ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ 卒業 (感想)

おすすめ度:62%
学習塾度:100%
先生度:100%
原題:졸업 / The Midnight Romance in Hagwon (全16話)

韓国ドラマ 卒業レビュー感想考察あらすじ

元教え子と再会した人気塾講師のヘジン。しかし彼も講師になると言い出し…?2024年のヒューマン系ラブストーリー。

あらすじ・キャスト

学習塾で生徒を何人も受け持つトップ国語講師のヘジン(チョン・リョウォンさん)は、周囲の評価も高く強い信頼をと自信を持って日々教壇に立っていた。
そんなある日、新人講師の採用試験で過去のヘジンの教え子であるジュノ(ウィ・ハジュンさん)が再び塾に戻ってくるのだった。
難関大に入り一流企業に入社していたジュノが塾講師に…?ヘジンは困惑と戸惑いを覚える。
一方大人になっていたジュノは、初恋の相手であるヘジンに別の気持ちも抱いていた。

感想

私はドラマや映画を視聴する時、最初に考えずに観るのが好きなのと、そもそも調べるのが面倒くさいので視聴前に監督や脚本家の方について確認を一切しないのですが、しなくとも「もしや…?」と推測させられるクセ強監督さんが中にはいらっしゃいます。
今作を監督されているアン・パンソクさんは、韓ドラ界では完全にこのクセ最強伝説のお1人ではないかと勝手に思うのですが、アングル、特徴的な夜のシーン、繊細なカット、OSTの独特の使い方、画面の温度感…、その全てが完全にオレ流世界観になっていて、毎回クセがすごいなあといつも思ってしまいます。(100%良い意味です!)
そして、今回もそんなパンソク監督節が炸裂。
とはいえ、この「卒業」については、視聴前から「よくおごってくれる~の監督の最新作!」的な前フリをSNSなどで何度も見たので、当然視聴前から情報が脳内にあったわけですが…。
何が言いたいのかといいますと、良くも悪くも過去作の雰囲気を十分に醸し出した今作。
しっとりとした湿度が画面内に存在、しかし決してジットリまではせず。そして画面が暗いながらも、優しい夜にいつも包まれている気分…。
そんな不思議な温もりがあるドラマになっています。
意味もなく月の出ている夜に散歩に出てみたい。もしかしたら、傘を持ったチョン・へインさんとすれ違うかもしれない…。
色々な意味で危険すぎる妄想(ミラクル)を見せてくれそうな、世界観。全てがポエティックで美。
と、シーンやドラマの雰囲気はやはり最高でした。

韓国ドラマ 卒業レビュー感想 考察 あらすじ ネタバレ

そして肝心のお話展開についてですが、個人的にはちょっと中途半端で微妙だったかなとは感じました。
今作はラブストーリーを軸にした、仕事ドラマが主題になっているかと思います。
なので謳い文句のような年下男性との恋愛!を大期待されると、少々違うかもしれません。
そして、お仕事ドラマ!というよりは、寧ろ人間模様やそれぞれのキャラの仕事観などにした物語が展開されているなあという印象です。
全体的に相当スローに進みますし、盛り上がり自体が少なめ。
あと、踏み込みそうな内容の割にアッサリ描写だったりと、何となく常に物足りなさが残るような。
日常を切り取った作品ですので、わざと”ドラマ感”を出さなかったのだろうと推測できましたが、それにしても地味。
というのも、そもそも学習塾という割とクローズな空間で繰り広げられる内輪のもめ事。
加えて、ヘジンと元教え子ジュノの大っぴらにはできない恋愛模様
このどちらも”閉鎖的な雰囲気”が、画面的にも内容的にも行き場があるようで無さすぎる…。
ストーリーだけ注目すると、あまりにも「その後は…?」という部分も多いような気がするというか。
スローなのに妙に淡々と進む謎のテンポ感(この監督のクセでもあると思います)、舞台の地味さもあって、つまらなさを感じる方もそれなりにいるかなと思いました。

とはいえ、キャラが見せるふとした表情や仕草、そういうところに人の優しさや考え方を演技で表現する際の所作や表情の美しさのようなものが沢山映し出されていて、個人的にはそこには大変魅力を覚えて、観ていて素敵だなと純粋に胸に響きました。
この作品は相手を想い合ったり(恋愛だけでなく)、同僚や志を同じくする者に対する絶妙な好意をちょっとした表現でシーンに収めてあって、そこが本当にとても良かった。
ウィ・ハジュンさんとチョン・リョウォンさんの2人の雰囲気はとても良く、お2人とも適役だったと思いました。
特にリョウォンさんが演じるヘジンは等身大の女性という感じで、役柄を作りすぎずリアリティが強くあり特に良かった。

ゆるいネタバレありの感想

韓国ドラマ 卒業 レビュー 感想 考察 あらすじ
韓国ドラマ 卒業レビュー感想考察あらすじ

優秀な講師をトップに据えて生徒を集め、学習塾同士もしのぎを削っているエリアが。
そこにヘジンが国語講師として働く塾、大峙チェイスがあります。受験戦争だけでなく、塾同士もまさに蹴落としあいの戦争です。
ヘジンは大学生の時に塾講師のアルバイトを入口として、気づけばこの世界にどっぷり。現在は35歳で、キャリアも実績も十分な先生。
とはいえ日々忙しすぎてプライベートのことを構う時間などなく、やや自分を見失っているようにも見えます。
そんなトップ講師ヘジンに、ある日驚きの再会が待っていました。
かつての教え子のジュノが久し振りに塾を訪ねてきたのです。
彼は、ヘジンにとっても思い出深い学生。名門大学に合格させ、そして今は有名企業で働いているジュノ。
しかし何と彼はヘジンと同じように塾講師になる!とこの大峙チェイスに戻ってきたのでした。
これにはヘジンは大反対。彼の自信家で楽観的な態度にイラついたり面食らったり。
へジンは、塾講師とは精神的にも身体的にも過酷な仕事ということを痛いほど知っているため、彼を思っての反対だったのです。
ですが、ジュノはあまり深刻に忠告を受け取りはしません。とにかく塾の先生になるという気持ちは変わらない様子。
今まで順調でプロフェッショナルに講師のキャリアを歩いていたヘジン。
ここに来て良くも悪くも自分がコントロールできない見えない波が彼女の人生にやって来たようです。

ヘジンとジュノ
教え子と久し振りの再会。そしてその教え子は同僚に。
高校生だったジュノが大人の男性として自分の同僚となったことに、戸惑いを隠せないヘジン。
そして妙にヘジンに絡んでくるジュノ。それもそのはず、ジュノはヘジンのことがそもそも好きだったのでした。
塾で講師になる、という強い意思と同じようにジュノはヘジンへの恋心を隠さずストレートにぶつけてきます。ヘジンはこれにも動揺してしまいます。
今まで仕事でもプライベートでも、ある意味で武装して完璧にこなしていたように見えたヘジン。でも弱さも本当はずっとあって…。
そんな隠していた部分をジュノとの再会で露呈したようにも見えました。
ただジュノを「年下男!」というアレコレ考えない突っ走る感じをちょっと強めに設定しすぎているのかなあ…という気もしなくはありませんでしたが。
もう少し慎重さを本来は持っていそうなキャラな気がしました、個人的な印象ですが。

韓国ドラマ 卒業レビュー感想考察あらすじネタバレ

気になった点
なんでしょうか、今作はストーリーとしては結末が(ほぼ)全ての点でハッキリとは描かれていません。
ヘジンらを“裏切った”人たち、学生たち、そしてヘジン&ジュノの今後…すべてが「こうだろうな」というのは予想できるのですが。
ただ少なくとも「仕事」軸の決着については、もう少し白黒ハッキリで描写しても良かったのでは?と思いました。ここが最も個人的にはどうかなと思った点です。
策士たちの”髪の引っ張り合い”を山場にされたところで…というか。
常に完璧で隙がなく水面下で他人を蹴落としていた2人が、最終的に醜態を晒して…と、そこに滑稽さとダサさ、情けなさでクライマックスとされていましたが、正直なところそれでは物語として全くスッキリするものではなかったですよね。
彼らの落ちていく様子を見たかったのではなく単純にどうなったのか知りたかった、という部分が強かった。
まあ「教え子に手を出した先生」みたいな無理矢理な流れも、30歳以上の男女に向かって結局それか…的な気分にもなったのですが。

ということで、映像の雰囲気的には過去作同様に完璧。あとを引く様なシーンが印象的でした。
登場人物もみんな長所短所あって、そして何よりも人間味があって良かった。
このように今作ではポジティブな部分もかなりありましたが、ただやっぱり”ドラマとしては”今一つ何か足りないというか、ボンヤリした内容で、うーん…と思いながらの視聴となりました。(偉そうにすみません…、個人的な感想です)
ですがハマる人にはハマる作品だと思いますので、気になった方は是非視聴してみて下さい。

こちらもおすすめ: