おすすめ度:98% ♡ キム・ドンヒさん主演男優賞度:100% ♡ もはや映画度:100%
ドラマ、1話約56分、全10話
平凡な男子高校生の裏のビジネスとは。風刺の効いた2020年放送のスリル感あるヒューマンドラマ。
あらすじ・キャスト
真面目でクラスでも目立たないな男子高校生ジス(キム・ドンヒさん)、彼の願いはただ一つ。みんなと同じように塾に行き、受験し、普通の大学生になることー。
そんな平凡な夢を叶えるため、お金が必要だったジスはある危険なビジネスを始める。
スマホ1つで上手く行っていたように思えたが、クラスメイトのギュリ(パク・ジュヒョンさん)と”出会って”から、彼の生活は一変することに……。
感想
とにかく、まさに2020年の今風の韓国ドラマだという印象でした。10話という韓国ドラマでは比較的短いシリーズですが、これむしろ映画でも良かったのでは?というぐらいまとまっていました。
現代の問題である貧富の差問題の扱い方、話のスピード感とエッジの利いた「えげつなさ」、高校生ができる「犯罪」の説得力、光使い方のクールさ、BGMの使い方と、俳優キャスティングと演技力、総合して本当にめちゃくちゃ面白かったです!!
(ただ、話そのものは結構つらい気分になる地獄みたいなドラマでしたが……。でも面白い)
まず主演のキム・ドンヒさん。『梨泰院クラス』で出演されていた時は他の出演者のキャラが強かったのもあるせいかあまり目立たず、個人的に強い印象になかったのですが、今作は主演。
鼻水も垂れまくって熱演されていましたが、とにかく演技が上手くて、こんな俳優さんいたんだ!と本当にビックリしました。(私が知らないだけでしょうが……すみません)
”平凡で真面目”な高校生役でしたが、常に自信がなさそうな目つきや表情など、追いつめられる様子、本当にどのシーンでもバッチリ役にハマってピッタリでした。
今後もっともっと人気になりそうです(なって欲しい)。人をとても惹きつける演技をされる方だと思いました。
問題のクラスメイト役のパク・ジュヒョンさん。
役柄が非常にクセが強いので、視聴者のヘイトを集めやすくて演じるには大変だったと思いますが、彼女も本当に合ってました。
何を考えているのかわからない、気が強くてとにかく「ふてぶてしい」表情(本当に!!!)とか、観ていて本当に彼女にはイライラさせられました。
中盤にあまりに彼女が勝手でふてぶてしくて嫌になってしまい、一旦観るのを休憩したぐらいでした。それぐらい役柄とジュヒョンさんの表情や雰囲気がピッタリでした。すごい!
ゆるいネタバレありの感想
キム・ドンヒさんインスタグラムアカウントより
ジス(キム・ドンヒさん)は常にこのエスコート業を大して悪いことだと思っていないという主張を終始しているのですが、この部分は確かに説得力があるなと感じました。
彼らはずっとスマホを使って人と会わずに”仕事”をしているので、現実感覚が最後までまるでなく、本当に彼らは「わからないのではないか」と思わせました。(もちろん彼らは高校生で人生経験がないというのも大きいですが)
一方で実際に人と会って仕事をしている者たちである、イ室長(チェ・ミンスさん)や少しズレた”本物”業務の方、働いている女子たちのシビアな現実感覚とコミュニケーション力、したたかさを目の前にすると、怖気づいてパニックとなり何もできなくなってしまう、そんなネット上との人格の落差部分も風刺や対比として面白かったです。
また悲しいかな、結局は現実能力で敗北してしまう、そんな風にも取れました。
出演者(役柄)は、一様に「善」と「愛」の部分があるのが、このドラマが「えげつない」だけの絶望的なストーリーにならない肝だと思います。根底は暗くて思い救いようがない話ですが、その部分があるので適度に軽さが入っています。みんな結局、生きるのに精一杯で真面目なんですよね。
しかしだからこそ、その軽い歯車がバラバラに砕けてしまうと決して元には戻れない……(絶望)みたいな感じですが…。
ジスも酷い仕事をしましたが、ただただ普通になりたいだけ。ギュリが事の発端ですがやっぱり彼は強く突き放せない、なぜならギュリを好きだから……。ギュリもギュリで家族と上手くいかず孤独で満たされない生活。
担任の先生だって、警察官だって、イ室長だって……。
みんなそれぞれ与えられた状況で一生懸命もがいている感じでした。常にもどかしさと悲哀があるのもそのせいかもしれません。
毎回最後に「助けが必要な時は周囲に相談しよう」的な注意が画面に出るのですが、その文言、このドラマの出演者(役柄)全員に言ってやってよ!!!とツッコミましたが……。(皮肉?!)
しかし視聴者もこの作品を見ると、ジスたちのように転がり落ちる前に何度も立ち止まるチャンスはあったと気づくはずなので、反面教師的になっているとは思います。ジスたちも周囲にもう少し早く相談していれば、こうはなっていなかったのかもしれない訳で……。
また、最後ですが後半部分からスマホだけで集約してきた問題が現実問題となり、画面でやり取りしてきた「外の」人々が一気に出現し始めます。
そのあたりからストーリーが更に加速しますが、大きく外に膨らんでしまいジス達だけでは手が付けられなくなった問題ですが、最終的に結局始まりと同じようにクラスメイトとのゴタゴタに終結させるあたりが、とっても上手い終わり方だなあと脱帽しました。
個人的に最後の終わりのシーンは本当にこの作品らしくて、大変良かったと思います。はっきりと結末を描いて欲しいという気持ちも、もちろんありますが、この作品の場合は本当にこれがベストだったと絶対に思います。
とにかくただ良かったし、カッコよかった。
最後の非常階段のシーンですが、キム・ドンヒさんの目元の演技と画面編集で、観ていてまさにゾクッとしました!
とういことで、非常に面白く観れたドラマでした!!
内容は際どいネタを扱っていますが、エッジを効かせて上手く練られていて、スピード感ある展開でとても現代的なドラマだなあと思った作品です。
出演した俳優さんたち、特に主役のキム・ドンヒさんは大変良かったです。普段あまり韓国ドラマに興味のない方にもおすすめの作品です。