ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ ヒーローではないけれど (感想)

おすすめ度:78%
過去と未来度:100%
サウナ度:100%
原題:히어로는 아닙니다만 / The Atypical Family (全12話)

ヒーローではないけれどレビュー考察感想ネタバレ

詐欺師が目をつけた一家、しかし彼らには超能力があったハズだった…?2024年のファンタジー・ヒューマンロマンスドラマ

あらすじ・キャスト

ポク・ギジュ(チャン・ギヨンさん)を偶然救ったダヘ(チョン・ウヒさん)は、ギジュの母からそれ以降、特別な信頼を寄せられるのでした。
ダヘこそが、特殊な能力を持つ一家にとって重要な人物だと確信されます。
しかし、そんなダヘらは、別の計画を内密に立てていて…。

感想

かなりのスロースターターのドラマでしたが、最後まで観ると良かったです。
圧倒的な長所は、とにかく主演2人以外の各キャラにもしっかりと役割が与えられていて、キャラ描写がしっかりしていた点!
個人的に素晴らしかったと思いました。
タイトルこそまさにネタバレというか、ドラマの言わんとしていることそのものです。
完璧なヒーローではない「だけど」と、超能力という特別な力があったとしても、そして、なかったとしても…と、お話が上手く軸になっていると思いました。

ただ正直なところ、私は3話ぐらいまで観て興味が全く持てずしばらく放置していたのですが、じりじりと視聴を進めると6話ぐらいからやっと話の筋…というか、話の中での光が見えてくる感じの展開になったと感じました。
その6話までが異様に長く感じ、申し訳ないですが最初はつまらないなあ…と思いもしました。ですが以降はスルスルと視聴できます。
もし序盤の”のらりくらり”とした、勿体ぶったストーリーで視聴を中断した方は、あと少しだけ頑張って(?)乗り越えて頂ければと思います。
全12話と通常より短い構成なものの、それでも特に序盤のテンポと流れは本当に良くないと素人ながらに思いました。
ちなみに今作もドラマあるあるの宿命のように最終回のみやたら大急ぎでまとめてあり、個人的に「うーん」と思いはしましたが…。
まあでも個人的に考察したら、一応エンディングの理屈は繋がっていたので、なるほどとは思いました。(考察は後述します)

絶不調の超能力一家とそれを狙う詐欺師一家の”繋がり”がテーマとなっています。
超能力…ですので、それなりにファンタジーがありはします。
特に主役のチャン・ギヨンさん演じるギジュの能力が「過去に戻れる」ものとなりますので、いわゆるタイムスリップのようなシーンが連発されます。
ですが、タイムラインを考えるような複雑なものではありませんので、あまりそこで拒否感を抱かないで観て頂ければと思います。

ゆるいネタバレありの感想

JTBC Drama インスタグラムより

ポク一家…裕福そうに見え、何の問題もなさそうですが、彼らはどこか鬱々としていました。
実はポク家は、父を除いて超能力を受け継ぐ者たち。特殊な一家。
それぞれ持っている能力は異なりますが、この財力もどうやらその能力を活かして手に入れたものの様子。
しかし現在、彼らは不眠や鬱、肥満などによってその能力を十分に発揮できてないようです。絶不調。先日も酒浸りの日々を送るギジュが海で溺れたばかり。
未来の一部を夢で見ることができる母(コ・ドゥシムさん)は不眠症のため、マッサージセラピーに通うのですが、そこで担当してくれたダヘに何か運命を感じたよう。
彼女こそ、この停滞したポク家にとって鍵となる人物ではないかと考えるのでした。

ダヘの狙い
息子を海から救ったダヘ、不眠症だったのに久しぶりに眠らせてくれたダヘ。
すっかりポク家母の信頼を勝ち取ったダヘは、ポク家に出入りが許されることに。
ダヘは物事がトントン拍子に進むことに満足そう。なぜなら、彼女がこの家に”入った”のは決して偶然ではありません。
そう、ダヘは詐欺師集団の一味。サウナをアジトにダヘの”母”の計画で、ポク家の財産を狙っていたのでした。
ギジュと結婚するのが目的、彼女の過去の2度の結婚のように…。

一家の悩み
超能力一家だ…ギジュの娘イナに忠告を受けたダヘでしたが、そんなこと信じられる訳はありません。
しかし”過去の幸せな時間に戻ることができる”ギジュが、ダヘを助けたのではないかという疑惑や、ポク家母の謎の予知夢で不気味に感じられる日々。
一方のギジュも能力が復活し過去のダヘには直接触れられるという、今まで起こりえなかったことを実感し、不思議な気持ちになるのでした。
2人の距離が近づきつつあったものの、ダヘにはこの詐欺計画のためポク一家に罪悪感を覚え始めるのでした。

気になった点と考察

ヒーローではないけれど 感想考察ネタバレ ネットフリックス
ヒーローではないけれど 考察 感想 あらすじ 韓ドラ

 

エンディングのギジュの考察
イナとダヘを助けて行方不明になったギジュ。
彼がイナの学校の火事から5年後に、ギジュとダヘの子ヌリによって現在に「復活」していました。
ロジックですが、
0)ギジュが消えて5年、子ヌリ能力覚醒
1)ギジュがイナとダヘを火災から救う(今から5年前)
2)5年前の地点からすぐに13年前に戻って火災からダヘを救う(今から18年前)
3)1の5年前の時点のギジュをヌリが今に”戻す”
となると思います。
ギジュは過去にワープした地点(場所)に必ず戻って来るルールがありますので、イナの学校からダヘを救うべく過去に帰りダヘを窓から逃がします。
その後、イナの火災現場の学校にギジュの体は戻っているはずです。
18年前はワープしてダヘを救ったのでギジュは亡くなっていませんし、イナとダヘを救ったギジュの遺体が5年前も発見されなかったのは、現在のヌリによって直接”今”に戻されたからだと思います。
ヌリによって連れて来られたギジュは5年前の彼でしょう。

子ヌリの能力
彼は過去から何かを持って来れる能力があるようです。
短いながらもシーンを見る限り、父ギジュのように「過去に戻って」「取ってくる」わけではないと思います。
彼がじっとギジュの写真を見つめていたところから、イメージとしては恐らく過去からモノを短時間でその場に召喚(?)できるような感じなのでしょう。
火災現場で死にそうになっていたギジュを、非力な子供のヌリが一瞬で戻したのもそのせいだと思います。
ヌリが”昨日”無くしたボールをダヘがいくら探しても見つからなかった、のはヌリが”今”もう持って来ているからです。
最終回のドンヒとグレースの会話でヌリの能力について冗談を言うシーンがありましたが、ヌリの能力も”金の卵”なのは間違いないはず。

ヒーローではないけれどレビュー考察感想ネタバレ

イナが映らなかったのは何故か
かなり個人的に残念に思えました。
イナは父が行方不明になった5年の間で、寄宿舎のある高校に入学したようです。
正直、彼女が父ギジュに長い間(ある意味)ネグレクトのような感じで育てられていたので、私は勝手なギジュがあまり好きになれない時も多かったです。
なので、この火災の件でイナが心を痛めていなければ良いなと願うばかりでした。
イナがエンディングで姿だけで顔を出さなかったのは、下記2パターン考えられると思います。
1)成長したイナが今後シーズン2の続編として新たな主人公になる可能性
2)イナ役のパク・ソイさん以外を使いたくなかった
個人的には恐らく単に成長した子役を使いたくなかっただけかと思います。
イナ役を演じられていたパク・ソイさんは今作で非常に光った演技をされていましたので、ここで彼女に変わる誰かを起用せず、ミステリアスなままの成長したイナの姿を表現したかったのかなあと推測します。
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ということで、キャラ設定が特に良く、伏線も上手く回収していましたし、メッセージ性も良かった。
中盤からは繊細さもあって、良くできているなと思わせられるドラマでした。
ただやっぱり個人的には序盤のもっさりしたチラ見せのようなダルい展開、最終回の早すぎる描写が個人的に割と萎えさせられた部分が多かったです。
お話の描き方は良い帰結になっていたので、その点がかなり勿体無いなと思った次第です。
良いドラマであるのは間違いありませんので、気になる方は是非チェックして頂ければと思います。

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