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観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 弁論をはじめます。(感想)

おすすめ度:78%
弁護士度:100%
アイスキャンディ度:100%
原題:변론을 시작하겠습니다 / May It Please the Court (全12話)

韓ドラ 弁論をはじめます 感想レビュー

負け知らずのトップ弁護士が巻き込まれた事件とは…2022年の法廷サスペンス。

あらすじ・キャスト

大手法律事務所で働くチャッキ(チョン・リョウォンさん)は、勝率も事務所内でトップの凄腕弁護士。勝訴のためなら何でもすると豪語するチャッキだったが、ある事件を担当し大きなミスをしてしまう。
1年の約束で地方の国選弁護士として働くことを命じられたチャッキは、変わった弁護士チャ・シベク(イ・ギュヒョンさん)と共に働くことになるが…。

感想

どちらかというと地味なドラマですが、しっかりした筋の堅実なドラマだと思いました。よかったです。
主人公の2人が弁護士なので法廷モノのイメージを強く抱いてしまいますが、中盤以降サスペンス色がぐっと強くなっていきます。
話の展開も割と王道なスタイルで、疑問や彼らの人間関係が紐解かれていくようになっています。100%良い意味で変にヒネリを加えていないので、ドラマとして視聴しやすいタイプの作品でした。

全12話なので無駄なシーンが無く、視聴していてテンポが悪いと感じさせられなかったのは特に素晴らしかったです。
ドラマの構成としても、特に人物描写にオーバーな演出がそれほど無くてクセがないので(良い意味です)、視聴していて引っ掛かる点はありませんでした。
ただお話上、主人公のチャッキやシベク含め登場人物が妙に信用できない雰囲気を出してくるので、そのあたりがポイントになりはします。(この主人公たちへの信頼感の揺らぎを出してくるのは、最近のドラマのトレンドなのでしょうか…?)

傲慢で結果も出すエリート弁護士チャッキが、あるトラブルの後に半分馬鹿にしていた国選弁護士になります。
同僚でもあるシベクといがみ合いながらも、弁護士の仕事としての「仕事の本質」を学び始めるチャッキ。
一方、世間を騒がせ始める連続殺人事件がチャッキにジワジワと(仕事上)関係してくるというサスペンスの軸が語られる作品です。

イ・ギュヒョンさんが妙な(というと適切な言葉でないかもしれませんが…)男性的な色っぽさがあり、ご本人がお持ちの特徴的な視線や目元の変化などが本当によく出ているドラマだなと思い、とても印象に残りました。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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イ・ギュヒョンさんインスタグラムより

法務法人・張山の弁護士ノ・チャッキ。社内では彼女は魔王と呼ばれ、勝率は常にトップ。
仕事の鬼なものの、傲慢で冷徹な態度の彼女を良く思っている人ばかりではありません。勝訴のためには何でもする、張山の犬とまで呼ばれる彼女。とにかく勝つことにこだわるチャッキです。
そんな姿勢は、もしかしたらチャッキの出身も関係しているかもしれません。
彼女は祖母と一緒に暮らしていましたが、その後は養護施設に移ったようです。後ろ盾が何もないチャッキではありましたが、この弁護士事務所の会長ビョンチョンがチャッキを孫のように可愛がっていたのでした。優しい会長にチャッキはどこか父のように慕っていました。
そんなチャッキと会長の関係をやや複雑な表情でいる男性、張山の代表CEOのギド。ギドは会長の息子です。

ある日、製薬会社訴訟の担当になったチャッキ。裁判に関係するとして、ギドからある女性の事件を担当するよう命じられます。
その女性とはチャッキが養護施設で一緒だった人。チャッキはここで一芝居打つことに密かに決めていたようです。張山とクライアントである製薬会社の裏をかこうとしていたのでした。
しかしギドはチャッキの”シナリオ”を既に先読みしていたのです。そもそもチャッキには裁判の”筋書き”を事前に決めて行動するタイプのよう。ギドはそんな彼女のクセに気付いていたのかもしれません。
チャッキは「やり過ぎてしまった」シナリオのため、大きなペナルティを受けてしまいます。
代表から命じられた罰とは、チョンハ市への移動と国選弁護士として1年間働くこと。
島流し状態のチャッキは、国選弁護士としてチャ・シベクがいる事務所へやって来ます。

チャッキの変化
その勝率の高さと仕事への完璧な態度からか、女王のように振る舞っていたチャッキさん。
しかし国選弁護人となったチャッキは、全ての事柄を自分で行わなければなりません。彼女を頼る人々は、今までの張山のクライアントとはまるで正反対。
当初は張山のチャッキとして”クライアント”に接していた彼女でしたが、次第に態度に変化がみられるようになります。
そもそも張山で魔王として名を馳せていたチャッキも、高そうなマンションの部屋にはショッピングの袋が散乱し(買い物依存?)、何かしら満たされていないチャッキの一面が映し出されていました。
チョンハ市に引っ越し、仮面を脱いだ本来のチャッキに戻りつつあったのかもしれません。

ディスニープラス 弁論を始めます ドラマ感想批評

連続殺人事件
チャッキがチョンハ市に移りシベクと共に働き始めた頃から、連続殺人事件が世間で騒がれはじめます。全員が特徴的な方法で殺されているのでした。
実はこの殺された者たちにはチャッキとも遠からず繋がりがあった人達です。加えて事件を調べている警察から、シベクのアリバイを聞かれたチャッキ。
殺された者たちとシベクの線を知らされ、チャッキと被害者の線はシベクが橋渡しになっていることにも気付きます。
シベクと一緒に働くうちに、彼の優しさや頼もしさに何度もふれたチャッキは、疑念を振り払おうとします。まさかシベクが犯人なワケがない…。
信じたい気持ちと疑惑が交錯するチャッキ。そんな時、第4の事件が発生。そう、会長の死です。
チャッキを大切にしてくれた、彼女の唯一の後ろ盾でもある人物。彼女にとっては父のような存在の会長を殺され、チャッキは失望と怒りを抱えることに。
しかし更に衝撃の事実が…。
シベクの自首でした。シベクは全ての殺人の自白をしたのです。そしてシベクが指名した弁護士こそチャッキだったのでした。

まとめ方のうまさ
シベクの家族がボロボロにされ、30年間抱えてきた苦しみ。狂わされた人生。
法の下でビョンチョンやギドを裁こうとしていた者、また異なった方法を願った者。それぞれが交差して起こった事件。
特にラスト2話はゆっくりと物語の締めくくりとして背景が語られる時間をしっかり取ってあり、素晴らしい構成だったと思います。
一方そのふてぶてしさで最後まで残ったギドがどんどん落ち着きを失くし、焦りを露わにしている落差も良かった。
このドラマでは事件を追う軸と、チャッキの自身変化の軸がありました。
彼女が”忠犬”として慕っていた人々がずっと自分を裏切っていたこと知ります。彼女自身が過去との決別のような成長も描かれしっかり回収しているなと印象に残りました。(だからこその、ラストシーンの笑顔が効いていると思います)
シベクとチャッキの関係性ですが、ロマンスは殆ど描かれませんでした。しかし、”結婚”というジョークをセリフに入れる事で、2人の関係性のポジティブな未来も想像させられました。
2人のお互いが自分のスタイルを崩さずとも、強い信頼関係を重ねていると感じさせるさりげない演出はとても良いなと思いました。

ということで、出演されている俳優陣含め硬派で、しっかりしたドラマだったなあと思いました。大きなヒネリなどはありませんでしたが、手堅い作品。
もう少し知りたいと思うようなキャラやエピソードも存在しましたが、ちょうど良い形でまとまっていて好印象でした。
全12話というサイズも非常に無駄がなく、作風に合致していたと思います。当初の印象よりずっと面白かったです。

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