ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ ソンジェ背負って走れ (感想)

おすすめ度:100兆%
傘度:100%
時計度:100%
原題:선재 업고 튀어 / Lovely Runner (全16話)

ソンジェ背負って走れ感想レビュー考察

自分を救ってくれた人を助けるためタイムスリップ…!?2024年のラブコメ

あらすじ・キャスト

イム・ソル(キム・ヘユンさん)は、バンドECLIPSEのソンジェ(ピョン・ウソクさん)の大ファン。
ある日、何もかもがツイていない日を送ったソルは、その帰り道に偶然大好きなソンジェに出会う。
彼の優しさに感動したソルでしたが、何とその後ソンジェは亡くなってしまう。
驚き悲しみにくれたソルは、突然過去にタイムスリップしてしまうことに。
ソルはこの機会を利用して、ソンジェを死から救おうとするのだが…。

感想

「ソンジェや〜!」
今作は、楽しさ・切なさ・LOVEが満載の期待を1ミリも裏切らない、美しく完璧なラブコメです。
今後世に出るラブコメ作品は見習って欲しいレベル。(偉そうにすみません)
ここ最近は自分の中で異常にハマったドラマが少なかったのですが、このソンジェ~については本当に1話から魅力に完全に取り憑かれてしまいました。1話から泣いてたドラマは自分の中で結構久し振りだったなと思います。
そもそもオンエア前からドラマティザーを観て、「これは『偶然見つけたハル』の再来か…(確信)」と身震いするような直感で(動物?)私は待ちにまっていました。
*ハルは私は大好きな作品ですが、ハルが好きな方もそうでない方にも今作はおすすめです。
そんな期待を大幅に上回ったこの『ソンジェ背負って走れ』…一言でまとめると、
最高!満点!パーフェクト!
ほとんどのドラマは、視聴を進めていくにつれて妙な不安が浮かび上がるものです。
不可解なペース配分、しつけえ親問題、突然のサスペンス路線変更、最終回だけ5話分詰め込み放題化現象…そんなドラマあるある不穏要素が今作は驚きのゼロ!
とにかく絶大な信頼と安心感がソル&ソンジェにはありました。さすが背負わせるだけのことはあるなという感じ。
こんなにも強い芯があるラブコメが近年ありましたでしょうか?否!!

とにかく作品自体が繰り出す圧倒的なラブコメパワーとその輝きに魅了され、気づけば私は完全に背負い依存症に陥っていました。
花粉症も連休・週明けの悲しみも、諸行無常の全てをソンジェを背負って自らを労わっていたのに、その頼みの綱の作品が終わってしまい、この先私はどうすりゃいいのさ状態。
今は背負い終わった爽快感と観れない悲しみが交互にただただ押し寄せています。端的に言って背負いロス。
ピュアなエンターテインメントとしての楽しさと、恋愛ドラマだけが持つことが許される、キラキラした美しさがこのドラマにはギッシリと詰まっていると思います。
もし未視聴でこの感想ブログを読んで下さっている方は、アレコレ悩まず(?)、とりあえず今すぐにU-Nextの契約して視聴された方が良いと思います!(U-Nextと私は一切関係ありませんが…)

ソンジェ背負って走れ 感想あらすじレビューネタバレ考察

ストーリーは複雑に見えてシンプル、単純に見えて何層にも別れている…そんな不思議な雰囲気もある作品です。
ですが、決して話は小難しいものではありません。
このドラマの大きな魅力は、”ラブコメ”のスタンスを絶対に最後まで崩してこないところ。しかもそのラブコメのクオリティが相当高いものになっています。
話が逸れますが、ラブコメジャンルはあまり”大きな”賞レースなどには絡んでこないことが多いように思えますが、今作のように細部まで丁寧に隙なく作られている良作については、評価されて欲しいなあと素人ながらに思う次第です。
やっぱり観ていて楽しい作品が1番だと思うからです。

自分が大好きな相手ソンジェの死を防ぎたい、そんな強い思いがタイムスリップを引き起こしたのか、過去に戻る主人公ソル。
彼女が戻る先々で奮闘し、そしてやっぱり彼を好きになってしまう…、運命には決してあらがえない。
愛し合う2人ならば、また惹かれあるはず…そんな原点回帰のストレートなお話の中に、死という暗い影。
自分は相手のために一体何ができるのか?そんな色々な気持ちが散りばめられています。
しかしこのドラマは”タイムスリップ”が重要な要素にはなってはきません。そこがポイントかなと思います。

主人公を演じるのがキム・ヘユンさんですが、炭酸飲料のような弾けた溌剌とした笑顔が素敵な女優さんです。
元気さとチャーミングさが自然に役柄に溢れていて、個人的に観ていて力を貰えるタイプの女優さんでで大好きな方です。
ソルもまさに彼女のような雰囲気を持つキャラで、きっとヘユンさんしか演じられないと思います。
そして、ソンジェを演じるのがピョン・ウソクさんですが、この役!!もうはちゃめちゃに役柄にハマっていました。
全世界の人がソルと同じ気持ちでソンジェを背負っていたのではないでしょうか?!
ウソクさん、この役を演じてくれてありがとうございました…、という何目線かわからない感謝を視聴後に毎週感じてしまうレベル。合掌。
ソルとソンジェはへユンさんとウソクさん、絶対にこの2人以外ありえないというキャスティング。
こう思わせる時点で既に”成功”していると言っても過言ではありません。

原作はWEB小説とそれをコミカライズしたWEBトゥーンとなります。(私はどちらも未読です)

ゆるいネタバレありの感想

tvN Dramaインスタグラムより

高校生のソルは事故に遭い、車いすの生活を今後送らなければなりません。
病室で鬱々としていた時。ラジオ番組の企画を通じて、バンドECLIPSEのソンジェからソルに突然電話が入ります。
ソルは明るいラジオパーソナリティらの声にイラつきを覚え、更に感情が乱れます。
「天気が良いせいで死にたくなる人もいる!」
そんなソルの返答にスタジオのソンジェは複雑な表情を浮かべます。
「ありがとう、生きていてくれて」
自暴自棄になっていたソルに、ラジオを通して彼は静かに語りかけたのでした。

そして月日は経過し、2022年末。
どうやらソルはあのラジオ番組のソンジェとの件があって以来、彼の大ファンになった様子。
彼のものだという「腕時計」までオークションで手に入れている始末。
そんな今日は、ソンジェ率いるあのECLIPSEのコンサートの日。
もちろんソルは会場に向かいますが、彼女にとってはどうやら今日は厄日のよう。
最悪なことにコンサートのチケットまで紛失してしまい、ソンジェの舞台は見ることは叶いません。
セットリストにはない、ソンジェが歌う「夕立」を音漏れで聴くソル。会場で聴きたかったですね。
初雪の中、帰宅のため橋を渡っていたソル。不運なことに車いすのバッテリーが切れてしまいます。
やることなすこと上手くいかない…半べそになっているその時。
車が停車し、ソンジェが近づいてくるのでした。ソルは言葉を失います、あの彼が目の前にいるのですから!
”推し”を目の前にして緊張した様子のソルに、ソンジェはどこか慈しむような表情を浮かべるのでした。

タイムスリップ
ツイていない日だったけれど、1日の終わりにあのソンジェに会えたなんて!
ソルは帰宅し1人喜びを嚙み締めます。
しかしその直後、信じられないニュースが。ソンジェが自ら命を絶ったというのです。
ソルは彼が搬送された病院に思わず向かいますが、身に着けていたソンジェの腕時計を川に落としてしまいます。
彼の時計と彼の状態が重なり、不穏な気持ちがソルを襲います。必死で時計を川の中に入って探すソル。
やっと腕時計を探し出したソルでしたが、同時にソンジェの死が報道され、ソルはパニックになり号泣します。
しかし次の瞬間、ソルは全く違う場所にいたのです。
そう、2008年…高校生に戻っていたのでした。

彼を守りたい
そういえばソンジェとソルは、すぐ目の前の高校にお互い通っていたのでした。
あんな近くにいた高校生の頃の彼…、2023年始まってすぐに亡くなってしまったソンジェ。
ソルは後悔と切なさを胸に抱いて、善は急げと彼に会うべく走ります。
ソンジェは高校生の頃は水泳選手、見つけた途端に抱き着き「1人で寂しかったでしょう」と皆の前で愛の告白をするのでした。そう、この大胆な行動…彼女は「夢」だと勘違い。
突然の出来事でしたが、なぜか赤の他人が抱き着いてきたとは思えないような表情を浮かべるソンジェ。

ソルはこのタイムスリップしたチャンスが、”ソンジェの死というバッドエンド”の未来を変えられるのではないかと考えます。
ソンジェの半生の知識は頭に叩き込んでいるオタク、ソル。
彼が芸能界入りしたきっかけや、人生のターニングポイントとなる出来事を自分が介入して未然に阻止すれば良いのです。
そして彼女自身のことも同じ…ソルが事故にあって歩けなくなったのは高校生の時です。
ソルの必死のソンジェへのつきまとい(?)が功を奏したのか、2人の距離は次第に近づくのでした。
とはいえ、そう簡単に未来は変わりません。タイムリミットもあります。
未来は変えられないかもしれない…ですが「やるしかない」ソル。
だって、ソルはソンジェのことが大好きなのですから。

良かった点と考察

韓国ドラマ ソンジェ背負って走れ感想レビュー考察
ソンジェ背負って走れ 感想 あらすじ レビュー ネタバレ考察

違う世界線
1話で橋の上で雪の中ソルがソンジェに会うシーン、この時のソンジェが何とも言えない表情をしていました。
このシーンが個人的にドラマに強く最初に惹きつけられたところです。
ファンに会った…単にそれだけでない”何か”が背後に隠れていることを予感させられます。
ドラマではタイムスリップさせる設定を利用して、苦しくも愛しくもなる世界線と現実が「そこにあった」という不思議さを、とても上手く描き出していたと思います。
掴めたはずの機会を今までたくさん見逃していた、後悔とその気づき…。
そして”運命”のようなファンタジックさが、時に人生に存在するのだと思わせてくれるような希望が今作にありました。

ソンジェもタイムトラベラーか?
当初はソルだけでなく、ソンジェもまたタイムスリップしていたに違いない(鼻息)と5話目で私は確信していましたが、違いました。
ソルが過去に戻ってソンジェを幾度も助けようとしたのと同様、ソンジェはどのタイムラインにいる時も彼の命を投げ打ってでもソルを助けようとしていました。
彼はその時々の軸で、ソルは時空の軸でお互いを助けようと必死だった…時計がメタファーのように時空を超えるアイテムになっていますが、このドラマでは結局、過去/未来、今の世界/違う時空は表裏一体で繋がっていて、どちらも「(自分の行動で)変えられることもできる」的なミラクルを描いていたと思います。
最終回に結婚式の風景を、ソルとソンジェが同時にフラッシュバックのように見たようなシーン。
あれがまさにその”不思議さ”を上手く、可愛らしく表現したものではないでしょうか。
タイムスリップの「ルール」が不明瞭ですので、それについて納得がいかない方もおられるかなと思います。
しかし今作では敢えての選択で、それが上手く人生での”不思議さ”にマッチしていたと私は思えました。

祖母と犯人の存在の考察
個人的に興味深いと感じたのが、ソルの祖母とソル&ソンジェを狙う犯人ヨンスです。
まず、ソル祖母の言動は不可思議で意味深なものが多かった。
しかし後半にかけて、強く時空との関係が象徴的になります。
ソル祖母はタイムスリップせず今を生きながらも、一体どの”時間”に彼女のマインドがあるのかわからないとも解釈できるわけです。
これはより別の世界線との距離が「そんなに違う世界」なわけではない、身近なものであることを示唆していたのではないかと私は感じました。
一方の犯人ヨンスです。
彼はもはや概念のような人生における”不運”の象徴だったと思います。
だからこそ、犯人の動機も背景もドラマ上で描く必要なかったのではないでしょうか。
避けても注意しても、どこからかやって来る「不運」。不運に見舞われた…それに理由なんてありません。
だけれども避けることができるかもしれない、不運を跳ね返すことができるかもしれない、そのようなポジティブなメッセージだと個人的に考察しました。

ソンジェ背負って走れ 感想あらすじレビュー考察 U-next

ソンジェが「全て」思い出した件
ソルはソンジェと"出会わなければ良い”という究極(?)の阻止法を試します。ですが運命なのでしょう、再び彼らは顔を合わせてしまうのです。
ただソルのことを「知らなかった」ソンジェが、事故から目覚めた時に(彼の終盤タイムライン上で経験していないことまで)「全て」思い出しているのは、正直なところ脚本的にはツッコミどころかもしれません。
個人的な意見ですが、後半になるほど彼らが生きるタイムラインがさほど焦点になっておらず、主題が2人の切れない関係に移行していた点かなと思います。
結局「どの時空にいても」2人は出会って恋に落ちる…。
ソル祖母が「心が覚えている」と言いましたよね。お互い惹かれあうことの、それ自体の説明できない不思議さ。
まるで運命に決めれていたように、そんなミラクルさを含んだものだったのかなと思います。

ソンジェとソルの身長差
ソンジェ演じるウソクさんが、とても背の高い方で、今作では役柄的にもこの2人の身長の違いがとても上手くシーンに効いていたと思います。
ソンジェが(ソルが気付いていないところで)常に彼女を守っているような、そんな盾になっていたようにも思えましたし、彼の愛情深さがわかりやすく感じました。
ソンジェの方がソルが好き~という格差のような意味や男性が女性を守ってあげる、という意味でもなく、純粋に相手をただ大切に愛しく思う気持ちのような行動と演出が今作では抜きんでて素晴らしかったと思います。

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1話から最終回16話まで、ずっと100点で進行するドラマはなかなか存在しないと思います。
このドラマは非常にレアですし、数年に1本出るかどうかのラブコメ界の頂点と言っても過言でない作品でした。
特に最終回でガッカリさせられる作品が世の中に本当に多い中、ソルとソンジェの仲の良さと笑えるシーン、つまりラブコメの真髄にたっぷり時間が割かれていて、普通に泣きました。
製作陣の全ての方、出演者の全ての方、ありがとうございました。
心底満足感を得た作品となりました。
観て損はしないと思います、超おすすめです。

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