ドラマや映画の感想を書いてみるブログ

観た韓国ドラマや映画の感想を書いてみます。誰かの参考にでもなれば…。

韓国ドラマ アンナラスマナラ -魔法の旋律- 感想

おすすめ度:58%
マジック度:100%
ミュージカル度:100%
原題:안나라수마나라 / The Sound of Magic (全6話)

アンナラスマナラ韓国ドラマ感想

女子高生が閉鎖された遊園地で出会った魔術師、彼のマジックは「本物」だった…2022年放送のファンタジー/ミュージカルドラマ。

あらすじ・キャスト

アイ(チェ・ソンウンさん)は幼い妹と2人で暮らしながら、日々の生活に頭を悩ませていた。
ある夜、誘われるように閉鎖された遊園地に入ったアイは、そこで魔術師だと名乗る男性リウル(チ・チャンウクさん)に出会う。彼の不思議な雰囲気やマジックにも惹かれ何度か遊園地を訪れるアイ。
しかしそのことがアイの隣の席に座るイルドゥン(ファン・インヨプさん)らクラスメイトにも知られることになるが…。

感想

ミュージカルドラマで驚いてしまいましたが、色々チャレンジした作品があるなあ!と特に冒頭は感動気味でした。
実際、特にミュージカル部分は演出も凝っていて、見応えもあり面白かったです。ララランドのような映画作品を意識したのかもしれません。
ただ視聴後ですが、私は正直微妙な気分にはなりました。(すみません)
メッセージ性もあり決してつまらない訳ではないのですが、主人公となるアイのストーリーが想像以上にジットリとした…いわゆるよくある不幸な設定。
そのあたりに斬新さを全く感じず、ミュージカル部分との親和性を考えているうちに終わってしまった感で、少々チグハグさも残ったように思いました。
ダークサイドを持たせたかったのは明らかでしたが、物語/ミュージカル部分含め全体的に陰陽のバランスがちょっと悪かったような印象を受けました。
ドラマは全6話でこの作品の雰囲気にはぴったりのサイズなのですが、ストーリーの深さを語るには十分でなく、後半やたら”内容”が忙しかったですし、やや強引でモヤモヤが残りました。

ややネガティブ寄りになってしまいましたが、謎の魔術師を演じるチ・チャンウクさんは、ご本人の雰囲気とどこかコミカルで影あるファンタジックな役柄にあっていて良かったです!
チャンウクさんだけでなく、ソンウンさんやインヨプさんも歌うシーンがあり、俳優さんは何でも出来るなあ…とただただビックリしました。

原作はNaverのWEBトゥーンとのことですが、私は未読です。
監督が「梨泰院クラス」と同じという関係か、イルドゥンの父役でユ・ジェミョンさん。またチャンウクさんと「都会の男女の恋愛法」で共演されたリュ・ギョンスさんがカメオで出演されていました。リュ・ギョンスさんは好きな俳優さんの1人なので、突然登場シーンがあったので私はとても嬉しかったです。

ゆるいネタバレありの感想

 
 
 
 
 
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チ・チャンウクさんインスタグラムより

丘の上にある閉園した遊園地。そこには本当に人を消したりする「本物のマジック」をする魔術師がいる…。
そんな噂話がクラスに出回ります。しかしアイは鼻で笑います。今の彼女はそんな他愛もない噂を気にするような余裕すらありません。
両親はおらず、妹と2人暮らしのアイ。いつもお金の心配をし、身なりや食事もままならない状況。
ある夜、アルバイト後のアイは日給を受け取った帰り道にお金を落としてしまいます。まるでアイを導くかのように飛んでいく紙幣…気付けばあの遊園地に。
そして噂の魔術師に出会うのでした。噂は本当だった、アイは驚いて逃げ帰ります。しかしお金を返して欲しかったアイは、翌日再びあの場所に向かいます。
「あなたはマジックを信じますか?」マジックでアイの落としたお札1枚を何と2枚にして差し出す魔術師…。
アイはクラスでの”落とし物”事件を思い出し、1枚だけ受け取り帰ります。
明らかにトラブルになりそうな教室に落ちているお金は拾って自分のものにするアイさんですが、差し出された倍額のお金は受けとらないタイプのようです。

コンビニで正式にアルバイトを始めたアイ、滞納した家賃の支払いを求められ、早々に店長に給料前借りを願い出ます。快諾した店長でしたが、見返りは恐ろしいものでした。
しかしあの魔術師が。店長を何とマジックで「消して」くれたのでした。目の前で起こった事に混乱するアイ。店長は一体どこへ…?
このあたり、魔術師の”よくわからない”怖さ・純粋さにも通じる描写が大変素晴らしいと思いました。

アンナラスマナラ -魔法の旋律-ドラマレビュー

この事件をきっかけに、アイと魔術師の関係が次第に強くなります。
彼の繰り出すマジックのように真剣なのか冗談なのか、掴みどころのない彼。本心が見えずアイはイラつきますが、既に”マジック”にかかったかのように、アイは魔術師の住む廃遊園地の劇場へ。結局彼からマジックを習うことになります。

アイが頻繁に遊園地で噂の魔術師と会っていることを知っている人物がクラスにいました。
アイと席が隣同士の学年1位のイルドゥン君。そして噂好きで意地悪なハナたちです。
実はイルドゥンは密かにアイの事が好きではありますが、ハナがお金に困っているアイが魔術師からお金をもらっているという噂が気になります。
嫉妬心とアイが心配で密かに魔術師に会うイルドゥン君でしたが、彼も厳しい両親の間で自分自身を失いそうになっていたのでした。
自分が進みたい本当の道とは?彼もアイのように”マジック”にかかったようです。

このように、特に終盤から格差社会や学歴社会問題も交えながら「自分」「普通」とは?と魔術師リウルという存在を通して後半はメッセージ性が強くなっていきます。
「僕のマジックは本物」という強い信念を抱き続けているリウル。一方で「信じているけれど自信がなくなる」アイ。
大多数の意見に時に流されそうになるけれど、子供の頃のように自分自身の考えを信じて、それを支えてくれる人を信じていればいいんだ、そんな思いが伝わりました。

個人的な考察としては、リウルそのものが、社会概念に疑問を投げかける存在そのもの。
物語の帰結として魔術師リウル…彼自身をアイが彼から習ったマジックで”解放”し、アイがリウルのような存在になっていくのではないかと思いました。(彼のようなミステリアスな方法ではないですが)
「マジックを信じるか?」という問いは、己に向けての「自分を信じるか」という質問でもあります。
アイはこれから仕事を通じて様々な人々を、社会的な柵になる”当たり前”の概念から解放するのかもしれません。

かなりの時間をアイの金銭問題エピソードに割き、犯罪事件も多かったりと、全体的重さを出しているのに、尺がないためか妙に半端な描写で終わっているのも残念。
閉園した遊園地が舞台となり、人生における光と影のような象徴でもあるように、明暗の対比としては理解できます。しかしミュージカル部分とお話の段差というか、個人的には視聴している上での自分の気持ちの切り替えと温度差にしっくり来ませんでした。そのあたりのバランスが微妙かな…。
扱った問題や主張が比較的ありふれた内容なのもあり、新鮮味に欠けたストーリーラインだったかなと思います。(個人的な感想です)
とはいえ、色々なタイプのドラマが本当に精力的に制作されていて、本当に素晴らしいなあと思った次第です。

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