ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国映画 神と共に 第二章: 因と縁 (感想)

おすすめ度:75%
それぞれの罪度:100%
謝罪度:100%
原題:신과함께-인과 연 141分

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過去の記憶を取り戻す使者たちだったが…2018年公開のファンタジーアクション作品。

あらすじ・キャスト

スホン(キム・ドンウクさん)は兵役中に同僚の銃の誤発射により亡くなってしまう。そんな彼の冥界での裁判にカンニム(ハ・ジョンウさん)、ヘウォンメク(チュ・ジフンさん)そしてドクチュン(キム・ヒャンギさん)が付き添うことになる。
しかし閻魔(イ・ジョンジェさん)からは、人間界でソンジュ(マ・ドンソクさん)が守っている老人を連れてくるよう命じられるが…。

感想

第1章のテンポやある種の楽しさ的な部分と大きく異なり、キャラを掘り下げてよりシリアスに描かれた第2章。
1章でもカンニムの過去と思われるシーンが何度かフラッシュバックで描かれていたので予想ができましたが、今作では冥界の使者3名の過去にドラマチックに焦点を当てて描かれるストーリーになっています。
また1章で残っていた伏線も回収されていて、1、2章という構成が美しく成立しているなと思わせられました。もしまだ視聴されていないのであれば、1章の後にあまり間を開けずに続けて視聴するのがおすすめの映画です。

因と縁という2章のサブタイトルが非常に効いている訳ですが、なんとなく冥界の使者3人の関係性が半ばで読める部分もあり、加えてお約束的ないつもの情に訴える湿っぽいシーンが多く中盤は正直ちょっと中だるみを感じる時がありました。ただ終盤からまたグッと盛り返してくるのはさすがだなと思いました。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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チュ・ジフンさんインスタグラムより

第1章で数々の裁判に勝ち、無事転生を果たした消防士だったジャホン。その弟であるスホンが2章では兄と同様に”貴人”として冥界へ。とりあえずすごい兄弟です。
と言っても、スホンは元怨霊。1章では冥界に多大な迷惑をかけた人物。
閻魔大王は、人間界で本来は冥界にとっくに来るべきのある老人を連れて来ればスホンの裁判と認めるとカンニムらに告げます。簡単そうでしたが、問題はその老人がソンジュ神という神に手厚く守られているという点。ソンジュ神は住み込みで老人とその孫を体を張って全ての面でサポートしているようです。

既に冥界に来ているスホンを放置するわけにも行かないのか、カンニム&スホンは冥界に残り、ヘウォンメクとドクチュンは人間界に行くことに。ヘウォンメクらはあの問題のソンジュ神と対峙することになります。
ここで1章で語られたヘウォンメクとドクチュンの2人は過去の記憶を無くしている、という設定が肝となってきます。
彼ら2人を見てなぜか感慨深そうなソンジュ。なんと彼らを知っている様子。それもそのはず、ヘウォンメクとドクチュンを冥界に連れて行った使者だったのがこのソンジュだったのでした。
と、ここから1000年前に時代が移り、彼らの過去が紐解かれていきます。

面白いのが、問題のスホンとカンニムの2人です。
スホンは怨霊になっていた割には飄々とした性格のようで冥界裁判でも動じることがあまりないタイプ。そんな彼とは全く似つかないようなカンニムでしたが、実はスホンの”裁判”を通じて、自分を重ね合わせ自身を裁いているような構成に物語がなっているところです。だからこそスホンのキャラ設定がこのように(ある意味ネタのように)なっているんだろうな、上手いなと感じます。
1章が新規で冥界に来た死者の過去(人生)を明かすストーリーに対して、2章は死者を裁きながら同時に使者の過去を明らかにして使者自身の犯した罪を振り返るのは、大変ドラマチックだなと思いました。

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2人に加えてカンニムもこの1000年前の時代に高貴な立場の武将として生きていたことが明らかにされていきます。
つまり、使者3名は過去に同じ時期の同じ場所に存在していたようです。それどころか悲劇の関係の3人だったのでした。
ソンジュ神から告げられたこの3人の関係性ですが非常に悲しいものです。雑にまとめますと、
(カンニムの罪)
1000年前のカンニムには血の繋がらない弟(ヘウォンメク)がいた。弟とは性格が真逆の兄カンニムは、父がヘウォンメクの方を武将として自分より上だと評価しているのではと常に劣等感にも危機感にも近い複雑な気持ちを感じていた。
そんなある日じぶんは参加を外された戦で、父は瀕死に。カンニムは父がまだ生きているのを知っていながら見捨て、自分の立場を強固にすべく弟を除外するため父の死の責任を取らせ領土の北へ半ば追放する。
その後、追放した弟ヘウォンメクを敵を助けた裏切り者として斬りつける、その際襲ってきたドクチュンも同様に斬る。
(ヘウォンメクの罪)
北に追放されたヘウォンメクは対立する女真族から、最も恐れられる存在になっていた。そんなヘウォンメクの容赦ない戦の犠牲者はドクチュンの両親だった。
ドクチュンのように親を失った子供の面倒を見ていた彼女を知り、また彼女の親を自分が殺してしまったことに気づいたヘウォンメクは罪悪感もあり、敵という存在でもありながらドクチュンや子供たちの援助を密かにする。
しかしカンニムにばれてしまい、罪に問われ命を奪われる。
(ドクチュンの罪)
女真族の生き残り。両親をヘウォンメクに殺されてしまう。
自分と同様に親を失った子を集め密かに暮らしていたが、ヘウォンメクが親の仇だとは知らずに助けられ知り合う。
ヘウォンメクが仇だと知ったものの、彼がカンニムに罪を問われ命を奪われそうになった時ヘウォンメクを助けようとカンニムを襲う。

と、このように3人は過去強い因縁で結ばれていることが判明します。
スホンの事件と類似点があるように、もはやスホンの裁判はカンニムの代理裁判状態に。
カンニムはこの1000年もの間ずっとこの記憶を保ったまま、ヘウォンメクとドクチュンそして父に許しを乞う場は既になく、罪悪感を残しながら過ごしていました。
最後の最後の大きなネタバレ部分ですが、あの閻魔大王。彼がなんとカンニムの父だったということが明らかに。ここは本当に良かったです。
つまりカンニムが記憶を無くしたヘウォンメクとドクチュンと共に働くことこそが、彼にとっての最大の罰であり地獄。そしてその場を与えたのが父だったということです。

2章で最も印象に残ったキャラの掘り下げとしては、ヘウォンメクです。個人的に1章の感想でも少し書いたのですがヘウォンメクに感じたキャラの薄さを十分すぎる程補う設定になっていて感動しました。
あの1章の彼の軽さ、印象の薄さがこの2章に来て非常に効いており、あれは完全に意図したものだったんだと気づきしびれた次第です。こういう点も細かくて上手いなあと感服しました。

ということで、1章と2章のバランスが素晴らしいなと思った作品です。
上述したように私は中盤に集中力を失いましたが、終盤からのドラマチックさにとても惹きつけられました。冥界の使者含め、どんな者にも罪があり、またそれを認め謝罪すること、その謝罪するチャンスがあることが如何にありがたいことなのかなど、考えさせられました。
3章があるのかは不明ですが、個人的には2章として完璧に仕上がっていると思います。1章と2章が完全にパズルのピースのようにピッタリとハマっており、非常にスッキリした気分で視聴を終えました。3章へ続く可能性もありはしますが、個人的はこの2章で完結する方が良いかなと思えます。2部作としてよく練られた作品だと感じ面白かったです。

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