親を失った幼い姪を引き取り暮らしていく訳ですが、その2人の家族関係にもドラマがあります。
姪ジアンも、ジンマンが亡くなって混乱の中、次々ととんでもない問題が迫り、彼女自身が真の強さを手に入れ「腹をくくる」というお話です。
時間軸が前後して繋がっているドラマになっていて、なかなか先が読めない展開になっていますので単純に飽きない作りになっています。
またどこかコミカルさがあるというか、完全なるフィクションっぽさがアメコミ風のような演出もあり、画面的にも楽しさがあるドラマでした。
とはいえ、個人的には終盤は気になる点がそれなりにあり、ちょっと失速したようには感じました。
少しネタバレになりますが、最終回(第8話)では”決着”はつくように考察できますが、シーズン2の含みをそれなりに持たせた作りになっています。(考察は後述します)
これが特に評価の別れる点(?)かもしれませんが、私の感想としてはちょっと悪手のようには思えました。
スッキリしないというか、ちょっとこの手のドラマとしては尻すぼみのラストだったかなとは思います。(あくまでも個人の感想です)
シーズン2がある可能性も強いですが、個人的には8-10話で十分完結させられたストーリーだったとも思いますが…。
ただ今作の原作は小説で、まだ完結していないらしいので(私は未読です)そのあたりも関係しているのかもしれません。
メインはイ・ドンウクさんとキム・ヘジュさんです。
叔父でヤバい仕事をしていたジンマンを演じるドンウクさんですが、渋さとクールさ、そして色っぽさがすごい。
父親とはまた異なる姪っ子に対する何とも表現し難い愛情を感じられる役で、大変良かったです。
ドンウクさんの雰囲気が役柄にもとても合っていたと思いました。
テンポも良いですし、全8話という短さでもありますので、気になる方は是非チェックして頂けたらと思います。
ゆるいネタバレありの感想
両親が突如亡くなり、叔父ジンマンしか肉親がいなくなったジアン。
そんなまだ子供だったジアンは、叔父との生活がスタートします。
彼女は親を失ったショックや生活環境の急激な変化のせいなのか、言葉が出てこない日々を送るという過去もありました。
そして成長して大学生になったジアン…そんな時、突然あのジンマンの死の連絡を受けます。
少し変わっていた叔父、だけど「あの」ジンマンがまさか自殺するなんて…。
ジアンは警察から聞いた彼の死因にすっきりとしない疑問を抱くのでした。
そんな叔父の死に混乱していたジアンが実家に戻った時、彼女の同級生だったジョンミン(パク・チビンさん)がジアンの助けとなっていきます。
ジョンミンの優しさにほっとするジアンでしたが、叔父の死を考える間もなく、いきなりジアンらは謎の"敵”からとんでもない攻撃を受けることに。
一体これはどういう状況なのでしょうか??
ジンマンの仕事
ジアンはジョンミンが情報系の学生でジンマンの仕事を手伝っていたということもあって、叔父の”本当の”仕事を知ることになります。
ジンマンの仕事…、彼はいわゆるダークウェブ「マーダーヘルプ」で殺し屋たちに向けて様々な武器を販売していたのでした。
そしてその”経営陣”としてジンマンに加え、ジアンが含まれていたのでした。驚くジアン。
ジンマンが亡くなったという情報が広がった今、彼の「傭兵」だった過去の因縁もあり、ジアンの命がこうして狙われていたのでした。
ジアンは息つく暇もなく、目の前に出現する人物に対して責任と判断を迫られるのでした。
気になった点とエンディング考察
・ジンマンの死について
ジンマンが実は死んでいないというのは、(視聴側としては)明白でした。
彼が仮死状態だったのは、前フリとしてジアンと山に行った時の”発熱”のエピソードから何らかの薬の作用なのは間違いないと思います。
(ジアンもジンマンが死んでいないのは気づいているはず)
ですが個人的に最もしっくりこなかったのは、敵であり元同僚のバビロン側がジンマンの死を「なぜそんなに簡単に信じたのか」という部分でした。
一緒に働いていたのだからジンマンの人となりは知っていますよね??というか…。
ジンマンがベイルの死を疑っていたのと同じく、恐らくベイルだけは知っていたのではと察しますが、残念ながら今回はベイルvsジンマン最終戦は描かれませんので不明。
一応プロ集団のバビロン側は、ジンマンの死をすぐ信じて簡単にターゲットをジアンに移しています。
その過程がとても安易に流れてしまった印象です。
似たパターンとしては、ジアンがジョンミンを一瞬で信用する流れも曖昧でした。
関係性を構築する時間や条件をすっ飛ばしていたので、都合の良さと不自然さを感じました。
・エンディングの考察
ボロボロになった姿でしたが、生きてジアンの前に現れるジンマン。
これについては2つの考察ができるかなと思います。
1)対ベイル戦を勝ち抜いたジンマンの姿説
個人的にはこちらかなと思いますが、S2が確実にあるならば下記2)寄りになるかも…と思います。
ジンマンは自分の死をおとりにし、ベイル以外のバビロンらをジアンに向け、自らの手でラスボスのベイルを確実に潰すという壮大な計画を立てたのでした。
シーズン2では、このラスボス戦の時系列も遡って描かれるのではと推測します。
しかしこの線ですと、今回エンディングで既にジンマンの復帰/勝利を我々は知っている訳で、今後シーズン2でベイル戦の詳細を描かれたところで…という面白みに欠ける気持ちは正直あります。(個人的な意見です)
2)仮死から目覚めたジンマンの姿説
動きが見えないベイルを炙り出すために、ジンマンは死を偽って標的をジアンに向けたのでしょう。
最後ジンマンが弱った姿で出てきたのは、まだ仮死状態から目覚めたばかりだったからとも考察できます。
つまりラストでジンマン&ジアン2人そろったところで、これから一緒にベイルを倒しに行くぜ!→シーズン2の主軸…となる可能性もあると思います。
ちなみに個人的にはミンヘも生きていると思いますので、こうなると2ではまた派手な戦いになるでしょう。
…と、ラストシーンからは以上2つの考察ができるかなと思います。
ただこれは個人的な気持ちですが、今回最も盛り上がるべきだったジンマン対ベイル。
これについては、シーズン2へのモチベーションとしては”弱く”、そして今回のエンディングとしても結果的に”弱く”なってしまっていました。
ジンマンとジアンのキャラ設定としても、ドラマチックな”再会”は絶対にあり得ないのは理解できます。
しかしネタとして隠しておいたカードが非常にあっけなく出された印象を受け、とにかく勿体ない終わり方だったなと思った次第です。
シーズン2ありきとしても、ジンマンが無事なのは確定しているので、それなりに先が読めるのが何だかな…とも思います。
・ジアンの物語
今作はジンマンよりも、小さかったジアンが真に成長し”腹をくくって”決断して強くなるというのがメインプロットだったと思います。両親の死も上手く絡んでいたと感じました。
とはいえ、彼女を守りつつその道を着実に辿らせたのはジンマンでしたので、やはりジンマン自身の”決着”も8話の中で最後までしっかり描いて欲しかった。
シーズン2があるとしても、視聴している中で育った作品への熱意や興奮というものは、次シーズンまでそう簡単に長く保てるものでもないと思いますので…。
・シーンの繰り返し
今作のように時系列を入れ替えるドラマではある程度しょうがないかと思いますが、すでに観たシーンを割と長い尺でリピートするのが少々気になりました。
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ということで、とりあえずはストーリーとしては一応完結しているように考えられもします。
ただ上のように考察したものの、S2の有無は未確定で推測するしかできませんので、やはり最終回にして一番モヤモヤするエンディングを採用している点については、私は残念に思えました。
前半は最高だな~と視聴していたのですが、最後はやや拍子抜けした感は否めないと思います。