ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 刑事ロク 最後の心理戦 (感想)

おすすめ度:95%
黒画面度:100%
友度:100%
原題:형사록 / Shadow Detective (全8話)

刑事ロク最後の心理戦 韓国ドラマ感想考察レビュー

引退も近いベテラン刑事がイタズラ電話の警告通り容疑者になってしまい…。2022年のサスペンスドラマ。

あらすじ・キャスト

定年退職間近のベテラン刑事キム・テクロク(イ・ソンミンさん)は、署内で一匹オオカミのような存在。
新しく課長として赴任してきたクク・ジンハン(チン・グさん)、そして部下についたソン・ギョンチャン(イ・ハクジュさん)と、変わり映えしなかった署内にも少し違った変化が見られていた。
しかしそんな時、事件が起こりテクロクが容疑者とされてしまうが…。

感想

シーズン2感想はこちら:

 

(以下シーズン1の感想)

引き付けられ面白かったです!!
ただ内容とは別に特大に気になった点として・・・
画面の暗さがハンパない
この1点だけが視聴の上で僅かに(?)マイナスになったぐらいでしょうか。
感想の本筋に入る前に愚痴のようで申し訳ないですが、とにかく画面が”漆黒”。
サスペンスとして緊張感漂うシーンは夜や暗い場所の場面が多いのですが、この作品の場合、暗いというか”闇”なんですよね。
視聴していて、緊張感漂うシーン→画面に自分の顔が映る→「・・・。」状態が頻発。これが唯一このドラマの問題点でした。

ドラマの感想としては、素晴らしかったです!
全8話のドラマですが、無駄の無い構成とカメラワーク。テンポも映画のような作品でした。というか、映画をかなり意識していたかもしれません。だからあの画面の暗さのような気がします…。
定年間際の組織から少しはみ出したベテラン刑事。彼が不可解な事件に巻き込まれて犯人とされてしまうのですが、真犯人を追うことは、やがて自分の刑事人生を追うことにも繋がっていきます。
このあたりのエピソードの絡ませ方、テクロク本人にも漂う不穏な影、犯人の謎の描写がとても上手くて、かなり惹きつけられるドラマでした。
個人的に主人公テクロクを演じるイ・ソンミンさんの演技が大好きなのもありますし、
その他の俳優さんも漏れなく最高オールスターズ状態でしたのでその部分だけでも大変見応えがありました。
ちなみにソンミンさんは1968年生まれとのことなので、キャラとして歳上を演じられていることもあってか、座る姿勢なんかも変化が加えてあり観ていて興味深かったです。

派手さはない作品かもしれませんが、緻密でしたし緊張感と猜疑心を常に与えられながら上手く展開されていて、とても素晴らしかったです!
少しでも興味があれば、是非視聴して頂きたいなと思います。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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チン・グさんインスタグラムより

定年退職というゴールが見えてきた、刑事キム・テクロク。
彼は簡易宿泊所の一種の考試院Wikipediaリンクに暮らし、夜寝る前に認知症予防のため日記を書く静かで孤独な日々。
そんな彼のあまり変わり映えしない生活にも、徐々に影が差し始めます。
まずは職場の変化。2人の新しい顔がテクロクが所属するクモ市の署へ配属されます。
1人は課長のクク・ジンハン。本庁から”左遷”された、どこか他人を寄せ付けないような人物。そしてテクロクがソウルに派遣された時にアシスタントをしてから”慕って”いるという、部下となるソン・ギョンチャン。
それぞれが様々な事件を担当する刑事たちですが、テクロクは密かに1つの”問題”を追っていました。それは警察署長が関係する「問題」です。
もちろん表沙汰にはできませんし、特に大きな進展はありません。
彼は署長と密接な関係があり、この問題にも少なからず関係していると考えられるテクロクと仲が良かったウ課長に話を聞こうと考えます。
久しぶりに向かい合ったテクロクとウ課長。仲が良かった2人でしたが、現在は同じ刑事という仕事をしていても全く違う道を歩んでいます。
食事を馴染みの店で取った少しの間、2人の関係の時計が巻き戻ったようでした。しかしこの時間も悪夢に変わります。
この後、ウ課長は亡くなってしまうのでした。
翌朝テクロクはウ課長を殺した容疑者になるのです。

「友」からの電話
ウ課長の死と自らが容疑者になる前、テクロクは既に不可解なイタズラ電話を受けていました。
友と名乗る電話相手。なぜかテクロクのことを「よく知っている」ようです。
当初は相手にしていなかったものの、この”事件”そのものがこの電話の相手の計画だったと気づくのにそう時間はかかりませんでした。
テクロクは”友”から指令を受け、訳がわからないまま、しかし命令を聞かざるを得ない状況で過去の「解決した」事件を掘り起こします。

刑事ロク最後の心理戦 考察感想

テクロクという人間
”友”から指示された過去の事件ファイルを開く時、それはテクロクの30年の刑事人生に向き合うことになる訳です。
彼はそして”彼も”、決して胸を張って偽りのない刑事だったと言えるものではなかったということが明かされます。
テクロクはこの真犯人の”友”によって、強制的に己の半生を省みることに。
ここがとてもこのドラマを面白くしているところで、自分が容疑者になって再び過去の容疑者たちに向き合うこと。そして蓋をしていた「しょうがなかった」事柄に、再度向き合うことになります。
テクロクを組織に属さない一匹狼で変わり者のような人間という印象を与えてきたかと思いきや、彼も何らかの形で組織に加担していたり、それなりに長い物には巻かれた過去が垣間見れます。
「あの時〜すれば」テクロクは自分の選択を振り返り、後悔とも反省ともつかない気持ちを自問自答し始めます。

犯人との対峙
興味深かったのと切なかったのが、一匹狼テクロクの周囲には彼を慕う人や「友」がいたことです。
友という存在が非常にこのドラマで鍵になっていて、そこが犯人とテクロクとの大きな違いだった点でしょうか。
友だったからこそ、道を外れてしまった署長やウ課長であっても、どこか染まり切らない良心が残っていた描写は良かったです。
テクロクと似ており彼にある意味背中を押されてこの道を続けた犯人でしたが、良心をしっかり縛り付けてくれるような、深いところで信用がおける存在は家族以外にいなかったのは不運に思えました。
どこかでいつも彼はテクロクを”友として扱って欲しかった”のかと思うと、なかなか切ない気持ちになりました。
犯人が判明して視聴しながら、なぜ彼はこの遠回りなゲームをわざわざ始めたのかと気になっていました。恐らくチャン会長(アン・ネサンさん)は、ただ淡々と処理すれば良いと指示していたはずです。
しかし凝った手法を使った犯人でもある彼は、きっとテクロクと一緒に純粋にチームとして普通の刑事のように事件を追いたかった、楽しみたかったのだろうと思います。
例えば6話でのチョン社長を救ったテクロクの行動を知らされていなかったことに「チームじゃないのか」と問うシーンなどは、内情を探る犯人というより、疎外感ある拗ねたような態度のような表情も見られ(後から観ると、ですが…)彼の本心であろうと何となく推測できるセリフから考察できます。
自分と似た真犯人とテクロク。しかし彼には一生得ることができなかった友情。
あの最終回の雨のシーンでテクロクはそれを痛感したのだと思います。
テクロクは再び”友”のために、最後まで戦うことを決意したのでしょう…。
(シーズン2に続く…?)

ということで、序盤の彼の日記のくだりや服薬のシーンのため思いっきりミスリードされながら「もしやテクロク記憶違いルート?!」と途中まで不穏に考えていたのですが、そうではなく良かったです。
真犯人が判明されてからも、細かいヒネリを入れつつ緊張感を保って印象的なラストシーンに着地させていて素晴らしいなと思いました。
シーズン2があるなら楽しみだなと思いますが、画面の暗さの改善はお願いしたいなと思った次第です。
本当に毎週待ちきれないぐらい面白くて、俳優陣の演技も良くとても見応えがありました。満足度が高かったです。

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