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観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ その恋、断固お断りします (感想)

おすすめ度:73%
考え方度:100%
スタント度:100%
原題:연애대전 / Love to Hate You  (全10話)

その恋、断固お断りします Netflix 韓国ドラマ 感想レビュー考察

有名俳優のガンホと強い意志を持つ弁護士ミラン、2人の関係の行方は?2023年のロマンスコメディ。

あらすじ・キャスト

弁護士ミランキム・オクビンさん)は特に男性に対して強い信念を持つタイプの女性。時に鉄拳で相手に立ち向かうこともあるのだった。
ミランは、ウォンジュン(キム・ジフンさん)率いる芸能事務所をクライアントに持つ弁護士事務所で働き始めることに。
しかしトップ俳優のガンホ(ユ・テオさん)は、何やら女性に偏見があるようだった…。

感想

明るく面白かったです。
私は配信されて、すぐに視聴開始。ですが実は私は正直なところ速攻で「・・・。」という気持ちが膨れあがり、前フリだと我慢して(すみません)観ていたものの、3話途中で中断しまっていました。
理由としては、わざとらしいさもあるジェンダー問題の押しつけやミランの暴力性、ダブルスタンダードさ、そしてドラマ雰囲気そのものの古臭さ…などです。
ただその後また視聴を続けたのですが、4話ぐらいから格段にこの作品の持つ”クセ”がに気にならなくなりました。
序盤で視聴を止めた方は、是非もう一度トライされてみてはどうかなと思います。

ジェンダー観の違いとしてドラマでは取り入れてられてはいますが、個人的にはその問題をあまり作品内では考慮せず、半ば無視して単なるキャラクターの価値観や考え方の違い”だけ”として受け取る方が、ラブコメ(ロマンスコメディ)として断然楽しめると思えました。
細けぇことはいいんだよ的なマインドで観る方が楽しいです。

ただ、この作品の中で取り上げるポリコレ的な問題を抜きにすると、非常にスタンダードでベタで映像もなんだか古臭いラブストーリーにはなっています。
そこがちょっと微妙というか…。10話でコンパクトで楽しいお話ではありますが、特にあまり感想が残らないドラマでもあるかなと思います。
とはいえ、序盤以降は観ていて楽しいエンタメ作品であるのは間違いないと思います。

しつこいですが、ちょっと”問題”部分を強調しすぎて、シンプルに楽しめるはずのドラマの可能性を自ら潰しているようにも思えはしました。
また最終回のオチ部分は、このドラマが掲げた問題に対する皮肉なのか矛盾なのか、正直私にはよくわかりませんでした。(後述します)

ゆるいネタバレありの感想

キム・ジフンさんインスタグラムより

ふざけた態度の男性を嫌い、時に拳で立ち向かう「強い女」ヨ・ミラン。そんな彼女は弁護士です。
ある日、人気俳優のキム・ガンホが女性への偏見を露骨な表現で会話しているところに偶然居合わせたミラン
世間での彼のイメージと現実のガンホの落差に、怒りを覚えるミランさんです。
その後就職の面接で大手法律事務所を訪れた際、ミランはあのガンホと”再会”するのでした。そう、この法律事務所は芸能人を多くクライアントに持ち、ガンホの所属事務所もその一つだったのです。
先日のガンホの言葉を忘れることが出来なかったミランは、機会を逃さず彼に”復讐”をするのでした。
男性しか採用しない弁護士事務所でしたが、ミランは採用。差別的な事務所に逆差別で採用されてしまうミランさんなのでした。
ただ気がかりなのは、ミランの元カレも同じ事務所で働いていたこと。

ミランとガンホ
ミランがガンホに対して足をひっかけた復讐事件は、好きすぎて…という理由でとりあえず誤魔化すことに。
しかしガンホも彼女へやり返そうとしますが、ミランが想像以上の強者で、呆気に取られてしまいます。運転、運動神経、格闘技…ミランには太刀打ちできないようです。
また、ミランもガンホに持っていた疑いは誤解であることに気付き始めます。
ミランに喧嘩の演技コーチで助けてもらったりする中で、次第にミランを意識し始めるガンホさん。
実は彼には深刻な女性不信の問題を抱えていましたが、ミランに対してはガンホは他の女性とは違うことに(身体的にも)気付いたのでした。

2人の関係
男性からの女性蔑視のような態度が絶対に許せないミラン、また一方の女性不信から来る極度の女性への偏見を持つガンホ。
この水と油のような2人がお互いその気持ちを隠しつつも、仕事のため手を組んで共に行動をし始めます。
更に追い打ちをかけるように、ガンホの所属事務所代表ウォンジュンのアイデアもあり、2人は”契約恋愛”することに。
とはいえ、ミランの事が既に気になり始めたガンホは、契約恋愛も最早関係なく、その気持ちを隠しきれなくなってきます。
そんなガンホの”優しさ”はミランにも伝わり始めることに。困惑しつつミラン自身も彼を意識し始めるのでした。

このように偏見にまみれた凹凸コンビの男女が、契約恋愛を通して本当の気持ちに出会う…という、大変わかりやすいストーリーです。
序盤はこの偏見キャラ設定の描写がとにかくクドくて、個人的にはとても野暮ったいな…と感じてしまいました。(すみません、個人の感想です)
ただ中盤からは、かなりベタなラブコメ路線を突っ走る作品になっていて、観やすく感じました。

最終回と気になった点
ミランとガンホの仲が世間にバレ、加えてミランの男性関係が奔放だった過去も明らかにされてしまいます。
彼女は何と100人以上の男性と関係していてた…面白おかしく騒がれ、たちまちバッシングされるミラン
ガンホは記者会見の場を持ち、自分の気持ちをみんなの前で述べるのでした…!
最終的には、ハッピーエンドにはなってはいます。物語としては良かったねと思いました。
ですが個人的には「・・・。」と正直何なのかと残念に感じたのが、ミランのその”場面”です。
ミランは自分の過去について、彼女なりの理由(単に関係を楽しんでいただけとしても)があって行動した訳で、別に恥じる必要はないのですから、自らの言葉で世間にその気持ちを叩き付けて欲しかったです。彼女は弁護士ですから、なおのことです。
結局彼女を「弁護した」のは、元カレやガンホである男性たちであり、ミラン本人ではありません。
私はここは作品の中において、ある意味でキャラ自身の言動への皮肉や矛盾かなとも思え、しばらく考えたりしましたがイマイチ理解ができませんでした。
当初の強い問題定義と強い女性設定は一体何だったのかと疑問に思えました。
この点が個人的には非常にしっくり来ず、何となくドラマとしてもぶち上げた問題提起が表面的なもののようにも感じてモヤっとしました。
そのせいもあってか最初から強くあった”偏見”問題そのものが、このドラマの持つ明るくて単純な楽しさを自ら打ち消しているように思えた次第です。
まあ「こまけぇ事はいいんだよ」と見ると全てOKですし実際OKだと思います。それでもまあ良いとは思いますが…ただそれならば、ジェンダー論を作中に入れすぎないで欲しかったところです。

ということで、ベタで古典的ですがロマンスコメディとしては、10話という尺も素晴らしくて良かったです。気楽に視聴するのには良い作品だとは思います。
ただ個人的には上に述べたように、楽しいけれどスッキリする作品のようには思えませんでした。

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