ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国映画 ジョゼと虎と魚たち (感想)

おすすめ度:68%
食事度:100%
ストリートビュー度:100%
原題:조제 / Josée (117分)

ジョゼと虎と魚たち 韓国映画 感想レビュー

偶然知り合った女性ジョゼの不思議な雰囲気にヨンソクは惹かれるが…。2020年公開のラブストーリー。

あらすじ・キャスト

道路で倒れていた車椅子を使っているジョゼ(ハン・ジミンさん)を助けたヨンソク(ナム・ジュヒョクさん)。彼はそのお礼にジョゼの家で食事を取る。
老女と住むジョゼの家は古くて暗く、彼女はいつもひっそりと本を読んだりして過ごしていた。
その後も彼女の事が気になり、何度かジョゼの家に立ち寄るヨンソクだったが…。

感想

原作は田辺聖子さんの短編小説です。その後日本で映画化されています。
私は田辺聖子さんの小説を読んだことはありますが、日本版の映画は未視聴です。
映像が美しくポエティックな感じだなというのが、まず第一印象でした。特に冬という季節での2人の間の温度感が視聴していても伝わりました。
ただ小説を読んだ時に受けた印象より、遥かにロマンティックに演出されているといいますか、どちらかというと「純愛」として物語を捉えた作品だなとは思いました。
特にメインの男性(今作ではヨンソク)については、彼自身が持つ本質的というか、彼が持っていたかと思われる(悪い意味だけでない)軽薄さが絶対的に足りない気がしましたが、これは原作との違いかもしれません。
ヨンソク役をナム・ジュヒョクさんが演じられているので、よりピュア度数が高くなっていましたので、実際今作の意図はまさにその”純愛”だったのかなとは思います。
(念のためですがジュヒョクさんは個人的に大好きな俳優さんですし、演技は申し分なかったです。)

ジョゼと虎と魚たち 韓国映画 感想評価

彼らを取り巻く(といっても主にジョゼですが)様々な「問題点」ではなく、2人の関係性だけに注視している作品である、きちんと完結して美しくまとまった作品だったと思います。
小説では一応オープンエンドになってはいますが、今作ではそれに結論を加えていて、そのあたりの描写も良かったです。
ただもしかすると、小説が描きたかったかもしれない(説明し難いですが)ある種の”残酷さ”のような汚い部分が、この韓国映画版では意図的に無視されていたかもしれません。
より彼らのたどたどしい愛にフォーカスするため、だったようにも思えました。
そのためか、良くも悪くもこじんまりした詩的な恋愛作品に落ち着いているとも思えます。
鋭さはありませんでしたが、個人的には嫌いではなかったですし、映画作品として楽しんで視聴しました。

ゆるいネタバレありの感想

ハン・ジミンさんインスタグラムより

大学生のヨンソクはある日、道で転倒している女性を見つけます。彼女の側には車椅子が。見かねたヨンソクは彼女の家まで送るのでした。
女性はジョゼと名乗り、老女と2人で廃品に囲まれた古い家で世間から隠れたように、ひっそりと暮らしていました。
助けてくれたお礼にと、ぶっきらぼうに食事を勧めるジョゼ。ヨンソクは家の雰囲気を見回して、料理に手をつけるか態度を決めかねている様子…。恐る恐る出されたご飯を口に運ぶのでした。
この関係だけで終わりそうな2人でしたが、ヨンソクはきっかけもあって再びジョゼの家を訪れることになります。
2人の関係はこうして始まるのでした。

ヨンソクという男性について
あまり描写は露骨ではありませんが、ヨンソクは女性と”それなりに”適当に関係を結んでいることがわかります。
ただこれはヨンソクという人間を考える上で割と重要な彼の面かなと思いますので、個人的にはもう少しつっこんで彼のズルさを描いても良かった気もしました。
ヨンソクはジョゼの家に通ううち、彼女に女性として興味を持ちます。
シーンとして彼のピュアな恋愛の側面をヨンソクに強めに感じたのですが、そうなると他の女性との関係性と矛盾してしまうので、そのあたりのヨンソクと女性との関係について落としどころが若干しっくりこない気もしました。
(ただ純愛軸で捉えた場合は、これぐらいがギリギリだったのかなとも思います…。)
ジョゼは他の女性とはかなり違う独特の雰囲気を持つ人間であり、彼が惹かれたのも理解できます。
個人的にはジョゼそのものよりも、ヨンソクの方が作品としては肝になってくるキャラクターのように思えるので…。
とはいえ、全く描かれていない訳ではありません。妊娠検査薬や教授との関係、そしてラストシーンの彼女との会話含め、彼のそのような面は何となく垣間見れるようにはなっています。

「あなたがいなくても、側にいると思って生きる」と告げたジョゼ。
彼女の方がヨンソクに”すがって”いたシーンを考えると、彼女は最初からこの出会いの結末を十分刹那的な関係だと理解していたのかと思います。
2人の静かな会話、共にいながら伝わる寂しさ…情景から伝わる穏やかで静かで、悲しいような作品だったと思います。
少々美しくまとめ過ぎたかなとは思いましたが、素敵な作品だったなと思いました。
ラストシーン近くの車の一連のシーンは、まさにナム・ジュヒョクさん節炸裂という表情での演技でしたので、ぜひチェックして頂けばと思います。個人的にはその場面ではかなりの満足度を得ました、良かったです。
総合的には、何となく毒っ気と憂鬱さが足りず、ロマンチックに美しくまとめ過ぎてあったような気もしましたが、現代に合ったアレンジにされていて素敵な作品だったなと思いました。

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